シャペウは、ドリブル中にボールを浮かせて相手を抜くテクニックです。
巷では、浮き技…とも言われています。
特にブラジルの選手が得意としていますよね。
でも、ネイマールの真似をしようと思って、いくら練習しても、ボールが浮かない…、上手く行かない…、失敗してばかり…という方も多いでしょう。
実は、そうした失敗の原因のほとんどは膝や股関節の使い方に問題があります。
また、きちんとしたコツを覚えて正しい練習をすれば、必ず出来るようになるのです。
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そこで、今回は、シャペウのコツと練習法を解説します。
記事の目次
1.シャペウのコツ
(1)シャペウとは
シャペウとは、ポルトガル語の「Chapeau」のことで、和訳すると「帽子」を意味します。
ボールを浮かせて相手の頭上を抜くということで、ブラジルの選手がよく使います。
特に有名なのが、1958のワールドカップ決勝戦で、当時17歳のペレがシャペウを使って相手を抜いてゴールしたことで、世界中の話題になりました。
最近では、ネイマールがよく使いますよね。
ところで、シャペウのテクニックはいろいろなパターンがありますが、ペレにしても、ネイマールにしても、ボールを浮かすという技術そのものの基本は変わりません。
ところが、上手く出来ない方の多くは、膝や股関節を使って「よいしょ!」というように、ボールを持ち上げるのではないでしょうか?
たしかに、この方法でもボールは浮きますが、モーションが大きく素早い動きが出来ないため、ドリブルの抜き技としては使えません。
たぶん、こうした点は多くの方が勘違いしていると思います。
シャペウにとって、特に大切なコツは膝抜きです。
この膝抜きを覚えれば、ほぼマスターしたようなものです。
そこで、次に、シャペウのコツである膝抜きのやり方を解説します。
(2)シャペウと膝抜き
シャペウが上手くなるためには、絶対に膝抜きを覚えることが必要です。
最も大切なコツは膝抜き!と言っても過言ではありません。
膝抜きの手順は3つありますが、特に大切なのがタイミングです。
① ボールを引きながら、股関節と膝を脱力しつつ、膝を曲げる。
② 曲げた膝を急激に伸ばす。この時にカカトで地面を擦るように「とん!」と叩くとリズミカルになる。
③ ボールが指先に乗ったら、親指と人差し指を使って跳ね上げる。
先ほどの動画で、私の息子「とも」が膝抜きを実演していましたが、家の中なのでほとんど膝を曲げないため、ボールが太ももくらいまでしか浮きません。
そこで、実際には、直角くらいまで膝を曲げると、自分の身長くらいまでの飛ばすことが出来ます。
また、ボールが指先に乗ったら、親指と人差し指を使って跳ね上げます。
次の画像は、跳ね上げる直前のシーンです。
ボールに隠れて見えませんが、この時は足の指の関節が少し曲がっています。
つまり、このわずかに曲がった親指と人差し指を使って「ピン!」と跳ね上げるわけです。
でも、足指を鍛えないと、この跳ね上げはそう簡単には出来ません。
そこで、おススメなのが、足指グーパーと足指スリスリです。
参考記事:かかとの痛みの原因は土踏まず!アスリート必見超簡単強化法
以上のような、膝抜きと足指の跳ね上げは、出来るだけ裸足で練習してください。
その方が足指の感覚が繊細になるので、シャペウの上達も早くなります。
さて、次にこれまで解説した、膝抜きと合わせ、背骨のバネ作用であるワップダウンも使って、もっとボールを高く浮かすシャペウのやり方を解説します。
(3)シャペウでボールを高く浮かす
次の動画のように、ワップダウンを使えば、止まっているボールも高く浮かせるシャペウが出来ます。
ここでの手順は3つです。
① ボールを引きながら、股関節と膝を脱力しつつ、背骨を伸ばして膝を曲げる。
② 曲げた膝を急激に伸ばす。
③ ボールが指先に乗ったら、ワップダウンで背骨を折り曲げながら、親指と人差し指を使って跳ね上げる。
ここでのワップダウンは、伸ばした背骨を自重を使って急激に脱力することです。
これにより、重力落下運動が起こり、エビ反りのような姿勢になります。
そうすると、このように高く浮かせることが出来るのです。
先ほどの動画では「とも」は、ボールを引く時にほんの少ししか膝を曲げていませんが、ワップダウンを使えば、ここまでの高いシャペウが出来るわけです。
例えば、試合中の密集状態の時に、膝が振れなくてもワップダウを使えば簡単にシャペウが出来ます。
こうした点も参考にしつつ、ぜひワップダウンを使ったシャペウも練習してみてください。
なお、ワップダウンの動作は、次の動画の1:10からのシーンを参考にしてください。
参考記事:一本歯下駄トレーニングの練習メニューおすすめ22選!
さて、これまでシャペウのコツとしての膝抜きやワップダウンの動作を説明しましたが、これが出来るようになったら、いよいよ実戦練習をしましょう。
そこで、次にシャペウの練習方法を解説します。
2.シャペウの練習方法
次の動画を参考にしながら、基本的で簡単なパターンのシャペウとして、2人1組で3つのやり方を練習しましょう。
(1)バウンドしているボール
ボールがバウンドしている場合のシャペウは、インステップを使って浮かす方法が簡単です。
膝抜きも必要ないので、後はきちんと足に当てられるかどうかだけです。
でも、人によって足の形も違いますし、別にこの場所でなくても構いません。
例えば、インフロントの方がやり易いのであれば、それでも良いでしょう。
(2)グラウンダーのボール
グラウンダーの状態でシャペウをやる時は、止まっているボールを引くという動作を省いただけのことです。
つまり、ボールが自分の方に向かって来るところから、膝抜きをすれば良いだけです。
その場合、最後は、親指と人差し指を使って跳ね上げれば、簡単にシャペウが出来ます。
(3)止まっているボール
止まっているボールは、先ほど解説した膝抜きが必要です。
ヒザ下くらいまで引いてからシャペウをしましょう。
上手く行かない場合は、ワップダウンも試してみてください。
なお、これまでの3つのシャペウを練習する時は、相手がプレスに来たところを狙うと効果的です。
こうした点も意識しながら練習してください。
以上のように、シャペウの3つのパターンの練習方法を解説しました。
実際の試合中でも、ボールの動きは、バウンドしているのか、グラウンダーなのか、止まっているのかという3つしかありません。
だから、この基本の3つのシャペウが出来れば、後はいろいろなプロ選手のやり方を真似ても良いと思います。
そうすることで、自分のテクニックのバリエーションを増やすことが出来ます。
さて、次に、シャペウに特有なボールを浮かす技術の応用ということで、膝抜きを使ったチップキックのやり方を解説します。
3.チップキックへの応用
次の動画で「とも」がドリブルからチップキックを蹴っていますが、シャペウのコツである膝抜きを使っています。
特に、ドリブルと膝抜きのタイミングは、スローモーションで見ないと分かり難いと思います。
ということは、それだけチップキックと膝抜きの相性が良いということです。
シャペウのコツである膝抜きのテクニックを覚えたら、ぜひチップキックにもチャレンジしてみてください。
4.まとめ
これまで、シャペウのコツや練習法を解説しましたが、基本的には膝抜きさえ覚えれば、簡単に習得できます。
また、シャペウは一般的にリフティングが出来ないと身に付かないと思われていますが、そもそもコツとしての膝抜きはリフティングとは関係ありません。
だから、小学校低学年でも練習すれば出来るようになります。
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一方、巷では、いろいろな種類のシャペウを紹介していますが、そのほとんどのテクニックは試合では使えません。
なぜなら、そうしたテクニックの多くはフリースタイルの人たちが、パフォーマンスとしてやっているからです。
こうした場合、実際の試合中のボールの動きは、バウンドしているのか、グラウンダーなのか、止まっているのかという3つしかありません。
そうすると、この3つの動きに対するシャペウの基本テクニックをきちんと見付ければ、後はいくらでも応用が利くのです。
だから、目先の派手な浮き技よりも、ぜひ、シャペウの基本のテク二ックを身に付けていただきたいと願っています