日本では両足リフティングをよく練習しますが、これは1000回やっても1万回やってもサッカーにはあまり役立ちません。
なぜなら足踏みや歩く動作と同じなので、いくら繰り返してもほとんど意味がないからです。
ところが利き足リフティングを続けると、とても大切な3つの効果があります。
そこで今回は利き足リフティングの3つの効果を詳しく解説します。
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1.体幹と軸足が強くなる
利き足リフティングは、逆足(軸足)で体を支えるため、自然と軸足が鍛えられます。
また、体を支えるという点で体幹も強くなるのです。
そもそも、体幹と軸足の強化が必要な理由は、サッカーのほとんどのボールプレーが片足立ちだからです。
だからこそ、利き足リフティングという効果的なトレーニングが必要なのです。
そもそも片足立ちの姿勢は日常生活ではあまり必要としません。
なぜなら、ヒトの生活で立ったり歩いたりする時は両足を使うからです。
また歩いたり走ったりする時は、左右の足の軸を切り替えるだけなので体の負担を感じません。
そうすると日常生活では体幹や軸足を鍛える必要はないのです。
ところがサッカーのキック、ドリブル、トラップなどのプレーは片足立ちなので、利き足リフティングを練習して体幹と軸足を強化する必要があります。
逆の見方をすれば両足を使った練習ばかりすると、かえって体幹や軸足が弱いまま成長してしまうのです。
つまりキックやドリブルなどのプレーが不安定になるわけですね。
ちょんちょんリフティングがサッカーに役立つ驚きの効果
2.利き足のテクニックが上手くなる
利き足リフティングを練習して体幹と軸足を強化すると、利き足のテクニックが上手くなります。
これは建物と土台の関係に例えれば、すぐに理解出来るでしょう。
つまり強固な土台に作られた建物は地震があってもびくともしない…、そうしたことと同じなのです。
別の見方をすると土台を体幹や軸足とすれば、建物がサッカーのいろいろなテクニックと置き換えると分かりやすいと思います。
その一方で、海外の選手のプレーはレベルが高いが自分たちは見劣りする…。
だから、いろいろなテクニックをたくさん覚えないと上手くならない…。
もしもこのように考えていたとしたら、それは間違いです。
これを先ほどの建物と土台の関係に例えてみましょう。
高機能で見栄えの良いオシャレな建物(サッカーで言えばテクニック)を作ったとしても、軟弱な土台(サッカーで言えば体幹や軸足が弱い状態)の上に建っていたら、果たしてその家はどうなるでしょう?
答えは言うまでもありません。
あっという間に倒壊します。
でも多くの日本のサッカー選手は、先ずはいろいろなテクニックをたくさん覚える…などという勘違いをしています。
そうではなく土台と建物の関係のように、体幹と軸足が強いからこそテクニックが安定する…。
このような順序で、考えなくてはダメなのです。
要するに、サッカー選手としてトレーニングするべき順番が間違っているわけですね。
ちなみに海外のサッカー選手たちは幼少期から大人になるまで主に利き足でボールを扱い、逆足は軸足として使います。
そうした中で自然と体幹と軸足が鍛えられ、さらに利き足のテクニックも向上するという好循環の中で成長しています。
こうした点は、サッカー後進国の日本が見習うべきことですね。
さて、次は、リフティングと体の開きについて考えてみましょう。
3.体が開かない
利き足リフティングを練習して体幹と軸足が強くなり利き足のテクニックが安定すると、体が開かなくなります。
そこでドリブルを例にして、体の開きとプレーのパフォーマンスの関係を考えてみましょう。
体が開かないとは、利き足を前に出して軸足(逆足)を下げるという「半身」の姿勢です。
こうした基本の姿勢を身に付けることは、とても大切です。
なぜなら体が開かないことで、自分のパワーを一点に集中することが出来るからです。
ドリブルで言えば、パワーを一点集中できるので前に向かうための推進力が大きくなるということです。
しかも、一つ一つの動作がスピーディになります。
これはスポーツ全般に共通する考え方で、野球、テニス、バスケットボール、武道などでも、全て同じです。
その反対に体が開いて棒立ちになると力が分散(一点に集中できない)してしまうので、前に向かう推進力が発揮できません。
だからプレーの動作も遅くなるのです。
そもそも、ヒトの足は体の側面に付いているので、立った状態ではいつも体が開いています。
ところが、サッカーで体が開くと棒立ちになり、スピードとパワーが発揮できなくなってプレーの質が極端に落ちるわけですね。
そうした意味でも、体の開きを抑える必要があるのです。
ちなみに、日本では幼少期から利き足も逆足も同じように使えるように練習します。
いわゆる両足練習ですね。
ところがこのような両足練習を繰り返しても、両足を自在に使いこなせるほど、ヒトはそれほど器用ではありません。
しかも利き足は先天的なものですし、そもそも逆足を利き足と同じレベルにすることは出来ないのです。
それにも関わらず幼少期から両足練習を繰り返すと、身体の開きはもちろんですがドリブルの際に両足の間にボールを置く…という悪い習慣を身に付けてしまいます。
例えば次のようなトータップは、どこのクラブでも少年団でもよくやる練習ですよね。
でもこの練習は体が開くだけであって、サッカーのプレーにはほとんど意味がありません。
そもそも両足の間にボールを置くと半身の姿勢は維持できませんし、体の開きが習慣化するという悪循環に陥るのです。
ところが利き足のリフティングを毎日100回ずつでも練習すれば、早くて1ヶ月程度で体が開かなくなって、ドリブルの姿勢が良くなります。
また、子供でも大人でも男性でも女性でも、誰がやっても同じ結果になりますす。
ぜひ、多くの日本の子供たちに利き足リフティングを練習してほしいですね。
体が開くとは?サッカー指導者が気付かない両足練習の弊害
以上のように、これまでの解説の中で利き足リフティングの3つの効果がお分かりになったと思います。
そこで、こうした点を踏まえて日本の現状について、次に解説しましょう。
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4.両足リフティングは役に立たない
日本のサッカー指導で推奨されている両足リフティングは、ヒトが足踏みしたり歩いたりする動作と同じです。
だから、いくら練習してもサッカーが上手くなるということは期待できません。
そうした意味では、やはり利き足リフティングの方が効果的です。
なぜなら、これまで解説した3つの効果が出るからです。
(1)体幹と軸足が強くなる。
(2)利き足のテクニックが安定する。
(3)体が開かない。
もしも両足リフティングばかり練習したとしたら、子供たちはどうなると思いますか?
そうすると体幹や軸足は弱いままですし、ドリブルもキックも上達しません。
また両足リフティングは体を開いた状態を続けるのと同じなので、体の開きをますます悪化させます。
いずれにしても、両足リフティングはサッカーにとってそれほど効果があるわけではない…。
そうした点は、ぜひご理解ください。
リフティングのコツと練習法!小二の子供がたった一ヶ月で?
5.まとめ
私が30年前に過ごしたブラジル・サンパウロのサッカークラブでは、ジュニアもジュニアユースもリフティングの練習はありません。
どちらかと言えば練習以外で遊び感覚としてやる程度でした。
ところが日本では両足リフティングをたくさん練習します。
またコーチたちから「両足でリフティングをするとボールコントロールが正確になる」「ボールタッチが繊細になる」と繰り返し言われます。
そうすると、子供たちは効果的な練習と思い込んで一生懸命に練習します。
果たして本当に両足リフティングが効果的なのでしょうか?
歩く動作と同じことを繰り返すのが、それほど大切だと思いますか?
もしもこれが正解であったとしたら、日本は今ごろFIFAランキングの上位にいるはずです。
これまで解説したとおり、海外の選手たちの技術の基本は利き足にあります。
また利き足を鍛えるうえで最も効果のある練習法が利き足リフティングなのです
そうした意味では、ブラジルの子供たちは利き足リフティングの効果を実証しています。
そうして大人になり、やがてトップ選手になったのです。
日本の子供たちにも、ぜひ参考にしてほしいと願っています。