幼児がサッカーの練習をするとしたら、何をやれば良いでしょう?ボールタッチ?リフティング?ドリブル?キック?
また、サッカーを始めるのなら早ければ早いほど良いと思いますか?
実は幼児がサッカーを始める前に、ぜひ知っておいていただきたい点が3つあります。
そこで、今回は幼児がサッカーを始める時の3つの注意点、幼児向けの練習法について解説します。
ぜひ、子育ての参考にしてください。
※この記事は2つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。
1ページ目(このページに書いてあります)
【幼児がサッカーを始める時の3つの注意点】
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【幼児期に必要な練習メニュー】
【まとめ】
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幼児がサッカーを始める時の3つの注意点
幼児がサッカーを始める前に、ぜひ知っておいてほしい点が3つあります。
(1)幼児期のサッカーと弊害
(2)幼児とサッカースクール
(3)幼児期の多様な運動経験
そこで、次に3つの点を詳しく解説します。
(1)幼児期のサッカーと弊害
サッカーは野球やテニスなどと同じで、特定の筋肉や関節を使い続けるスポーツです。
また、スポーツは専門特化したテクニックを身に付ける運動なので、成長が未熟な幼児にとっては体に大きな負担をかけます。
そのため、数年程度の期間をかけていろいろな運動を経験させるという、いわば準備期間が必要なのです。
一昔前であれば、鬼ごっこや追いかけっこ、木登りや川遊び、キャッチボールやドッヂボールなどの遊びを通じて自然と基礎的な運動能力を養成したものです。
実は、こうした外遊びはSAQ(スピード、アジリティ、クイックネス)やコーディネーショントレーニングにも役立っていたのです。
ところが現代の幼児期の子供たちは、そうした運動経験のない状態で、いきなりサッカーなどの専門的なスポーツを始めてしまうことが多いですよね。
そうして成長した子供たちは、狙った通りにボールが蹴れない、俊敏な動きが出来ないなど、意外と上手くならないことがあります。
これは自分の思い通りに体を動かすことが出来ないという、コーディネーション能力やSAQ能力が欠けているからです。
そうした点で、多様な運動経験のあった子と比べると、早期にサッカーを始めた子は伸び悩み…という大きな問題が訪れます。
その一方で、スキャモンの成長曲線によれば、神経系の発達は概ね6歳頃で成人の90%程度になります。
これは、6歳頃までに様々な運動経験を積んで脳神経を発達させてからサッカーを始めないと、運動能力がアンバランスに成長してしまうことを意味します。
また、子供は足だけを使ってサッカーをすることが多いので、上半身が華奢になり、鉄棒が苦手、マット運動が出来ない、小学校高学年になっても一年生並みの握力しか出せない…という偏った成長をするケースも多いです。
つまり、幼児期の子供は、出来るだけいろいろな運動経験を積ませる方が良いわけですね。
もっと簡単に言えば、幼児期にサッカーをやらせるというのは、足し算や引き算がよく分からないうちに、方程式や二次関数を勉強するようなものです。
特に幼児期からサッカーをさせる場合は、こうした点にもご注意ください。
さて次は、幼児のサッカースクール、多様な運動経験について解説します。
(2)幼児とサッカースクール
最近は、幼児向けのサッカースクールやクラブが多くなりました。
そうしたスクールでは、ボールを使った遊びから始め、ドリブルやキックなども一通り教えてくれます。
親としても始めるなら早い方が良い…ということで、スクールの指導にも大いに期待するでしょう。
そうした場合、本来であれば、ボールを使わないコーディネーショントレーニングやSAQ(スピード、アジリティ、クイックネス)などの能力を高める必要があります。
また昔の遊び(鬼ごっこや追いかけっこ)に似たような、基礎的なフィジカルトレーニングも必要でしょう。
でもスクールやクラブは、あくまでも営業という目的があります。
だから、限られた練習時間の中でいろいろなテクニックを教える必要がありますし、小学校に入学してからも続けてほしいという意図もあるでしょう。
そのため、どうしても専門的なテクニックを教えなくてはならないのです。
また、たくさんゲームをさせて幼児に楽しませないと飽きてしまいますし、親としても「どうしてサッカーを教えてくれないのだろう?」と疑問を抱いて辞めるのを防ぐ必要があります。
そうした意味でも、どうしてもサッカーだけを教えなくてはならない…というわけですね。
これはスクールやクラブ側の問題かも知れません。
でも親自身が、コーディネーショントレーニング、SAQ、昔の外遊びの重要性を理解していないことにも原因があります。
私は30年前にブラジルサンパウロのサッカークラブでジュニアとジュニアユースのアシスタントコーチをしていました。
その頃、子供たちが街中の至る所でストリートサッカーをしていたのをよく見かけています。
でも、子供たちはサッカーばかりやっていたわけではありません。
木登りや川遊び、日本の追いかけっこのような遊びもありました。
子供たちは、そうしたいろいろな運動経験を経てクラブに入団して成長したのです。
そうした意味では、幼児期からサッカースクールやクラブに入会することは、基礎的な運動経験の機会を逸してしまうという点にも注意が必要なのです。
(3)幼児期の多様な運動経験
幼児期からサッカーを始めた子供たちは、小中高と続けながら順調に成長する一方で、慢性的なケガなどによって途中で止めてしまう場合も多いです。
そうした原因の多くは、幼児期の子供の筋肉や骨格が未熟なため、サッカー特有の「蹴る」「走る」などの繰り返し動作によるケガの発症率が大人よりも高いからです(特に関節)。
また、そうした問題を抱えながら成長するので、慢性的な障害も多くなります。
実際にも、小学生年代から膝や足首が痛いなどと訴える子供は多いはずです。
その一方で、早期からサッカーを始めるのは、幼児期の多様な運動経験が乏しいため、いくら頑張って練習してもなかなか上手くならないという現象も起こります。
これは、先ほども解説したとおり、コーディネーション能力やSAQ能力が低いということですね。
その一方では、どうせなら早く始めた方が良い…。頑張って練習を続ければ必ず上手くなる…。などの誤った考えもあります。
これは、ひとえに幼少期からサッカーを始めてしまうという、スポーツの早期専門化から来る問題です。
もちろん、水泳、体操、フィギュアスケートのように、選手としてのピークが早いスポーツは早期に始めた方が良いでしょう。
でもサッカーは18歳のユース年代までは育成期間のため、サッカー選手として長期的な視点に立って育てるという考えが必要です。
このように考えると、幼児期からサッカーに特化した練習を始めることは、子供の成長にとっては必ずしも正しいとは言えません。
私が思うに、こうしたスポーツの早期専門化ではなく、早期多様化を考えた方が良いと考えます。
例えば、元日本代表の本田圭佑は、幼少期に水泳、バスケットボール、野球、卓球などを経験しています。
元なでしこジャパンの澤穂希は、3歳~12歳まで水泳を習っていました。
変わったところでは、元フランス代表のジダンが柔道をしていたことも有名です。
要するに幼児期から多様な運動経験を積ませた方が、子供の後々のサッカー人生には必ずメリットになるのは間違いないのです。
さて次は、幼児期に必要なサッカーに役立つ練習メニューを解説します。
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