ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

幼児がサッカーを始める前の注意点!正しい練習法とは?

 幼児がサッカーの練習をするとしたら、何をやれば良いと思いますか?
 ボールタッチ?リフティング?ドリブル?キック?
 また、サッカーを始めるのなら早ければ早いほど良いと思いますか?

 でも、そうした考えは今すぐ止めましょう。

 親として、幼児期の子供がサッカーするうえで大切なことは、将来のために今は何をするべきか?という考えを持つことです。

 そこで、今回は幼児とサッカーの関係について解説します。

スポンサーリンク

1.幼児期からサッカーを始める意味

 試しに、ネットで「サッカー 幼児」などと検索してみてください。
 そうすると、幼児向けの練習メニューがいろいろと出て来ます。
 また幼児向けのスクールの情報も見られますね。
 そうしてサッカーを始めると楽しくなって、小学生になっても続けるでしょう。

 でもそのようにして成長した幼児にとっては、実は将来いろいろな弊害があることも理解しておきましょう。

(1)幼児期のサッカーと弊害

 サッカーは野球やテニスなどと同じで、特定の筋肉や関節を使い続けるスポーツです。
 そもそもスポーツは専門特化したテクニックを身に付ける運動なので、成長が未熟な幼児にとっては体に過度な負担をかけます。
 そうした場合、数年程度の期間をかけていろいろな運動を経験させるという、いわば準備期間が必要です。

 一昔前であれば、鬼ごっこや追いかけっこ、木登りや川遊び、キャッチボールやドッヂボールなどの遊びを通じて自然と運動能力を養成したものです。
 実は、こうした外遊びはSAQ(スピード、アジリティ、クイックネス)やコーディネーショントレーニングにも役立っていたのです。

 ところが現代の幼児期の子供たちは、そうした運動経験のない状態で、いきなりサッカーなどの専門的なスポーツを始めてしまうことが多いです。

 そうして成長した子供たちは、単にボールを蹴ることは出来ても狙った通りに蹴れない、俊敏な動きが出来ないなど、意外と上手くならないことがあります。
 これは自分の思い通りに体を動かすことが出来ないという、コーディネーション能力やSAQ能力が欠如していることを意味します。
 そうした点で、子供にとっての伸び悩み…という大きな問題が訪れるのです。

 一方、スキャモンの成長曲線によれば、神経系の発達は概ね6歳頃で成人の90%程度になります。
 これは、6歳頃までに様々な運動経験を積んで脳神経を発達させてからサッカーを始めないと、運動能力がアンバランスに成長してしまうことを意味します。

スキャモンの成長曲線

 また、子供は足だけを使ってサッカーをすることが多いので、上半身が華奢になり、鉄棒が苦手、マット運動が出来ない、小学校高学年になっても一年生並みの握力しか出せない…という偏った成長をするケースが多いです。

 つまり、幼児期の子供は、幼少期にいろいろな運動経験を積まないとサッカーが上手くならないのです。

 もっと簡単に言えば、幼児期にサッカーをさせるということは、足し算や引き算がよく分からないうちに、方程式や二次関数を勉強するようなものです。

スポンサーリンク

(2)幼児とサッカースクール

 最近は、幼児向けのサッカースクールやクラブが多くなりました。
 そうしたスクールでは、ボールを使った遊びから始め、ドリブルやキックなども一通り教えてくれます。
 親としても始めるなら早い方が良い…ということで、スクールの指導にも大いに期待するでしょう。

 そうした場合、本来であれば、幼児に対してボールを使わないようなコーディネーショントレーニングやSAQなどの基礎的な運動能力を高める必要があります。
 また一昔前の外遊びに似たような、基礎的なフィジカルトレーニングも必要でしょう。

 でもスクールやクラブは、あくまでも営業という目的があります。
 限られた練習時間の中でいろいろなテクニックを指導する必要がありますし、幼児から始めた子は小学校に入学しても続けてもらえるという意図もあるでしょう。
 そのため、どうしても専門的なテクニックを教えなくてはならないのです。

 たくさんゲームをさせて幼児に楽しませないと飽きてしまいますし、親としても「どうしてサッカーを教えてくれないのだろう?」と疑問を抱いて辞めるのを防ぐ必要があるのです。

 これはスクールやクラブ側の問題かも知れません。
 でも親自身が、コーディネーショントレーニング、SAQ、一昔前の外遊びの重要性を理解していないことにも原因があります。

 私は30年前にブラジルサンパウロのサッカークラブでジュニアとジュニアユースのアシスタントコーチをしていました。
 その頃、子供たちが街中の至る所でストリートサッカーをしていたのをよく見かけました。

 また、サッカーばかりではありません。
 木登りや川遊び、日本の追いかけっこのような遊びもありました。
 そうした、いろいろな運動経験を経てクラブに入団して成長したのです。

 そうした意味では、現代の日本で幼児期からスクールやクラブに入会することは、基礎的な運動経験の機会を逸してしまうという点にも注意が必要なのです。

スポンサーリンク

(3)幼児期のサッカーと多様な運動経験

 幼児期からサッカーを始めた子供たちは、小中高と続けながら順調に成長する一方で、途中で止めてしまう場合も多いです。

 この場合、幼児期の子供は筋肉や骨格が未熟なため、サッカー特有の「蹴る」「走る」などの繰り返し動作によりケガの発症率が大人よりも高くなります。
 また、そうした問題を抱えながら成長するので、慢性的な障害が多発しやすくなります。
 実際にも、小学生年代から膝や足首が痛いなどと訴える子供は多いはずです。

 一方、早期からサッカーを始めるということは。幼児期の多様な運動経験が乏しいことにもなるため、いくら頑張って練習してもなかなか上手くならないという現象も起こります。

 これに対して、どうせなら早く始めた方が良い…。頑張って練習を続ければ必ず上手くなる…。などの誤った考えも蔓延しています。

 これは、ひとえに幼少期からサッカーを始めてしまうという、スポーツの早期専門化から来る問題です。

 もちろん、水泳、体操、フィギュアスケートのように、選手としてのピークが早いスポーツは早期に始めた方が良いでしょう。

 でもサッカーは18歳のユース年代までは育成期間です。
 そうするとサッカー選手として長期的な視点に立って育てるという考えが必要です。
 このように考えると、幼児期からサッカーに特化した練習を始めることは子供の成長にとって極めてナンセンスです。

 私が思うにスポーツの早期専門化ではなく、早期多様化を考えた方が良いと考えます。

 実際にも、元日本代表の本田圭佑は、幼少期に水泳、バスケットボール、野球、卓球などを経験しています。
 元なでしこジャパンの澤穂希は、3歳~12歳まで水泳を習っていました。
変わったところでは、元フランス代表のジダンが柔道をしていたことも有名です。

 要するに幼児期から多様な運動経験を積ませた方が、子供の後々のサッカー人生には必ずメリットになるのは間違いないのです。

 さて次は、幼児期に必要なサッカーに役立つ練習メニューを解説します。
 ぜひお読みください!

 ※この続きは、すぐ下の四角のボタン「2」を押してください。