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サッカーの基本

弱小チームがサッカーの試合で勝つためには?オシムに学ぶ!

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弱小チームがサッカーの試合で勝てるようになる唯一の方法は、指導者自身が成長して優秀になることです。

この場合、サッカーが上手い選手がいるとかいないとかは、あまり関係ありません。
下手な選手が多かったとしても、正しい練習を続ければ、ある程度のレベルまでには上達するからです。
だから、子供には責任はないのです。

また、2003年にジェフ千葉の監督になったイビチャ・オシムは、それまで万年降格争いだった弱小チームを立て直し、何と初年度から優勝争いが出来るような強豪チームに変革しています。
つまり、どのようなチームも指導者しだいということです。

やはり、育成年代の指導者たちは、これまでの間違った考えを変えたり、コーチングの勉強をきちんとするだけで、選手たちは大きく成長するということなのです。

そこで、今回は、イビチャ・オシムの指導法、私の体験談などを交え、弱小チームがサッカーの試合で勝つための方法について詳しく解説します。

1.弱小チームとは

弱小チームの特徴は、大きく分けて二つあります。
(1)選手たちの技術レベルが低い。
(2)指導者の教え方が悪い。

そこで、先ずは弱小チームに対するいくつかの問題点を整理しましょう。
そうすることで、後ほど紹介するオシムの指導法の理解が深まります。

(1)選手たちの技術レベルが低い

弱小チームの選手たちの技術レベルが低い点については、
①サッカーの基本テクニックが未熟
②戦術を理解していない
この2つの点が大きな問題です。

①サッカーの基本テクニックが未熟

サッカーの基本テクニックは、ドリブル、キック、トラップの三つですが、そのうち指導の優先順位を付けるとしたら、トラップ、キック、ドリブルの順です。
日本の育成年代のサッカーは、小学生はドリブル、中学生はパスが主体になるので、トラップは後回し…になることが多いですが、これは大きな間違いです。

私が、トラップを一番目にあげる理由は、これをきちんと練習しないとパスが繋がらないからです。
またトラップに絶対的な自信がある選手は、どのようなボールでも一発で自分のものに出来ます。
そうすると多少無理をしてでも、パスの出し手は安心して「必ず受けてくれる…」という気持ちでプレーに臨めるのです。

トラップを手っ取り早く上達させる方法は、最初から難易度の高い浮き球の処理に慣れることです。
最初に、グラウンダ―よりも難しい浮き球のトラップの技術マスターすれば、たいてのパスは一発で自分のものに出来るわけです。

もちろん、ドリブルやキックも重要ですが、トラップの技術をきちんと習得してから重点化して指導しても遅くはありません。
要するに、弱小チームの子供たちには、先ずは何を最初に教えるべきなのか?と言うことなのです。

また、トラップの個人練習としては、次の動画のようなリフティングも効果的です。

日本の場合は、両足リフティングをしながら、似たような練習をしますが、それでは軸足を強化できません。
将来的なことを考えるのであれば、育成年代でこうした利き足の練習は絶対必要です。

次にキックですが、これは狙ったところにピンポイントで正確に蹴る技術が必要です。

特に試合中に最も多く使うインサイドキックは、小学生年代であれば10~15m程度の距離はピンポイントで蹴れるようにした方が良いです。

また、蹴り分けも覚えてください。
そうすると、相手のプレスがあっても慌てることがありません。

利き足側に蹴る場合

軸足側に蹴る場合

インサイドキックの練習法は、次の記事を参考にしてください。

参考記事:インサイドキックの正しい蹴り方と練習法!

最後にドリブルですが、あまり過度に気にする必要はありません。
なぜなら、弱小チームであっても、子供たちはチーム練習以外で一人でやるでしょうし、後から自然に覚えてしまうテクニックも多いからです。
こうした場合、必要最低限のアウトのドリブルを使って、思い通りに運ぶことが出来るだけでも十分です。
また相手を抜く場合は、利き足側に抜くなどのシンプルな2~3種類のテクニックを確実に覚えさせることも大切です。
例えば、マーカーやコーンを使った練習をする場合でも、重心移動を覚えさせるのなら別ですが、過度にトレーニングするのは時間の無駄です。

なお、基本のドリブル練習は、次の2つの記事を参考にしてください。

参考記事:サッカーのドリブル練習法!小学生向け基本メニュー8選

参考記事:足裏ドリブル練習メニュー!小学校低学年向け10選

②戦術を理解していない

弱小チームが試合をする時、攻撃でも守備でも、ただ単に立っているだけ…という選手を見かけませんか?
これは子供たちが何をして良いのか分からない…ということです。

そもそも、弱小チームの指導者は戦術の基本をほとんど教えていません。

というよりも、まるで何とかの一つ覚えのように、
・ボールを奪ったらサイドから攻めるだけ…。
・攻め込まれたら前に大きく蹴る…。
というように、自分自身で戦術のイロハが理解出来ていないことも原因です。

こうしたことは指導者の責任です。

攻撃であれば、ペナルティーエリアまでボールを繋いでシュートするためには、どのようなパスを繋ぐのかという、2~3通りの基本戦術を教えるべきです。
例えば、ショートカウンター、サイドからのクロス、縦パスでつなぐ…などです。

また、守備であれば、相手と一対一で対応するのではなく、2人以上で囲い込んで奪う。
自分が相手チームだったら、どこから攻めて来るだろうか?というように考え、先回りしてマークに付く。

特に、弱小チームは守備に大きな問題があります。
ボールポゼッションが低く、ほとんどが相手ボールになって、大量失点で大敗というケースも多いでしょう。
そこで、戦術練習の大半は守備に特化したトレーニングが必要です。

そもそも、サッカーはボールを奪い合うスポーツです。
攻撃のことを最初に考えるのではなく、いかにして相手からボールを取るのか?という逆の発想が必要なのです。
強豪チームが強いのは守備力が安定しているからです。
弱小チームの指導者はそうした点を理解していません。

実際にも、海外のプロのクラブチームは守備戦術を徹底します。
また、攻撃力があっても守備能力が低い選手は、あまり試合に出してもらえません。
世界的に見ても、攻撃だけで守備を免除されるのはメッシなどの少数の選手だけです。

一方、マイボールやオフザボールも含めて、味方がプレーに迷わないように、選手同士でコーチング(声掛けのアドバイス)することも必要です。
弱小チームの選手は、自分の思いどおりにプレー出来た経験が少ないため、「また上手く行かないのでは…」という想いから過度に緊張する選手が多いと思います。
そうすると、試合中にスピーディーな状況判断が出来ません。

そうした点でも、プレーに関わらない選手たちが声を出して教え合うことも必要です。
こうすることで、チームとしての一体感が出来ますし、個々の選手の安心感にも繋がります。
特に、こうしたコーチングは練習でも徹底させましょう。

何も知らない子供たちが、試合経験の中できちんと戦術を身に付けることは出来ません。
基本テクニックと同様に、指導者が練習の中でていねいに教えるべきなのです。
一通りの基本戦術を教えたうえで、後は選手たちに考えさせれば良いのです。

弱小チームであっても、このくらいは出来るはずです。

さて、以上のようなことを踏まえ、次に「指導者の教え方が悪い」という点について解説します。

(2)指導者の教え方が悪い

弱小チームに多い、教え方の悪い指導者は大きく分けて3つのパターンがあります。

①一から十まで口うるさいタイプ
②子どもの自主性を尊重してるつもりの放任タイプ
③サッカーを知ってるつもりでも何も分かっていないタイプ。

①一から十まで口うるさいタイプ

このタイプは、練習はもちろん試合の時も本領を発揮します。
試合中にひたすら大声を出す監督やコーチは多いと思いませんか?

「どうしてシュートを外すんだ!」
「なんでそこにパスを出すんだ!」
「なんできちんとトラップ出来ないんだ!」
「なんでボールを取られるんだ!」

こういう様子を見て、あなたはどう思いますか?

私だったら、「あなたの教え方が悪いからミスするのでは?」と言い返したくなります。
別の言い方をすれば、「自分の教え方は日本一下手だ!」と観衆の前で宣言してるようなものです。

こうしたタイプの指導者の下では、子供たちは自主性をなくすので単なる操り人形になってしまいます。
そうすると、自分で考えてプレーするということも身に付きません。

外国人が日本代表の監督をする時、口を揃えて「日本人は真面目で勤勉で大人しい…。」と言います。
これは褒め言葉ではなく、幼少期から飼いならされて大人になったことを皮肉っているのです。

最近は、褒めて育成するという指導者も多くなりましたが、口うるさいタイプはまだ根強く生き続けているようです。

②子どもの自主性を尊重してるつもりの放任タイプ

このタイプは意外と複雑です。

日本サッカー協会は選手の自主性や主体性を重視する…ということを忠実に守るために、選手たちにいろいろと考えさせる…。
だから、何事も子供たちに任せる…。

一見すると、この姿勢はとても良い事のように思えますが、肝心なことが抜けています。
それは、サッカーで大切なことをほとんど教えず、選手の自主性とか主体性を尊重しているだけだからです。

先ほども解説しましたが、サッカーの戦術を例にすると、何も知らない子供たちが、試合経験の中で自然と身に付くということはありません。
基本テクニックと同様に指導者が練習の中で、きちんと教えるべきなのです。
一通りの基本戦術を教えたうえで、後は選手たちに任せれば良いのです。

弱小チームが勝てないのは、サッカーのことを知らない子供が多いのも原因の一つです。
つまり、必要なことは全て教える責任があるのです。

ところで、強豪チームでは基本テクニックや戦術理解を徹底して教えます。
そうすると状況判断が的確になって、多彩なプレーが出来るようになります。
だから試合でも勝てるのです。

ところが、弱小チームは、基本テクニックや戦術理解が練習の時点で疎かにされています。
特にオフザボールなどの戦術理解は、多彩なパターンを覚えさせない限り、選手の頭の中にある引き出しの中身は増えません。
そうすると、試合中の局面に応じた的確な状況判断が出来ないのです。

例えば、パスをどうつないで、ペナルティーエリアまで行って、シュートを打つのか?という攻撃の道筋を描くことが出来ません。
一方、守備では「相手のパスコースは、次はあそこだ!」「だから、あそこをマーク…」「あそこでボールを奪おう」などという判断が出来ません。
こうした戦術理解は、パターン化された知識をいかに多く持つかによって、試合を有利に進めることが出来るのです。

学校の勉強でも、多くのことを理解して知識として身に付けないと先に進まないことと同じです。
だから、本来、かなり細かいことまできちんと指導して教えてあげるべきなのです。

それにも関わらず、肝心なことを何も教えずに、選手の自主性とか主体性とかを尊重する…という考え方というのは、ハッキリ言って何も教えていないことと同じなのです。

③サッカーを知ってるつもりでも何も分かっていないタイプ

これは、弱小チームに多い典型例だと思います。
このレベルの指導者はハッキリ言って、子供たちには迷惑です。
特に、お父さんコーチに多いタイプですね。
下手に口出しするくらいなら、本当に大人しくしてもらいたいです。
少年団などの指導者不足という問題もあると思いますが、もっと勉強してもらいたいものです。

たしかにも真面目に勉強する人も多いでしょうが、そうした方は少数派です。

大切な子供を預かってサッカーを教えているのだから、責任を持って指導してほしいですね。

ちなみに、私のブラジルでの経験を活かして、息子の「とも」が所属していたサッカー少年団に臨時コーチを申し出たことがありました。
でも、いつの間にか、うやむやになってしまいました。

理由はよく分かりませんが、後から他の父兄に聞いたところ、どうやら自分たちの能力不足を露呈されたくなかったらしいようです。
要するに、私がコーチをして弱小チームが強くなってしまったら…、かえって困る…という意味で、保身を図ったのかも知れません。

さて、次は、イビチャ・オシムがどのようにして、弱小チームのジェフ千葉を立て直したのか?ということについて解説します。

2.弱小チームとオシムの指導

オシムが当時弱小チームであったジェフ千葉の指導にあたって、大切にしたことは「考えて走る」ということです。
これは、練習方法にその特徴が良く出ていて、特に大切にしたのは実際の試合を意識したことです。

サッカーの試合ではオフザボールの動きが必要なので、選手が止まっていることはほとんどありません。
また、プレーに関わる時は、スペースに飛び出すことや、オーバーラップなどの動きも多くなります。

そうすると自分がプレーに関わっていない時から、次の展開を先読みしながら走る必要があります。
しかも、単に走るだけはなくスピードも要求されます。

つまり、戦術のスピード性を重視したわけです。

こうした場合、考えて判断するという状況判断も速くしないと、次の試合展開に間に合いません。
その結果、多くの選手が体の疲れよりも頭の疲労を訴えたそうです。

特に、3対3や4対4の練習では単なるパス回しではなく、試合の局面に応じたトレーニングを多用しています。
これはどういうことかと言うと、90分間の試合の中で起こり得る状況を個別に切り取って、どのようにプレーをするのが正しいのか?という状況判断を繰り返し指導したのです。

また、サッカーには正解がないので、本来は何通りものプレーがあります。
例えば、サイド攻撃をした場合に簡単にクロスを蹴るだけでは、相手DFも想定内なので守備が容易になります。
ところが、いったんバックパスをしてから、もう一度突破するなど…、相手を混乱させるようなプレーも求められます。
つまり、個々の局面に応じてたくさんの戦術を学ばせたわけです。

一方、チーム練習は試合と同じ90分で終わらせ、居残りや早出特訓は一切認めません。
例えば、当時若手のFWであった巻 誠一郎選手は「自分はシュートが下手なので居残り特訓をしたい…」と申し出たところ、オシムから「私の練習メニューには全てが詰まっているので必要ない…」と言われたそうです。
オシムとしては、いくらシュート練習をしても試合の局面を細かく具体的に想定した中で、集中してトレーニングしないと意味がないと考えたのでしょう。

さらに、考えて走る…とは言っても、走り込みなどの辛い練習は一切しません。
むしろ、オシムは、90分の練習メニューの中で自然と走ることを求めるため、いつの間にか体力強化になってしまう…という狙いもあったようです。

要するに、オシムが弱小チームだったジェフの選手に指導したのは、個々の選手の経験値を高めたということです。
しかも、練習の時点から実際の試合展開に応じたプレーを考えさせて、さらに走らせることにより、速い攻撃を可能にしたわけです。

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ここで改めて考えると、弱小チームがサッカーで勝つためのヒントが隠されています。

先ほど「何も知らない子供たちが、試合経験の中で戦術をきちんと身に付けることは出来ません。基本テクニックと同様に、指導者が練習の中でていねいに教えるべきことなのです。一通りの基本戦術を教えたうえで、後は選手たちに考えさせれば良いのです。」と解説しました。

このように、練習で指導して、さらに試合でプレーさせるということは、子供でもプロでも同じようにトレーニングしています。

そうした中で、試合中に起こり得る状況を個別に切り取って、「〇〇の状況ではどうしたら良いのか?」「△△ではどのように動くのか?」というように、練習の時点から経験値を高めるべきなのです。

ちなみに「状況判断が良い」と言われる選手がいますが、これは「パターン化した戦術の知識」を豊富に身に付けているだけなのです。
つまり、頭の中にある引き出しにたくさんの知識が詰まっているわけです。
そして、試合中ではこの戦術知識を瞬時に引き出すことが出来るということなのです。
だから、その選手にとっては、周りが大騒ぎして「あのプレーはスゴイ!」と感じても、「えっ?どうってことないでしょ?」というだけなのです。

このように考えれば、弱小チームのテクニックの練習でも、先ずは試合で必要とされるシンプルなスキル…、つまり基礎基本を徹底的に指導することも必要です。
なぜなら、試合中に起こり得るプレーはシンプルなテクニックを使うことが多いからです。

先ほどの、巻 誠一郎選手の話しを思い出してください。
いくらシュート練習をしても試合の局面を細かく具体的に想定した中で、集中してトレーニングしないと意味がありません。
ゴールに向かってシュートするだけでは練習のための練習であって、本当に試合に役立つトレーニングではないのです。
試合を想定するのであれば、3~4人のDFを立たせてどのようにシュートすれば良いのか?ということも考えさせながら、練習することが大切なのです。

こうしたオシムの指導を参考にすれば、
・戦術は、試合中に起こり得る状況を個別に切り取って、練習の時点から経験値を高める。
・テクニックの練習は、試合で必要とされるシンプルなスキルを徹底的に指導する。
この2つが大切です。

つまり、試合に本当に役立つ練習を短時間で集中してトレーニングするということです。

そうすることで、弱小チームが強くなるのです。

さて、それでは次に私の体験談として、ある試合の前に、弱小チームの子供たちに魔法のようなアドバイスをしたことがあるのですが、そうした様子をご紹介します。

3.弱小チームと私の体験談

私の息子「とも」は小学6年生の4~9月まで、地元のサッカー少年団に所属していました。
そのチームは弱小チームでしたが、「とも」が入団してから1試合で4点も5点も取るので強豪チームにも勝てるようになりました。

そうした中、退団する9月末に地元の市長杯が開催されました。
この試合は、3チームでグループリーグを組んで、試合結果で順位決定トーナメントに回るシステムでした。
グループリーグの一試合目はチベッタFC、二試合目は岡部本郷サッカークラブでした。

この試合のゲーム監督は、いつもの「一から十まで口うるさいタイプ」の人ではなく、「子どもの自主性を尊重してるつもりの放任タイプ」の人が担当しました。

一試合目のチベッタFC戦は1対5の完敗でした。
理由はハッキリしています。

これまでの全ての試合で「一から十まで口うるさいタイプ」がゲームを監督をしていたため、選手たちは操り人形のようになっていたのです。

「右に蹴れ!」「左に行け!」「シュート!」など、次から次へと指示を出していたので選手たちは何の考えもなしに操られていたわけです。

でも、唯一操られていなかった選手が「とも」なのです(笑)。

ところが、今回の市長杯では、「子どもの自主性を尊重してるつもりの放任タイプ」の人がゲーム監督をしたので、戦術はなし…、指示はなし…、君たちの考えで…、ということだったようです。
もちろん、試合前には「パスを回して行こう…」とか「プレスをかけて行こう…」程度の誰でも言えそうな大ざっぱな指示はしたようです。

でも、これでは負けるのが当たり前です。
なぜなら、何もできない赤ん坊が、「今日から一人で生きて行け!」と言われているようなものです。

昼食の時の選手たちの表情は暗かったです。

どうすれば良いのか全く分からない…という声も聞かれました。

でも、父兄たちは、ただ一言「ガンバレ!弱音を吐くな!」。

子どもたちにしてみたら、何をどうしたら頑張れるのかが分からないわけです。

ゲーム監督も、相変わらず、「パスを回して行こう…」とか「プレスをかけて行こう…」程度の大ざっぱな指示です。

こんなことは応援に来たお母さんたちであっても言えることです。

そこで、私は、昼食中、選手たちを集めていろいろ話をしました。

私「みんな悔しくない?」
子どもたち「すごく悔しい?」

私「次も試合があるけど、どうしたら勝てるのか分かる?」
子どもたち「…」

私「それじゃあ、きっと負けちゃうね」
子どもたち「…」

私「試合というのはね。練習でやっていること以上のプレーは出来ないんだよ。それは分かるよね。」
子どもたち「うん。分かるよ。」

私「さっきの試合で負けたけど、相手がボールを持った時に、何人でプレスに行ってた?」
子どもたち「1人かな?」

私「それじゃあ。ボールを確実に奪うためには何人でプレスをかけたら良いと思う?」
子どもたち「2人以上で…」

私「そういうのは、数的優位って言うよね?」
子どもたち「うん。分かるよ。」

私「じゃあ。攻撃の時に確実にパスをつなげるとしたらどうすれば良いのかな?」
子どもたち「あっ!数的優位を作れば良いんだ!」

私「そうだよね。でも、君たちはすぐにボールが奪われるよね。」
子どもたち「うん。たしかに…」

私「FCバルセロナの選手たちは、パスをどうやって出してるかな?」
子どもたち「すごく早い」

私「そうだね。ワンタッチとかツータッチだよね。君たちにも出来ないかな?」
子どもたち「練習だったら、出来たけど…」

私「ちょっと待って?さっき、私は、試合というのは練習でやっていること以上のプレーは出来ないと言ったよね」
子どもたち「うん…」

私「じゃあ、練習で出来てるってことは、試合でも出来るんじゃないかな?」
子どもたち「たしかに…」

私「ここで、みんなの約束事を作ったらどうだろう?どうせ、今日のゲーム監督の〇〇さんは戦術も指示もないんだから…」
子どもたち「そうだね。そうする!」

私「守備でプレスをかける時や攻撃でパスをつなぐ時はどうする?」
子どもたち「必ず二人以上で!」

私「じゃあ、君たちがすぐにボールが奪われないためには?」
子どもたち「ワンタッチとかツータッチで…、3秒以内にパスを出す!」

私「それともう一つ。君たちは味方のパスを受ける時に、ヘイ!って呼んでるよね?」
子どもたち「うん…」

私「このチームに「ヘイ」って名前の人はいるの?」
子どもたち「いないよ。」

私「だったら、名前で呼んであげるとか、プレーに関わっていない人がコーチングしてあげたらどうだろう?」
子どもたち「うん!そうする。」

私「約束事が3つできたよね。」
子どもたち「攻撃と守備は二人以上でやる。パスはワンタッチとかツータッチで3秒以内にパスを出す。パスを受ける時は名前で呼んだりコーチングしたりする。」

私「そうだね。君たちは、大人の操り人形じゃないんだよ。来年から中学生だろ?言われたことだけを出来ていたんじゃ、ダメなんだよ。みんなで考えて試合をしようよ。」
子どもたち「分かった!ボクたち頑張るよ!」

この時、子どもたちの目の色が変わったことを、今でもよく覚えています。

子供たちを指導するというのは、こういうことではないでしょうか?

選手たちが出来るはずなのに、なぜ出来なかったのか?どうすれば出来るのか?ということを気付かせることが大切です。
また、試合中の個別の状況を切り取って、どうすれば良いのか?という戦術を考えさせることも重要です。
これが育成年代の主体性や自主性に繋がる指導なのです。

さて、岡部本郷サッカークラブとの試合ですが、結果は3対0の完勝でした。

子どもたちは、三つの約束事を守って試合をしてくれました。

この約束事は子供たちで決めたことです。
自分たちで納得して決めたことは必ず守るのです。
しかも、試合中は頭をフル回転させて考え続けたのです。

・攻撃と守備の時は二人以上で⇒プレスが早くなり、ボールを奪って、パスが繋がりました。
・パスはワンタッチとかツータッチ、3秒以内にパスを出す⇒完璧にボール支配しました。
・パスを受ける時は名前で呼んだり、コーチングする⇒全員で声を掛け合うので、迷う選手は一人もいません。

試合後の子どもたちの表情は、すごく明るかったです。
午前中のチベッタ戦で完敗して落ち込んでいたのがウソみたいでした。
みんな、口々に言ってたのが「すごく楽しかった!」「こんなに楽しく試合したのって始めてだよ!」

弱小チームだって試合で勝てるのです。

4.弱小チームのまとめ

これまで、弱小チームの特徴として、(1)選手たちの技術レベルが低い…、(2)指導者の教え方が悪い…という点を解説しました。

また、オシムが弱小チームのジェフ千葉の指導にあたっては、試合中に起こり得る状況を個別に切り取って、練習の時点から経験値を高めたことは、弱小チームがサッカーで勝つためのヒントが隠されていることも解説しました。

一方、私の体験談として、選手たちが出来るはずなのに、なぜ出来なかったのか?どうすれば出来るのか?ということを気付かせることが大切であり、また、試合中の個別の状況を切り取って、どうすれば良いのか?という戦術を考えさせることが重要だということも解説しました。

弱小チームがサッカーの試合で勝てるようになる唯一の方法は、指導者自身が成長して優秀になることです。

そうなることで、多くの弱小チームの子供たちが救われるのです。

最後に、弱小チームで頑張る子供たちに、オシムの言葉を贈ります。
「ブラジルが一番と決まっているのだったら、他の国はサッカーをやる必要はない。なぜなら、彼らが常に勝つわけではないからだ!」

-サッカーの基本

執筆者:


  1. ゆいかなパパ より:

    ともぱぱさん

    以前、書き込みさせて頂きました幼稚園児でサッカーをしてる子供を持つ父親です。今回のご投稿の中でトラップについて触れられておりましたが、リフティング以外で何か効果的な練習はございませんでしょうか?
    止める技術は海外との差を感じる部分ですし、向上できればと思いますので宜しくお願いします。

    • ともパパ より:

      コメントをありがとうございます。

      基本的には、ほぼ成長が止まるジュニアユース年代まで、利き足リフティングをたくさんしないと、トラップ、キック、ドリブルは上達しません。

      特に利き足リフティングは、単にボールを蹴るものではなく、体の開きを抑え、軸を強くし、利き足のボールコントロールを磨くものです。
      ブラジルの子供たちは幼少期から年上の子の真似をしながら、上達していました。
      トラップをする場合も、基本は体の開きを抑え、軸を強くしない限り、いくら練習しても意味がありません。

      リフティング以外で効果的な…と言うことですが、子供さんは全てのコンビネーションがいずれも1000回ずつ、いつでも出来ますか?

      もしも、そうでなければ、ここからスタートした方が加速度的な成長が見込めます。

      • ゆいかなパパ より:

        ともパパさんへ

        返信ありがとうございます。片足リフティングの取り組みを強化していきます。また、ご質問あればさせていただきます。

      • ともパパ より:

        これからも頑張ってください。
        でも、幼稚園児なのでほどほどが良いでしょうね。

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