ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

ヘディングシュートの5つのコツ!クリロナのテクニックを徹底解説

 ヘディングシュートと言えば、やはりクリスチアーノ・ロナウドですね。
 打点の高いジャンピングヘッドや、飛び込むようなダイビングヘッドは正に圧巻のテクニックです。

 でもこうしたヘディングシュートは、身体能力が高いからこそ出来る…というわけでもありません。

 実は彼のヘディングシュートは、日本のサッカー選手とは違ったコツがあります。
 しかも科学的に考えた場合、誰でも出来る可能性があるのです。
 そうした意味では、彼のヘディングシュートのコツを身に付けることは意外と簡単です。

 そこで今回は、クリスチアーノ・ロナウドのテクニックを分析しながら、ヘディングシュートのコツを徹底解説します。

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1.ヘディングシュートの5つのコツ

 日本の育成年代のヘディングシュートの指導は、たくさんの間違いがあります。
 例えば額の生え際でインパクトする、向かって来るボールのスピードに関わらず首を振って叩きつける、膝のバネを使ってジャンプする…などです。

 これに対して、クリスチアーノ・ロナウドのヘディングシュートは全く違います。
 サッカーの基本に忠実で、科学的に考えても極めて合理的です。

 そして彼のヘディングシュートを分析すると、育成年代の子供たちにぜひ覚えてほしい5つのコツが見られます。
 (1)ミートする
 (2)首を振らないで固定する
 (3)半身になる
 (4)当てる場所と感覚
 (5)全身のバネを使う

 そこで次からはこうしたヘディングシュートの5つのコツを順に解説します。

(1)ミートする

 ヘディングシュートでミートする意味を簡単に言えば、飛んでくるボールに頭を当てるだけです。
 そうすることで、後はボールが勝手に飛んでくれます。
 クリスチアーノ・ロナウドのジャンピングヘッドを見ても、ミートするだけで頭はほとんど動きません。

クリスチアーノ・ロナウドのジャンピングヘッドの連続写真.1
クリスチアーノ・ロナウドのジャンピングヘッドの連続写真.2
クリスチアーノ・ロナウドのジャンピングヘッドの連続写真.3

 これに対して日本の指導では、向かって来るボールが速くても遅くても、頭と首を使って(動かして)叩きつけることで、ヘディングシュートの威力をパワーアップするという迷信があります。
 たぶん「ヘディングシュートは足でボールを蹴る動作と同じ…、だから足の代わりに頭をボールに当てる…」という誤解に基づく考え方なのでしょう。
 実はキックの場合、ボレーシュートを除けばボールは止まっているかわずかに動いている程度です。
 そうすると、足のパワーを使わない限りボールは飛びません。

 ところがヘディングシュートの場合、コーナーキックやサイドからのクロスのスピードはプロのレベルであれば時速100㎞以上になります。
 こうした状況で頭と首を動かして叩きつけようとすると、かえってボールスピードに負けてしまいます。
 なぜなら首を動かそうとすると、かえって頭と首がクッションのようになって、ミートした時と比べると威力が落ちてしまうからです(もちろん遅いボールなら頭と首を動かすシュートも可能)。

 そもそもヘディングシュートでミートするのは、バレーボールのブロックと同じように飛んでくるボールの勢いを利用して跳ね返すのが正解なのです。

バレーボールのブロック

 またバレーボールのブロックを科学的に考えた場合、特に重要なのが指先から肩までの腕全体の角度です。
 つまり腕と肩を一定の角度で固定することにより、頑丈な壁を作ってボールを跳ね返すことが出来るのです。

バレーボールのブロックの物理的理論イメージ

 この原理をヘディングシュートに置き換えると、頭頂部から首までの頭全体の角度を一定に保つ(固定する)ということになります。
 そうすることで、向かって来るボールのスピードをほとんど落とさずにシュートすることが出来るのです。
 もちろん、クリスチアーノ・ロナウドのヘディングシュートも同じ原理ですね。
 したがって、ヘディングシュートはミートするだけで十分な威力を発揮するのです。

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(2)首を振らないで固定する

 日本のヘディングシュートの指導は、頭と首を振って飛んでくるボールを叩きつける!という発想があります。
 例えば次の動画のような練習は、大人に限らず少年サッカーの指導現場でもよく見られます。
 このチームの全員が、頭と首を振って叩きつけていますよね。
 でも、あなたはこの練習を見て疑問に感じませんか?

 そもそも試合中のヘディングシュートで、真正面からこんなに遅いボールが飛んで来ることはほとんどありません。
 ゴールキーパーがシュートを弾いたり、クロスバーに当たって跳ね返ってこない限り、あり得ないことでしょう。
 しかもヘディングシュートは、コーナーキックやクロスのように横方向から飛んで来るボールをインパクトするのが多いはずです。
 そうすると、いくら真正面からのヘディングシュートを練習しても、あまり意味がないのです。

 さらに問題なのが、「ヘディングシュートは頭と首を振って叩きつけるのが常識!」と選手たちが勘違いすることです。

 先ほども解説しましたが、ヘディングシュートの時に、向かって来るボールのスピードはプロであれば時速100㎞以上になります。
 クリスチアーノ・ロナウドのヘディングシュートを見ても、よほど遅いボールでない限り頭と首を振って叩きつけることはありません。

 次の画像のように、頭と首を振っているように見えるシーンもありますが、実はフォロースルーでしかないのです。
 こうしたシーンだけを見ると、どんなボールに対してもヘディングシュートは頭と首を振る!と勘違いを起こしやすいですね。

頭と首を振っているように見えるシーン

 やはりヘディングシュートは、よほど遅いボールでない限り、首を固定してインパクトすることが大切です。
 そうすることで、バレーボールのブロックのような反発力を使えるのです。

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(3)半身になる

 ヘディングシュートで半身になるというのは、次の画像に見られるクリスチアーノ・ロナウドのような姿勢を維持することです。

 次の画像のシーンは、左サイドからのクロスへの対応ですが、ゴールに向かって右腕を向けていることからも半身の様子が分かります(画像の左端がゴール方向)。

半身のシュートの連続写真.1
半身のシュートの連続写真.2
半身のシュートの連続写真.3
半身のシュートの連続写真.4
半身のシュートの連続写真.5

 この反対に半身でない場合は、体が開いていることを意味します。

 次の画像は先ほどご覧になった動画の一シーンですが、真正面からのヘディングシュートを練習しているせいか体が開いています。
 体の開きは棒立ちの状態と同じなので、スポーツにとっては不向きな姿勢です。
 真正面からのヘディングシュートを練習すればするほど、体の開きを助長する結果になるので気を付けましょう。

真正面からのヘディングシュートの練習

 クリスチアーノ・ロナウドのような半身の姿勢を取る時の最大のメリットは、力を一点に集中できる点です。
 そうすることで、強いヘディングシュートが打てるわけです。

半身の姿勢と体が開いた姿勢の比較

 これに対して体が開く(棒立ちの状態)というのは、力が分散するという欠点があります。
 これはスポーツにとって、不向きな姿勢なのです。

 そもそもヒトの両足は体の側面にあるため、ふつうに立っている状態で体が開いています。

人が立った状態の両足と体の開き

 やはりヘディングシュートで半身の姿勢を意識することは、とても大切なことなのです。

 ※体の開きを詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
 体が開くとは?サッカー指導者が気付かない両足練習の弊害

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(4)当てる場所と感覚

①ボールを当てる場所

 日本では、ヘディングシュートの時はボールを生え際に当てる…と教えることがあります。
 でも生え際に当てると、ボールが上に行くのでシュートには使えません。
 どちらかと言えば、大きくはね返すためのクリアーに使います。

生え際にボールを当てている画像

 それでは、なぜヘディングシュートで生え際に当てる…という考え方があると思いますか?
 それはサッカーを知らない指導者たちが、ヘディングシュートとふつうのヘディングを区別しないで、単に頭でボールを跳ね返すだけの同じプレーと考えているからでしょう。

 実は、ヘディングシュートとヘディングは、頭にボールを当てるという点は同じでも、その役割は全く違います。

 ヘディングシュートは得点するためのプレーであって、ヘディングはパス(クリアーも含む)やトラップするためのプレーという違いがあるのです。
 つまり、ヘディングシュートとヘディングは見た目は同じでも、プレーとしては全く違うわけですね。

 この場合、ヘディングシュートはキックと同様に、ボールを強く前に飛ばす必要があります。
 そうすると当てる場所はボールを前に飛ばしやすい部分…、つまり額のうち眉毛の上~生え際の下、こめかみなどになります。

眉毛の上~生え際の下、こめかみ

 眉毛の上~生え際の下・こめかみなどが当てる場所として最適な理由は、頭を真上から見るとよく分かります。

 ヒトの頭を真上から見ると、顔~後頭部にかけて長方形になっています。
 長方形で強度が高いのは、角やその近辺です。
 そうすると眉毛の上~生え際の下とこめかみは角の近辺にあるので、この場所にボールを当てるとインパクトが強くなるわけです。
 一方、額の中心部分は長方形の辺に当たる部分なので、先ほどの眉毛の上~生え際の下とこめかみなどと比べるとやや強度が落ちます。

頭を真上から見た説明画像

 ところが、額の中心部分であっても生え際の部分は角なので強度は高くなります。
 そうすると、生え際にボールを当てると大きく跳ね返すことが出来るのです。

頭を真横から見た説明画像

 ただし、大きく跳ね返すことは出来ても、弧を描くような弾道になるのでヘディングシュートには向きません。

②ボールに当てる感覚を身に付ける

 ヘディングシュートをする時、インパクトの瞬間に「最後までボールを見ろ!」とか「目を離すな!」などと指導されることが多いと思います。
 この場合、最も良いのがインパクトの時に目をつぶらないことでしょう。

 でも、私の息子の「とも」はヘディングシュートの時に目を閉じています。

目を閉じたヘディングシュート

 こうした目をつぶるという動作は、ヒトの反射神経の作用によるものであって無意識に起こるものです。
 そうすると、プロボクサーでもない限り、簡単には反射神経を克服できないのです。

 それでは、ヘディングシュートの練習で「最後までボールを見ろ!」とか「目を離すな!」という指導を、どのように理解すれば良いと思いますか?

 私が思うに、見えても見えなくても目をつぶってもつぶらなくても、どうでも良いことだと考えています。

 むしろ目をつぶることによって見えなくなる部分はイメージ化して補う…という、つまり感覚を研ぎ澄ますことの方が大切です。

 その理由は、リフティングやキックなどを例にすればよく分かります。

 リフティングをするときは足の甲をボールの真下に当てますが、本当に足の甲が当たっているのか?どうか?は目で見ることは出来ません。
 実は見えない部分は、足の感覚で判断しているのです。

リフティングの画像

 キックの場合でも足がボールのどの辺に当たっているのか?などというのは、実際に見ることが出来ません。
 これも足の感覚に頼っているのです。

キックのインパクトの瞬間

 こうしたことは、サッカー以外のスポーツでもよくあることです。
 例えば野球でボールがバットに当たる瞬間、バレーボールでスパイクする瞬間、テニスでスマッシュを打つ瞬間などです。
 こうした状況では、ヒトの大脳は見えない部分をイメージ化することが出来ます。
 そうすると見えない部分をイメージ化する…、つまり感覚に頼ったプレーをすることになるのです。
 例えば野球のバッティングで、バットの芯でボールを叩いた…などの感覚です。

実は、クリスチアーノ・ロナウドであっても、ヘディングシュートの時は目をつぶっています。
 やはり、ボールに当てる感覚を極限までイメージ化しているのでしょう。
 もっと言えば、たくさんヘディングシュートを練習して、ボールを見なくても正確なインパクトが出来るという繊細な感覚を身に付けたのだと思います。
 だから、決して身体能力が高いとか天性の才能があるから…というわけではないのです。

クリスチアーノ・ロナウドの目をつぶったディングシュート

 要するにヘディングシュートの時は、「最後までボールを見ろ!」とか「目を離すな!」ということにこだわる必要はありません。
 インパクトの時は、目をつぶっても良いのです。
 むしろ大切なのは、クリスチアーノ・ロナウドのようにヘディングシュートの練習を重ねて、繊細な感覚を身に付けることなのです。

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(5)全身のバネを使う

①全身のバネ作用とは

 ヘディングシュートで「全身を使う!」ことの大切さは、どのような指導者でも教えるはずです。
 でも、全身を使うことの本当の意味を理解している指導者は、ほとんどいません。

 正しくは全身を使うというよりも、全身の「バネ」を使うということです。

 ヒトの体には、大きく分けて二つのバネがあります。
 一つ目は鳩尾(みぞおち)を中心とした上半身のバネです(特に背骨の部分)。
 二つ目は股関節を中心とした全身のバネです(背骨と足腰の部分)。
 この二つのバネは、鳩尾と股関節の脱力によってパワーを発揮します。

二つのバネ作用の説明

 この二つのバネはそれぞれS字カーブになっていて、鳩尾(みぞおち)と股関節が中心になって上下に伸び縮みすることが出来ます。

二つのバネの伸び縮みの説明

 この場合、ほとんどの日本人選手は、足だけを使ってサッカーをする傾向があります。
 そうするとヒトの体重比は6対4で上半身の方が重たいので、重たい上半身が下半身への負担を大きくします。
 ヘディングシュートの場合では、一生懸命ヒザを使って重たい上半身を持ち上げることになります。
 まるで、上半身の重りを背負ってプレーするようなものです。

 ところが海外のトップ選手たちは、こうした全身のバネ作用をヘディングシュートだけではなくドリブルやキックにも応用しています。
 そうすることで、爆発的なパワーとスピードを発揮できるのです。

 実はクリスチアーノ・ロナウドも、こうした全身のバネ作用を活かしていることから、打点の高いヘディングシュートが可能になるのです。
 こうした全身のバネは、ヒトに本来備わっている能力です。
 だから彼の身体能力がずば抜けて高いから…といわけではなく、全身のバネ作用を正しく使えば、誰でもクリロナのようなヘディングシュートが出来るのです。

 ※全身のバネ作用詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
 体のバネ作用でサッカーがレベルアップ!【最新理論で解明】

 さて次に、クリスチアーノ・ロナウドが全身のバネ作用をどのように使っているのか?という点について詳しく解説します。

 大切な内容なので、ぜひお読みください!

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