ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

ドリブルシュートの正しい蹴り方!日本人に多い間違いとは?

正しいドリブルシュート

ここではメッシのドリブルシュートを例にしながら、正しいテクニックを解説します。

(1)ペナルティーエリアの中で蹴る場合

次の動画はメッシがペナルティーエリアの中に入って、左サイドから蹴ったものです。

この動画で大切な点は、シュートを打つ前のテクニックです。

特徴的なのは次の3つです。

① ゴールキーパーの動きを見ながら蹴る
② ヒザ下にボールを置く
③ シュートモーションが小さい

①ゴールキーパーの動きを見ながら蹴る

日本では「シュートはゴールの四隅を狙う…」とよく言われます。

だから、ニアサイドよりもファーサイドを狙った方が良いと考えられているのです。

でも先ほどのメッシの動画では、ニアサイドに蹴るシーンも多かったですよね。

実はメッシはシュート直前で、ゴールキーパーの動きを見ながら蹴っているのです。

例えば次の動画はニアサイドを狙ってシュートを打っていますが、メッシは相手を一人抜くたびにキーパーの動きを見ています。

こうしたメッシの目線に、あなたは気が付きませんか?

この場合、ドリブラーがニアサイドから来れば、キーパーはファーサイドを狙ってシュートを打つのではないか…?と警戒します。

でもそうしたキーパーの心理によって、無意識のうちにファーサイド寄りに重心が傾いてしまうのです。

つまり、メッシはそうしたほんのわずかな姿勢の傾きを見逃さずにシュートしているわけですね。

しかも10年ほど前のスペインのテレビ番組で、メッシは動体視力が発達しているので卓球が強い…と解説しているのを見たことがあります。

この場合、動体視力が発達している人は眼球を動かして周囲の状況を即座に把握することが出来ます。

そうした意味でメッシにとっては、スピーディーなドリブルの動きの中でキーパーの動きを確認することぐらいは何ともないのでしょう。

※なお動体視力のトレーニングに関しては後述します。

これに対してシュートを蹴って大きくふかしたり、左右に外したり、正面に蹴ってしまうのは、そもそもボールだけに集中してしまってキーパーを見ていないことも原因の一つです。

そうするとドリブルシュートを蹴る時はボールが前に動いているので大きく軸足を踏み込んで蹴るとか、ボールの中心をきちんと見て蹴るとかなどは、根本的な問題の解決にはならないわけですね。

②ヒザ下にボールを置く

メッシのドリブルを見るとタッチがソフトなので、なかなか足からボールが離れませんよね。

これは、ドリブルする時のボールの置き場が「利き足の前」に決まっているからです。

特に利き足のレベルが高い選手ほど、次のような接近戦の突破のドリブルでヒザ下にボールを置きます。

また、いつでもボールが利き足の前やヒザ下にあるので、いちいちボールを見る必要が無くなるのです。

そうすると自然とボールから目が離れるので、相手が足を出そうとする動きや、その奥にある状況(景色)を見るようになるわけですね。

だから、先ほどのメッシのようにキーパーの動きさえも一瞬で視界に捉えられるのです。

この場合、日本では幼少期から両足練習を良くやるので、ボールの置き場は股の間になることが多く、きちんと利き足の前に置く選手は少ないです。

これでは突破のドリブルをしながらキーパーの動きを見るなんてことは、なかなか難しいと思います。

実際に日本代表でさえも、ヒザ下にボールを置く選手は少ないですね。

③シュートモーションが小さい

ドリブルシュートは密集状態の中で相手を抜きながら打つシュートなので、こうした激しい動きの中ではバックスイングがあまり取れません。

そうすると次のようにインサイドやインフロントを使って、シュートモーションを小さくします。

次のAでは踏込が小さいですし、Bではインサイドを使っているのが分かりますよね。

またCではシュートモーションが小さくてパワーが落ちる分を、体幹のひねり(上半身と下半身を雑巾絞りのようにひねる)で補っています。

こうした場合、くどいようですが日本ではドリブルシュートでインステップキックの強いシュートを蹴るなんて言うのが多いですよね。

もしもこれをまともに受け止めていたら、どうしてもキックフォームが大きくなるので、その間に相手ディフェンダーにシュートコースが塞がれてしまいます。

またゴールキーパーは、キッカーがシュートモーションに入った時点でシュートコースを予測します。

その場合、シュートモーションが大きくなればなるほどシュートコースを予測されやすくなるのです(どこに蹴るのかGKにバレてしまう)。

つまり、ふつうに考えたらペナルティーエリアの中でインステップキックを使うのは、よほどフリーでもない限り止めるべきなのです。

そうした意味では、シュートモーションはインサイドやインフロントを使って小さくした方が良いわけですね。

(2)ペナルティーエリアの外から蹴る場合

ペナルティーエリアの外から蹴るドリブルシュートは、ミドルシュートと同じような蹴り方になります。

もちろん蹴る時はフリーの状況であることが大前提です。

なぜなら遠い距離を蹴るので、シュートモーションが大きくなるからです(マークされていたらまともに打てない)。

ただし一点だけ違うのは、ボールが動いているということです。

そこでボールの動くスピードを落とすために、なるべくタッチを少なくするようにしましょう。

次の動画はメッシがペナルティーエリアの外からインステップキックとカーブを使ったシュートを打つシーンです。

いずれの場合も、蹴る直前はボールにタッチする頻度を少なくして、ボールスピードを落としているのが分かります。

・インステップキック

・カーブ

この場合、日本ではボールが動いているので軸足を大きく踏み込むようにと言われますが、これではバランスを崩してしまいます。

実はそうではなく、次の2つの点が大切です。

A.体幹と軸足を強くする。

これはドリブルシュートが激しい動きの中で正確にシュートを打つことから、バランスを崩さないために体幹と軸足を強くする必要があるのです。

そのためには、インステップキックの助走が一歩の踏込で蹴れるようになるのが目安です(練習法は後述します)。

B.シュートを打つ直前のタッチを少なくする

これは先ほども解説しましたが、ボールは動いているのでスピードを落とさないとキックのタイミングを合わせる必要があります。

そのためにはドリブル中のタッチを少なくして、ボールのスピードを落とすためのコーディネーショントレーニングが必要になります(詳細は後述します)。

さて次は、ドリブルシュートの練習法について解説します。

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