【重心移動の練習法】
ここでは、サッカーのプレーで重心移動を使いこなすために、次の4つの練習法を紹介します。
(1)一本歯下駄トレーニング
(2)膝抜き歩き
(3)重力落下
(4)重心移動体操
(1)一本歯下駄トレーニング
一本歯下駄トレーニングは、重心移動を身に付けるための最も効果的な練習法です。
実際にも私の息子「とも」は小学二年生から続けていますが、基本的にはこれ以外の練習法はしていません。
でも効果のほどは、これまで解説したとおり身をもって証明しています。
特に一本歯下駄トレーニングの効果は5つあります。
①バランス感覚が身に付く。
②全身のバネ作用が覚醒する。
③高重心になる。
④足のアーチと足指が鍛えられる。
⑤二軸動作が身に付く。
このトレーニングで重心移動が身に付く最大の理由は、一本歯下駄を履いてトレーニングすると体の重心バランスが不安定になるからです。
これはバレリーナのつま先立ちや、フィギュアスケートでスケート靴を履いている状態よりもはるかに不安定です(※ここが最も重要なポイントです)。
そうすると無意識かつ反射的に全身の骨格と筋肉が働き、自分の体が勝手に反応して重心バランスを安定しようとするのです。
その結果、ヒトが本来生まれ持ったバランス機能が目覚めて、スムーズに重心移動を始めるわけですね。
そもそも重心移動はヒトが持って生まれた能力なので、本来は誰でも使えるテクニックです。
ところが幼少期から抗重力筋に依存して生活する習慣が身に付いたため、重心移動が上手く使えなくなっただけなのです。
そうした点では、極めて効果的なトレーニングです。
私のブログの読者でも、すでに数多くの方が実践していただいているので、ぜひ参考にしてください。
※ちなみに、私は下駄の販売業者の回し者ではありません(笑)。
(2)膝抜き歩き
膝抜きを覚えると、自然な重力落下と地面反力が使えるようになります(抗重力筋に依存しない)。
そうすると重心移動がスムーズになります。
次の動画の動きを真似してください。
慣れて来たら同じようにして階段も降りてみましょう。
ただし先ほどの「一本歯下駄トレーニング!サッカー向け練習メニュー22選」の記事の中に、膝抜きの練習法もあるので、一本歯下駄トレーニングを続けている方は、この練習は不要です。
(3)重力落下
次は、重力落下の感覚を覚えましょう。
立った状態で膝と股関節を脱力し、ボールを落としてキャッチします。
この時は、特にキャッチ出来なくても構いません。
大切なことは、体の力を抜いて、ストーンと一気にしゃがみ込むことです。
何度も繰り返して、無意識のうちに重力落下が出来るようにしましょう。
ただし、この練習法も、一本歯下駄トレーニングの練習メニューを続ければ自然と身に付く能力なので、一本歯下駄トレーニングをしている場合は不要です。
(4)重心移動体操
この体操は、ドリブルの切り返し動作やターンに必要な重心移動の練習です。
小学校低学年や幼児など、三半規管が未熟な子供もいると思います。
もしも気分が悪くなったりしたら無理をしないで休んでください。
ただしこの練習法も、一本歯下駄トレーニングの練習メニューを続ければ自然と身に付く能力です。
ちなみに先ほどの鬼木さんは反復横跳びは体重移動と考えているようですが、これは大きな間違いです。
たぶん重心と支持基底面の関係を誤解しているのでしょう。
反復横跳びも、重心移動を使えば、ほとんど疲れずスピーディに出来るようになるのです。
スポンサーリンク
【まとめ】
これまで解説した重心移動とサッカーの関係を一通りまとめてみましょう。
(1)重心の基本の仕組みとして、重力と地面反力、身体重心、支持基底面の考え方を理解する。
(2)重心移動と体重移動の最も大きな違いは抗重力筋に頼って動くのか?どうか?にある。
(3)重心移動を使って前後左右と上下の効率的な動作を身に付ける。
(4)重心移動を効果的に使うために骨盤前傾に改善する。
特にサッカーのプレーに役立つ重心移動の使い方として、もっぱら繰り返して解説したことが4つありましたよね。
・膝抜きや体幹ひねりを使った重力落下。
・重力落下を利用して地面反力を得る。
・重心を支持基底面の外(前)に出して、走る。
・重心を支持基底面の後ろに下げて、止まる。
こうした重心移動を身に付けるためには、一本歯下駄トレーニングが最大で最高の練習法である点も解説しました。
これに対して、日本のサッカー指導は、動きを速くするためには筋力を付ける!というおかしな考え方が蔓延しています。
そればかりではなくドリブル、キック、トラップなどのパワーとスピードの源は筋トレにある…などの考え方もあります。
でもこれは大きな間違いで、抗重力筋を鍛えて体重移動をやりましょう…というのと同じことですよね。
もちろん筋トレ自体は大切ですが、先ずは正しい重心移動を身に付ける方が先なのではないでしょうか?
私としては、ぜひ多くの指導者がきちんと勉強され、一人でも多くの子供たちが正しい重心移動を身に付けてサッカーが上手くなってほしいと願っています。
【画像引用:Youtube.com サカイク】