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サッカーの基本

重心移動でサッカーが100倍上手くなる!【中学生でも分かる】

投稿日:2019年4月18日 更新日:

ドリブルするネイマール

重心移動を使うとサッカーの一つ一つのプレーが劇的に改善します。

そうした点で最近は重心移動に関するいろいろな書籍やDVD教材が発売されています。
ところがほとんどの場合、どれも重心の基本理論が説明されていません。
また間違ったテクニックを解説するケースも多いです。

そこで今回は重心移動とサッカーの関係について、重心の基本理論、重心移動と体重移動の違い、サッカーのプレーにおける具体例などについて中学生でも分かるように詳しく解説します。

1.重心の基本を理解する

重心移動とサッカーの関係においては重力と地面反力、身体重心、支持基底面の基本理論を理解することが大切です。
そこで先ずはこの基本理論について順に解説します。

(1)重力と地面反力

ヒトが地球上で生活する時はいつも重力の影響を受けます。
その理由は地球には万有引力があり重さのある物同士が引き合うからです。
そうした場合、小さい物(ヒト)は大きな物(地球)に引かれるのでヒトは地球で生活できるのです。
もしも万有引力が存在しなかったら、ヒトは宇宙空間に放り出されてしまうでしょう。

重力と万有引力の説明画像

またジャンプすると一瞬だけ空中に浮きますが、これは一時的に重力から解放された状態です。
もちろん、次の瞬間には再び地面に落ちて来ます。
これも重力の影響によって起こる現象で「重力落下」と言います。
こうした体を空中に浮かせる動作や重力落下は、サッカーのいろいろなプレーに応用できます(詳しいことは後ほど解説します)。

ジャンプと重力落下の説明画像

いずれにしてもヒトが地球上で生活する限り、重力=万有引力の影響を受けた下向きの力(地面に向かう力)が働いていると考えてください。

こうした下向きの重力に対して、逆向きの力(上向き)も働いています。
これを地面反力(床反力)と言います。
つまりヒトは重力と地面反力が釣り合うことによって、立って生活することが出来るのです。

重力と地面反力が釣り合いの説明画像

この場合、高い場所から落下する時は重力が大きくなります。
その際、先ほどのような重力落下を利用する…と意識するだけで、サッカーのパフォーマンスが上がります。
その反対にジャンプする時は地面反力が大きくなります。
先ほどの重力落下と同じように地面反力を利用する…という考えも大切です。

つまりサッカーの個々のプレーで、今は地面反力の方が大きいのか? それとも重力落下の方が大きいのか?という理解が必要なのです。

詳しいことは後ほど解説します。

(2)身体重心

ヒトの身体重心を最も簡単に言うと、立っている時は「へそ」のあたりと考えれば良いでしょう。
男性では身長の約56%の位置で、女性では55%の辺りになります。
また重心から垂直下に引いた仮想の線を重心線と言います。
重心線は後ほど解説する支持基底面との関係でとても重要なのですが、この辺は少しずつ解説したいと思います。

身体重心と重心線の説明画像

ところで重心の計算を厳密にするとかなり大変です。
頭、体幹、上腕、前腕、大腿部,下腿部,足部などの、それぞれのパーツごとの重心を個別に計算し、それを合算するからです。
その場合の計算方法はかなり難しく記事としては書ききれないので、ここでの詳しい解説は省略します。

なお重心の位置は姿勢によっていろいろと変化します。

例えばジャンプの時は地面を蹴りますが、これは重力に打ち克つために地面反力を使って重心が高くなったことを意味します。

ジャンプする時の重心移動と地面反力の説明画像

また体を右側に移動したい時は、重心を右に寄せます。
左側に移動する時は、この反対になるわけです。

重心を左右に移動する時の説明画像

このように重心を前後左右と上下に移動させることで、ヒトはいろいろな体の動きをコントロールしているのです。

ちなみにこの記事では重心のことを身体重心と表現することもありますが、どちらも同じと考えてください。

(3)支持基底面

支持基底面とは、地面と接している足裏の部分を囲んだ面のことです。
重心移動にとっては、重心との位置関係を表すうえでとても大切な理論です。

両足で立っている時は左右の足の裏を囲んだ面を指し、重心がこの面の中に入っている時は立ち姿勢を維持することが出来ます。

つまり重心が指示基底面の中に入っている限り姿勢が安定しているのです。
また重心線も支持基底面の中に入っているので、倒れるようなことはありません。
※重心線は物理の分野ではこのような使い方をします。

支持基底面と重心と重心線の説明画像

でもこの指示基底面の考え方は、なかなか分かり難いと思います。
何しろ実際には見えませんからね。

そこでヒトの体をマイクスタンドに見立てて考えてみましょう。
ポールをヒトの体、ベースを足と考えた場合、ベースの面積(支持基底面)が大きければ大きいほど倒れません。
もしもベースの面積が小さかったらポールは倒れてしまいます。

マイクスタンドと支持基底面の関係の説明画像

つまり支持基底面は、立った姿勢の物体がなぜ安定するのか?というように考えると分かりやすいでしょう。

さて話しを基に戻します。

今度はヒトが片足立ちになったときを考えてみます。
そうすると、この時は片足の裏面だけが支持基底面になります。
先ほどのマイクスタンドみたいですね。
このような片足立ちでも、やはり重心が支持基底面の中に入っているので立っていることが出来ます。

片足立ちの重心と重心線と支持基底面の関係の説明画像

つまり両足でも片足でも、重心が支持基底面の中にある時はヒトの体は動かず安定しているということです。

これとは反対に立った状態で、重心が支持基底面から大きく外に出たとしましょう。
そうすると、このまま何もしなければ倒れてしまいます(少しくらいなら耐えられますが)。

重心が支持基底面から大きく外に出た時の説明画像

ところが、この時に足を一歩踏み出せば倒れずに済みます。
これは重心が支持基底面から外に出たためです。
つまり、重心を移動すると体を動かすことが出来るわけです。

重心が支持基底面から大きく外に出た時に一歩踏み出せば倒れないという説明画像

この反対に動き出した体を止めるとしたら、どうすれば良いでしょうか?

それは、
・重心を低く(下向きの力)する。
・重心を支持基底面の後方に移動(前に進む動きを抑える)する。
この2つの動作をすれば止まることが出来ます。

動き出した体を止める時の重心と支持基底面の説明画像

つまり動き出す時も止まる時も、重心を移動させれば良いだけなのです。

これが「重心移動」の基礎理論です。

実は、ふだん私たちが何気なく歩いたり走ったりする体の動きは、体が倒れるのか?どうか?という紙一重の動作なのです。

ちなみに重心移動と言えば、鬼木祐輔さんの「重心移動だけでサッカーは10倍上手になる」という書籍が有名です。
この書籍を読むと、私がこれまで解説した、重心と支持基底面の理論がハッキリしていません。
その代りに「ドーナツ」という考え方を使っています。

ドーナツ

これは自分の足がボールに届く範囲を重心移動の対象として考えているようです。
でもこうした考え方は極めて不十分ですし、誤解が含まれているように思います。

重心移動は、あくまでも重心が支持基底面を外れた瞬間から始まるものです。
一流のサッカー選手を目指すのであれば、そこまで突き詰めて考えるべきでしょう。

さて、これまで重力と地面反力、身体重心、支持基底面という重心に関する基本理論を解説しました。

これを踏まえて、次に重心移動と体重移動の違いについて詳しく解説します。
もしも、先ほどの基本理論が分かり難かったら、もう一度最初からお読みください。
それでも分からなかったら、ご質問ください。

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2.重心移動と体重移動の違い

先ほどの鬼木さんの書籍によれば、サッカーの上手い選手は重心移動が出来て、下手な選手は体重移動を使うという両極端な解釈が見られます。

でも実際には誰でも重心移動を使っています。
そうしないとまともに歩くことが出来ませんし、日常生活さえも困難になるからです。

この場合の問題は、日本のサッカー選手が自分の筋力(抗重力筋)に過度に依存してプレーしている点です。
そうした点で正しい重心移動を身に付けることが大切なのです。

そこで、次からはこれまで解説した重力と地面反力、身体重心、支持基底面という重心に関する基本理論を踏まえ、重心移動と体重移動の違いなどについて詳しく解説します。

(1)体重移動と抗重力筋の関係

重心移動と体重移動の最も大きな違いは、抗重力筋の使い方にあります。

抗重力筋とは地球の重力に対抗して、立って生活するために必要な筋肉です。
この筋肉は首、背中、お腹、お尻、太もも、ふくらはぎなどの広範囲にあり、この部位の総称を「抗重力筋」と呼んでいます。
もしも抗重力筋がなかったら、ヒトは、トカゲやワニのように腹ばいで生活することになります。

抗重力筋の説明画像

この場合、ほぼすべての日常生活の動作(立ったり、歩いたり)で抗重力筋が使われます。
そうするとサッカーのプレーにおいても、ほとんどの人は抗重力筋に依存する傾向が多くなります。
こうした抗重力筋を使って体を動かすことを「体重移動」と言います。

もちろん必要最低限の重心移動は使いますが、やはりパワーとスピードが必要なのでどうしても抗重力筋を酷使するケースが多くなります。
また体重移動は筋肉に依存した動作なので、スピードやパワーは筋肉量や体格に左右されます。
そうして試合中に疲労するとプレーのパフォーマンスが落ちるのです。

サッカーの試合で後半になると足が止まる…などの現象は、もっぱら体重移動を使うことが原因です。
簡単に言えば筋肉を使って頑張ってしまうわけですね。

それではどうしてヒトは体重移動に依存してしまうのでしょう?

その理由はヒトが生まれて1歳頃に立って歩き始める時点で、抗重力筋を使う動作を覚えてしまうからです。

1歳の子供が立って歩く様子

神奈川県立保健福祉大学の研究によれば、1歳児~3歳児までの子供が歩く時の筋電図を測定したところ、1歳児が最も多く筋肉を使い、2~3歳児にかけて落ち着くという傾向が見られたそうです。
これは1歳児の筋肉量が最も少ないので全身の抗重力筋を使うことを意味します。
また2~3歳児にかけて落ち着くのは筋肉量が増えたからです。
ところが抗重力筋を使い続けるという事実は変わりません。

そうするとヒトは生まれて歩き出した瞬間から抗重力筋に依存して歩いたり走ったりするということです。
また、そうした子供たちが成長すると体重移動が習慣化してしまうわけです。

(2)重心移動と走る動作

サッカーは「重心移動」を上手に使うとプレーのパフォーマンスが改善します。
重心移動とは、重心を支持基底面から大きく外に出すことで生じる、スムーズな動作のことです。
例えば、歩いたり走ったりする場合であれば、重心を支持基底面の外に移動させるだけで、抗重力筋に頼らない疲れ難い動作が出来るようになります。

重心移動と走り出す様子の説明画像

その場合、重心移動を使った走る動作は、
・支持基底面の外に重心移動する…。
・地面に着地して新たな支持基底面を作る…。
・再び支持基底面の外に重心移動する…。
この動作の繰り返しになります。

重心移動を繰り返して走る様子の説明画像

例として私の息子「とも」の走り方を見てみましょう。
次の動画は小学5年生の時のリレーの様子です。

「とも」の重心移動を解析してみましょう。

①左足が着地して支持基底面が出来る
②同時に重力落下(膝抜き)。
③重心を支持基底面の外に動かして、重心移動。
④重心をさらに前に出す。
⑤空中動作に移行する。

重心移動の解析画像

この中で特徴的な動作は①~②で着地した時の膝抜きです。

ここでは膝抜きによって重力落下するので、ほんのわずかですが体が沈みます。
この沈みは、全体重で地面を押す動作と同じ効果があります。
そうすると地面反力が「とも」の体を押し返して来るのです。

ふつうなら頭が上下動するはずですが、「とも」の場合は頭の位置が変わりません。

これは膝抜きをして体が沈み込んでも、すぐに地面が押し返してくるということで、重力落下、地面反力、重心移動を上手に使っている証拠です。

スポーツ科学の分野では走る時に地面反力を得るため、抗重力筋(太もも)を使って地面を強く蹴るのが常識とされています。
ところが「とも」の場合は地面を強く蹴るのではなく、膝抜きを使って全体重をかけて地面を押すという動作で地面反力を得ているのです。

つまり抗重力筋を使って強く蹴らなくても、十分に地面反力を得られるわけです。

こうすることで長距離走のようにリラックスしながら走りきってしまいます。
しかも抗重力筋をほとんど使わないので疲労はありません。
やはり抗重力筋の代わりに自分の体重を使うからでしょう。

まるでボールが弾むような弾力性のある走り方とも言えます。
そうした点では今のスポーツ科学には間違いがあるのかも知れません。

ボールが弾むような弾力性のある走り方の説明画像

たぶんお気づきでしょうが、この走り方はサッカーのピッチ走法にも使えます。
そうすると試合の後半になっても疲れませんし、足が止まる…などということも起きません。

またこうした走り方はリラックスしないと出来ません。
次の動画でもタイツ先生がリラックスした走り方の重要性を説いています。

ちなみに元陸上競技の選手で400mハードル日本記録保持者の為末選手が昔のインタビューで、次のようなことを言っていました。
「地面を強く蹴って走ると体が上下動してしまう。このムダなエネルギーを前に向かう推進力に変えたらもっとスピードが出るはず…」

これは重心移動を活かした走る動作の考え方にとって、気付きを与えてくれた言葉です。

いずれにしても重心移動と体重移動の最も大きな違いは、抗重力筋に依存するか?どうか?ということになります。

さてそれでは次に、これまでの重心移動の理論がサッカーのプレーにどのように活かされているのか?という点について解説します。

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3.サッカーのプレーと重心移動

ここではサッカーのプレー中に見られる前後左右と上下の効率的な動作について、具体例を使って解説します。

(1)ドリブルと重心移動

① ドリブルで前に進む

ドリブルでの重心移動は、先ほど解説した「とも」の走る動作の場合と同じ原理です。
ここでは「とも」のつま先タッチドリブルを例にして解説します。

「とも」の重心移動を解析してみましょう。

①右足の着地と重力落下(膝抜き)⇒地面反力を得る。左足のアウトでタッチして前に進む。
右足の着地と重力落下(膝抜き)によって地面反力を得て左足のアウトでタッチして前に進む様子の説明画像

②左足の着地と重力落下⇒地面反力を使って前へ。
左足の着地と重力落下から地面反力を使って前へ進む様子の説明画像

③右足の着地と重力落下⇒地面反力を使って前へ。
右足の着地と重力落下から地面反力を使って前へ進む様子の説明画像

④右足の地面反力を引き続き利用して、左足のアウトでタッチして前へ。
右足の地面反力を引き続き利用して左足のアウトでタッチして前へ進む様子の説明画像

⑤左足の着地と重力落下⇒地面反力を使って前へ。
左足の着地と重力落下から地面反力を使って前へ進む様子の説明画像

ここでの重心移動は先ほどの「とも」の走る動作と全く同じで、膝抜きによる重力落下と地面反力を活かしています。
この場合、つま先タッチはアウトのドリブルと違って、蹴り足のカカトが着地出来ます。
そうすると走る動作の重心移動がそのまま使えるのです。

「とも」はフリーの状態で前に進む時は、このドリブルを多用します。
タッチはやや難しいですが、慣れればとても速いドリブルなので、ぜひ覚えましょう。

※つま先タッチの重心移動は、インサイド、アウトサイド、足裏などを使ったドリブルでも全て同じ原理です。
なぜなら、ドリブルを物理的に考えた場合、走る動作と同じだからです。
重力落下(膝抜き)と地面反力を使えば、抗重力筋に頼らずスピードアップ出来ますし、疲れません。
ぜひ、いろいろなドリブルで使ってみてください。

② ドリブルで後ろに進む

ドリブルで後ろに進む時は足裏を使うことが多くなります。
そうすると重心移動が使えません。

その理由は重心を支持基底面の後方に移動すると後ろに倒れてしまうからです(いわゆる「コケル」)。
そもそもヒトは後ろ向きで歩いたり走ったり…という動作が苦手です。

そこで足裏を使って後ろにドリブルする時は、重心が支持基底面の前方に位置するように注意してください(いわゆる「つま先重心」)。
※重心がカカト寄りになると転倒する可能性があります。

ドリブルで後ろに進む時の重心と支持基底面の説明画像

また片足立ちの姿勢になるので、ちょんちょんリフティングなどで軸足と体幹を鍛えると効果的です。

ちょんちょんリフティングの様子

③ 突破のドリブル

ここでは「とも」が最も多く使うアウトサイドを使った突破のドリブルを解説します。

「とも」の重心移動を解析すると基本的には走る動作とほぼ同じです。

①右足の着地と重力落下(膝抜き)。
②地面反力を使った空中動作(走り幅跳びのように前方に跳ねる)。
③右足の着地と重力落下。左足のタウトでタッチ。
④地面反力と左足の着地で相手を抜く。

突破のドリブルの重心移動を解析した画像

やはり、ここでも膝抜きによる重力落下と地面反力を活かしています。
重心移動の使い方は全く同じです。

(2)止まる動作と重心移動

重力落下による重心移動は止まる動作にも応用できます。

① カットインの例

最も分かりやすい例として、カットインのターン直前の止まる動作を解説します。

止まる時は走る時の重心移動とは違って、2つの動作を組み合わせます。

①重力落下と膝抜きによって下向きの力を掛けます。
②重心を支持基底面の後方に移動することで前に進む動きを抑えます。

カットインのターン直前の止まる動作を解析した画像

このようにすると、自然と「く」の字型の体勢になります。

つまり下向きの力をかけて前に進む動きも抑えるという、2つの動作の組み合わせによってブレーキをかけるわけです。

② ドリブルの止まる動作

先ほどのカットインで止まる動作は、通常のドリブルでも同じ原理になります。

①右足の重力落下と膝抜きによって下向きの力を掛けます。
②重心を支持基底面の後方に移動することで、体が前に進む動きを抑えます。
③最後にボールを止めます。

ドリブルの止まる動作を解析した画像

この時は足裏でボールを止めましたが、これはインサイドやアウトサイドを使ってもブレーキかける原理は同じです。

③ オフザボールの止まる動作

サッカーの試合中、オフザボールで走る時は短距離のスプリントを繰り返します。
そうした場合も先ほどの重心移動を使って止まるのが理想的です。

特に基本の動作はカットインと同じ2つだけなので簡単です。

①重力落下と膝抜きによって下向きの力を掛ける。
②重心を支持基底面の後方に移動することで前に進む動きを抑える。

オフザボールの止まる動作を解析した画像

こうした場合、重心移動を全く使わないで止まるとしたら、膝や足首を使ってブレーキをかけるしかありません。
例えば体重50㎏の人が時速18㎞(100m走を20秒で走る場合)程度のスピードで走っていたと仮定しましょう。
この状態で膝と足首を使ってブレーキをかけて1m程度の制動距離で止まるとしたら、127.55 kgfの衝撃力を受けることになります。
体重の2倍以上の衝撃ですね。
ただし実際の走るスピードはもっと速いはずなので、これよりも大きな衝撃力になるでしょう。

当たり前のことですが、こうした動作を何度も繰り返すと膝や足首の故障の原因になります。
サッカーを始めた子供はなるべく早い時期に正しく止まる動作を覚えましょう。

(3)ドリブルの切り返し動作と重心移動

① アウトとインの切り返し

ドリブルの左右の切り返しで重心移動を使うとスピーディな動作が出来ます。

「とも」の重心移動を解析してみましょう。

A アウトで切り返す直前

ここでは膝抜きによる重力落下をしていますが、これは次のBの時点の地面反力を得るための動作です。
これは先ほどの走る動作などと全く同じ原理です。
また重心がすでに支持基底面(右足)の外にあるので、重心移動(水平方向)が始まっています。
アウトで切り返す直前の動作解析

B 姿勢を立て直す

ここでは先ほどの重力落下からの地面反力を得て姿勢を立て直している途中です。
重心は支持基底面の中にありますが、先ほどのAから始まった重心移動は続いています。
またほんのわずかですが、左ひざの膝抜きにより重力落下しています。
これは次のCの時点の地面反力を得るための動作です。
姿勢を立て直す時の動作解析

C 空中動作で重心移動

ここでは空中に浮いた状態で重心移動をしています。
体の浮いた状態は先ほどのBで地面を蹴ったから…というわけではありません。
空中動作で重心移動する時の動作解析

むしろA~Bにかけての重心移動(水平方向の力)と地面反力(垂直方向の力)を合成した力が体にかかった動作です。
そのため抗重力筋はほとんど使っていません。
むしろ頭を支点とした振り子に似た遠心力を利用した…とも言えます。
頭を支点とした振り子に似た遠心力を利用した連続写真

D 着地と同時に重心移動

ここでは着地していますが、重心がすでに支持基底面(右足)の外にあるので重心移動(水平方向)が始まっています。
またほんのわずかですが、右ひざの膝抜きにより重力落下しています。
これは次の時点の地面反力を得るための動作です。
着地と同時に重心移動する時の動作解析

以上ですが、ふつうの切り返し動作では膝と足首を使った体重移動を使います。
これは重たい体を左右に移動することを意味します。
こうした動作を繰り返すと、膝と足首を酷使することになります。
こうした体重移動は、先ほどの止まる動作と同じでケガの原因です。
やはり正しい重心移動を覚えましょう。

② フェイント動作

フェイント動作もこれまで解説した重心移動とほぼ同じ原理です。

代表的な例を二つ紹介します。

ア.一般的なボディフェイク

①~③までは右ひざの膝抜きによる重力落下を利用して、右側にボディフェイクのフェイントを掛ける。
④では地面反力を使ってアウトサイドのタッチで抜く。

一般的なボディフェイクの動作解析

ここでのポイントは③のシーンです。
①~②では体が右側に傾いているものの、重心は支持基底面の中に納まっています。
そうすると安定した姿勢なので、無理に切り返そうとするとヒザや腰など筋肉と関節を使った体重移動になります。

ところが③では左足を浮かし、右足はつま先立ちになっています。
そうすると体は右側に傾いていますが、重心は支持基底面の外側に位置しています。

これは何を意味するのかというと体が右側に傾いているのにも関わらず、すでに左側に重心移動を開始しているということです。
そうすると切り返しの初動が速くなるのです。

これはヒトが立っている姿勢から走り出すという重心移動と同じ原理です。

ヒトが立っている姿勢から走り出すという重心移動の説明画像

重心移動は重心と支持基底面のほんのわずかな位置関係でスタートします。
この原理をきちんと理解するだけで初動が速くなるわけです。

イ.体幹ひねりを使ったボディフェイク

体幹ひねりを使ったフェイントは、これまで解説した膝抜きによる重力落下を使いません。

①いったん体を右に向け、ここから体幹(上半身)を反時計回りに急激にひねる。
②体幹ひねりの勢いで、体がわずかに宙に浮く(その後は重力落下)。
③右足の着地で地面反力を得る。同時に左足のアウトでタッチ。
④相手を抜く(膝抜きの重力落下と地面反力でドリブルのスピードを上げる)。

体幹ひねりを使ったボディフェイクの動作解析

ここでのポイントは①~③にかけての重心移動です。
①では、両足が設置しているので支持基底面が広くなっています。
そうするとこの状態からの無理な切り返しは筋肉を使った体重移動になります。

そこで①~②で体幹ひねりを使ってフィギュアスケートの回転ジャンプのように、その場で「クルッ」と半回転します。
また同時に体がわずかに宙に浮いた直後に重力落下します。
その後は③で着地と同時にボールにタッチ出来ます。

つまり膝抜きではなく、体幹ひねりを使った重力落下を使って地面反力を得るわけです。

特に試合中、2~3人のディフェンスに囲まれた場合、その場で身動きできず相手にボールを奪われることもあるはずです。
ところが体幹ひねりによる重力落下を使って地面反力を得れば、一気に局面を打開することも出来るわけです。

意外と簡単なので、ぜひ試してください。

ちなみに体幹ひねりは次の動画のような体操を練習すると効果的です。

(4)ジャンプ動作と重心移動

重心移動における重力落下と地面反力の関係はジャンプ動作にも使えます。
例えばジャンピングヘッドは、しゃがみ込む時に重力落下(抗重力筋は使わない)を使います。
やはりこの時に膝抜きをすると、先ほどの「とも」の走り方と同じように、全体重をかけて地面を押すという動作になります。
そうすると地面反力を得られるので筋肉に依存しない重心移動が出来るのです。

ジャンプ動作と重心移動の説明画像

例えばクリスチアーノ・ロナウドは高い打点のヘディングシュートが得意ですが、動作解析をすると特徴的な重心移動のメカニズムが見られます。

クリロナの場合、逆C字型からC字型のジャンプをしますが、しゃがみ込むような逆C字型の体勢の時に膝抜きを使って重力落下します。
そして地面反力を得て高いジャンプをするわけです。

クリスチアーノ・ロナウドのヘディングシュートの動作解析

またクリロナは試合後半になってもヘディングシュートを決めますが、こうした高いジャンプを続けることが出来るのは抗重力筋に頼っていない…、つまり疲れていないということです。
もしも抗重力筋に依存していたら、これだけの高いジャンプを試合中に何度も繰り返すことは出来ないでしょう。

(5)キック動作と重心移動

① キック動作は遠心力を使う

キック動作はこれまで解説した重心移動の原則である「重心は支持基底面を外れた時に体が動く…」という概念とは、直接的な関係がありません。
むしろキックのスピードとパワーを出すために、蹴り足の遠心力を如何に大きくするのかが重要です。

そこでインステップキックの動作を例にして考えてみましょう。

インステップキックの重心と支持基底面の関係

バックスイングの時は重心が支持基底面の後ろにあるので、カカト重心に近い不安定な状態ですが、助走による前方向のエネルギーが働いているので後ろに倒れることはありません。
その後、インパクト~フォロースルーにかけて、重心が支持基底面の中に入ってきます。

これは外にあった重心が支持基底面の中に入って来るという、これまでの重心移動の考え方とは全く反対の現象が起きるのです(ふつうの重心移動は重心が支持基底面の外に出る)。
どちらかと言うと、走っている状態から止まった後で、いきなり立ち上がるというような動作に近いです。

走っている状態から止まった後で立ち上がる時の重心移動の説明画像

つまり、重心移動の原理はそのまま活かせないのです。

こうした状態でキックのスピードとパワーを出すためには、蹴り足の遠心力を最大化することが重要です。

だからと言って抗重力筋に依存したり、膝や股関節を使う…という考えを持っては意味がありません。
なぜなら筋肉に依存すると疲労が出ますし、膝や股関節を酷使するのは故障の原因になるからです。

そこで必要とされる考え方が3つあります。

①足の遠心力と重さ。
②筋肉の伸張反射。
③体のバネ作用。

ところがこうして得たスピードやパワーは、自分自身の体(体幹と軸足)に大きな遠心力をかけることになります。
また体が遠心力に負けてしまうとインパクトの瞬間に体がグラつくので、キックのボールコントロールが不安定になってしまいます。

キックの時の遠心力と軸足の関係を説明する画像

そこでこの遠心力を克服するためには、体幹と軸足の強化が必要になるのです。
そのためには、ちょんちょんリフティングなどの練習が必要になります。

要するに、キック動作は重心移動とはそれほど関係なく、むしろ遠心力を如何に発揮するのか?如何に克服するのか?という点が重要なのです。

ちなみに先ほどの鬼木さんはキック動作も重心移動の一つと考えているようですが、これは明らかに間違いです。

② インサイドキックとパス&ゴー

インサイドキックの動作においても、先ほど解説したとおり重心移動の概念とは直接的な関係はありません。

この場合に大切なことはパス&ゴーです。
試合中のインサイドキックはそのほとんどがパスに使うため、蹴った後にスペースに動く…などのオフザボールの動きが必要になります。

そうした場合、日本の選手に多いパター型の蹴り方ではパス&ゴーの初動が遅くなります。
パター型は他のキックと同様に、蹴り終えた後の重心が支持基底面の中に残ります。

パター型のインサイドキックの重心と支持基底面の説明画像

ここから前に移動するとしたら、このままの体勢では重心移動が出来ません。
ここから抗重力筋を使って頑張って走る…という体重移動になってしまうのです。

そうした対処法として有効なのが、体幹ひねりを使ったインサイドキックです。

このキックの特徴の一つは、バックスイング~フォロースルーにかけて体幹のひねりを使う点です。

体幹ひねりは、キック動作の時に体幹と上半身の骨格(特に背骨)を捻ります。
そうすると、フォロースルーの後で「捻り」を元に戻そうとする反射作用が起きます。

体幹ひねりを使ったインサイドキックの連続写真

これはスポンジを雑巾絞りのようにひねった時に手を離すと元通りになる…という現象と同じことです。
つまり体幹ひねりの巻き戻しが起きるわけです。

これによりフォロースルーが終わると体が自然に正面を向くため、その動きに連れて蹴り足も一歩踏み出るのです。
しかもこの巻き戻しは反射作用なので無意識のうちに起こります。

そうした点では育成年代の子供たちにはぜひ覚えてほしい蹴り方ですね。

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4.重心移動と骨盤前傾

重心移動を使うと初動のスピードが速くなり、抗重力筋に依存しないので疲れにくいという利点があります。
ところが日本人は胴長短足で低重心であり、しかも骨盤の形状が良くありません。
そうすると、せっかく重心移動を覚えても効果が乏しくなります。
そこで、ここでは重心移動と骨盤前傾の関係、改善方法などについて解説します。

(1)骨盤の形状と重心の位置

ヒトの骨盤の形状は大きく3つに分けることが出来ます

骨盤の3つの形状(骨盤前傾、骨盤直立、骨盤後傾)の説明画像

骨盤前傾は海外のサッカー選手に多いタイプで、S字カーブとつま先重心が特徴です。
そのためバネ作用が使えて、腸腰筋やハムストリングス(体を前に動かす筋肉)が発達するので身体能力が高いというメリットがあります。
また前に向かって走るという点では、前傾姿勢が取りやすいという構造上の利点もあります。

そもそもドリブルをする時は左右の重心移動があったとしても、最終的には前に向う動きが必要です。

ドリブルは左右の重心移動があっても最終的には前に向う動きの説明画像

また、一対一の時のディフェンスはバックステップを使って下がりますが、最終的にはボールの進行方向、つまり前に向かう動きが重要なのです。

ディフェンスはバックステップを使って下がっても最終的には前に向かう動きの説明画像

要するにサッカーは前に向かって走ることが当たり前のスポーツなのです。

そうした点では骨盤前傾の優位性はかなり高いです。

一方、骨盤直立と骨盤後傾はどちらもS字カーブが未熟で、カカト重心になりがちです。
骨盤直立は日本の選手に多く日常生活では問題ありませんが、サッカーのプレーのパフォーマンスは発揮し難い形状です。
しかも骨盤前傾と比べて前傾姿勢が取り難くて前に向かう推進力が低いため、走る動作には致命的な欠点があります。

一部のメディアでは骨盤直立が理想的という見解もありますが、これは日常生活に限定したものであってそもそもアスリートには適しません。

なお骨盤後傾はいわゆる猫背でありスポーツには向きません。
そこで次からは、海外選手に多い骨盤前傾と日本人選手に多い骨盤直立の違いに絞って考えてみましょう。

(2)骨盤の形状と重心移動の違い

骨盤前傾はつま先重心で骨盤直立はカカト重心という違いがありますが、これによって重心移動にも差が見られます。

立った姿勢から前に倒れて走り出すという、重力落下による重心移動を比較すると特徴的な違いが見られます。

骨盤前傾と骨盤直立の重心移動の説明画像

骨盤前傾はつま先重心なので、重心が支持基底面の外に出やすい構造になっています。
これは走り出しの初動が速くなることを意味します。

一方、骨盤直立はカカト重心なので、重心が支持基底面の中に止まりやすい(外に出難い)構造になっています。
これは走り出しの初動が遅くなることを意味します。

この状態で初動を速くするとしたら、地面を蹴って走り出すという抗重力筋に依存した動作(体重移動)が必要になります。
つまり骨盤直立は体重移動になりやすいということです。

しかも骨盤前傾のように腸腰筋やハムストリングスが発達し難いので、大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)を使うケースが多くなります。
そもそも太ももの前の筋肉は体にブレーキを掛ける時に使う筋肉です。
そうすると走るためにはあまり関係のない筋肉を使うわけであり、ムダな疲労が溜まるため、プレーのパフォーマンスが低下するという悪循環になるだけです。

やはり日本人選手は骨盤直立が多いので、いくら重心移動の練習をしても骨盤前傾の多い海外の選手には太刀打ちできません。

根本的な問題としては骨盤前傾に改善するしかないのです。

ちなみに日本代表の宇佐美選手は典型的な猫背のため、プレーのパフォーマンスがあまり高くはありません。
たぶん骨盤後傾ではないかと思います。

ドリブル姿勢を見ると、海外のドリブラーのように前傾姿勢が取れず体が立っています。

日本代表の宇佐美選手の猫背のドリブル

日本ではドリブル姿勢は直立が望ましいとされていますが、これは大きな間違いです。

私の息子「とも」は典型的な骨盤前傾ですが、ドリブルをする時は局面に応じて姿勢を使い分けています。
運ぶドリブルと突破のドリブルの比較画像

骨盤前傾は全身のバネ作用を使うことが出来ますし、腸腰筋・ハムストリングが発達します。
そのためスピードと敏捷性も高いことから、突破の時に威力を発揮します。
また運ぶドリブルの時は単に上体を起こせば視野を確保できるので、特に何の問題もありません。

参考記事:サッカーのドリブルの姿勢で正しいのは前傾?それとも直立?

一方、宇佐美選手はアジリティが高そうに見えますが、これは体重移動を使って自分の筋肉を酷使しているだけです。
そのため試合後半にはよくスタミナ切れをよく起こします。
彼が日本代表に定着しないのは、こうしたところにも原因があるのではないかと思います。

(3)骨盤前傾への改善法

骨盤前傾に改善するためには次のトレーニングが効果的です。

① 骨盤前傾トレーニング

① カカトを浮かして、つま先立ちになる。
② 背筋を伸ばして胸を張り、お尻を突き出す姿勢を保つ。
③ 一日あたり30秒~1分くらい。
※必要以上に練習し過ぎるとかえって背骨の発達に影響を及ぼすので注意してください。

② 前傾姿勢トレーニング

前傾姿勢を維持するために、背骨、背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎを使って、上体を支える感覚を身に付けてください。
ドリブルを練習する時は、常にこの姿勢を意識しましょう。

骨盤前傾トレーニングの説明画像

① 軽くヒザを曲げて腰を落とす。
② 足の指を使ってグリップする(つま先立ちはしないこと)。
③ 背骨、背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎを意識する(身体の後ろ側に気持ちを向けるだけで良い)。
※最初のうちは背骨と4つの筋肉にハリが出やすいので、その際は適宜休むようにしてください。

以上ですが、重心移動を効果的に習得するためにも、ぜひ骨盤前傾に改善しましょう。

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5.重心移動の練習法

これまでサッカーのプレーに役立つ重心移動の使い方を解説しました。

その中でもっぱら繰り返し解説したことは、

・膝抜きや体幹ひねりを使った重力落下。
・重力落下を利用した地面反力。
・重心を支持基底面の前に出して、走る。
・重心を支持基底面の後ろに下げて、止まる。

こうした動きを見に付けるためには日ごろからのトレーニングが必要です。

また鬼木さんの書籍では無意識で重心移動が使えるまで練習する…とありますが、そんな苦労は無用です。
もっと簡単に身に付ける方法はあるのです。

そこで、ここでは重心移動を効果的に覚えるための練習法について解説します。

(1)一本歯下駄トレーニング

一本歯下駄トレーニングは重心移動を身に付けるための最大で最高の効果的な練習法です。
実際にも私の息子「とも」は小学二年生から続けていますし、基本的にはこれ以外の練習法はしていません。
でも効果のほどは、これまで解説したとおり身をもって証明しています。

特に一本歯下駄トレーニングの効果は5つあります。
・バランス感覚が身に付く。
・全身のバネ作用が覚醒する。
・高重心になる。
・足のアーチと足指が鍛えられる。
・二軸動作が身に付く。

一本歯下駄トレーニングをする中学生

一本歯下駄を履いてトレーニングすると体の重心バランスが不安定になります。
これはバレリーナのつま先立ちや、フィギュアスケートでスケート靴を履いている状態よりもはるかに不安定です。
※ここが最も重要なポイントです。

そうすると無意識かつ反射的に全身の骨格と筋肉が働いて、自分の体が勝手に反応して重心バランスを安定しようとするのです。
その結果、ヒトが生まれ持ったバランス機能を目覚めさせるわけです。

そもそも重心移動はヒトが持って生まれた能力なので、本来は誰でも使えるテクニックです。
ところが幼少期から抗重力筋に依存して生活する習慣が身に付いたため、重心移動が上手く使えなくなっただけなのです。

そうした点では極めて効果的なトレーニングです。

私のブログの読者でも、すでに数多くの方が実践していただいています。
ぜひ参考にしてください。

練習メニューはこちら

一本歯下駄トレーニング!サッカー向け練習メニュー22選

基本理論の解説はこちら

一本歯下駄の効果!身体能力アップに役立つ5つの理由!

※ちなみに私は下駄の販売業者の回し者ではありません(笑)。

(2)膝抜き歩き

膝抜きを覚えると抗重力筋に依存しない重力落下と地面反力が使えるようになります。
そうすると重心移動がスムーズになります。

慣れて来たら同じようにして階段も降りてみましょう。

ただし先ほどの「一本歯下駄トレーニング!サッカー向け練習メニュー22選」の記事の中には、膝抜きの練習法もあるので、一本歯下駄トレーニングを続けている場合は、特に必要ありません。

(3)重力落下

次は重力落下の感覚を覚えましょう。
膝と股関節を脱力して立った状態から、ボールを落としてキャッチします。
この時は特にキャッチ出来なくても構いません。
大切なことは体の力を抜いて、ストーンと一気にしゃがみ込むことです。
何度も繰り返して無意識のうちに重力落下が出来るようにしましょう。

ただしこの練習法も、一本歯下駄トレーニングの練習メニューを続ければ自然と身に付く能力です。

(4)重心移動体操

この体操はサッカーの切り返し動作やターンに必要な重心移動の練習です。
小学校低学年や幼児など、三半規管が未熟な子供もいると思います。
もしも気分が悪くなったりしたら無理をしないで休んでください。

ただしこの練習法も、一本歯下駄トレーニングの練習メニューを続ければ自然と身に付く能力です。

ちなみに先ほどの鬼木さんは反復横跳びは体重移動と考えているようですが、これは大きな間違いです。
たぶん重心と支持基底面の関係を誤解しているのでしょう。

反復横跳びも重心移動を使えばほとんど疲れずスピーディに出来るようになるのです。

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6.まとめ

これまで解説した重心移動とサッカーの関係を一通りまとめてみましょう。
(1)重心の基本理論として、重力と地面反力、身体重心、支持基底面の考え方を理解する。
(2)重心移動と体重移動の最も大きな違いは抗重力筋の使い方にある。
(3)重心移動を使って前後左右と上下の効率的な動作を身に付ける。
(4)重心移動を効果的に使うために骨盤前傾に改善する。

特にサッカーのプレーに役立つ重心移動の使い方として、もっぱら繰り返して解説したことが4つあります。
・膝抜きや体幹ひねりを使った重力落下。
・重力落下を利用した地面反力。
・重心を支持基底面の前に出して、走る。
・重心を支持基底面の後ろに下げて、止まる。

そうした重心移動を身に付けるためには、一本歯下駄トレーニングが最大で最高の練習法である点も解説しました。

こうした場合、日本のサッカー指導では一つ一つの動作を速くするためには筋力を付ける…という考え方が一般的です。
そればかりではなくドリブル、キック、トラップなどのパワーとスピードの源は筋トレにある…などの考え方が蔓延しています。

でもこれは大きな間違いです。
なぜなら子供たちがそうした考えを持った時点で、あたかも体重移動が当然…と理解してまうからです。
もちろん筋トレ自体は大切ですが、先ずは正しい重心移動を身に付ける方が先なのではないでしょうか?

私としてはぜひ多くの指導者がきちんと勉強され、一人でも多くの子供たちが正しい重心移動を身に付けてサッカーが上手くなってほしいと願っています。
 

【画像引用:Youtube.com サカイク
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