ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

重心移動でサッカーが100倍上手くなる【動画と画像で解説】

重心移動を使うとサッカーのプレーが劇的に改善します。

そこで今回は重心移動とサッカーの関係について、科学的な仕組み、重心移動と体重移動の違い、試合での使い方などについて中学生でも分かるように画像と動画を使って詳しく解説します。

重心移動とサッカーの関係が全て分かるので、ぜひあなたのバイブルとしてお読みください。

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目次

1.重心の基本を理解する

重心移動とサッカーの関係においては、次の3つの基本を理解するのが大切です。

(1)重力と地面反力
(2)重心(身体重心)
(3)支持基底面

(1)重力と地面反力

ヒトが地球上で生活する時は、いつも重力の影響を受けます。

その理由は万有引力があるため、重さのある物同士が引き合うからです。

その場合、小さい物(ヒト)は大きな物(地球)に引かれるので、ヒトは地球で生活できるのです。

もしも万有引力が存在しなかったら、ヒトは宇宙空間に放り出されてしまうでしょう。

またジャンプすると一瞬だけ空中に浮きますが、これは一時的に重力から解放された状態です。

もちろん、次の瞬間には再び地面に落ちますが、これも重力の影響によって起こる現象で「重力落下」と言います。

このように体を空中に浮かせる動作や、その反対の重力落下は、サッカーのいろいろなプレーに応用できます(詳しくは後ほど解説します)。

いずれにしても、ヒトが地球上で生活する限り、重力=万有引力の影響を受けた下向きの力(地面に向かう力)が働いていると考えてください。

こうした下向きの重力に対して逆向きの力(上向き)も働いていますが、これを地面反力(床反力)と言います。

つまりヒトは重力と地面反力が釣り合うことによって、立って生活できるのです。

この場合、高い場所から落下する時は重力が大きくなりますが、先ほどのような重力落下を利用する…と意識するだけで、サッカーのプレーのパフォーマンスが上がります。

その反対にジャンプする時は、重力に打ち克つために地面反力が大きくなります。

つまり、先ほどの重力落下と同じように地面反力を利用する…という考えも大切ですね。

そうするとサッカーの個々のプレーで、今は地面反力の方が大きいのか? それとも重力落下の方が大きいのか?という理解も必要なのです(詳しくは後ほど解説します。)。

(2)重心(身体重心)

ヒトの重心(身体重心)を最も簡単に言うと、立っている時は「へそ」のあたりと考えれば良いでしょう。

男性では身長の約56%の位置で、女性では55%の辺りになります。

また、重心から垂直下に引いた仮想の線を重心線と言います。

重心線は、後ほど解説する支持基底面との関係でとても重要ですが、この辺は少しずつ解説したいと思います。

ところで、重心の計算を厳密にするとかなり大変です。

なぜなら、頭、体幹、上腕、前腕、大腿部,下腿部,足部などの、それぞれのパーツごとの重心を個別に計算し、それを合算するからです。

その場合の計算方法はかなり難しくて、記事として書き切れないため、詳しい解説は省略するのでご了承ください。

なお、重心の位置は姿勢によっていろいろと変化します。

例えばジャンプの時は地面を蹴りますが、これは重力に打ち克つために、地面反力を使って重心の位置が高くなったことを意味します。

また体を右側に移動したい時は、重心を右に寄せ、左側に移動する時はこの反対になります。

このように重心を前後左右と上下に移動させることで、ヒトはいろいろな体の動きをコントロールしているのです。

ちなみに、今回の記事では重心のことを身体重心と表現することもありますが、どちらも同じと考えてください。

さて次は、重心の基本理論の3つ目である(3)支持基底面について解説します。

(3)支持基底面

支持基底面とは、地面と接している足裏の部分を囲んだ面のことです。

この場合、両足で立っている時は左右の足の裏を囲んだ面(支持基底面)を指し、重心と重心線がこの面の中に入っていると、姿勢が安定するので倒れることはありません。

でも、この支持基底面は目に見えないのでなかなか分かり難いですよね。

そこで、ヒトの体をマイクスタンドに見立てて考えてみましょう。

ポールをヒトの体、ベースを足と考えた場合、ベースの面積(支持基底面)が大きければ大きいほど倒れません。

もしもベースの面積が小さかったら、ポールは倒れてしまいます。

つまり支持基底面は、立った姿勢の物体がなぜ安定するのか?(それは支持基底面を広くしているから→例えば両足を開いて立つ)というように考えると分かりやすいでしょう。

さて話しを元に戻します。

今度は、ヒトが片足立ちになった時を考えてみましょう。

そうすると、この時は片足の裏面だけが支持基底面になりますよね(先ほどのマイクスタンドと同じように)。

このような片足立ちでも、やはり重心が支持基底面の中に入っていれば、安定して立つことが出来るのです。

つまり両足でも片足でも、重心が支持基底面の中にある時は、ヒトの体は安定しているわけですね。

これとは反対に、立った状態から、重心が支持基底面の外に大きく出たとしましょう。

そうすると、このまま何もしなければ倒れてしまいます(少しくらいなら耐えられますが)。

ところが、この時に足を一歩踏み出して動き出せば倒れずに済みます。

つまり重心を移動することによって、体を動かせるわけですね。

それでは、この反対に動き出した体を止めるとしたら、

①下向きの力を加える⇒重心を低くする。
②前に進む動きを抑える⇒重心を支持基底面の後方に移動する。

この2つの動作によって、体の動きが止まるのです。

そして、立ち上がれば元の姿勢に戻ります。

つまり動き出す時も止まる時も、重心を前後左右上下に移動させれば良いだけなのです。

またその時は体の筋肉に力を入れる必要はなく、とても楽に動いたり止まったり出来ます。

これが「重心移動」の仕組みです!

実は、ふだん私たちが何気なく歩いたり走ったりする体の動きは、体が倒れるのか?どうか?という紙一重の動作というわけですね。

ちなみに重心移動と言えば、鬼木祐輔さんの「重心移動だけでサッカーは10倍上手になる」という書籍が有名ですよね。

この書籍を読むと、私がこれまで解説した、重心と支持基底面の理論が明記されていませんが、その代りに「ドーナツ」という考え方を使っています。

これは、自分の足がボールに届く範囲を重心移動の対象と考えているようです。

でもこうした考え方では極めて不十分ですし、ご本人の誤解が含まれているように思います。

なぜなら、ドーナツと支持基底面は物理的に考えて全く違うからです。

重心移動は、あくまでも重心が支持基底面を外れた瞬間から始まるので、一流のサッカー選手を目指すのであれば、そこまで突き詰めて考えるべきですね。

さて、これまで(1)重力と地面反力、(2)重心(身体重心)、(3)支持基底面重力と地面反力という3つの仕組みを解説しました。

それでは、この3つの仕組みを踏まえて、重心移動と体重移動の違いについて解説します。

2.重心移動と体重移動

先ほどの鬼木さんの書籍によれば、サッカーの上手い選手は重心移動が出来て、下手な選手は体重移動を使うという両極端な解釈が見られます。

でも、実際には誰でも重心移動を使っています。

なぜなら、そうしないとまともに歩けませんし、日常生活さえも困難になるからです。

この場合の問題は、むしろ日本のサッカー選手が自分の筋力(抗重力筋)に過度に依存した、体重移動によってプレーしている点です。

そうした点で、正しい重心移動を身に付けるのが大切なわけですね。

そこで次からは、これまで解説した重力と地面反力、重心(身体重心)、支持基底面という3つの仕組みを踏まえ、(1)体重移動と抗重力筋の関係、(2)重心移動と走る動作について詳しく解説します。

(1)体重移動と抗重力筋の関係

① 体重移動と抗重力筋

重心移動と体重移動の最も大きな違いは、抗重力筋の使い方にあります。

抗重力筋とは、地球の重力に対抗して、立って生活するために必要な筋肉です。

この筋肉は首、背中、お腹、お尻、太もも、ふくらはぎなどの広範囲にあり、この部分の総称を「抗重力筋」と呼んでいます。

もしも抗重力筋がなかったら、ヒトは経立つことが出来ず、トカゲやワニのように腹ばいで生活していたでしょう。

この場合、ほぼすべての日常生活の動作(立ったり、歩いたり)で抗重力筋が使われます。

そうするとサッカーのプレーにおいても、ほとんどの人は抗重力筋を使うことが多くなります。

こうした抗重力筋を使って体を動かすことを「体重移動」と言います。

もちろん必要最低限の重心移動は使いますが、やはりパワーとスピードが必要なので、どうしても抗重力筋を酷使するケースが多くなるのです。

また体重移動は筋肉に依存した動作なので、スピードやパワーは筋肉量や体格に左右されます。

そうすると筋トレで鍛えて筋肉を付けるわけですが、やはり試合中は筋肉に頼ってプレーするので、いったん疲労が起きるとプレーのパフォーマンスが落ちてしまう…というわけですね。

実際にも、試合の後半になると疲れて足が止まる…などの現象は、もっぱら筋肉に頼った体重移動を使うのが原因です。

簡単に言えば、筋肉を使って頑張ってしまうわけですね。

② ヒトは生後すぐに体重移動が習慣化する

ヒトは、どうして体重移動に頼ってしまうのでしょう?

その理由はヒトが生まれて1歳頃に立って歩き始める時点で、抗重力筋を使う動作を覚えてしまうからです。

神奈川県立保健福祉大学の研究によれば、1歳児~3歳児までの子供が歩く時の筋電図を測定したところ、1歳児が最も多く筋肉を使い、2~3歳児にかけて落ち着くという傾向が見られたそうです。

これは1歳児の筋肉量が最も少ないので、全身の抗重力筋を使うことを意味します。

また2~3歳児にかけて落ち着くのは、筋肉量が増えたからです(つまり足の一部の筋肉だけを使う)。

ところが、抗重力筋そのものを使い続けるという現実は変わりません。

そうすると、ヒトは生まれて歩き出した瞬間から、抗重力筋に依存して生活するということです。

また、そうした子供たちが成長すると体重移動が習慣化してしまうわけです。

言い方を変えれば、体重移動を止めない限り、重心移動は身に付かないということですね。

さて次は、(2)重心移動と走る動作について解説します。

(2)重心移動と走る動作

重心移動は、重心を支持基底面から大きく外に出すことで生じる動作でしたよね(先ほども解説しましたよね)。

例えば、歩いたり走ったりする場合は、重心を支持基底面の外に移動させることで、体重移動とは違って抗重力筋に頼らない…、つまり疲れ難い動作が出来るようになります。

その場合の重心移動を使った走り方は、

① 支持基底面の外に重心移動する…。
② 地面に着地して新たな支持基底面を作る…。
③ 再び支持基底面の外に重心移動する…。

この動作の繰り返しです。

例として、私の息子「とも」の走り方を見てみましょう。

次の動画は小学5年生の時のリレーの様子です。

「とも」の重心移動を解析してみましょう。

①左足が着地して支持基底面が出来る
②同時に重力落下(膝抜き)。
③重心を支持基底面の外に動かして、重心移動。
④重心をさらに前に出す。
⑤空中動作に移行する。

この中で特徴的な動作は、①~②で着地した時の膝抜きです。

この時、膝抜きによって重力落下するので、ほんのわずかに体が沈み込みますが、この沈みは全体重を使って地面を蹴るのと同じ効果があります。

つまり、地面を蹴った時に生じる地面反力と同じ力が、「とも」の体を押し返して来るのです。

ふつうなら頭が上下動するはずですが、「とも」の場合は頭の位置が変わりませんよね。

これは膝抜きをして体が沈み込んでも、すぐに地面が押し返してくるということで、重力落下→地面反力→重心移動を上手に使っている証拠です。

スポーツ科学の分野では、地面反力を得るために、抗重力筋(太もも)を使って地面を強く蹴るのが常識とされています。

ところが「とも」の場合は地面を強く蹴るのではなく、膝抜きを使って全体重をかけて地面を押して(蹴るのと同じ)地面反力を得ているのです。

つまり抗重力筋を使って頑張って蹴らなくても、十分に地面反力を得られるわけですね。

こうすることで、長距離走のようにリラックスしながら走り切ってしまうのです。

しかも、抗重力筋(太もも)をほとんど使わないので筋肉疲労はありません。

やはり、抗重力筋の代わりに自分の体重を使うからでしょう。

まるでボールが弾むような、弾力性のある走り方とも言えますね。

そうした点では、今のスポーツ科学には間違いがあるのかも知れません。

たぶんお気づきでしょうが、この走り方はサッカーのピッチ走法にも使えます。

そうすると試合の後半になっても疲れませんし、足が止まる…などということも起きません。

ちなみに、陸上競技の400mハードル日本記録保持者の為末さんが昔のインタビューで、次のようなことを言っていました。

「地面を強く蹴って走ると体が上下動してしまう。このムダなエネルギーを前に向かう推進力に変えたらもっとスピードが出るはず…」

これは重心移動を活かした走る動作の考え方にとって、気付きを与えてくれた言葉ですね(つまり膝抜きを使って地面反力を得る)。

いずれにしても重心移動と体重移動の最も大きな違いは、抗重力筋に頼ってしまうか?どうか?ということになります。

さて次に、これまで解説した重心移動の仕組みが、サッカーのプレーにどのように活かされているのか?という点について、私の息子「とも」の実演動画を使って詳しく解説します。

3.サッカーのプレーと重心移動

ここでは、サッカーのプレー中に見られる前後左右と上下の重心移動について、主に使う次の5つの動作を解説します。

(1)ドリブルと重心移動
(2)止まる動作と重心移動
(3)ドリブルの切り返しと重心移動
(4)ジャンプと重心移動
(5)キックと重心移動

(1)ドリブルと重心移動

ここでは、次の3つの例を解説します。

① ドリブルで前に進む
② ドリブルで後ろに進む
③ 突破のドリブル

① ドリブルで前に進む

ドリブルの重心移動は、先ほど解説した走る動作と同じ仕組みです。

ここでは「とも」のつま先タッチドリブルを例にして解説します。

それでは、「とも」の重心移動を順番に解析してみましょう。

A.右足の着地による重力落下(膝抜き)で地面反力を得ます。重心を支持基底面の前に出して重心移動します(左足のアウトでタッチして前に進む)。

B.左足の着地による重力落下で地面反力を得ます。ここから重心を支持基底面の前に出して重心移動します(重心は未だ支持基底面の外に出ていないので重心移動の途中…と考えてください)。

C.右足の着地による重力落下で地面反力を得ます。ここから重心を支持基底面の前に出して重心移動します(②と同じです)。

D.右足の地面反力を引き続き利用して、左足のアウトでタッチして前へ進みます。重心を支持基底面の前に出して重心移動します(左足のアウトでタッチして前に進む)。

E.左足の着地による重力落下で地面反力を得ます。ここから重心を支持基底面の前に出して重心移動します(②と同じです)。
ここでの重心移動は、先ほどの走る動作と全く同じで、膝抜きによる重力落下と地面反力を活かしています。

つま先タッチは、アウトのドリブルと違って利き足のカカトが着地出来るので、走る動作と変わりません。

そうすると、走る動作の重心移動がそのまま使えるのです。

「とも」はフリーの状態で前に進む時は、このドリブルを多用します。

タッチはやや難しいですが、慣れればとても速いドリブルですし、重心移動が使えるのでぜひ覚えましょう。

つま先タッチの重心移動は、インサイド、アウトサイド、足裏などを使ったドリブルでも全て同じ仕組みです。

特に、重力落下(膝抜き)と地面反力を利用すれば、抗重力筋に頼らずスピードアップ出来ますし、疲れません。

ぜひ、いろいろなドリブルで使ってみてください。

② ドリブルで後ろに進む

ドリブルで後ろに進む時は、足裏を使うことが多いので、重心移動が使えません。

その理由は、重心を支持基底面の後方に移動すると後ろに倒れてしまうからです(いわゆる「コケル」)。

そもそもヒトは、後ろ向きで歩いたり走ったり…という動作が苦手です。

そこで足裏を使って後ろにドリブルする時は、重心が支持基底面の前方(または中心よりも後ろに来ないようにする)に位置するように注意してください(いわゆる「つま先重心」)。

※重心がカカト寄りになると転倒する危険があります。

また片足立ちの姿勢になるので、ちょんちょんリフティングで軸足と体幹を鍛えると効果的です。

③ 突破のドリブル

ここでは、アウトサイドを使った突破のドリブルを解説します。

「とも」の重心移動を解析すると、やはり走る動作とほぼ同じです。

A.右足の着地と重力落下(膝抜き)。
B.地面反力を使った空中動作(走り幅跳びのように前方に跳ねる)。
C.右足の着地と重力落下。左足のタウトでタッチ。
D.地面反力と左足の着地で相手を抜く。

やはり、ここでも膝抜きによる重力落下と地面反力を活かしています。

また、重心を支持基底面の前に出すという、重心移動の使い方も全く同じですね。

さて次は、(2)止まる動作と重心移動について解説します。

(2)止まる動作と重心移動

先ほどの「①ドリブルで前に進む」で解説した重力落下による重心移動は、止まる動作にも応用できます。

そこで、ここでは次の3つの例を解説します。

① カットイン
② ドリブルの止まる動作
③ オフザボールの止まる動作

① カットイン

試合中の止まる動作の最も分かりやすい例として、カットインのターン直前の止まる動作を解説します(カットインは、止まる動作とターンの2つの組み合わせです)。

止まる時は、走る時の重心移動とは違って、2つの動作を組み合わせます。

A.重力落下と膝抜きによって下向きの力を掛けます。
B.重心を支持基底面の後方に移動して前に進む動きを抑えます。

このようにすると、自然と「く」の字型の体勢になります(上の画像の向かって右)。

その後、体幹ひねりで体勢を立て直してドリブルを再開します(画像の向かって左)。

② ドリブルの止まる動作

先ほどのカットインの止まる動作は、通常のドリブルでも同じ仕組みです。

A.右足の重力落下と膝抜きによって下向きの力を掛けます。
B.重心を支持基底面の後方に移動して、体が前に進む動きにブレーキをかけます。
C.最後にボールを止めます。

この事例では、足裏でボールを止めていますが、インサイドやアウトサイドを使っても、①と②でブレーキをかける仕組みは全く同じです。

③ オフザボールの止まる動作

サッカーの試合中のオフザボールで走る時は、短距離のスプリントを繰り返します。

そうした場合も、先ほどの重心移動を使って止まるのが理想ですね。

特に基本の動作は、カットインと全く同じ2つだけです。

A.重力落下と膝抜きによって下向きの力を掛ける。
B.重心を支持基底面の後方に移動して、前に進む動きを抑える。

この場合、重心移動を全く使わず、体重移動で止まるとしたら、膝や足首を使ってブレーキをかけるしかありません。

その際、体重50㎏の人が時速18㎞程度のスピードで走っていたと仮定しましょう(100m走を20秒で走るくらいの速さ)。

この状態で膝と足首を使ってブレーキをかけて、1m程度の制動距離で止まるとしたら、127.55 kgfの衝撃力を受けます。

何と体重の2倍以上の衝撃が、膝と足首にかかるのです。

ただし実際の走るスピードはもっと速いはずなので、これよりも大きな衝撃力になるでしょう。

こうした動作を何度も繰り返すと、当たり前のことですが、膝や足首の故障の原因になります。

育成年代の小中学生は、なるべく早い時期に正しく止まる重心移動を覚えましょう。

さて次は、(3)ドリブルの切り返しと重心移動について解説します。

(3)ドリブルの切り返しと重心移動

ドリブルの切り返しで重心移動を使うとスピーディな動作が出来るので、ここでは次の2つの代表的な例を解説します。

① ジグザグドリブル
② フェイント

① ジグザグドリブル

アウトとインの切り返しは試合中に頻繁に使うので、ぜひ重心移動を使ったスピーディな動作を覚えましょう。

そこで、次にジグザグドリブルのアウトとインの切り返しを例にして解析します。

A アウトで切り返す直前(動画の0:24~0:34)

ここでは膝抜きによる重力落下をしていますが、これは地面反力を得るための動作ですね。

先ほど解説した、走る動作と全く同じ仕組みです。

また、重心がすでに支持基底面(右足)の外にあるので、重心移動(水平方向)が始まっています。

B 姿勢を立て直す(動画の0:35~0:44)

ここでは先ほどの重力落下による地面反力を得て、姿勢を立て直している途中です。

重心は支持基底面の中にありますが、先ほどのAから始まった重心移動は続いています。

またほんのわずかですが、左ひざの膝抜きにより重力落下しています。

これは、次のCの時点に向かうための地面反力を得る動作です。

C 空中動作で重心移動(動画の0:45~0:54)

ここでは空中に浮いた状態で重心移動をしています。

体の浮いた状態は先ほどのBで地面を蹴ったから…というわけではありません。

むしろA~Bにかけての重心移動(左に向かう水平方向の力)と地面反力(上に向かう垂直方向の力→膝抜きによって得た地面反力)を合成した力が体にかかった動作です。

そのため抗重力筋は、ほとんど使っていません。

別の見方をすれば、頭を支点とした振り子に似た遠心力を利用した…とも言えますね。

D 着地と同時に重心移動(動画の0:55~最後まで)

ここでは着地していますが、重心がすでに支持基底面(右足)の外にあるので、重心移動(水平方向)が始まっています。

またほんのわずかですが、右ひざの膝抜きにより重力落下しています。

これは、次の地点に向かうための地面反力を得るための動作ですね。

以上ですが、切り返し動作で重心移動を使わないと、止まる動作と同じように膝と足首を使った体重移動になります。

これは重たい体を、頑張って左右に移動するのと同じです。

また、こうした体重移動は、先ほどの止まる動作と同じで、何度も繰り返すと膝と足首を酷使するだけで、ケガの原因になってしまいます。

やはり、正しい重心移動を覚えましょう。

さて次は、②フェイントと重心移動について解説します。

② フェイント

フェイント動作も、これまで解説した重心移動と同じ仕組みです。

さこで、次に代表的な例を2つ紹介します。

ア.一般的なボディフェイク
イ.体幹ひねりを使ったボディフェイク

ア.一般的なボディフェイク

A~Cまでは右ひざの膝抜きによる重力落下を利用して、右側にボディフェイクのフェイントを仕掛けます。

Dでは地面反力を使ってアウトサイドのタッチで抜きます。

ここでのポイントはCのシーンです。

A~Bでは体が右側に傾いているものの、重心は未だ支持基底面の中に入っていますよね。

そうすると安定した姿勢なので、無理に切り返そうとするとヒザや腰など筋肉と関節を使った体重移動になります。

ところがCでは左足を浮かし、右足はつま先立ちになっています。

そうすると体は右側に傾いていますが、重心は支持基底面のやや外側(重心の左側)に位置しています。

これは何を意味するのかというと、体が右側に傾いているのにも関わらず、すでに左側に重心移動を開始しているということですね。

そうすると切り返しの初動が速くなるのです。

これはヒトが立っている姿勢から走り出すというのは支持基底面の外側に重心を出すという、重心移動の基本原理と全く同じです。

このように、重心移動は重心と支持基底面のほんのわずかな位置関係でスタートします。

この原理をきちんと理解するだけで、あらゆるプレーで初動が速くなるわけですね。

イ.体幹ひねりを使ったボディフェイク

体幹ひねりを使ったフェイントは、これまで解説した膝抜きによる重力落下を使いません。

A.いったん体を右に向け、ここから体幹(上半身)を反時計回りに急激にひねる。
B.体幹ひねりの勢いで、体がわずかに宙に浮く(その後は重力落下)。
C.右足の着地で地面反力を得る。同時に左足のアウトでタッチ。
D.相手を抜く(膝抜きの重力落下と地面反力でドリブルのスピードを上げる)。

ここでのポイントはA~Cにかけての重心移動です。

Aでは、両足が設置しているので支持基底面が広くなっています。

そうすると、この状態からの無理な切り返しは、筋肉を使った体重移動になります。

そこで、Bで体幹ひねりを使って、フィギュアスケートのスピンのように、その場で「クルッ」と回転します。

また、この時、体がわずかに宙に浮いた後で重力落下します(古武術の浮身)。

その後、Cで着地と同時にボールにタッチしてます。

つまり膝抜きではなく、空中で体幹ひねりをした後の重力落下を使って、地面反力を得たわけですね。

特に試合中、2~3人のディフェンスに囲まれた場合、その場で身動き出来ずに、ボールを奪われることもあるはずです。

ところが体幹ひねりによる重力落下を使って地面反力を得れば、密集地域の中でも一気に局面を打開出来るのです。

練習すれば意外と簡単なので、ぜひ試してください。

ちなみに体幹ひねりは、次の動画のような体操を練習すると効果的です。

特に体幹ひねりは、上半身のひねりが先行して、下半身が連れて勝手に動く…というようにイメージしてください。

そうすることで、上半身をひねることによって生じる遠心力を、下半身へと伝えることが出来ます。

ただし、筋肉の伸張反射を活かすためにも、次の画像のように、①・A1(上半身をひねる)と②・A2(下半身をひねる)というように、上半身が先行して下半身が連動するというイメージを持ちましょう。

もちろん、あまり意識し過ぎるとぎこちなくなるので、最初のうちは上半身と下半身を交互にひねるだけでも結構です(慣れて来たら上半身先行→下半身連動のイメージを持つ)。

さて次は、(4)ジャンプ動作と重心移動について解説します。

(4)ジャンプ動作と重心移動

重心移動における重力落下と地面反力の関係は、ジャンプ動作にも使えます。

例えばジャンピングヘッドは、しゃがみ込む時に重力落下(抗重力筋は使わない)を使います。

また、この時に膝抜きをすると、先ほどの「とも」の走り方と同じように、全体重をかけて地面を押すという動作になります。

そうすると地面反力を得られるので、筋肉に依存しない重心移動が出来るのです。

例えばクリスチアーノ・ロナウドは高い打点のヘディングシュートが得意ですが、動作解析をすると、これと全く同じ重心移動のメカニズムが見られます。

クリロナの場合、逆C字型からC字型のジャンプをしますが、しゃがみ込むような逆C字型の体勢の時に膝抜きを使って重力落下します。

そして地面反力を得て、高いジャンプをするわけですね。

クリロナは試合後半になってもヘディングシュートをよく決めますが、こうした高いジャンプを続けることが出来るのは抗重力筋に頼っていない…、つまり疲れていないという証拠です。

もしも抗重力筋に依存していたら、これだけの高いジャンプを試合中に何度も繰り返すことは出来ないでしょう。

さて次は、(5)キック動作と重心移動について解説します。

(5)キック動作と重心移動

キック動作は、これまで解説した重心移動の仕組みがそのまま当てはまりません。

そこで、次の2つの点について解説します。

① キック動作は遠心力を使う
② インサイドキックとパス&ゴー

① キック動作は遠心力を使う

キック動作は、これまで解説した重心移動の原則である「重心は支持基底面を外れた時に体が動く…」という仕組みとは、直接的な関係がありません。

むしろキックのスピードとパワーを出すために、蹴り足の遠心力を如何に大きくするのかが重要です。

そこで、インステップキックの動作を例にして考えてみましょう。

バックスイング(A)の時は、重心が支持基底面の後ろにあるので、カカト重心に近い不安定な状態ですが、助走による前方向のエネルギーが全身に働いているので、後ろに倒れることはありません。

その後、インパクト(B)~フォロースルー(C)にかけて、重心が支持基底面の中に入ってきます。

これは外にあった重心が支持基底面の中に入って来るという、これまでの重心移動の考え方とは全く反対の現象が起きるのです(ふつうの重心移動は重心が支持基底面の外に出る)。

どちらかと言うと、走っている状態から止まった後で、いきなり立ち上がるというような動作に近いと思います。

つまり、キック動作には、重心移動の仕組みがそのまま活かせないわけですね。

こうした状態でキックのスピードとパワーを出すためには、蹴り足の遠心力を最大化することが重要です。

だからと言って抗重力筋に依存したり、膝や股関節を使う…という考えを持っては意味がありません。

なぜなら筋肉に依存すると疲労が出ますし、膝や股関節を酷使するのは故障の原因になるからです。

そこで必要とされる考え方が次の3つスピードやパワーです(詳しくはリンクを押して記事をご覧ください)。

こうして得た3つのスピードやパワーは、自分自身の体(体幹と軸足)に大きな遠心力をかけることになります。

また体が遠心力に耐えられないとインパクトの瞬間に体がグラグラするので、キックのボールコントロールが不安定になります。

そこで、この遠心力を克服するためには体幹と軸足の強化が必要になるのです。

そのためには、ちょんちょんリフティングなどの練習が必要になります。

要するに、キック動作は重心移動とはそれほど関係なく、むしろ遠心力を如何に発揮するのか?如何に克服するのか?という点が重要なのです。

ちなみに先ほどの鬼木さんはキック動作も重心移動の一つと考えているようですが、これは明らかに間違いですね。

② インサイドキックとパス&ゴー

インサイドキックも、先ほど解説したとおり重心移動の仕組みとは、直接的な関係がありません。

この場合に大切なことは、パス&ゴーの方ですね。

試合中のインサイドキックは、そのほとんどがパスに使うため、蹴った後にスペースに動く…などのオフザボールの動きが必要になります。

そうした場合、日本の選手に多いパター型の蹴り方では、パス&ゴーの初動が遅くなるのです。

なぜなら、パター型は他のキックと同様に、蹴り終えた後の重心が支持基底面の中に残ってしまうからです。

そうすると、ここから前に走り出すとしたら、このままの体勢では重心移動が出来ません。

つまり、パター型で蹴ると、蹴り終えてから抗重力筋を使って体勢を立て直して「よいしょ」と頑張って走る…という体重移動になってしまうのです。

そうした対処法として有効なのが、体幹ひねりを使ったインサイドキックです。

このキックの特徴は、バックスイング~フォロースルーにかけて体幹ひねりを使う点です。

体幹ひねりは、キック動作の時に体幹と上半身の骨格(特に背骨)を捻ります。

そうすると、フォロースルーの後で「捻り」を元に戻そうとする反射作用が起きます。

これはスポンジを雑巾絞りのようにひねった時に手を離すと元通りになる…という現象と同じで、体幹ひねりによって巻き戻しが起きるわけですね。

これによって、フォロースルーが終わると体が自然に正面を向くため、その動きに連れて蹴り足も一歩踏み出るのです。

しかもこの巻き戻しは、筋肉の伸張反射という反射作用なので無意識のうちに起こります。

そうした点では育成年代の子供たちには、ぜひ覚えてほしい蹴り方ですね。

ところで、重心移動が上手な選手は「骨盤前傾」という特徴があります。

そこで次に、重心移動と骨盤前傾の関係を詳しく解説します。

4.重心移動と骨盤前傾

日本人は胴長短足で低重心のため、骨盤の形状(直立または後傾)が良くないので、せっかく重心移動を覚えても上手く使いこなせないと思います。

そこで、そうした場合の改善方法を含めて、ここでは次の3つの点について解説します。

(1)骨盤の形状と重心の位置
(2)骨盤の形状と重心移動の違い
(3)骨盤前傾トレーニング

(1)骨盤の形状と重心の位置

ヒトの骨盤の形状は、大きく3つに分けられます

このうち骨盤前傾は、海外のサッカー選手に多いタイプで、背骨のS字カーブの発達と、つま先重心が特徴です。

そのため背骨のバネ作用(S字カーブの発達)が使えて、腸腰筋やハムストリングス(体を前に動かす筋肉)が発達するので、身体能力が高いというメリットがあります。

また前に向かって速く走るという点では、前傾姿勢が取りやすいという構造上の利点もあります。

そもそもドリブルをする時は左右の重心移動があったとしても、最終的には前に向う動きになります。

また、一対一の時のディフェンスはバックステップを使って下がりますが、最終的にはボールの進行方向、つまり相手を追いかけて前に向かう動きが必要ですよね。

要するにサッカーは、前に向かって走ることが当たり前のスポーツなのです。

だから、骨盤前傾が有利なのです。

ところが、骨盤直立と骨盤後傾はどちらもS字カーブが未熟で、カカト重心になりがちです。

また骨盤直立は日本の選手に多く、日常生活では問題ありませんが、背骨のバネ作用(S字カーブの発達)がほとんど使えず、腸腰筋やハムストリングスも未熟なので、サッカーのプレーのパフォーマンスはかなり低いです。

しかも、前傾姿勢が取り難くいので、前に向かう推進力が弱くなる…ということで、速く走るという点では致命的な欠点があります。

この場合、一部のメディアでは骨盤直立がサッカーに理想的という見解もありますが、これは日常生活に限定したものであって、そもそもアスリートには適しません。

こうした不見識な意見には惑わされないようにしましょう。

なお、骨盤後傾はいわゆる猫背でありスポーツには向かないので、解説は省略します。

そこで次は、(2)骨盤の形状と重心移動の違いとして、海外の選手に多い骨盤前傾と日本人選手に多い骨盤直立のプレーの違いを比較してみましょう。

(2)骨盤の形状と重心移動の違い

① 骨盤前傾と骨盤直立の重心移動の違い

骨盤前傾はつま先重心で、骨盤直立はカカト重心という違いがありますが、これによって重心移動にも差が見られます。

特に、立った姿勢から体を前に倒して走り出すという、重力落下による重心移動を比較すると特徴的な違いが見られます。

骨盤前傾はつま先重心のため重心が支持基底面の外に出やすい構造になっているので、走り出しの初動が速くなります。

これに対して骨盤直立はカカト重心で、重心がいつまでも支持基底面の中に止まりやすい(外に出難い)ため、走り出しの初動が遅くなります。

もしもこの状態で初動を速くするとしたら、地面を蹴って走り出すという抗重力筋に依存した動作、つまり体重移動になります。

したがって、骨盤直立は体重移動になりやすいのです。

しかも骨盤前傾とは違って、腸腰筋やハムストリングスが未熟なので、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)を使って走るケースが多くなります。

ところが、太ももの前の筋肉は、体にブレーキを掛ける時に使うものです。

そうすると、走るためにはあまり関係のない筋肉を使うということで、ムダな疲労が溜まって、プレーのパフォーマンスが低下するという悪循環に陥るわけですね。

特に、日本の選手は骨盤直立が多いので、いくら重心移動の練習をしても骨盤前傾の多い海外の選手には太刀打ち出来ないのです。

やはり根本的な問題としては、骨盤前傾に改善するしかありません。

ちなみに元日本代表の宇佐美選手は典型的な猫背のため、プレーのパフォーマンスがあまり高くはありません。

たぶん骨盤後傾ではないかと思います。

ドリブルの姿勢を見ても、海外のドリブラーのように前傾姿勢が取れず体が立っていますよね。

また、宇佐美選手はアジリティが高そうに見えますが、これは体重移動を使って自分の筋肉を酷使しているだけでしょう。

そのため試合後半には、よくスタミナ切れをよく起こします。

彼が日本代表に定着しないのは、こうしたところに原因があると思います。

② ドリブル姿勢の切り替えと骨盤前傾の優位性

日本ではドリブル姿勢は骨盤直立(直立姿勢)が望ましいとされています。

その理由は視野が広く取れるからですが、これは大きな間違いです。

そもそも、ドリブルは突破のドリブルと運ぶドリブルがありますが、直立姿勢が良いのは運ぶドリブルの時だけです。

また、突破のドリブルの時は、前傾姿勢にならないとスピードを出せません。

この場合、骨盤前傾は突破のドリブルと運ぶドリブルで姿勢を変えられます。

例えば、私の息子「とも」は典型的な骨盤前傾ですが、ドリブルをする時は局面に応じて姿勢を使い分けています。

運ぶドリブルの時は上体を起こし、突破のドリブルでは前傾になれば良い…ということですね。

これに対して骨盤直立は、運ぶドリブルの時は有効ですが、やはり突破のドリブルでは前傾になれないのでスピードが出ません。

日本では骨盤直立を推奨するため、本格的なドリブラーが育たない原因になっていると思います。

また、骨盤前傾は全身のバネ作用を使うことが出来ますし、腸腰筋・ハムストリングが発達します。

そのためスピードと敏捷性も高いことから、突破の時に威力を発揮します。

そうした意味では、骨盤前傾の方がドリブル姿勢の汎用性がありますし、優位性も高いのです。

さて、次は骨盤前傾に改善するためのトレーニング方法について解説します。

(3)骨盤前傾トレーニング

骨盤前傾に改善するためには、次の2つのトレーニングが効果的です。

① 骨盤前傾トレーニング
② 前傾姿勢トレーニング

① 骨盤前傾トレーニング

このトレーニングはとても簡単なので、ぜひやってみましょう。

A.カカトを浮かして、つま先立ちになる。
B.背筋を伸ばして胸を張り、お尻を突き出す姿勢を保つ。
C.一日あたり30秒~1分くらい。
※必要以上に練習し過ぎるとかえって背骨の発達に影響を及ぼすので注意してください。

② 前傾姿勢トレーニング

前傾姿勢を維持するために、背骨、背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎを使って、上体を支える感覚を身に付けてください。

ドリブルを練習する時は、常にこの姿勢を意識しましょう。

A.軽くヒザを曲げて腰を落とす。
B.足の指を使ってグリップする(つま先立ちはしないこと)。
C.背骨、背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎを意識する(身体の後ろ側に気持ちを向けるだけで良い)。
※最初のうちは背骨と4つの筋肉にハリが出やすいので、その際は適宜休むようにしてください。

以上ですが、重心移動を効果的に習得するためにも、ぜひ骨盤前傾に改善しましょう。

※骨盤前傾トレーニングを詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
骨盤前傾トレーニングで身体能力アップ!一流アスリートの特徴とは?

さて次は、重心移動を身に付けるための練習法を解説します。

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5.重心移動の練習法

ここでは、サッカーのプレーで重心移動を使いこなすために、次の4つの練習法を紹介します。

(1)一本歯下駄トレーニング
(2)膝抜き歩き
(3)重力落下
(4)重心移動体操

(1)一本歯下駄トレーニング

一本歯下駄トレーニングは、重心移動を身に付けるための最も効果的な練習法です。

実際にも私の息子「とも」は小学二年生から続けていますが、基本的にはこれ以外の練習法はしていません。

でも、効果のほどは、これまで解説したとおり身をもって証明しています。

特に一本歯下駄トレーニングの効果は5つあります。
①バランス感覚が身に付く。
②全身のバネ作用が覚醒する。
③高重心になる。
④足のアーチと足指が鍛えられる。
⑤二軸動作が身に付く。

このトレーニングで重心移動が身に付く最大の理由は、一本歯下駄を履いてトレーニングすると体の重心バランスが不安定になるからです。

これはバレリーナのつま先立ちや、フィギュアスケートでスケート靴を履いている状態よりもはるかに不安定です(※ここが最も重要なポイントです)。

そうすると無意識かつ反射的に全身の骨格と筋肉が働き、自分の体が勝手に反応して重心バランスを安定しようとするのです。

その結果、ヒトが本来生まれ持ったバランス機能が目覚めて、スムーズに重心移動を始めるわけですね。

そもそも重心移動はヒトが持って生まれた能力なので、本来は誰でも使えるテクニックです。

ところが幼少期から抗重力筋に依存して生活する習慣が身に付いたため、重心移動が上手く使えなくなっただけなのです。

そうした点では、極めて効果的なトレーニングです。

私のブログの読者でも、すでに数多くの方が実践していただいているので、ぜひ参考にしてください。

※ちなみに、私は下駄の販売業者の回し者ではありません(笑)。

(2)膝抜き歩き

膝抜きを覚えると、自然な重力落下と地面反力が使えるようになります(抗重力筋に依存しない)。

そうすると重心移動がスムーズになります。

次の動画の動きを真似してください。

慣れて来たら同じようにして階段も降りてみましょう。

ただし先ほどの「一本歯下駄トレーニング!サッカー向け練習メニュー22選」の記事の中に、膝抜きの練習法もあるので、一本歯下駄トレーニングを続けている方は、この練習は不要です。

(3)重力落下

次は、重力落下の感覚を覚えましょう。

立った状態で膝と股関節を脱力し、ボールを落としてキャッチします。

この時は、特にキャッチ出来なくても構いません。

大切なことは、体の力を抜いて、ストーンと一気にしゃがみ込むことです。

何度も繰り返して、無意識のうちに重力落下が出来るようにしましょう。

ただし、この練習法も、一本歯下駄トレーニングの練習メニューを続ければ自然と身に付く能力なので、一本歯下駄トレーニングをしている場合は不要です。

(4)重心移動体操

この体操は、ドリブルの切り返し動作やターンに必要な重心移動の練習です。

小学校低学年や幼児など、三半規管が未熟な子供もいると思います。

もしも気分が悪くなったりしたら無理をしないで休んでください。

ただしこの練習法も、一本歯下駄トレーニングの練習メニューを続ければ自然と身に付く能力です。

ちなみに先ほどの鬼木さんは反復横跳びは体重移動と考えているようですが、これは大きな間違いです。

たぶん重心と支持基底面の関係を誤解しているのでしょう。

反復横跳びも、重心移動を使えば、ほとんど疲れずスピーディに出来るようになるのです。

6.まとめ

これまで解説した重心移動とサッカーの関係を一通りまとめてみましょう。

(1)重心の基本の仕組みとして、重力と地面反力、身体重心、支持基底面の考え方を理解する。
(2)重心移動と体重移動の最も大きな違いは抗重力筋に頼って動くのか?どうか?にある。
(3)重心移動を使って前後左右と上下の効率的な動作を身に付ける。
(4)重心移動を効果的に使うために骨盤前傾に改善する。

特にサッカーのプレーに役立つ重心移動の使い方として、もっぱら繰り返して解説したことが4つありましたよね。

・膝抜きや体幹ひねりを使った重力落下。
・重力落下を利用して地面反力を得る。
・重心を支持基底面の外(前)に出して、走る。
・重心を支持基底面の後ろに下げて、止まる。

こうした重心移動を身に付けるためには、一本歯下駄トレーニングが最大で最高の練習法である点も解説しました。

これに対して、日本のサッカー指導は、動きを速くするためには筋力を付ける!というおかしな考え方が蔓延しています。

そればかりではなくドリブル、キック、トラップなどのパワーとスピードの源は筋トレにある…などの考え方もあります。

でもこれは大きな間違いで、単なる体重移動ですよね。

もちろん筋トレ自体は大切ですが、先ずは正しい重心移動を身に付ける方が先なのではないでしょうか?

私としては、ぜひ多くの指導者がきちんと勉強され、一人でも多くの子供たちが正しい重心移動を身に付けてサッカーが上手くなってほしいと願っています。

【画像引用:Youtube.com サカイク