ダイレクトパス(ワンタッチパス)を蹴ろうとしてボールが跳ねたり、左右に反れてしまう…というミスは良くありますよね。
そうした失敗を直す方法はいろいろありますが、実は根本的な原因は蹴り方の問題ではありません。
そこで今回はダイレクトパスの正しい蹴り方について解説します。
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1.ダイレクトパスとは?
日本でのダイレクトパス(ワンタッチパス)は、トラップをしないでワンタッチで別の選手にパスをする蹴り方…と教えます。
また、今や小学校1~2年生から教えるチームも多いようですね。
でもこうしたテクニックは、トラップの基本がきちんと出来ていないと上手く蹴れません。
なぜならダイレクトパスの本当の意味は、トラップとキックという2つのテクニックを同時にやるプレーだからです。
これに対して日本では、パスの方ばかり重視しているわけですね。
だからボールを押し出すように蹴るとか、ボールを軸足の横まで呼び込むのがコツだ…などの蹴り方だけの指導になるのです。
でもこうした指導をする前にトラップの基本を徹底的に教えるべきですし、そうしないといつまで経っても正確なダイレクトパスが蹴れません。
そこで、次にトラップとパス(蹴る)という2つのテクニックの関係について考えてみましょう。
2.日本に多いトラップとパス
日本でよく見られる一般的なトラップとパスは、次の中村選手のようなツータッチのやり方が多いです。
先ずトラップ(画像のA)はボールの中心よりもやや上に足を当て、軸足の少し前にボールを押し出すように止めます。
次にパス(画像のB)は、軸足をボールの横に踏込んで蹴ります。
こうしたトラップとパスの最も大きな違いは、ボールと軸足の位置関係です。
つまりトラップはボールを軸足の前で止めて、パスは軸足の横にボールを置くということですね。
これに対してダイレクトパスは、先ほどの画像のBのように軸足の横にボールが来た時点で蹴らないと間に合いません。
もしも力加減やタイミングが合わないとボールが跳ねてしまったり、左右に反らしてしまったり、何とか蹴れたとしても味方に正確なパスが出せない…、ということになるのです。
つまりダイレクトパスの失敗の原因の多くは、蹴る時のタイミングにあるわけですね。
特に中村選手のような止めて蹴るというツータッチのやり方に慣れた選手は、なかなかダイレクトプレーが上手くなりません。
でも、ここで素朴な疑問が湧いてきませんか?
それはタイミングが合わないのだったら、いっそのこと、いつも軸足の横でトラップしておけば簡単にダイレクトパスが覚えられるのではないか?という点です。
そこで次に、ダイレクトパスを簡単に覚えられるための汎用性の高いトラップについて解説します。
3.汎用性の高いインサイドトラップ
過去の記事で紹介したクッションコントロール型のインサイドトラップは、先ほど解説した日本で一般的とされる中村選手のような止め方ではありません。
次の2つの動画をご覧になるとよく分かりますが、押すでも引くでもなく、ボールの勢いを吸収する止め方です。
この止め方は動画の中でも解説しているとおり、足をコンニャクのようにするイメージですね。
試してみると分かりますが、どんなに強いボールでも不思議なくらいに止まりますよ。
また足を当てる場所はボールの中心あたりで、止める場所は軸足の横です。
※この時、そのままトラップしないで、強く蹴ればダイレクトパス(ワンタッチパス)が出来ます。
なぜならこのトラップは最初からインサイドキックを蹴る場所(つまりボールの中心)で止めていますよね。
そうするとダイレクトパスを蹴る時も、いつの間にかボールが軸足の横にあるタイミングで蹴れるようになるからです。しかも向かって来るボールに対して、いつの間にか蹴る時の力加減を身に付けてしまいます。
またダイレクトパスを蹴るのは、野球のバッティングでボールを引き付けて力負けしないで打ち返す(つまり力加減)…のと同じ原理なので小学校低学年でも簡単に覚えられますよ。
さらにトラップと同時にドリブルを始めたり、パス方向を変えたりするテクニックも身に付きます。
もちろん次のように(A)で強めにトラップして、(B)で少し前に弾き、(C)で一歩踏み込めば、中村選手のようにツータッチプレーも出来ます。
要するに、クッションコントロール型のインサイドトラップはタイミングと力加減を覚えるだけなので、すぐにいろいろなプレーに切り替えられるわけですね。
だから汎用性が高いのです。
それに小学校低学年でもすぐに覚えられますしね。
私は息子が小二の頃に教えたら、すぐに覚えましたよ。
もしも指導者がこのスキルを子供たちに教えるとしたら…。
これまで教えていた「ダイレクトパスはボールを押し出すように蹴る」とか「ボールを軸足の横まで呼び込む」などという指導は無意味であったことを理解しましょう。
あえて指導するとしたら、「タイミングと力加減に気を付けて!」と言うだけですね。
このように一度注意すれば、子供たちは後は勝手に感覚を掴んで覚えてくれます。
ちなみに先ほど解説したクッションコントロール型のインサイドトラップは、例えば元FCバルセロナのイニエスタやシャビ、日本代表であれば香川、長友、久保、中島などがよく使います。
この場合、彼らは密集地域でプレーすることが多く素早いプレーの切り替えが必要なために、こうしたスキルを覚えたのでしょう。
これに対して中村選手のような止め方と蹴り方に慣れた選手は、なかなかダイレクトプレーが上手くなりません。
なぜなら中村選手のようなツータッチのやり方とダイレクトパスのやり方を比べると、タイミングや力加減が全く違うからです。
そうした意味でダイレクトパスが上手くなるための方法は、実はトラップのやり方にあったと言っても過言ではないでしょう。
したがって日本でも幼少期からこうした汎用性の高いインサイドトラップを教えることで、簡単にダイレクトパスが覚えられるのです。
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4.まとめ
これまでダイレクトパスの正しい蹴り方と練習法について解説しました。
この場合、日本ではボールを押し出すように蹴るとか、ボールを軸足の横まで呼び込む…などの蹴り方だけの指導になることがあります。
でも、ダイレクトパスはトラップとキックという2つのテクニックを同時にやるプレーという特徴も理解するべきです。
また合わせて汎用性の高いトラップも教えるべきですし、そうしないと正確なパスを覚えられません。
そうした意味でぜひ多くの子供たちが、正しい蹴り方を覚えてダイレクトパスが上手くなってほしいと願っています。