インフロントキックをいくら練習しても上手くならない、ボールが浮かない…、遠くに飛ばない…、蹴り方がよく分からない…。
そんな悩みを持つ子供は、かなり多いと思います。
実は、このキックは、インステップキックやインサイドキックなどのように、ボールに対して足の特定の場所をピンポイントで当てる…、というような「点」でインパクトする蹴り方ではありません。
インフロントの面を使って、ボールを足の上で転がすようなイメージでバックスピンをかけるという、いわば「面」でインパクトする蹴り方です。
また、そうすることでバックスピンが掛かり、ボールが浮いて、遠くに飛ばすことが出来るのです。
そこで、今回は、私の息子「とも」の実演動画をふんだんに盛り込みながら、インフロントキックとインステップ・インサイドキックとの違い、ボールが浮く仕組み、バックスピンのかけ方、遠くに飛ばす方法、助走のやり方、正しい蹴り方、練習方法などの全てを詳しく解説します。
記事の目次
- 1.インフロントキックとは?
- (1)蹴り方の比較
- ① インステップキックとインサイドキック
- ② インフロントキック
- (2)インパクトの違い
- ① インパクトの方法
- ② インパクトの瞬間のボールの変化
- ア.インステップ・インサイドキック
- イ.インフロントキック
- 2.インフロントキックのバックスピンの仕組み
- (1)バックスピンとは何か?
- (2)バックスピンでボールが浮くとは?
- ① インパクト直前
- ② インパクト直後
- 3.インフロントキックの蹴り方とボールを遠くに飛ばす方法
- (1)ボールと足の当てる場所
- ① ボールの当てる場所
- ② 足の当てる場所
- (2)キックの助走
- ① 助走の入り方と角度
- ② 助走は一歩で蹴れるようにする
- (3)キックフォーム
- (4)ボールを遠くに飛ばす方法
- ① 筋肉の伸張反射
- ② 上半身のバネ作用
- ③ 足の重さと遠心力を使う
- 4.練習方法
- (1)利き足リフティング
- (2)スイングの素振り
- (3)バックスピンの感覚を掴む
- (4)一本歯下駄トレーニング
- 5.インフロントキックのまとめ
- 【おすすめの記事一覧】
1.インフロントキックとは?
子供がサッカーを始めたときに最初に覚えるのがインサイドキックやインステップキックで、次がインフロントキックになります。
インフロントキックは、ボールにバックスピンをかけるために、インフロントの面で擦り下げる蹴り方です。
また、バックスピンは、カーブと同じように回転をかけるということです。
子供にとってボールに回転をかけるという蹴り方は、それまでのインステップキックやインサイドキックに比べて、格段に難易度が上がります。
こうした場合、良くありがちなのが、インステップやインサイドを使ってボールの下の方を、すくい上げるように蹴ってしまうことです。
これでは、バックスピンがかかるどころか、かえってドライブ回転になるので、落下速度が速くなって飛距離はほとんど出ません。
そこで、インフロンキックの蹴り方の練習にあたっては、まず最初にインステップキックやインサイドキックと比較して、その違いを正しく理解することが大切です。
そして、その次にボールにバックスピンをかける仕組みを覚えないと、練習の効果は上がりません。
サッカーは単にボールを蹴っていれば上手くなるというものではありません。
頭を働かせて考えるスポーツです。
先ずは、インステップ・インサイドキックとインフロントキックの蹴り方の違いを比較しましょう。
そして、その次にバックスピンの仕組みを覚えてください。
そのうえで、今回の記事の後半部分で解説しているインフロントキックの蹴り方を練習しましょう。
そうすることが、インフロントキックの蹴り方を覚えるための、最短最速の近道になります。
(1)蹴り方の比較
① インステップキックとインサイドキック
この二つのキックの特徴は、インステップとインサイドという当てる場所の違いはありますが、ボールの中心をピンポイントで蹴るという点では同じキックです。
インステップキックは、インステップ(足の甲)を使って、ボールの中心を正確にミートすることで真っ直ぐに飛ばします。
インサイドキックも基本的にはインステップキックと同様で、ボールの中心を正確にインパクトします。
② インフロントキック
インフロントキックは、インフロントの面を使って、ボールにバックスピンをかけて「ふわっ…」と浮かせる蹴り方です。
バックスピンとは、ボールが逆回転(下から上)することであって、これによりインパクト直後にボールの下側から上昇気流が発生して高く遠くに飛ばせるのです。
(2)インパクトの違い
ここでは、インステップ・インサイドキックとインフロントキックのインパクトの違いを解説します。
① インパクトの方法
インステップキックとインフロントキックの最大の違いは、インパクトの方法です。
インステップキックの場合は、ボールを真っ直ぐに押し出す蹴り方です。
これに対して、インフロントキックはボールにバックスピンを掛けるので、上から下に擦り下げる蹴り方をします。
擦り下げる⇒擦るという蹴り方はカーブのキックと同じで、ボールに回転をかけるテクニックです。
ネット上や一般の書籍では、未だに下からすくい上げる…と言う表現を使うケースが見られますが、この蹴り方ではドライブ回転がかかってボールが浮きません。
こうした点には、くれぐれもご注意ください。
なお、インサイドキックはインステップキックと比べて蹴り方自体は異なりますが、ボールを真っ直ぐに押し出すという仕組みは同じです。
② インパクトの瞬間のボールの変化
ここでは、インステップ・インサイドキックとインフロントキックのインパクトの瞬間を比べると、果たしてボールにどのような変化が生じているのか?という点を解説します。
ア.インステップ・インサイドキック
この2つのキックは、ボールの中心軸を通って、ボール一個分だけ真っ直ぐに押し出します。
そのため、インパクトの強弱にもよりますが、強いキックを蹴るとボールの中心が凹むような感覚が足に起こります。
イ.インフロントキック
このキックは、インパクトの瞬間に1~2㎝程度擦り下げてバックスピンをかけます。
そのため、インパクト直後に、ボールが足に乗って転がる感覚が足に起こります。
以上のように、インステップやインサイドキックは、点でインパクトすれば良いということで、小学校低学年の子供にとっては比較的覚えやすい蹴り方でしょう。
ところが、小学校高学年になってインフロントキックを練習する場合、バックスピンというボールに回転をかける蹴り方を覚えなくてはなりません。
子供にとっては、ボールに回転を掛けるというサッカーのキックにとっての最初の難関に当たります。
ここは、ぜひとも解決していただきたいと思います。
そこで、次からは、インフロントキックでボールにバックスピンをかけるとは、どういうことなのか?という仕組みについて、詳しく解説します。
2.インフロントキックのバックスピンの仕組み
インフロントキックの練習をする場合、バックスピンをかける仕組みを理解すると、とても習得が速くなります。
そこで、こうした点を考えてみましょう。
(1)バックスピンとは何か?
バックスピンを簡単に説明すると、ボールが坂道を登るようなイメージのことです。
この時、ボールを坂道の途中で止めて、坂道そのものをエスカレーターの下りのように移動させたら、どうなるでしょうか?
やはりボールにバックスピンがかかって、坂道を登ろうとします。
それでは、この坂道をヒトの足に例えたらどうようになるでしょうか?
実は、サッカーのインフロントキックにおける、ダウンスイングがこれと同じ仕組みなのです。
こちらの画像は、先ほどご覧になったものです。
先ほど解説した「インフロントキックは、インパクトの瞬間に1~2㎝程度擦り下げてバックスピンをかけるため、インパクト直後に、ボールが足に乗って転がる感覚が足に起こる…。」
という意味が改めてお分かりいただけのではないでしょうか?
そこで、次に、実際に蹴っている画像を見ながら、バックスピンでボールが浮くという仕組みを掘り下げて考えてみましょう。
(2)バックスピンでボールが浮くとは?
先ほどまでの解説の中で、バックスピンをかける仕組みがご理解いただけたと思います。
ここでは実際に蹴っている画像を見ながら、インパクトでボールが浮く仕組みを解説します。
① インパクト直前
次の画像は、インフロントキックのインパクト直前の様子です。
蹴り足が少しブレていますが、ボールにインフロントの面を「点」で当てるのではありません。
ここから、さらに1~2㎝程度、擦り下げるように蹴るのです。
次の裸足の画像をご覧いただくと良く分かりますが、ボールの中心からやや下の方を、インフロントの面を使って擦り下げます。
このように擦り下げることで、ボールがインフロントの面を上に転がる感覚が起きるのです。
先ほど解説した「ボールを坂道の途中で止めて、坂道そのものをエスカレーターの下りのように移動させたら…」ということを思い出してください。
インフロントキックを蹴ると、ボールが坂道の代わりにインフロントの面を登って行く(上に転がる)ということになるわけですね。
② インパクト直後
次の動画は、インフロントキックの足の運びを撮影したものです。
次の画像は、インフロントキックのインパクト直後の様子です。
ボールがブレてしまっているので、やや分かり難いですが、この状態が先ほど解説した「ボールが足(インフロントの面に乗って)の上で転がる感覚が起きる!」ということです。
ボールがブレているのは、蹴った瞬間に急激なバックスピンが掛かったためです。
このように、急激なバックスピンがかかるとボールの下から上に向けて上昇気流が発生します。
それによって、ボールが浮くわけです。
次の画像は、別角度から撮影したものです。
中央の画像はインパクト直後の状態ですが、すでに地面からボール一個分だけ浮いている様子が分かります。
これもバックスピンによって、ボールが浮いたということなのです。
これに対して、インステップキックやインサイドキックは「点」で押し出す蹴り方です。
こうのような蹴り方では、いくらボールの下をインパクトしても、結局はすくい上げるようなキックになるだけです。
そうすると、バックスピンのかかった「ふわっ」としたボールを蹴ることは出来ません。
以上が、バックスピンの仕組みです。
さて、次からは、インフロントキックを遠くに飛ばす方法、練習方法などを順番に解説します。
3.インフロントキックの蹴り方とボールを遠くに飛ばす方法
インフロントキックのバックスピンのかけ方が理解できたとしても、実際の蹴り方が間違っていたら、ボールは遠くに飛びません。
そこで、ボールと足の当てる場所、キックの助走、キックフォーム、ボールを遠くに飛ばす方法などについて順に解説します。
(1)ボールと足の当てる場所
ここでは、インフロントキックで蹴る時のボールの当てる場所、足の当てる場所について解説します。
① ボールの当てる場所
インフロントキックを蹴る時は、インフロントの面や親指の付け根でボールを擦り下げます。
また、インパクトポイントから最低1~2㎝程度擦り下げるので、あまり下の方に足を当てると十分な擦り下げが出来ません。
だから、ボールの中心から数センチ程度下に当てるようにしましょう。
この場合、ボールのサイズ(4号球と5号球)によって、当てる場所が変わってきます。
また、人によって足のサイズや形が違うので「中心から何センチ下…」ということも言い切れません。
そこで、何度も蹴ってみて、自分なりの当てる場所を見付けてください。
② 足の当てる場所
インフロントキックでボールを蹴る時の、足の当てる場所は、ふつうのインフロントの面、親指の付け根の2種類あります。
次の骨格画像を見ると、インフロントの面は5本の骨を束ねていることから、反発力のある場所なので強いキックを蹴ることが出来ます。
親指の付け根は、1本の骨なので反発力は少なく、それほど強いキックは蹴れません。
それぞれの場所の特徴としては、
① インフロントの面
強いキックが蹴れる。
ボールを遠くに飛ばすことが出来る。
バックスピンの回転数は少ない。
② 親指の付け根
強いキックは蹴れない。
ボールはあまり遠くに飛ばない。
バックスピンの回転数が多い。
それぞれのバックスピンの回転数の違いは、擦り下げる面の広さと関係します。
インフロントの面は3~4㎝程度なので、蹴った時に足の上でボールが転がる距離は少ないです。
また、擦り下げる時間は、ほんのわずかです。
親指の付け根で蹴ると、ボールが親指の付け根から小指にかけての長い距離を転がります。
そうすると、擦り下げている時間も長くなります。
また、親指の付け根から小指にかけての面は、両足リフティングのコントロールタッチの面とほぼ同じで、平面状になっています。
つまり、擦り下げの接地面積も広くなります。
参考記事:リフティングの4つのコツ!小学校低学年でも出来た練習法
一般的に、親指の付け根で蹴ったインフロントキックは、バックスピンがよくかかった「ふわっと」としたボールになると言われますが、こうした仕組みによるものなのです。
ちなみに「とも」の足は、甲高・幅広なので、インフロントの面が広く、親指の付け根~小指までの面(先ほどのコントロールタッチの面)も広いです。
そうすると、インフロントキックで蹴った時のバックスピンの回転数は、他の選手よりも多くなるため、滞空時間が長く飛距離のあるボールを蹴ることが出来るのです。
(2)キックの助走
① 助走の入り方と角度
助走は、ボールの飛ぶ方向に対して、斜め後ろから入るものとされています。
ところが、ボールの飛ぶ方向というのは意外と大ざっぱな考え方です。
なぜなら、ボールの方向は、助走のスタート地点と実際に蹴る地点では、見た目の誤差が生じるからです。
キックを蹴った時、狙ったところにコントロールできない原因の多くは、この点の勘違いによるものです。
一方、ボールの方向は軸足のつま先の向きと一致するので、本来であれば軸足を基準に考えるべきです。
そこで、インフロントキックを練習する時は、毎回、ボールの後ろに立って必ず飛ぶ方向を確認してください。
そうすることで、自分に合ったキックの助走の入り方・角度などと同時に、正確なボールコントロールも身に付きます。
ちなみに「とも」の助走は、ほぼ一歩ですが、斜め後ろと言うよりも横方向から入ります。
下図の「A」で表記した軸足の向きに合わせて蹴りますが、助走のスタート地点「B」では、急激に体幹をひねって半回転させるという遠心力を使うので、斜め後ろよりも横方向から入る方が蹴りやすいのでしょう。
ちなみに、こうした体の回転を使った蹴り方は、中村俊輔と似ています。
② 助走は一歩で蹴れるようにする
インフロントキックは、ボールを遠くに飛ばす蹴り方です
例えば、自陣からFWにロングボールを蹴ったり、サイドチェンジに使ったりします(小学生年代であれば、ゴールキックやコーナーキックで使う場合もある)。
ところが、現代サッカーはコンパクトなために、密集地域で蹴る場合も多いです。
例えば、サイドチェンジは狭い場所から広い場所へのキックですが、そもそも蹴る場所自体が密集していて狭いエリアです。
蹴る場所自体が狭いということは、2歩も3歩も助走を取ることは難しいでしょう。
最悪の場合は、相手のDFのプレスがかかって、ボールが奪われてしまいます。
またキックの助走というのは、実は蹴る直前の一歩を大きくすれば十分なので、2歩も3歩も必要ないのです。
これは練習すれば誰でも身に付くテクニックです。
子供たちには、ぜひ一歩の助走で蹴れるようになってほしいと思います。
参考記事:サッカーのキックの助走は何歩で?動画と画像で詳しく解説
(3)キックフォーム
次の画像はバックスイングからフィニッシュまでの様子です。
特に、ご注意いただきたいのが、インステップキックとのフォームの違いです。
インステップキックは蹴り足のインステップを垂直に近い状態にします。
そうすると身体がやや立った状態でインパクトします。
なぜなら、そうしないとつま先が地面に当たってしまうからです。
どちらかと言えば、地面と水平に蹴り出すというイメージです。
ところが、インフロントキックは足首を曲げてボールの中心から少し下側を擦り下げます。
そのためにダウンスイングになるので、インパクトの姿勢が軸足側に傾きます。
この場合のダウンスイングとは、上から下に蹴るイメージです。
これによって、インパクトの瞬間に身体が沈み込むような姿勢になるわけです。
特にバックスイングは大きく取るようにしてください。
そうすることで、飛距離が伸びます。
(4)ボールを遠くに飛ばす方法
サッカーは足だけを使うスポーツではありません。
ボールを遠くに飛ばすためには、全身を使った蹴り方が必要です。
そこで、インフロントキックの蹴り方を補強するための方法を解説します。
① 筋肉の伸張反射
伸張反射とは、急激に伸ばされた筋肉が、元に戻ろうとして収縮する反射運動です。
この作用は通常の反射神経の流れと同様に、例えば、熱いものを触った時にすぐに手を離す…という、動作と全く同じです。
キックの場合、バックスイングの時に様々な筋肉の伸張が起きます。
主な筋肉としては、上腕筋、大胸筋、腹斜筋、腸腰筋、大腿四頭筋、などです。
これらの筋肉は、フォロースルーにかけて急激に収縮します。
つまり、バックスイングからフォロースルーにかけての、筋肉の伸張から収縮という急激な巻き戻し作用を使って、ボールを蹴るということです。
バックスイングを取る時は、特に全身を大きく使うことを意識してください。
そうすることで、筋肉の伸張から収縮までの作用も大きくなります。
また、伸張反射は脳の手前の脊髄で対応するので、反応スピードがとても速いです。
そうすると、筋肉に力を入れて蹴るよりも、インパクトスピードが格段に上がって強いキックが蹴れるのです。
参考記事:伸張反射はサッカーのプレーを劇的に改善!最新理論を紹介
② 上半身のバネ作用
上半身のうち、特に背骨を使ったバネ作用はサッカーの様々なプレーに応用できます。
キックの時のバネ作用は、バックスイングに入る前(ワップダウン)→バックスイング(ワップアップ)までの、ほんの少し身体を縮めてから伸ばすまでの動き。
バックスイング→フォロースルーまでの、身体を弓なりに反らせてから元に戻そうとする動きの2種類のバネ作用があります。
次の画像は、バックスイングの時に身体を反らした弓なりの姿勢です。
次の画像は、背骨の板バネが戻ろうとして、急激に巻き戻しを起こす様子です。
こうしたバネ作用を効果的に利用することで、強いキックが蹴れるのです。
特に、バックスイングの時の弓なりの姿勢を大きくすると、背骨のバネの反発が大きくなります。
参考記事:バネ作用でサッカーがレベルアップ!ドリブルやキックに効果抜群
③ 足の重さと遠心力を使う
インフロントキックで足の遠心力と重さを使うとスピードとパワーを生み出します。
なぜなら、遠心力によるエネルギーがボールに伝わることで、早く、遠くに飛ぶからです。
また、蹴る時に足の重さを使うとインパクトのパワーを生み出します。
遠心力とは、足の縦回転運動のエネルギーを利用するということです。
足の重さは片足あたり体重の約18%なので、体重が60㎏のヒトの場合は約10㎏の重さを、パワーに変えるということになります。
足の遠心力と重さを使う時は、リラックスして軽く蹴った方がボールが速く遠くに飛びます。
参考記事:サッカーの正しい蹴り方!ヒザを強く速く振るのは間違い?
以上が、インフロントキックの蹴り方とボールを遠くに飛ばす方法です。
これを踏まえて、次に練習方法を紹介します。
初心者でも出来る簡単な方法なのでぜひ参考にしてください。
4.練習方法
インフロントキックの練習は、単にボールを蹴るだけでは上手くなりません。
そうした蹴り方をサポートするための練習メニューを組むことが大切です。
(1)利き足リフティング
海外と日本の選手のキックフォームを比べると、それほど大きな違いはありませんが、一点だけ指摘するとしたら、体幹と軸足の強さにあります。
そこで、正確で強くて飛距離のあるボールを蹴るための練習が必要です。
また、強くて遠くに飛ばすキックを蹴るということは、身体に強い遠心力をかけることです。
そうした場合、体幹や軸足が貧弱な状態では、キックフォームが安定しません。
そうした意味では、利き足リフティングで体幹や軸足を鍛えることが最も効果的です。
これから紹介するリフティングは、いずれも1000回を目指しましょう。
特に、おすすめなのが、次のちょんちょんリフティングです。
テニスボールやスーパーボールを使ったリフティングもおススメです。
インステップリフティングもやってみましょう。
インステップ、アウトサイド、インサイド、頭、胸、太ももなど、身体のいろいろなところを使ったコンビネーションもやってみましょう。
参考記事:サッカーのキックと体幹・軸足の強化!効果的な練習法
体幹と軸足が強化されるとフィニッシュで蹴り足が横方向に流れるようになります。
蹴り足が前に流れるうちは、軸足が、ぐら付いている証拠なので、いくらインフロントキックを蹴っても上手くなりません。
特に、日本人は、世界的に見てもこの部分の強化がおざなりです。
あなたの子供さんがプロを目指すのであれば、この部分は絶対に鍛えておくべきです。
なお、ここで紹介したリフティングは全て利き足で行うものです。
いくら両足でリフティングしても、歩いたり足踏みしたりする動作と同じなので、体幹や軸足は鍛えられません。
参考記事:利き足リフティングの効果は3つ!両足練習は役立たず?
(2)スイングの素振り
次の動画を参考にして、キックフォームのスイングを素振りしてください。
この練習の目的は、キックフォームを身に付けることですが、それだけではありません。
全身をリラックスして素振りすることで、
・筋肉の伸張反射
・背骨のバネ作用
・足の重さ
・足の遠心力
この4つを身に付くことから、飛距離が格段にアップします。
この時の注意点は、次の3つです。
・筋肉に力を入れてはいけません。
力を入れてしまうと、先ほどの4つが使えなくなるからです。
・上から下に蹴るイメージを持って、ダウンスイングをしてください。
ダウンスイングを覚えることで、インパクトでの擦り下げがスムーズに出来ます。
・フィニッシュの時、蹴り足が軸足のヒザよりも上に、上がり過ぎないようにしてください。
蹴り足が上がり過ぎると、すくい上げるようなキックになり、ボールにドライブ回転がかってしまいます。
そうするとバックスピンが掛かり難くなってしまうからです。
この練習は、野球のバッターが素振りするのと同じことです。
単にボールを蹴るよりも、何倍もの効果があります。
地味な練習ですが、ぜひやってみてください。
(3)バックスピンの感覚を掴む
親指の付け根を使って、ボールを擦り下げるようにダウンスイングで蹴りましょう。
距離は5~6mから始めてください。
先ほどの利き足リフティングを続けると体幹と軸足が安定します。
そうすると、これに比例して、5~6mから始めたインフロントキックの飛距離がだんだんと伸びて来ます。
だから、先ほどの利き足リフティングをしないで、このキック練習しても全く効果はないものとお考えください。
小学校低学年であれば、次のように自宅でも出来ます。
先ずは2~3mの距離から始めてください。
もちろん、利き足リフティングも並行して練習しましょう。
(4)一本歯下駄トレーニング
身体のバネ作用と筋肉の伸張反射を身に付けるためには、一本歯下駄トレーニングが最適です。
一本歯下駄トレーニングが、身体能力をアップさせる理由は5つあります。
・バランス感覚が身に付く。
・全身のバネ作用が覚醒する。
・高重心になる。
・足のアーチと足指が鍛えられる。
・二軸動作が身に付く。
このトレーニングはリラックスして行うものです。
また、リラックスすることで、筋肉の伸張反射が起こりやすくなります。
そうすると、バネ作用と筋肉の伸張反射の相互作用によって、強くて飛距離のあるインフロンキックが蹴れるようになるわけです。
ちなみに、ワップダウンやワップアップの動きは、次の動画の0:59からのシーンを参考にしてください。
※ただし、このトレーニングは、下駄を履かなくても、動作を真似るだけで、一定の効果はあります。
参考記事
一本歯下駄トレーニングの練習メニューおすすめ22選!
一本歯下駄トレーニングが身体能力アップに役立つ5つの理由!
5.インフロントキックのまとめ
これまで、インフロントキックの蹴り方として、インステップキックやインサイドキックとの違い、ボールが浮く仕組み、バックスピンのかけ方、遠くに飛ばす方法など、正しい蹴り方の全てを詳しく解説しました。
小学校低学年の子供にとっては、点でインパクトすれば良いということで、インステップやインサイドキックは比較的蹴りやすいでしょう。
ところが、小学校高学年になってインフロントキックを覚える場合、バックスピンというボールに回転をかける蹴り方を覚えなくてはなりません。
そうすると、いくら練習しても上手くならない、ボールが浮かない…、遠くに飛ばない…、ボールや足の当てる場所がよく分からない…。
そんな悩みを持つ子供がかなり多くなると思います。
やはり、子供にとっては、ボールに回転を掛けるという、サッカーのキックにとっての最初の難関に当たります。
ここは、ぜひとも解決する手助けをしたい…。
そうした想いから、今回の記事を書いたのですが、結果としてかなりボリュームが多くなってしまいました。
でも、巷に出回っているような、いい加減な情報ではありません。
本当に役に立つ内容を厳選してお伝えしています。
そうした意味では、全国のサッカー少年・少女への参考にしていただきたいと考えています。
今回の記事をお読みになった、お父さんやお母さんたちも自信を持って、子供さんたちに伝えてあげてください。
一人でも多くの子供たちが、インフロントキックを上手く蹴れるように願っています。
ともパパさん、どうもご無沙汰してます。
ここ最近、斜めに回転をかけるフリーキックを練習しています。
しかし、全く斜めに回転がかかりません。
以前のサイトで、ベッカムの蹴り方を紹介しているタイツ先生の動画を見て練習しています。
斜めに回転がかかるには何を一番意識したら良いのでしょうか?
足を重さとして利用出来るよう一本歯下駄を使ってタイツ先生のフォームの真似をしてはいるのですが、、、
あと、インパクトするのはボールのどの辺りでしょうか?
また、蹴る足はインフロントでしょうか?
斜めに回転がかかるには何を一番意識したら良いのでしょうか?
→斜め上に向かって擦り上げるのが簡単です。
横回転がかけられるのであればすぐに出来ると思います。
あと、インパクトするのはボールのどの辺りでしょうか?
→ボールの中心から5mm~1㎝下で、そこから利き足側に5mm~1㎝になります。
でも、足のサイズや形状によってかなり違って来ると思います。
また、蹴る足はインフロントでしょうか?
→そのとおりです。それが最も簡単な蹴り方です。
中村俊輔などはインサイドで蹴るようですが、難しいのでマネはしない方が良いでしょう。
返信ありがとうございます。
やはりインフロントなんですね。今までインステップやインサイドの方を重点的にやって来たので、インフロントに当てるのが結構難しいです。インフロントに当てようと思っても、違うところに当たってたりします笑
擦り上げる感覚はあまりなかったので、「ボールを蹴るというより擦るという意識」で練習してみます。
ボールの蹴るポイントはボールの中心よりなんですね。ボールのもっと下(底)の方を蹴るのかと思っていました。
カーブキックはかなり時間がかかると思います。
また、人によって蹴り方はいろいろあります。
ご自分にあった蹴り方を見付けるのも大切です。
気長にやってみるくらいの方が上手く行くと思います。
ともパパさん
こんばんわ
練習してようやく、たまにですが斜めの回転がかかったキックを蹴れるようになりました。
動画:
https://youtu.be/o67VJlEXX1w
しかし、上の動画の失敗例のような低くて強烈に斜め回転がかかったミスキックもあります。自分としては毎回同じように蹴っているつもりなのですが、ボールの軌道が違うっていうことは同じように蹴れていないって言うことですよね。。。
毎回、最高のボールを蹴れるようになるにはどうすれば良いのでしょうか?
先ず、失敗したケースからですが、これはインサイドに当たっていると思います。
こうしたケースの問題としては、キックの安定感、キック力にあります。
それと、キックモーションはメッシと同じようにバックスイングが大きくて良いと思います。
ただし、インパクトポイントはあと5mmずつ下げながら調整してみてください。
そうするとFKの壁を超えるシュートが蹴れるはずです。
なお、以下のトレーニングを毎日続けてください。
1.軸の強化
ちょんちょんリフティングは、毎日、連続で最低1500回は必要です。
「とも」はほぼ毎日テニスボールでやりますが、1回でもボールを落としたら、1からスタートします。
もちろん何度か失敗することもあるので、1日の通算では2000~5000回は最低やっていると思います。
見たところ、軸足が蹴り足の遠心力に負けていますね。
フィニッシュの時、軸足が体を支えきれていません。
次の動画の1:35からのシーンで「とも」のキックモーションが見れます。
この程度の軸の強さは絶対必要です。
https://www.youtube.com/watch?v=CMBLpZJMv5U&t=17s
2.スイングスピードが遅い。
腸腰筋のトレーニングをしてください。
メニューは3つだけで良いので、記事を参照してください。
ご自身は大人の身体なので、出来るだけ多くのセット数にしてください。
腸腰筋を足の一部のように使えると良いです。
3.身体のバネ作用と伸張反射を意識してください。
これは、インフロントキックの記事のどおりの内容で結構です。
なお、フルパワーの50~60%程度の力でインフロントキックを蹴って、だいたい50mくらいの飛距離が出ないと試合で使えるカーブは蹴れないと思います。
返信ありがとうございます。
軸の強化をしたいと思います。1500回も落とさずに続けるのがすごいですね。200回を超えると、両足が疲れて、足が動かなってボールを落としてしまいます。。。
腸腰筋のトレーニングも始めたいと思います。
軸を強化すると、キック、ドリブル、トラップとも安定感がアップします。
ちょんちょん以外にも、ふだんの何気ない空いた時間で、フラミンゴみたいに片足立ちケンケンをしても良いです。
※ちょんちょんをする時は、ハムストリングも意識してください。単に意識するだけで結構です。意識するだけで鍛えられますので…。
それと、言い忘れてしまいましたが、カーブのインパクトポイントで利き足リフティングもやってください。
インステップリフティングの要領で、単に上に蹴り上げる程度で良いです。
最初は、ボールがあっちこっち行ってしまい、10回やるのも大変ですが、軸を強化すると回数が増えるはずです。
この練習法はインパクトポイントの感覚を繊細にすることが目的です。
※このリフティングは無回転にはなりません。かなり回転します。