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身体能力開発

体のバネ作用でサッカーがレベルアップ!【最新理論で解明】

投稿日:2018年5月12日 更新日:

ゴールを決めて喜ぶネイマール

サッカーで体のバネ作用を使うと、とても信じられないほどのパワーとスピードを発揮します。
また、こうした機能は生まれ付き全てのヒトに備わっている身体の能力です。

ところが、こうした科学的な考え方は意外と知られていません。
だから、実際の育成現場では、いまだに根性論的な指導が見られるのです。

そこで、今回は、体のバネの仕組みとサッカーに活かす方法などを詳しく解説します。

1.体のバネとは

(1)体のバネの仕組み

バネの特性をサッカーに活かす場合、最も大切なことは2つあります。
一つ目は「復元力」で、二つ目は「パワーの蓄積と放出」です。
クリスチアーノ・ロナウドの高い打点のヘディング

①復元力

コイルや板バネを変形させると、元に戻ろうとする力が働きます。
これが復元力です。
背骨などにも同じような機能があるので、縮めたり曲げたりする動きに対して復元力としてのバネの働きがあります。
例えば、低くしゃがみ込んでからジャンプする動作は、体のバネの復元力を利用しているわけです。
したがって、復元力のない動作はバネではありません。

②パワーの蓄積と放出

バネを縮めたり、曲げたりすると弾性エネルギーが蓄積されます。
このエネルギーを放出することで、パワーを発揮することが出来ます。
例えば、ジャンプの動作は、しゃがみ込むという弾性エネルギーを蓄積することでパワーを生み出します。
もしも、しゃがみ込まずにジャンプしたら、エネルギーの蓄積が不十分なので中途半端なバネの力しか出せません。

(2)体のバネは骨格の動き

ヒトの体は、背骨や肋骨などの骨格が相互に連携することによってバネの作用を生み出します。
そこで、こうした骨格の動きを利用した代表的なバネの動作を考えてみましょう。

①背骨

背骨のS字カーブを板バネのように使う場合、26個の脊椎と椎間板が連携することで、背骨全板が伸び縮みの動きをします。
背骨の伸び縮みのイメージ図
この場合、脊椎はゼリー状の椎間板で連結しているのでクッションのように動きます。
また、この部分を利用することで背骨のS字カーブが効果的に働くのです。
もちろん、縮める時は弾性エネルギーが蓄積され、伸ばす時はエネルギーの放出と復元力が働きます。
そうすることで、大きなパワーを生み出します。

②肋骨

肋骨は左右に12本ずつあり、この骨を左右交互に伸び縮みさせることによって、蛇腹のようなバネの動きをします。
肋骨の伸び縮みのイメージ図
右側を縮めて左側を伸ばす場合。

肋骨の右側を縮めて左側を伸ばすイメージ図

左側を縮めて右側を伸ばす場合。
肋骨の左側を縮めて右側を伸ばすイメージ図

また、背骨のバネと同様に弾性エネルギーの蓄積と放出も働くので大きなパワーを発揮できます。

(3)体のバネは体幹に集中している

体のバネは、背骨や肋骨などの体幹部に集中しています。
背骨は26個の脊椎で一つの骨格、肋骨は左右で12本ずつの骨を一つの骨格として構成しています。
そして、これらの骨が連動することによってバネの作用を起こします。

体幹と骨格のイメージ図

こうした複数の骨によって構成される骨格は体幹にしかありません。
したがって、頭、腕、足などの骨格や関節にはバネの機能はほとんどありません。

そうすると、例えばヒザのバネを使う…というのは間違った考え方です。
自分では、バネを使っているつもりでも実際にはじん帯を酷使しているだけです。
その結果、炎症を起こすだけになります。

ただし、関節と筋肉の伸張反射を上手に使えば、パワーとスピードを発揮することは可能です。

その場合でも、筋肉に力を入れて関節を使おうとしたら、先ほどのヒザの間違った使い方と同じで酷使するだけになります。

(4)低重心の人は体のバネが使えない

これは体のバネが体幹に集中しているのと深い関係があります。

低重心の人がサッカーをする時は、足の力だけに頼ったプレーが多くなりがちです。
そうすると、上半身の体幹部に集中する体のバネが使えません。
まるで上半身を荷物として背負ってプレーするようなものです。

また、ヒトの体重比は6対4で上半身の方が重たいことから、重たい上半身が下半身の負担を大きくします。
これは、太り過ぎの人が足腰をケガしやすいのと全く同じことです。

ところが、高重心の人は体幹部の背骨や肋骨を縮めたり曲げたりすることが出来ます。
また、それに対する復元力も働くので大きなバネの作用が生み出されるのです。

一方、低重心である限り背骨や肋骨を縮めたり曲げたりすることがほとんど出来ないので、バネの作用は発揮出来ません。

巷では、サッカーのプレーは低重心で…などという間違った情報が氾濫しています。
こうした知識は人体の仕組みを全く理解していない大変誤った見方です。
こうした点には、くれぐれもご注意ください。

(5)体のバネと伸張反射は違う

体のバネは、骨格を縮めたり曲げたりする動作に対し、復元力を利用して元に戻そうとする動きです
また、動かす人体の部分はあくまでも骨格です。

これに対して、伸張反射は急激に伸びた筋肉が縮むという反射作用による動きです。

この二つはいわば正反対の動きをします。

伸張反射のイメージ図

つまり、筋肉が動くのか?骨格が動くのか?という違いがあるのです。

ただし、実際には、両者の動きは密接に関係します。

例えば、サッカーのキック、ドリブル、ジャンプなどの動作は典型例です。

そこで、次に、こうした体のバネがサッカーのどのようなプレーに応用できるのか?という点を考えてみましょう。

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2.体のバネとサッカーの動作

体のバネはサッカーのいろいろなプレーに応用できます。
そこで、ここではキック、ドリブル、ジャンプなどの動作を例示して解説します。

(1)キックの場合

バックスイングに入る前→バックスイングまでの、ほんの少し体を縮めてから伸ばすまでの動きがバネの作用です。
これは、ワップダウンからワップアップの動きです。

ワップダウンとは背骨を縮める動きのことで、ワップアップとは背骨を伸ばす動きです。
この二つの動きは、背骨のS字カーブを縮めてから伸ばすという復元力に基づくバネ作用になります。
また、弾性エネルギーの蓄積と放出も起きているので動きそのものは小さいですが、意外と大きなパワーを生み出します。

でも、こうした動きは、筋肉の伸張反射と密接な関係があります。
キックのバックスイングからフォロースルーまでの伸張反射とバネ作用の関係

なぜなら、バックスイングの時には様々な筋肉の伸張が起きます。
主な筋肉としては、上腕二頭筋、三角筋、大胸筋、腹直筋、外腹斜筋、腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋などです。

また、これらの筋肉はフォロースルーにかけて急激に収縮します。

こうした伸張反射は、筋肉に力を入れて蹴るよりもインパクトスピードが格段にアップします。

ところが、実際にはバックスイングで身体を後ろに反らせるワップアップ、フォロースルーでは身体を縮めるワップダウンにもバネの作用は活かされています。
つまり、体のバネは、筋肉の伸張反射が働く同じ姿勢の中でもダブって作用しているということです。

また、足の遠心力や重さも使います。
参考記事:サッカーの蹴り方の科学!足の遠心力と重さを使ったキックとは?

つまり、バネ作用+筋肉の伸張反射+足の遠心力と重さという機能が合わさることによって、爆発的なパワーを発揮するのです。

この時のパワーは、自分自身の筋肉が持っている本来のパワーを全て出し切ることになります。

ちなみに、先ほどの動画は、私の息子「とも」が中学1年の1学期のものですが、フルパワーの半分くらいの力で35~50mほど飛ばしています。
今では、もっと遠くに飛ばせると思いますが、「とも」のキック力の秘密はこうした点にあるのです。

(2)ドリブルの場合

ここでは、代表的な3つの例を解説します。

①突破の動き


私を抜く時の動きは、背骨を垂直に曲げて伸ばすという体のバネを使っています。
先ほどのキックのところで解説した、ワップダウンからワップアップまでの動きとほぼ同じです。
ドリブルで抜く時のワップダウンからワップアップの動き
ただし、こうした動作はキックと同様に伸張反射と組み合わせて使います。
伸張反射で使う筋肉は、上腕三頭筋、上腕二頭筋、三角筋、広背筋、大胸筋、腹直筋、外腹斜筋、腸腰筋、大腿四頭筋、大腿二頭筋、前脛骨筋などです。

ちなみに、「とも」のドリブルのように背骨を縮めて伸ばすという動きはネコ科の動物もほぼ同じです。
猫が狩りをする時に低い姿勢で身体を縮めるのは、背骨のバネを使うためです。
獲物を狙うネコ

②左右の体重移動


左右に動く時は、肋骨を蛇腹のように使ってバネ作用を生み出します。
肋骨を蛇腹のように使うバネ作用のイメージ図

また、ここでの動きも先ほどの突破のドリブルと同様に伸張反射と組み合わせて使います。
特に体幹ひねりを使いますが、これは広背筋、大胸筋、腹直筋、外腹斜筋、腸腰筋をひねる動作です。
こうしたひねる動作は筋肉の伸張反射の動きになります。

③カットイン

ここでは、ターンの直前でみぞおち抜きと反射の動きを使います。
そもそも、みぞおちは筋肉でも骨格でもなく空洞の状態です。
空洞の部分を変形させることによってバネ作用を起こしているのです。
みぞおち抜きと反射の動き
そうした意味では、背骨や肋骨などの骨格以外で起きる、少し変わった体のバネです。

ただし、実際には、ターンの直前にワップダウンで背骨を縮め、その直後にワップアップで背骨を伸ばすという別のバネ作用も混ざっています。

また、筋肉の伸張反射についてはターン直後に体幹ひねりを使うので、広背筋、大胸筋、腹直筋、外腹斜筋、腸腰筋などが利用されます。

なお、左右の体重移動やカットインの時の体幹ひねりを覚えるためには、次の体操が効果的です。

(3)ジャンプ

ジャンプの跳躍力を伸ばすためには、しゃがみ込んでから飛び跳ねるという動きが最適です。
こうした動きは、たぶん誰でも同じようになると思います。


先ほどから何度も解説しているとおり、背骨を縮めて伸ばすというバネの動きです。

特に大切なのが、背骨を縮める時に脱力することです。
ジャンプする時の背骨の伸び縮み

そうすると、重力落下運動が起きるので、とても速いスピードで背骨が縮まります。
また、バネの動きで背骨が伸びるスピードも比例して速くなります。
さらに、合わせて筋肉の伸張反射と腕の重さも使えます。

そうすると、自分が想像する以上のバネの働きが起こるのです。

それでは、こうした体のバネを利用した動作は、いったいどのようにして身に付けるのか?という点について、次に解説します。

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3.バネの作用を起こす方法

ここでは、体のバネはどのようにして身に付けるのか?という点について、3つのポイントを解説します。

(1)リラックスする

これは、バネの復元作用と弾性エネルギーに関係します。
そもそも、緊張して体中に力が入っていたとしたら、復元作用と弾性エネルギーの蓄積・放出が生れません。
そうすると体のバネの働きが思い通りに発揮できないのです。
だから、常日頃の練習からリラックスすることが必要ですし、習慣化することも大切です。
「リラックスしよう!」と言う子供

(2)下半身に頼った動きをしない

足だけを使ってサッカーをすると低重心になりやすいです。
この場合、低重心の人は背骨や肋骨などの体幹部の骨格が使えません。
また、体幹部の骨格が使えないとバネの力が発揮出来ません。

そうすると、下半身の筋肉に頼った動きになりやすくプレーのパフォーマンスも低くなります。

だから、足だけを使うのではなく、上半身を使ったプレーを心がけることが大切です。

(3)一本歯下駄トレーニング

これは、バネ作用を身に付ける上で最も最適な練習方法です。
そもそも、一本歯下駄トレーニングの効果は、リラックス、高重心、筋肉の伸張反射などの点で身体能力が向上します。


また、誰でも手軽で簡単に出来る練習法です。

ちなみに、タイツ先生はリラックスすることで筋肉の伸張反射が起こり、筋出力が最大化する…と説明しています。

参考記事:一本歯下駄の効果!身体能力アップに役立つ5つの理由!

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4.まとめ

体のバネは、筋肉の伸張反射と並んで、スポーツにとっては欠かせない身体機能です。
また、この作用は生まれ付き備わっているので、誰でも使いこなせます。

一方、育成年代の指導者は、こうした科学的なメカニズムをきちんと理解しなくてはいけません。
また、「ガンバレ!」とか「気合いを入れろ!」とかの根性論は不要です。
そもそも、リラックスをしないとバネ作用はもちろん、筋肉の伸張反射も起きません。

こうした点は、ぜひ多くの方に参考にしていただきたいと願っています。

【画像引用:Youtube.com

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