ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

重心移動でサッカーが100倍上手くなる【動画と画像で解説】

重心移動を使うとサッカーのプレーが劇的に改善します。

そこで今回は重心移動とサッカーの関係について、科学的な仕組み、重心移動と体重移動の違い、試合での使い方などについて中学生でも分かるように画像と動画を使って詳しく解説します。

重心移動とサッカーの関係が全て分かるので、ぜひあなたのバイブルとしてお読みください。

この記事は重心移動の基本から応用までかなり詳しく書いてあるので、8つのページに分かれています。そこで順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。

1ページ目(このページに書いてあります)
【重心移動の基本を理解する】

2ページ目(←クリック!)
【重心移動と体重移動】

3ページ目(←クリック!)
【サッカーのプレーと重心移動】
(1)ドリブルと重心移動

4ページ目(←クリック!)
(2)止まる動作と重心移動

5ページ目(←クリック!)
(3)ドリブルの切り返しと重心移動

6ページ目(←クリック!)
(4)ジャンプ動作と重心移動
(5)キック動作と重心移動

7ページ目(←クリック!)
【重心移動と骨盤前傾】

8ページ目(←クリック!)
【重心移動の練習法】
【まとめ】

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【重心移動の基本を理解する】

重心移動とサッカーの関係においては、次の3つの基本を理解するのが大切です。

(1)重力と地面反力
(2)重心(身体重心)
(3)支持基底面

(1)重力と地面反力

ヒトが地球上で生活する時は、いつも重力の影響を受けます。

その理由は万有引力があるため、重さのある物同士が引き合うからです。

その場合、小さい物(ヒト)は大きな物(地球)に引かれるので、ヒトは地球で生活できるのです。

もしも万有引力が存在しなかったら、ヒトは宇宙空間に放り出されてしまうでしょう。

またジャンプすると一瞬だけ空中に浮きますが、これは一時的に重力から解放された状態です。

もちろん、次の瞬間には再び地面に落ちますが、これも重力の影響によって起こる現象で「重力落下」と言います。

このように体を空中に浮かせる動作や、その反対の重力落下は、サッカーのいろいろなプレーに応用できます(詳しくは後ほど解説します)。

いずれにしても、ヒトが地球上で生活する限り、重力=万有引力の影響を受けた下向きの力(地面に向かう力)が働いていると考えてください。

こうした下向きの重力に対して逆向きの力(上向き)も働いていますが、これを地面反力(床反力)と言います。

つまりヒトは重力と地面反力が釣り合うことによって、立って生活できるのです。

この場合、高い場所から落下する時は重力が大きくなりますが、先ほどのような重力落下を利用する…と意識するだけで、サッカーのプレーのパフォーマンスが上がります。

その反対にジャンプする時は、重力に打ち克つために地面反力が大きくなります。

つまり、先ほどの重力落下と同じように地面反力を利用する…という考えも大切ですね。

そうするとサッカーの個々のプレーで、今は地面反力の方が大きいのか? それとも重力落下の方が大きいのか?という理解も必要なのです(詳しくは後ほど解説します。)。

(2)重心(身体重心)

ヒトの重心(身体重心)を最も簡単に言うと、立っている時は「へそ」のあたり(正確にはへその下の「丹田」と呼ばれる部分)と考えれば良いでしょう。

男性では身長の約56%の位置で、女性では55%の辺りになります。

また、重心から垂直下に引いた仮想の線を重心線と言います。

重心線は、後ほど解説する支持基底面との関係でとても重要ですが、この辺は少しずつ解説したいと思います。

ところで、重心の計算を厳密にするとかなり大変です。

なぜなら、頭、体幹、上腕、前腕、大腿部,下腿部,足部などの、それぞれのパーツごとの重心を個別に計算し、それを合算するからです。

その場合の計算方法はかなり難しくて、記事として書き切れないため、詳しい解説は省略するのでご了承ください。

なお、重心の位置は姿勢によっていろいろと変化します。

例えばジャンプの時は地面を蹴りますが、これは重力に打ち克つために、地面反力を使って重心の位置が高くなったことを意味します。

また体を右側に移動したい時は、重心を右に寄せ、左側に移動する時はこの反対になります。

このように重心を前後左右と上下に移動させることで、ヒトはいろいろな体の動きをコントロールしているのです。

ちなみに、今回の記事では重心のことを身体重心と表現することもありますが、どちらも同じと考えてください。

さて次は、重心の基本理論の3つ目である(3)支持基底面について解説します。

(3)支持基底面

支持基底面とは、地面と接している足裏の部分を囲んだ面のことです。

この場合、両足で立っている時は左右の足の裏を囲んだ面(支持基底面)を指し、重心と重心線がこの面の中に入っていると、姿勢が安定するので倒れることはありません。

でも、この支持基底面は目に見えないのでなかなか分かり難いですよね。

そこで、ヒトの体をマイクスタンドに見立てて考えてみましょう。

ポールをヒトの体、ベースを足と考えた場合、ベースの面積(支持基底面)が大きければ大きいほど倒れません。

もしもベースの面積が小さかったら、ポールは倒れてしまいます。

つまり支持基底面は、立った姿勢の物体がなぜ安定するのか?(それは支持基底面を広くしているから→例えば両足を開いて立つ)というように考えると分かりやすいでしょう。

さて話しを元に戻します。

今度は、ヒトが片足立ちになった時を考えてみましょう。

そうすると、この時は片足の裏面だけが支持基底面になりますよね(先ほどのマイクスタンドと同じように)。

このような片足立ちでも、やはり重心が支持基底面の中に入っていれば、安定して立つことが出来るのです。

つまり両足でも片足でも、重心が支持基底面の中にある時は、ヒトの体は安定しているわけですね。

これとは反対に、立った状態から、重心が支持基底面の外に大きく出たとしましょう。

そうすると、このまま何もしなければ倒れてしまいます(少しくらいなら耐えられますが)。

ところが、この時に足を一歩踏み出して動き出せば倒れずに済みます。

つまり重心を移動することによって、体を動かせるわけですね。

それでは、この反対に動き出した体を止めるとしたら、

①下向きの力を加える⇒重心を低くする。
②前に進む動きを抑える⇒重心を支持基底面の後方に移動する。

この2つの動作によって、体の動きが止まるのです。

そして、立ち上がれば元の姿勢に戻ります。

つまり動き出す時も止まる時も、重心を前後左右上下に移動させれば良いだけなのです。

またその時は体の筋肉に力を入れる必要はなく、とても楽に動いたり止まったり出来ます。

これが「重心移動」の仕組みです!

実は、ふだん私たちが何気なく歩いたり走ったりする体の動きは、体が倒れるのか?どうか?という紙一重の動作というわけですね。

ちなみに重心移動と言えば、鬼木祐輔さんの「重心移動だけでサッカーは10倍上手になる」という書籍が有名ですよね。

この書籍を読むと、私がこれまで解説した、重心と支持基底面の理論が明記されていませんが、その代りに「ドーナツ」という考え方を使っています。

これは、自分の足がボールに届く範囲を重心移動の対象と考えているようです。

でもこうした考え方では極めて不十分ですし、ご本人の誤解が含まれているように思います。

なぜなら、ドーナツと支持基底面は物理的に考えて全く違うからです。

重心移動は、あくまでも重心が支持基底面を外れた瞬間から始まるので、一流のサッカー選手を目指すのであれば、そこまで突き詰めて考えるべきですね。

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さて、これまで(1)重力と地面反力、(2)重心(身体重心)、(3)支持基底面重力と地面反力という3つの仕組みを解説しました。

それでは、この3つの仕組みを踏まえて、重心移動と体重移動の違いについて解説します。

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