弱小チームが試合で勝てるようになる方法は、指導者自身が成長して優秀になることです。
この場合、サッカーが上手い選手がいるとか、いないとかは、あまり関係ありません。
例え下手な選手が多かったとしても、正しい練習を続ければ、ある程度のレベルまでには上達するからです。
だから、子供たちには決して責任はないのです。
もしも、上手い選手がいないと勝てない…というのであれば、それは指導を放棄しているようなものです。
これはクルマの運転と同じで、運転する人(指導者)が下手なら、どんなに速い車(選手)でも速く走れないのと同じことなのです。
2003年にジェフ千葉の監督になったイビチャ・オシム(元日本代表監督)は、それまで万年降格争いだった弱小チームを立て直し、何と初年度から優勝争いが出来るような強豪チームに変えてしまいました。
つまり、どのようなチームも指導者しだいということです。
したがって指導者たちは、これまでの間違った考えを変えたり、コーチングの勉強をきちんとするだけで、選手たちは大きく成長するのです。
そこで、今回は、弱小チームの特徴やイビチャ・オシムがどのようにチームを変えたのか?などについて解説します。
※この記事は2つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。
1ページ目(このページに書いてあります)
【弱小チームとは】
(1)選手たちの技術レベルが低い
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(2)指導者の教え方が悪い
3ページ目(←クリック!)
【弱小チームとオシムの指導】
【まとめ】
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【弱小チームとは】
弱小チームの特徴は、大きく分けて二つあります。
(1)選手たちの技術レベルが低い。
(2)指導者の教え方が悪い。
そこで、先ずは弱小チームに対するいくつかの問題点を整理しましょう。
そうすることで、後ほど紹介するオシムの指導法の理解が深まります。
(1)選手たちの技術レベルが低い
弱小チームの選手たちの技術レベルの低さは、次の2つの点に課題があります。
①サッカーの基本テクニックが未熟
②戦術を理解していない
①サッカーの基本テクニックが未熟
サッカーの指導の優先順位は、トラップ、キック、ドリブルです。
ところが日本の育成年代の指導は、小学生はドリブル、中学生はパスが主体になるので、トラップは後回し…になるようです。
私は30年前にブラジルのサンパウロで、ジュニアとジュニアユースのアシスタントコーチをしていました。
当時の子供たちの上手さの基本は、トラップにあったのを覚えています。
だからトラップを後回し…という考え方は間違いなので、今すぐ改善した方が良いでしょう。
私が、特にトラップを一番目にあげる理由は、先ほどのブラジルの子供たちの例もありますが、むしろこれをきちんと練習しないとパスが繋がらないからです。
またトラップに絶対的な自信がある選手は、どのようなボールが来ても一発で自分のものに出来ます。
そうすると、パスの出し手は「必ず受けてくれる…」という安心した気持ちでプレーに臨めるのです。
この場合、トラップを手っ取り早く上達させる方法は、最初から難易度の高い浮き球の処理に慣れることです。
つまり難しいトラップをマスターしてしまえば、たいてのパスは一発で自分のものに出来るわけですね。
もちろん、ドリブルやキックも重要ですが、トラップの技術をきちんと習得してから指導しても、決して遅くはありません。
要するに、弱小チームの子供たちには、何を最初に教えるべきなのか?と言うことを考えましょう。
また、トラップの個人練習としては、次の動画のようなリフティングも効果的です。
日本の場合は、両足リフティングをしながら、似たような練習をしますが、それでは軸足が強化できません。
将来的なことを考えるのであれば、育成年代でこうした利き足の練習は絶対必要です。
次にキックですが、これは狙ったところにピンポイントで正確に蹴る技術が大切です。
特に試合中に最も多く使うインサイドキックは、小学生でも中学生でも、次の画像のようにボールの軌道を正確にイメージしてピンポイントで蹴れるようにすると良いでしょう。
また、キックの蹴り分けを覚えると、相手のプレスがあっても慌てることがなくなります。
このように、トラップとキックの基礎基本さえ徹底的に練習すれば、試合でもパスが繋がるようになります。
そうすると、つまらないミスも減るので簡単に負けるようなことはなくなるのです。
最後にドリブルですが、これはあまり過度に考える必要はありません。
なぜなら、弱小チームであっても、子供たちはチーム練習以外で一人でやるでしょうし、後から自然に覚えてしまうテクニックも多いからです。
こうした場合、必要最低限のアウトのドリブルを使って、思い通りに運べるようにするだけでも十分です。
また相手を抜く場合は、利き足側に抜くなどのシンプルな2~3種類のテクニックを確実に覚えさせることも大切です。
例えば、マーカーやコーンを使った練習をする場合でも、重心移動を覚えさせるのなら別ですが、過度にトレーニングするのは時間の無駄です。
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②戦術を理解していない
弱小チームが試合をする時、攻撃でも守備でも、ただ単に立っているだけ…という選手を見かけませんか?
これは子供たちが何をすれば良いのか分からないのです。
その場合、ボールウォッチャーになっているので、周りも見えていないはずです。
そもそも、弱小チームの指導者は戦術の基本をほとんど教えていません。
というよりも、まるで何とかの一つ覚えのように、ボールを奪ったらサイドから攻めるだけ…、攻め込まれたら前に大きく蹴る…というように、自分自身で戦術のイロハが理解出来ていないのも原因です。
これは指導者自身の問題です。
攻撃であれば、ペナルティーエリアまでボールを繋いでシュートするためには、どのようにパスを繋ぐのかということで、最低でも2~3通りの基本戦術をきちんと勉強して教えるべきです。
例えば、ショートカウンター、サイドからのクロス、縦パスでつなぐ…などですね。
また、守備であれば、相手と一対一で対応するのではなく、2人以上で囲い込んで奪う。
自分が相手チームだったら、どこから攻めて来るだろうか?というように考え、先回りしてマークに付く。
特に、弱小チームは守備に大きな問題があります。
ボールポゼッションが低く、試合中のほとんどが相手ボールになって大量失点で負けてしまうケースが多いので、練習の大半は守備に特化したトレーニングが必要です。
そもそも、サッカーはボールを奪い合うスポーツですよね。
だから、攻撃を最初に考えるのではなく、ボールは常に相手チームが支配している、だからいかにして相手からボールを奪うのか?という逆の発想が必要なのです。
また、強豪チームは攻撃力があるというよりも、守備力が安定しているから強いのであって、弱小チームの指導者はそうした点を理解していません。
実際にも、海外のプロのクラブチームは、どこのチームであっても守備戦術を徹底します。
また、攻撃力があっても守備能力が低い選手は、ほとんど試合に出してもらえません。
世界的に見ても、守備を免除されるのはメッシなどの少数の選手だけです(攻撃の貢献度が高いため)。
その一方で、マイボールやオフザボールも含めて、味方がプレーに迷わないように、選手同士のコーチング(声掛けのアドバイス)も必要です。
特に弱小チームの選手たちは、自分の思いどおりにプレー出来た経験が少ないため、「また上手く行かないのでは…」という想いから過度に緊張する選手が多いと思います。
そうすると、試合中にスピーディーな状況判断が出来ないのです。
そうした点でも、プレーに関わらない選手たちが声を出して教え合うことも必要です。
こうすることでチームの一体感が出来ますし、個々の選手の安心感にも繋がります。
特に、こうしたコーチングは練習でも徹底させましょう。
このように何も知らない子供たちが、試合経験の中できちんと戦術を身に付けることは出来ません。
基本テクニックと同様に、指導者が練習の中でていねいに教えるべきなのです。
一通りの基本戦術を教えたうえで、後は選手たちに考えさせれば良いのです。
弱小チームであっても、指導者たちは、このくらいのことはきちんと出来るはずです。
さて、以上のようなことを踏まえ、次に「指導者の教え方が悪い」という点について解説します。
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