ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

古武術の浮身でドリブルが超上手くなる!【習得法も解説】

古武術の浮身、沈身、鞭身は、膝抜きと並ぶ大切な技術ですが、特にドリブルの上手い選手は必ず身に付けています。

こうしたテクニックは正しい練習をすれば誰でも習得できるので、育成年代の子供たちにはぜひ覚えてほしいですね。

そこで今回は、浮身、沈身、鞭身の仕組みと練習法、サッカーのプレーにどのように活かすのか?という点について解説します。

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1.浮身・沈身・鞭身の仕組み

(1)浮身と沈身

浮身(うきみ)とは、次の動画のように体が空中に浮く動作を指します。

これに対して、浮いた状態から次の動きに移るまでの動作を沈身(ちんみ)と言います。

このようなスキルを覚えると、特にプレー中の動作の切り替えが素早くなります。

先ほどの中島選手であれば、最初は一対一の止まった状態で、その次がアウトで抜くわけですが、この二つの動作の切り替えがとても速いですよね。

また相手は、沈身の時に中島選手が突破しようとしているのにも関わらず、見入ってしまって反応が遅れています。

やはり、それだけ動きが早いということですね。

ただし、浮身はジャンプしているわけではありません。

どちらかと言えば、自然に体が浮いてしまう…という状態です。

もちろん浮身の画像をよく見ると、中島選手の左足のつま先がピッチに接しているので、実際には紙切れ一枚分だけ浮いたか?どうか?という程度ですが、浮いていることに変わりはありません。

ちなみに海外のドリブラーで浮身と沈身を使いこなす選手は、かなり多いです。

・メッシ

・イニエスタ

2019年に日本代表にデビューした久保選手も、この動作を身に付けているようです。

その他には、長友、香川などが使いこなしていると思います。

こうした浮身と沈身は少し難しそうなテクニックですが、これが出来るか?どうかでサッカーの上手い下手がハッキリ分かれます。

(2)ドリブルの上手い下手

蹴球計画さんのブログには、体が浮くこととドリブルの上手さとの関係について、次の記事が掲載されています。たぶん浮身と沈身のことを語っているのでしょう。

浮く選手にはできて、浮かない選手にはできないプレーが確かに存在する。

浮くことが出来ない選手は、浮く選手に比べて技術的に劣ることを意味する。

これはドリブルを考える際に極めて重要である。

例えば、単純なアウトの切り返し一つをとっても、浮くことを意識して練習した選手とそうでない選手の間で、技術的に大きな差がつくことは自明な結論として得られる。

さらに、トリックもしくは足技と呼ばれるものだけをいくら練習しても、本質的な意味でドリブルが上手くなることはない。

なぜなら、ボールを触る以前の浮くか浮かぬかの段階で上手下手は分化しており、それに目を向けずに目先の技数だけを増やしても意味がないからである。

これまで、ドリブルの巧拙を語るにおいて、重心の高低、タイミング、リズム、ステップ、足技、ボールタッチ、コース取り、重心の見切り等、様々な言い回しが存在した。

しかし、ドリブルの上手下手を分ける動きの上での顕著な特徴は、浮くことを基本として持つか否かである。

このことは、これまでに大きく欠けていた視点であると言える。

要するに、どんなに難しい抜き技を覚えても、体が浮かない限り、決してドリブルは上手くならない…ということで、そうした点は私も同感です。

この記事は2012年2月に掲載されたものですが、ドリブルと浮きの関係について説いたのは、日本で初めてかも知れません。

私は30年前に、ブラジルのサンパウロのクラブでジュニアとジュニアユースのアシスタントコーチをしていました。

当時のほとんどの子供たちは、自然と浮くような軽やかなドリブルをしていたのを覚えています。

たぶん、自然と浮身が身に付いていたのでしょう。

これに対して、浮身と沈身は日本の古武術由来のスキルなので、日本人なら誰でも出来て良いはずであり、海外の選手にしか出来ないということはありません。

ところが、日本の育成年代の指導では幼少期から両足練習をするため、体幹と軸が弱く、体が開いた選手をたくさん育ててしまう…という弊害があります。

実は、こうした状態で育った子供には浮身や沈身が身に付き難いので、ドリブルの上手い選手はなかなか育ちません(詳細は後述します)。

そうした点については、警鐘を鳴らすべきではないかと思います。

ところで浮身と沈身は古武術のテクニックですが、現在はいろいろな競技(バスケットボール、野球、陸上競技など多数)に受け継がれています。

そこで浮身と沈身がなぜ大切なのか?という点で、次にこの動作の特徴(メリット)を考えてみましょう。

(3)浮身と沈身の特徴

浮身と沈身には、二つの特徴があります。

一つ目は予備動作がないこと、二つ目は動きが素早くなることです。

この場合、空手、ボクシング、フェンシングなどの格闘技を例にすると、浮身と沈身を使わない時は「しゃがむ」→「地面を蹴る」という二段階の動作が必要です。

その際、しゃがむのは「これから攻撃するぞ!」というサイン、つまり予備動作になるので、これを見た相手は防御するか反撃するかのいずれかの体勢を取ります。

そうすると予備動作を見せると、相手に対して次の攻撃を教えてしまうわけですね(サッカーのドリブルであれば、抜く方向にボールを動かそうとする動作など)。

また地面を蹴るのは、足の力で自分の全体重を頑張って運ぶのと同じですし、地面の摩擦抵抗も受けるため、筋力がないと速く動けません。

これに対して浮身の動作は、相手からすると、まるで立っているだけのような状態に見えます(動く気配がない)。

つまり予備動作がないのです。

そして次の瞬間には、いきなり攻撃されてしまうわけですね。

その際、浮いた状態から重力落下する沈身は、地面を蹴って攻撃するような摩擦抵抗がなく(一種の無重力状態)、筋力の有無もほとんど関係ないことから、非力な人でも素早く動けます。

特に武道の達人は、決して強そうなそぶりを見せず、リラックスして自然体に構えながら、いきなり目にも止まらない速さで相手を倒してしまいますよね。

倒された方は「えっ?どうして?」となりますが、この原理はとても簡単で、浮身と沈身を上手く使っているので、相手は全く反応出来ないのです。

ちなみに、次の動画は私の息子「とも」が股抜きをするシーンです。

この時の私は「次はどんな抜き技で来るんだろう…」と考えていましたが、次の瞬間にはいとも簡単に抜かれてしまいました(笑)。

ハッキリ言いますと、ドリブラーが浮身を使うと予備動作がないので、ディフェンス側は防ぎようがないわけですね。

要するに、浮身と沈身を使うとドリブルが上手くなるというのは、こういうことなのです。

以上のように、浮身と沈身には「予備動作がない」「動きが素早くなる」という二つの特徴がありますが、ドリブルの基本の部分では、やはり上手い下手の分かれ目になると思います。

また、相手を抜く時、ターンする時、止まる時などのいろいろなプレーに応用できますし、ドリブル以外にも使えるので、育成年代の子供たちにはぜひ覚えてほしいですね。

ところで、古武術では浮身と沈身以外にも、鞭身(むちみ)という技術があります。

そこで、この動作もサッカーに応用できるので、次に解説したいと思います。

(4)鞭身とは?

鞭身とは、格闘技を例にすると、次の画像のように体をムチのようにしならせて攻撃することですが、体をしならせる分だけ予備動作が出てしまいます。

でも、体がしなる分だけ素早い動き(しなり⇒体の反動になる)になりますし、浮身も使えば、結果的には動きの速さはそれほど変わらないでしょう。

こうした鞭身をサッカーに応用するのであれば、ダイビングヘッドやゴールキーパーのセーブのように、飛び込むような動作に使えると思います。

でもドリブルの場合は、このような動作はほとんどないので、どちらかと言えば左右の動きに活かすのが良いでしょう。

例えば、ディマリアのマシューズフェイントのように、体幹をくねくねと左右に動かす動作ですね。

ただし、鞭身の意味を古武術の原理として厳密に考えた場合は、かなり違った解釈ではないか…という指摘があるかも知れません。

でも、私としてはサッカーのプレーに応用するのが目的なので、古武術の原理原則にとらわれる必要はないと思います。

要するに、サッカーが上手くなれば良いわけですからね。

なお、マシューズフェイントの詳細については改めて解説します。

以上のように、浮身、沈身、鞭身の仕組みを解説しましたが、こうした動作をサッカーのプレーに使う場合はいろいろなパターンがあります。

そこで、次に浮身、沈身、鞭身の具体的な使い方(体の動かし方)と練習法を合わせて解説します。

2.浮身、沈身、鞭身の使い方と練習法

たぶん、今回の記事をお読みになって「浮身はジャンプではないか?だから足の力が必要ではないか?」とお考えの方も多いと思います。

でも、そう簡単なものではなく、実は全身を上手く使わないと浮身、鞭身、沈身は身に付きません。

そこで、ここではそれぞれのスキルの使い方と練習法について、次の点を順番に解説します。

(1)体幹の使い方
(2)軸足と足のアーチの使い方
(3)膝抜き
(4)重心移動
(5)一本歯下駄トレーニング

(1)体幹の使い方

ここでは体幹を使って、どのように浮身の姿勢を取るのか?という点を5つのポイントに分けて解説します。

①体のバネ作用
②みぞおち抜き
③筋肉の伸張反射(腸腰筋)
④肋骨のバネ作用(鞭身)
⑤体幹ひねり

① 体のバネ作用

体のバネ作用とは、背骨のS字カーブをバネのように伸び縮みさせてスピードとパワーを生み出すことです。

その際、これまでの記事では、地面に足が付いた状態(浮いていない状態)でバネ作用を使う方法を解説してきました。

例えば、キックの時は体を弓なりに反らせて巻き戻します。

ドリブルの突破の時は、縮めて伸ばす…ですね。

※体のバネ作用を身に付ける方法を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
体のバネ作用でサッカーがレベルアップ!【最新理論で解明】

これに対して浮身の場合は、次の画像のように平常時の立った状態から、背骨のバネを縮めた結果、浮身になるのではないかと考えています。

これは、操り人形のように首から下の部分を空中に持ち上げるようなイメージですね。

また、浮身から沈身になる場合は、そのまま重力落下すれば低い姿勢を維持できるので、自然と突破できる体勢になります。

その場合の背骨の伸縮のイメージは、平常時のS字カーブが浮身の時に伸び、また瞬時に縮むことで、体が浮く状態になると思います。

ちなみに、次の動画は私の息子「とも」がアウトで抜く時の浮身と沈身の様子です。

特にご覧いただきたいのが、「とも」がドリブルを開始してから浮身になるまでの頭の位置が、ほとんど上下動していませんよね?

まるでホバークラフトのように、地面を滑っているようです。

これは先ほども解説したように、背骨のS字カーブ(バネ)を縮めて、首から下を持ち上げるように体を浮かせているわけですね。

特にヒトの体のバネは、体幹(上半身)に集中しています。また、次に解説する②みぞおち抜き、③筋肉の伸張反射(腸腰筋)、④肋骨のバネ作用(鞭身)、⑤体幹ひねりも全て体幹を使ったものです。

つまり、いくら足の力で頑張ったとしても、体幹を上手く使わない限り、浮身は出来ないわけですね。

なお、練習法としては一本歯下駄トレーニングが最適ですが、詳細については後述します。

② みぞおち抜き

みぞおち抜きとは、先ほどの背骨のS字カーブを利用したバネ作用と似ています。

この場合、背骨を使ったバネ作用は大きな反発力を生み出しますが、体を速く動かしている時にはなかなか使いにくいという欠点があります(もちろん全く使えないわけではない)。

これに対して、胴体の真ん中辺にある「みぞおち」を急激に縮めて→伸ばすという「みぞ落ち抜き」を使うと、背骨のバネ作用ほどの大きな反発力はありませんが、スピーディーな動きの中で簡単にバネ作用を生み出します。

また浮身に使う場合は、背骨のバネ作用と同じように、首から下を持ち上げるようなイメージになりますね。

みぞおち抜きを使った浮身の動作としては、カットインのターンのように、速い動きを瞬時に切り替える時に使うと効果的です。

またドリブル以外では、インサイドキックにも使えます。

この場合は必ずしも浮身を使う必要はなく、ほんのわずかに伸び上がった後の沈身の時に、みぞおち抜きをすれば、ヒザを大きく振らなくても速いキックを蹴ることが出来ます。

こうした蹴り方の使い方としては、密集状態で相手に周りを囲まれてしまうとなかなかパスを出せませんよね。

そうした場合でも、ヒザをほとんど振らずに、みぞおち抜きで体を「く」の字に折り曲げるように、ストーンと垂直に脱力して、蹴り足を前に放り出すようにすれば速いパスを出せます。

特に中盤や前線の攻撃的なポジションの選手は、密集状態でボールを奪われないようにするという点で必須のテクニックです。

なお練習法としては一本歯下駄トレーニングが最適ですが、詳細は後述します。

③ 筋肉の伸張反射(腸腰筋)

筋肉の伸張反射とは、筋肉をゴムのように伸び縮みさせる反射作用のことで、このテクニックを身に付けると、無意識のうちにとても速く体を動かせます。

※筋肉の伸張反射を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
伸張反射はサッカーのプレーを劇的に改善!最新理論で解明

この作用を浮身に使う場合、特に重要なのが腸腰筋の伸張反射です。

また、先ほどの①体のバネ作用、②みぞおち抜きと同じように、首から下を持ち上げるような使い方(腸腰筋の伸び縮みを利用する)と同様のイメージになります。

要するに、バネの伸び縮みの代わりに筋肉の伸縮を使うわけですね。

この場合、腸腰筋をゴムのように使うので、筋肉が太い方が伸縮作用が大きくなります(細いコムでは物足らない)。

そこで必要なのが、腸腰筋トレーニングです。

トレーニングの方法は、次の動画のとおり3種類あります。

・前方ジャンプ
・片足ジャンプ
・立ち腹筋

このメニューは体への負荷が大きいので、10歳以上か小学校3年生になってから始めてください。

小学校低学年(小学二年生以下)は、次の動画のような動的ストレッチをすると良いでしょう。

※腸腰筋トレーニングを詳しくお知りになりたい方は次の記事をお読みください。
腸腰筋トレーニングでサッカーがレベルアップ!基本メニュー3選

④ 肋骨のバネ作用(鞭身)

肋骨のバネ作用とは、先ほどディマリアのマシューズフェイントを例に解説した鞭身のことです。

特に肋骨を蛇腹のようにクネクネとさせると簡単に使えます。

ちなみにマシューズフェイントのやり方を大きく分けると、ディマリア型とメッシ型の2つに別れますが、私の息子「とも」の場合は両方の良いとこ取りです。

ここでの鞭身は浮身にもなっていますが、練習しだいでこのようなテクニックが身に付きます。

※マシューズフェイントのやり方を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
マシューズフェイントのやり方!動画と画像で詳しく解説

また、もう一つの応用例として、小学生に大人気のダブルタッチにも使えます。

特にダブルタッチで有名な選手と言えば、イニエスタですよね。

この場合、次の連続写真の①から②を見ると、ディマリアのマシューズフェイントのように体を左側にくねらせているように見えませんか?

また③では元の姿勢に戻っていますよね。

これは振り子のように宙に浮いた状態の浮身の動作ですが、古武術的には鞭身(肋骨のバネ作用)を上手く使っているわけですね。

でも、日本ではインからアウトの二つのタッチを速くするということで、次の動画の0:53からのシーンのような練習をやると思います。

でも、このような動作では地面の摩擦抵抗を受けるだけなので、かえって動きが遅くなってしまいます。

そもそも小柄で非力なイニエスタのダブルタッチが、どうして簡単に相手を抜けるのか?という疑問は、古武術という意外なところに答えがあるわけです。

そうした意味では、浮身、鞭身、沈身を上手く使った方が良いでしょう。

※ダブルタッチのやり方を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
ダブルタッチの2つの抜き方!イニエスタとメッシの意外な共通点とは?

なお、肋骨のバネ作用を身に付ける練習法としては、次の動画の体操が効果的ですが、一本歯下駄トレーニングも有効です(後述します)。

⑤ 体幹ひねり

体幹ひねりとは、文字通り体幹(上半身)をひねる動作のことですが、特にターンの時に浮身と合わせて使うと素早い方向転換が出来ます。

つまり、先ほどのバネ作用や筋肉の伸張反射の代わりに、「ひねる」という回転動作を使って体を浮かせるわけですね。

例えて言うと、竹とんぼを空に向かって飛ばすようなイメージに似ています。

この場合、日本では足の力に頼って無理矢理ターンすることが多いですが、これではかえって動きが遅くなりますし、ヒザや足首を故障する原因になるので、注意しましょう。

A.インサイドのターン

インサイドのターンはどうしても大回りになりがちですが、体幹ひねりと浮身を組み合わせることで、その場でくるっと方向転換できます。

B.アウトサイドのターン

アウトサイドのターンと浮身を組み合わせると、フィギュアスケートのスピンのように鋭く反転出来ます。

特にターンの回転半径が小さいので、敵に周りを囲まれた時でも、その場を素早く切り抜けられます。

このテクニックは、プロでも使える選手が少ないのでぜひ覚えてください。

C.アウトサイドと足裏のターン

こちらの動画は、アウトのターンと足裏のターンを連続させたプレーです。

特にターンの基本は、いかに素早く小さく回転するのかが課題なので、こうした体幹ひねりは有効に使いましょう。

なお、体幹ひねりは次の体操をすると簡単に覚えられます。

この場合、筋肉の伸張反射を活かすためにも、次の画像のように、①・A1(上半身をひねる)と②・A2(下半身をひねる)というように、上半身が先行して下半身が連動するというイメージを持ちましょう。

そうすることで、上半身のひねりによって生じる遠心力を無駄なく下半身へ伝えられることから、素早くターンできます。

もちろん、あまり意識し過ぎるとぎこちなくなるので、最初のうちは上半身と下半身を交互にひねるだけでも結構です(慣れて来たら上半身先行→下半身連動のイメージを持つ)。

※ターンの素早いやり方を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
ターンを鋭く速くする二つのコツ!海外と日本のサッカー選手の違い

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(2)軸足と足のアーチの使い方

先ほどの(1)体幹の使い方を簡単に言うと、体幹を使って浮身をしましょう…ということでしたよね。

これに対して、ここでは体幹の動きを補うための、「軸足と足のアーチ」の使い方について解説します。

① 軸足の強さ

サッカーで浮身をする時は、体幹はもちろんですが、それとは別に軸足の強さも必要です。

なぜなら、ドリブル、キック、トラップなどのほとんどのプレーが片足立ちだからです。

ここで、最初に解説した中島選手の浮身を思い出してください。

浮身をする直前まで軸足で体を支えていて、浮身の瞬間に軸足が地面からわずかに離れました。

これは何を意味するのかというと、ドリブルの浮身は軸足も使っている…ということです。

そうすると、軸足で体を支えらないような軸の弱い選手は浮身が出来ないわけですね。

例えば、次の動画の0:26からのシーンを見ると、ほとんど軸足(右足)だけで片足立ちをしていますよね。

もちろん利き足の左足が地面に付くシーンもありますが、体の傾きを見ると右側に傾いているので、「とも」の体重のほとんどは軸足に乗っています。

つまり、軸足で体を支えながら浮身をしているということです。

また、次の動画では軸足だけで地面をステップ(二度突き)していますが、これは左利きの選手に多いドリブルの特徴です。

さらに、カットインのような動作でも、やはり軸足でツーステップしていますよね。

こうした動作は、軸足が強くないとなかなか出来ません。

要するに、左利きの選手は軸が強いということであって、また自然に浮身を覚えてしまうのです。

この場合、日本の育成年代の指導によくありがちな両足練習は、左利きには寛容(あまりうるさく言われない)なので、利き足を自由に使うことから自然と軸足が強くなります。

でも、右利きの選手はそうも行かず、両足練習を続ける結果、軸の弱い選手が多くなるわけですね。

そうすると、浮身が出来ず、ドリブルも上手くならないという悪循環に陥るわけですね。

日本で本格的なドリブラーが育たない理由は、こういうところにも原因があると思います。

さて、軸足を強くするための練習法ですが、これは毎度ご紹介しているとおり、ちょんちょんリフティングが最適です。

このリフティングは、軸足を鍛えるとともに、動的な体幹トレーニングにもなるので、先ほどの(1)体幹の使い方で解説した5つのポイントとの複合的な効果があります。

なお、ちょんちょんリフティングはキック力を付けるためだけのトレーニング法…と勘違いする方がいらっしゃいますが、そうではありません。

ドリブルが上手くなるための練習法も兼ねているので、覚えておいてください。

※ちょんちょんリフティングの効果を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
ちょんちょんリフティングがサッカーに役立つ驚きの効果

② 足のアーチのバネ作用

足のアーチのバネ作用とは、土踏まずのアーチ構造を板バネのように使うという意味で、このアーチが高いほどバネの機能が高くなります。

これにより、体幹と軸足の動きに、さらに足のアーチのバネ作用も加わって、浮身がやりやすくなるわけです。

先ほどの動画の0:26からのシーンを改めて見ると、まるで月面着陸した宇宙飛行士のように浮いていますよね。

しかも、ヒザの曲げ伸ばしがほとんどないのでジャンプしているわけではありません。

要するに、体幹、軸足、足のアーチのバネを全て使って、浮身をしているわけですね(全身を使う)。

なお、足のアーチを鍛えるための練習法は、次の動画のような足指グーパーとスリスリをたくさん練習してください。

ちなみに「とも」は小二の頃から続けていましたが、土踏まずが異常なくらいに発達しています。

※土踏まずのアーチを鍛える方法を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
土踏まずのアーチを作る方法!【痛みの原因は偏平足】

(3)膝抜き

膝抜きは、浮身、沈身、鞭身と並んで、古武術の大切な技術ですが、特に重要なのは、膝抜きによって地面反力を得るということです。

この場合、走る動作を例にすると、次の画像の①~②に注目してください。

この時、膝抜きによって重力落下するのでほんのわずかに体が沈み込みますが、この沈みは全体重を使って地面を蹴るのと同じ効果があります。

そうすると、地面反力が「とも」の体を押し返して来るわけですね。

そこで、この地面反力の使い方ですが、これまで解説した(1)体幹の使い方と(2)軸足と足のアーチの使い方は、どちらかと言うと自分自身の内的なパワーを利用するものです。

これに対して、膝抜きで地面反力を得るのは外的なパワーになります。

つまり、内的と外的の二つのパワーを利用するということですね。

それでは、なぜ地面反力のような外的なパワーが必要なのかと言うと、そもそも浮身はリラックスした状態になるので、先ほどの体幹と軸足・足のアーチだけでは、体を浮かせるための推進力が不足するからです。

したがって、膝抜きによる地面反力と言う外的なパワーを補うことで、初めて浮身が出来るのです。

要するに、体幹、軸足と足のアーチ、膝抜きが三位一体のスキルとして浮身を作り出しているので、膝抜きが出来ない人は浮身も出来ないというわけですね。

※膝抜きを身に付ける方法や地面反力との関係については、次の記事をお読みください。
膝抜きでサッカーのプレーが劇的に改善!【練習法も解説】
重心移動でサッカーが100倍上手くなる!【中学生でもよく分かる】

(4)重心移動

重心移動を使うと、体を素早く動かすことが出来ます。

例えば、立っている状態から走り出す時は、重心を支持基底面(両足と地面が接した部分)の外に出すだけで、それほど地面を強く蹴らなくても初動が速くなるのです。

この場合の重心移動は、浮身から沈身、鞭身から沈身という動作の切り替えに利用すると素早い動きが出来ます。

ところが日本人は胴長短足で低重心なので、やや重心移動が苦手(重心が支持基底面から外れにくい)なため、どうしてもドタバタしたような動きになりやすいです。

そこで、海外の選手たちのような高重心を意識するようにしてください。

これは海外の心理学の実証実験でも明らかですが、ヒトは特定の部位に意識を向けると、その部分が目標に対して効果的な作用をするという研究結果があるので、この原理を活用しましょう。

※重心移動の仕組みや練習法、サッカーのプレーに活かす方法については、次の記事をお読みください。
重心移動でサッカーが100倍上手くなる!【中学生でもよく分かる】

(5)一本歯下駄トレーニング

これまで浮身、鞭身、沈身の使い方と練習法を解説しましたよね。

特に練習法については、腸腰筋トレーニング、ちょんちょんリフティング、足指グーパーとスリスリを除けば、その他の大部分は一本歯下駄トレーニングによって、ある程度は浮身が身に付きます。

もちろん膝抜きや重心移動もいつの間にか覚えてしまいます。

その理由として、「とも」が小三の頃の練習の様子(動画の0:22~0:55のシーン)を見ると、この頃には浮身が出来ていたからです。

また、当時は足を速くする練習として、身体能力を高くするために、一本歯下駄トレーニングを小二の三学期から重点的に練習していたことが良かったのでしょう。

この場合、スポーツは専門性が高いので、特定の競技が上手くなるためには必要最低限の身体能力が必要です。

ところが、最近の子供はこのような基礎的な身体能力を養成しないうちに、サッカーを始めてしまうケースが多いですよね(例えば幼児期にほとんど外遊びをしないなど)。

そうした意味では、先ずは一本歯下駄トレーニングを徹底的にやって、身体能力を高くすることも大切なので、ぜひ参考にしてください。

※一本歯下駄トレーニングの方法をもっと詳しくお知りになりたい方は、次の2つの記事をお読みください。
一本歯下駄の効果!身体能力アップに役立つ5つの理由!
一本歯下駄トレーニング!サッカー向け練習メニュー22選

3.まとめ

これまで、 浮身・沈身・鞭身の仕組みと、サッカーのプレーにおけるいろいろな使い方と練習法を解説しました。

特に浮身と沈身の特徴として、一つ目は予備動作がないこと、二つ目は動きが素早くなるという大きな効果があります。また鞭身も合わせて覚えることで、サッカーのいろいろなプレーに応用できます。

この場合、蹴球計画さんの記事にもあったように、どんなに難しい抜き技を覚えても、体が浮かない限りドリブルは上手くならない…ということも大切にしてください。

ぜひ多くの子供たちが、浮身・沈身・鞭身を覚えてサッカーが上手くなるように願っています。

【画像引用:Youtube.com