ヘディングシュートと言えば、やはりクリスチアーノ・ロナウドですね。
特にジャンピングヘッドやダイビングヘッドは、正に圧巻のテクニックと言っても良いでしょう。
でもこうしたヘディングシュートは、彼の身体能力が高いから出来る…というわけではありません。
実は彼のヘディングシュートは日本のサッカー選手とは違ったコツが4つあり、しかも科学的に考えれば練習しだいで誰でも出来ると思います。
そこで今回は、クリスチアーノ・ロナウドのテクニックを分析しながら、ヘディングシュートの4つのコツを徹底解説します。
※この記事は5つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。
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【ヘディングシュートの4つのコツ】
(1)頭と首を固定する
(2)半身になる
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(3)当てる場所と感覚
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(4)全身のバネを使う
4ページ目(←クリック!)
【ボールコントロールのコツ】
(1)左右のコントロール
5ページ目(←クリック!)
(2)下に叩きつけるコントロール
【まとめ】
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【ヘディングシュートの4つのコツ】
日本の育成年代のヘディングシュートの指導は、たくさんの改善点があります。
例えば、額の生え際でインパクトする、首を振って叩きつける、膝のバネを使ってジャンプする…などですね。
これに対して、クリスチアーノ・ロナウドのヘディングシュートは全く違い、サッカーの基本に忠実で、科学的に考えても極めて合理的です。
そして彼のヘディングシュートを分析すると、育成年代の子供たちに、ぜひ覚えてほしい4つのコツがあります。
(1)頭と首を固定する
(2)半身になる
(3)当てる場所と感覚
(4)全身のバネを使う
そこで次からは、こうしたヘディングシュートの4つのコツを順に解説します。
(1)頭と首を固定する
日本の指導では、ヘディングシュートは首を振ってボールを叩きつける…とよく言われますが、これは間違いです。
正しいのは、首を固定してミートすることです。
そこで、次にこの点を詳しく解説します。
①頭と首を固定する意味
クリスチアーノ・ロナウドのヘディングシュートは、頭と首を固定しているので、インパクトの瞬間でもブレません。
むしろ、背中を弓なりに反らす様子から分かる通り、全身のバネを使っています(全身のバネについては後述します)。
これに対し、日本の指導では、頭と首を振ってボールを叩きつけることで、ヘディングシュートの威力をパワーアップ出来る…という迷信があります。
たぶん「ヘディングシュートは足でボールを蹴るのと同じ…、だから足の代わりに頭でボールを叩く…」という誤解があるのでしょう。
たしかに、キックは(ボレーシュートを除く)、ボールが止まっているか、わずかに動いている程度なので、足のパワーを使わないと飛びません。
これに対して、ヘディングシュートは、時速100㎞以上(プロの場合)で飛んでくるボールをインパクトします。
そうすると、こうした状況で頭と首を振って叩きつけるのは、よほど遅いボールでない限り、かえってボールスピードに負けてしまい、上手くインパクト出来ないのです。
ここで、ヘディングシュートのように飛んでくるボールをインパクトする…という仕組みを、バレーボールを例に考えてみましょう。
バレーボールの場合、相手のスパイクをブロックで跳ね返しますよね。
そうすると、この時のスパイクの力が100としたら、ブロックを使ってそのまま100の力を相手コートに跳ね返してしまうわけです。
また、ブロックで特に重要なのが指先から肩までの腕全体の角度なので、これを一定の角度で固定することにより、頑丈な壁を作ってボールを跳ね返します。
この原理をヘディングシュートに置き換えると、頭から首までの角度を一定に保つ(固定する)ということになります。
つまり、インパクトの時に頭と首を振って叩きつけるのではなく、固定するのが正解なのです。
そうすることで、向かって来るボールのスピードが100としたら、バレーボールのブロックと同じように100のままでシュート出来るわけですね。
だから、頭と首の固定が必要なのです(クリスチアーノ・ロナウドのヘディングシュートも同じ原理)。
②首を振って叩きつけるのは間違い?
日本の指導では、次の動画のようにへディングシュートは頭と首を振って叩きつける!という発想があります。
でも、あなたはこの練習を見て疑問に感じませんか?
そもそも試合中、真正面からこんなに遅いボールが飛んで来ることはほとんどありません。
そもそもヘディングシュートは、コーナーキックやクロスのように横方向から飛んで来るボールが多いはずです。
そうすると、いくら真正面からのヘディングシュートを練習しても、あまり意味がないのです。
さらに問題なのが、「ヘディングシュートは頭と首を振って叩きつけるのが常識!」と選手たちが信じ込んでしまうことです。
先ほども解説しましたが、ヘディングシュートの時に飛んで来るボールのスピードは、プロであれば時速100㎞以上になりますよね。
クリスチアーノ・ロナウドのヘディングシュートを見ても、よほど遅いボールでない限り、頭と首を振って叩きつけることはありません。
たしかに頭と首を振っているように見えるシーンもありますが、これはフォロースルーの反動でしかないのです。
こうしたシーンだけを見て、どんなボールでもヘディングシュートは頭と首を振る!と思い込むのは単なる勘違いになります。
やはりヘディングシュートは、よほど遅いボールでない限り、頭と首を固定してインパクトすることが大切です。
そうすることで、強いヘディングシュートが打てるのです。
さて次は、ヘディングシュートの4つのコツの2つ目「(2)半身になる」を解説します。
(2)半身になる
①半身とは
半身とは体を斜めにした状態で、左右のいずれか一方を前に出し、もう一方を後ろに下げた姿勢です。
特にスポーツ選手にとって、全身のパワーを左右のどちらかに集中出来るので、とても大切な姿勢とされています。
こうした半身はヘディングシュートの場合も同じで、特にインパクトの瞬間にパワーを必要とするため、プロは必ずこの姿勢になります。
クリスチアーノ・ロナウドの姿勢も、体をやや斜めにして、ゴール方向に向けて半身の姿勢を取っていますよね。
つまり、半身の姿勢を取ることで、ヘディングシュートの威力を発揮しているわけです。
③体が開くとは
半身の姿勢とは反対に、両足が揃った棒立ちに近い状態を「体が開く」と言います。
体が開くと全身のパワーを左右のいずれにも集中出来ず、しかも分散してしまうのでスポーツには適さない姿勢です。
先ほどの赤いユニフォームを来た選手たちの動画では、真正面からのヘディングシュートを練習しているので体が開いた選手が多いですよね。
そうすると、これでは強いヘディングシュートが打てないのです。
また、真正面からのヘディングシュートを練習すればするほど、体が開くクセが染み付いてしまうので気を付けましょう。
③半身のメリット
クリスチアーノ・ロナウドのような半身の姿勢の最大のメリットは、強いヘディングシュートが打つために力を一点に集中できるということです。
これに対して、体が開くと力が分散する欠点がありますが、そもそもヒトの両足は体の側面にあるので、ふつうに立っている状態で体が開いています。
特に、ヒトの日常生活ではこの姿勢の方が楽なので、どうしても無意識のうちに体が開いてしまうことから、スポーツ選手は常に半身を意識することが大切ですね。
いずれにしても、ヘディングシュートでパワーを発揮するためには、半身の姿勢が必要不可欠なので、常に意識するようにしましょう。
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