ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

重心移動でサッカーが100倍上手くなる!【中学生でも分かる】

重心移動を使うとサッカーの一つ一つのプレーが劇的に改善します。

そうした点で最近は重心移動に関するいろいろな書籍やDVD教材が発売されています。
ところがほとんどの場合、どれも重心の基本理論が説明されていません。
また間違ったテクニックを解説するケースも多いです。

そこで今回は重心移動とサッカーの関係について、重心の基本理論、重心移動と体重移動の違い、サッカーのプレーにおける具体例などについて中学生でも分かるように詳しく解説します。

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1.重心の基本を理解する

重心移動とサッカーの関係においては重力と地面反力、身体重心、支持基底面の基本理論を理解することが大切です。
そこで先ずはこの基本理論について順に解説します。

(1)重力と地面反力

ヒトが地球上で生活する時はいつも重力の影響を受けます。
その理由は地球には万有引力があり重さのある物同士が引き合うからです。
そうした場合、小さい物(ヒト)は大きな物(地球)に引かれるのでヒトは地球で生活できるのです。
もしも万有引力が存在しなかったら、ヒトは宇宙空間に放り出されてしまうでしょう。

重力と万有引力の説明画像

またジャンプすると一瞬だけ空中に浮きますが、これは一時的に重力から解放された状態です。
もちろん、次の瞬間には再び地面に落ちて来ます。
これも重力の影響によって起こる現象で「重力落下」と言います。
こうした体を空中に浮かせる動作や重力落下は、サッカーのいろいろなプレーに応用できます(詳しいことは後ほど解説します)。

ジャンプと重力落下の説明画像

いずれにしてもヒトが地球上で生活する限り、重力=万有引力の影響を受けた下向きの力(地面に向かう力)が働いていると考えてください。

こうした下向きの重力に対して、逆向きの力(上向き)も働いています。
これを地面反力(床反力)と言います。
つまりヒトは重力と地面反力が釣り合うことによって、立って生活することが出来るのです。

重力と地面反力が釣り合いの説明画像

この場合、高い場所から落下する時は重力が大きくなります。
その際、先ほどのような重力落下を利用する…と意識するだけで、サッカーのパフォーマンスが上がります。
その反対にジャンプする時は地面反力が大きくなります。
先ほどの重力落下と同じように地面反力を利用する…という考えも大切です。

つまりサッカーの個々のプレーで、今は地面反力の方が大きいのか? それとも重力落下の方が大きいのか?という理解が必要なのです。

詳しいことは後ほど解説します。

(2)身体重心

ヒトの身体重心を最も簡単に言うと、立っている時は「へそ」のあたりと考えれば良いでしょう。
男性では身長の約56%の位置で、女性では55%の辺りになります。
また重心から垂直下に引いた仮想の線を重心線と言います。
重心線は後ほど解説する支持基底面との関係でとても重要なのですが、この辺は少しずつ解説したいと思います。

身体重心と重心線の説明画像

ところで重心の計算を厳密にするとかなり大変です。
頭、体幹、上腕、前腕、大腿部,下腿部,足部などの、それぞれのパーツごとの重心を個別に計算し、それを合算するからです。
その場合の計算方法はかなり難しく記事としては書ききれないので、ここでの詳しい解説は省略します。

なお重心の位置は姿勢によっていろいろと変化します。

例えばジャンプの時は地面を蹴りますが、これは重力に打ち克つために地面反力を使って重心が高くなったことを意味します。

ジャンプする時の重心移動と地面反力の説明画像

また体を右側に移動したい時は、重心を右に寄せます。
左側に移動する時は、この反対になるわけです。

重心を左右に移動する時の説明画像

このように重心を前後左右と上下に移動させることで、ヒトはいろいろな体の動きをコントロールしているのです。

ちなみにこの記事では重心のことを身体重心と表現することもありますが、どちらも同じと考えてください。

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(3)支持基底面

支持基底面とは、地面と接している足裏の部分を囲んだ面のことです。
重心移動にとっては、重心との位置関係を表すうえでとても大切な理論です。

両足で立っている時は左右の足の裏を囲んだ面を指し、重心がこの面の中に入っている時は立ち姿勢を維持することが出来ます。

つまり重心が指示基底面の中に入っている限り姿勢が安定しているのです。
また重心線も支持基底面の中に入っているので、倒れるようなことはありません。
※重心線は物理の分野ではこのような使い方をします。

支持基底面と重心と重心線の説明画像

でもこの指示基底面の考え方は、なかなか分かり難いと思います。
何しろ実際には見えませんからね。

そこでヒトの体をマイクスタンドに見立てて考えてみましょう。
ポールをヒトの体、ベースを足と考えた場合、ベースの面積(支持基底面)が大きければ大きいほど倒れません。
もしもベースの面積が小さかったらポールは倒れてしまいます。

マイクスタンドと支持基底面の関係の説明画像

つまり支持基底面は、立った姿勢の物体がなぜ安定するのか?というように考えると分かりやすいでしょう。

さて話しを基に戻します。

今度はヒトが片足立ちになったときを考えてみます。
そうすると、この時は片足の裏面だけが支持基底面になります。
先ほどのマイクスタンドみたいですね。
このような片足立ちでも、やはり重心が支持基底面の中に入っているので立っていることが出来ます。

片足立ちの重心と重心線と支持基底面の関係の説明画像

つまり両足でも片足でも、重心が支持基底面の中にある時はヒトの体は動かず安定しているということです。

これとは反対に立った状態で、重心が支持基底面から大きく外に出たとしましょう。
そうすると、このまま何もしなければ倒れてしまいます(少しくらいなら耐えられますが)。

重心が支持基底面から大きく外に出た時の説明画像

ところが、この時に足を一歩踏み出せば倒れずに済みます。
これは重心が支持基底面から外に出たためです。
つまり、重心を移動すると体を動かすことが出来るわけです。

重心が支持基底面から大きく外に出た時に一歩踏み出せば倒れないという説明画像

この反対に動き出した体を止めるとしたら、どうすれば良いでしょうか?

それは、
・重心を低く(下向きの力)する。
・重心を支持基底面の後方に移動(前に進む動きを抑える)する。
この2つの動作をすれば止まることが出来ます。

動き出した体を止める時の重心と支持基底面の説明画像

つまり動き出す時も止まる時も、重心を移動させれば良いだけなのです。

これが「重心移動」の基礎理論です。

実は、ふだん私たちが何気なく歩いたり走ったりする体の動きは、体が倒れるのか?どうか?という紙一重の動作なのです。

ちなみに重心移動と言えば、鬼木祐輔さんの「重心移動だけでサッカーは10倍上手になる」という書籍が有名です。
この書籍を読むと、私がこれまで解説した、重心と支持基底面の理論がハッキリしていません。
その代りに「ドーナツ」という考え方を使っています。

ドーナツ

これは自分の足がボールに届く範囲を重心移動の対象として考えているようです。
でもこうした考え方は極めて不十分ですし、誤解が含まれているように思います。

重心移動は、あくまでも重心が支持基底面を外れた瞬間から始まるものです。
一流のサッカー選手を目指すのであれば、そこまで突き詰めて考えるべきでしょう。

さて、これまで重力と地面反力、身体重心、支持基底面という重心に関する基本理論を解説しました。

さて次に、重心移動と体重移動の違いについて詳しく解説します。
ぜひお読みください!

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