ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

ドリブルでボールを奪われない・守る意識とは?

日本サッカーのドリブル指導で最も問題なのは、子供たちにボールを取られない、奪われない、守るという意識が身に付かないことです。

特に海外の強豪国の子供たちと比べると、この点がハッキリしています。

そこで今回は日本のドリブル指導の現状!ボールを奪われない、守るという意識付けについて解説します。

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【ドリブル練習と日本の現状】

ドリブルでボールを奪われない、取られない、守るというのは、とても大切な考え方です。

ところが日本の子供たちにこの考えが身に付かないのは、これまでのドリブル練習そのものに問題があるのではないでしょうか?

日本ではどこのクラブや少年団でも、ドリブル練習と言えばコーン・マーカードリブル、ターン、フェイント、一対一の対人トレーニングなどがありますよね。

またこうした練習メニューは、日本でも海外でもほぼ変わりません。

そうすると日本でもボールを奪われないという意味で、本当にドリブルの上手い子供がたくさん育って良いはずです。

でも現実的にはそうとも言えません。せいぜい日本代表の中島のように独り善がりのドリブラーが育つだけです。

そうした点で私たちが考えるべきことは5つあります。

それは、

1.ボールを奪い合う経験が少ない。
2.一対一のトレーニングのレベルが低い。
3.一人だけのトレーニングが多い。
4.相手の抜き方だけを覚える。
5.ボールを守るトレーニングが少ない。

そこで、次にこうした5つの点について順に考えてみましょう。

1.ボールを奪い合う経験が少ない

ドリブルでボールを守るという意識は、子供たちが奪い合う経験の中から生まれます。

この場合、海外のプロ選手たちは最初からクラブチームに所属していたわけではありません。

幼児期にストリートサッカーなどの遊びを通じ、ボールを奪い合う経験を経て守ることの大切さを学び、セレクションやスカウトなどによってクラブチームに入団したのです

これはブラジルでもスペインでも、サッカー強豪国の子供たちはほぼ同じような経験を積んでいます。

その際、日本の一般的な育成のカテゴリーをジュニア、ジュニアユース、ユース、トップチームに分けると、次のようなピラミッドになりますよね。

これに対して海外の強豪国の場合はジュニアのさらに下にストリートサッカーがあり、こうした遊びがボールを守るという意識付けの場になっているのです。

つまり海外の子供たちにとっては、ストリートサッカーが育成システムの中に組み込まれているわけですね。

これに対して日本では、そうした底辺の部分が欠けています。

つまりストリートサッカーのようなボールを奪い合う経験を経ないで、いきなりクラブや少年団に入団するため、ボールを守るという意識付けが不十分なのです。

特にサッカーにとって大切な意識付けは、いろいろなフェイントや足技を覚える前に、出来るだけ早い時期に習得しなくてはいけません。

だからクラブや少年団でもドリブルの技術指導よりも、先ずはひたすらボールを奪い合うような練習メニューが必要なのです。

2.一対一の練習のレベルが低い

ボールを奪い合うドリブル練習で、最も多いのが一対一です。

これは次の動画のように、ジュニア~プロまで一貫して同じ方法でトレーニングします。

このトレーニングは一瞬のマッチアップで終わるので、成功しても失敗してもボールを守るという学習効果は低いままです。

もしもこれがストリートサッカーだったら、どうなると思いますか?

子供たちは日が暮れるまで延々と続けているはずです。

そうした経験によって、ボールを守ることの大切さが身に付くわけですね。

そもそも学習とは、反復によって習得するものです。

長時間のトレーニングは必要はありませんが、短時間で効果的な反復メニューを工夫するべきでしょう。

3.一人だけのトレーニングが多い

育成年代の練習メニューとしてボールタッチ、ターン、フェイントなどのトレーニングがありますが、これらは一人で出来るものです。

こうした練習を繰り返すことは否定しませんが、これらはどちらかと言えばドリブルの技術的な反復動作を習得するだけになります。

そうするとボールを取られない、奪われない、守るという意識は身に付き難いのです。

一方、コーンやマーカーを使った練習は、そもそも動かない相手に対するトレーニングです。

初心者レベルなら別ですが、試合を想定するのであれば、ディフェンスのプレッシャーという対人メニューを数多く取り入れる必要があります。

やはりこうした一人で出来るトレーニングだけでは、ボールを取られない、奪われない、守るという意識付けには不十分でしょう。

4.相手の抜き方だけを覚える

子供たちのドリブル練習で、相手の抜き方を覚えるのは大切です。

上手く行かなかったら、基本に立ち返って反復練習を経たうえで一つのテクニックをマスターすれば良いでしょう。

ところが、試合中は必ずしも練習通りに上手く出来るとは限りません。

そうすると、再び同じトレーニングを繰り返すことになります。

こうした場合に注意したいのは、子供たちがいくら練習で出来たとは言っても単に一時的な成功でしかないということです。

そもそも試合中の失敗例の多くは、相手のプレッシャーによるものです。

この場合に大切なのはAという抜き技を使うのではなくBに変えるとかの切り替えの能力です。

つまり子供たちにとっては、失敗を回避する知恵を身に付けるのが重要なのです。

そうした経験を繰り返しながら、ボールを取られない、奪われない、守るという意識が強くなるのです。

5.ボールを守るトレーニングが少ない

サッカーのドリブル練習でボールを守るための代表的なメニューと言えば、ボールキープです。

子供たちにとっては対人練習なので、さすがにボールを取られないとか守るとかの考えが起きるでしょう。

でもこの場合に注意したいのが、このメニューだけでは必ずしも意識付けは出来ないということです。

そもそもボールキープの次のプレーは、味方へのパスか?反転突破するのか?のどちらかしかありませんよね。

そうした場合、反転突破する!というテクニックの習得に重点化しない限り、ドリブルを続けながら何としてでもボールを守って攻撃を続ける!という意識付けには繋がらないのです。

でも実際の試合ではパスを主体とするので、ボールキープした時は球離れを速くすることが求められます。

そうするとドリブルをしながらボールを守るという機会がほとんどなくなるのです。

その結果、反転突破からのドリブルはあまり使わなくなるでしょう。

もちろんチャレンジする選手もいるでしょうが、失敗した場合は監督の顔色を見るので、やはりドリブルに消極的になってしまうこともあるようです。

ボールキープは、ボールを守るドリブル練習です。

そうした場合、対人練習のプレッシャーを数多く経験させながら、自力で守り抜くという意識付けが必要だと思います。

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【まとめ】

日本のドリブルの問題点として、ボールを奪われない、守るという意味について解説しました。

そうした点で私たちが考えるべきことは5つあります。

それは、

1.ボールを奪い合う経験が少ない。
2.一対一のトレーニングのレベルが低い。
3.一人だけのトレーニングが多い。
4.相手の抜き方だけを覚える。
5.ボールを守るトレーニングが少ない

やはり日本のドリブル指導で問題なのは、子供たちの意識の中に、ボールを取られない、奪われない、守るという考えを植え付けていないことです。

こうした点は、早急に改善されることを願っています。

なおボールを奪われない、守るための練習法については次の記事を参考にしてください。

【画像引用:Youtube.com