ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

コントロール・オリオンタードとは何か?ブスケツに学ぶ!

コントロール・オリエンタードはサッカーの基礎基本です。

ところが多くの日本人はこの意味を分かっているつもりでも、意外と理解していないと思います。

そこで今回はコントロール・オリエンタードとは何か?3つの大切な点について解説します。

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【コントロール・オリエンタードとは】

日本では、コントロール・オリエンタードを「方向付けのトラップ」と解釈しています。

次の動画では「何気ないようだけど、これを知っているとボールが奪われない…」と解説していますよね。

こうした言葉の意味を、あなたはきちんと理解出来ますか?

この場合「トラップする時にピタッと止めるのではなく、少し前に出せば良い…」という程度の理解だったら、それは形を真似しただけに過ぎません。

そもそもこのスキルは、パスを受ける時にボールを足元に止めると相手に奪われやすいから、動かして守らないといけない…という発想が根底にあります。

つまりコントロール・オリエンタードには、ボールを守るとか奪われないとかのサッカーの基礎基本の考えが集約されているのです。

先ほどの動画では「スペインでは小さい頃(6歳くらい)から子供たちに教えている…」と言っていましたよね。

これは幼少期の子に「サッカーはみんなでボールを繋ぐ…、だからボールを奪われてはいけない…、そのためにはどうしたら良いのか…」などの基本をきちんと理解させていることを意味します。

これに対して日本の6歳くらいの子は団子サッカー真っ盛りですし、こうした状況は8歳くらいまで続きますよね。

そうすると日本とスペインの子供を比べると、ジュニア年代の初期の時点ですでに3年ほどの差が付いてしまっているわけです。

そうした意味でコントロール・オリエンタードを表面的なスキルと考えるのではなく、やはりサッカーの基礎基本として理解するべきでしょう。

さて次はコントロール・オリエンタードを理解するために大切な3つの点について解説します。

【3つの大切な点】

次の動画は、FCバルセロナのブスケツがボールコントロールについて説明したものです。

その際、彼はコントロール・オリエンタードの3つの大切な点を説明しています。

(1)パスを繋ぐ役割

ブスケツは、パスを受けてから出すまでの一連のプレーを全てコントロール・オリエンタードと考えているようです。

また、そのために必要なのはボールを奪われずに繋ぐ役割をきちんと果たすという発想です。

これはA⇒B⇒Cとパスを繋ぐ場合に、自分がBであったとしたらAからCに繋ぐという中継地点の役割を意味します(リレーでバトンを繋ぐのと同じ)。

そうすることで、初めてチームとしてのプレーの連続性が成り立つのです。

これは当たり前のように思えますが、日本では必ずしも出来ていないことが多いです。

なぜなら、日本ではパスの出し手と受け手という2人の関係性を重視するからです。

この場合、A⇒Bにパスを繋いでも、次は改めてB⇒Cの関係になるということで、そのつどプレーが途切れることを意味します(ワンテンポ遅くなる)。

これに対してブスケツはA⇒B⇒Cだけではなく、例えばD⇒E⇒F⇒Gくらいの先を見通したチームプレーの連続性を考えているそうです(テンポが速くなる)。

そのために、チーム全員の共通認識が必要なのは言うまでもありません。

こうした考え方はパスの本質を出し手と受け手という個々の選手の問題で考える日本と、チームでボールを繋ぐというスペインの違いとも言えるのではないでしょうか?

またそうした点を踏まえると次のプレーがやり易いところにボールをコントロールするとか、簡単に足元にトラップするのではなくボールは常に動かすもの…という発想が生まれるのは当たり前のことだと思います。

以前、私はクッションコントロール型のインサイドトラップのやり方を紹介した時に次のように解説しています。

トラップはボールタッチの一つとして考え、止め方の問題ではなく、次のプレーのスムーズな切り替えやすさを重視すべきだと思います。

(中略)

インサイドトラップは単に止めるだけのスキルではなく、次のプレーに繋げるためのテクニックとして覚えてこそ本当の基礎基本なのです。

この意味がお分かりですか?

トラップは単に止めるだけだと思いますか?

そうした点を考えるとパスの基本はボールを止めてから蹴る…というよりも、チームとしてボールを繋ぐことを考えるべきなのです。

またそのための大切な考え方が、コントロール・オリエンタードの基本的な発想になるわけです。

(2)状況判断

先ほど、ブスケツは先を見通したチームプレーの連続性を考えている…と解説しましたよね。

これは状況判断のスピードと関係しますが、そのためにはたくさんの経験値が必要です。

経験値とは、パターン化された豊富な戦術を自分の知識としてあらかじめ蓄えておくことを意味します。

例えば次のようなバルサのU12の試合を見ると、パスがよく繋がりますし、個々の選手たちに次のプレーの迷いが見られませんよね。

これは練習によって身に付いた豊富な経験があるからです。

しかもバルサの子は必ずと言ってよいほど、ボールを繋ぐ方にきちんとコントロール・オリエンタードをしていますよね。

つまりブスケツの言った「先を見通したチームプレーの連続性」を考えるのであれば、コントロール・オリエンタードでボールを繋ぐ方向に動かすのは当たり前のことなのです。

これに対して日本では、コントロール・オリエンタードと状況判断を結び付ける発想はあまりないように思います。

その理由は子供たちが「トラップする時にピタッと止めるのではなく、少し前に出せば良い…」という程度に、形だけを覚えてしまうからではないでしょうか?

そうした点では、コントロール・オリエンタードを身に付けるためにいろいろなトレーニングをしたとしても状況判断が伴わない練習はほとんど意味がないと思います。

こうした状況は日本の指導者たちが気付くべき問題ですね。

(3)デスマルケ

デスマルケとは、日本では「マークを外す動き」と考えられています。

この場合にパスを例にすると、マークを外すのは受ける直前のオフザボールの問題とされることが多いと思います。

例えば、パスを受ける時にあらかじめスペースに入ってフリーになる…などですね。

でもブスケツによれば「試合中は常にフリーになれるわけではなく、パスを受けた後でも相手のプレスがあるのが当然なので、ボールをコントロールしてかわす必要がある…」と言います。

だから、次のようにボールを受けながらターンしたり、フェイクモーションを使ったり、浮き球を使ったするのは当然なのだそうです。

※こうしたスキルもコントロール・オリエンタードになるそうです。

つまりコントロール・オリエンタードでボールを動かすのは、すなわちマークを外すことに通じるのです。

もっと言えばコントロール・オリエンタードの考え方には、ボールを奪われずに繋ぐ役割をきちんと果たす(当然きちんとマークを外す)という発想があるので、デスマルケとは密接不可分の関係になるわけですね。

それでは、なぜスペインでデスマルケの考えが生まれたと思いますか?

それはスペインのサッカーが幼少期から体をぶつけ合うような激しいプレーをしているため、きちんとマークを外さないとボールが奪われてしまうからです。

これに対して日本ではフェアプレーが行き過ぎているので、激しいプレーがないことからデスマルケのような考え方が根付きません。

だから日本では、パスを受ける前にマークを外せばそれで十分…という幼稚な発想が生まれてしまうのです。

それにJリーグでは激しいプレスなんてほとんどありませんし、Jリーガーが海外のクラブに移籍するとプレーの激しさに驚いたりする…というのはよく聞きますよね。

そうした意味でコントロール・オリエンタードがスペインに根付いた背景には、日本とスペインのサッカーの違いもあるわけですね。

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【まとめ】

これまでコントロール・オリエンタードとは何か?3つの大切な点について解説しました。

この場合、コントロール・オリエンタードにはボールを守るとか奪われないとかのサッカーの基礎基本の考えが集約されていること、日本とスペインの子供を比べるとジュニア年代の初期の時点ですでに3~4年の差が付いてしまっている現実を理解しましょう。

またFCバルセロナのブスケツが説いた、パスを繋ぐ役割、状況判断、デスマルケという3つの大切な点は考えれば考えるほど奥が深いので、ぜひ覚えてください。

そもそもあなたが想像している以上に、スペインのサッカーは日本の先をはるかに進んでいますし、歴史そのものが長いのです。

だからこそ、きちんと学ぶ必要があるのです。

そうした意味で、ぜひ多くの日本の子供たちがコントロール・オリエンタードを正しく覚えてサッカー強豪国に追い付いてほしいと願っています。