ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

古武術の浮身でドリブルが超上手くなる!【習得法も解説】

(3)浮身と沈身の特徴

浮身と沈身には、二つの特徴があります。

一つ目は予備動作がないこと、二つ目は動きが素早くなることです。

この場合、空手、ボクシング、フェンシングなどの格闘技を例にすると、浮身と沈身を使わない時は「しゃがむ」→「地面を蹴る」という二段階の動作が必要です。

その際、しゃがむのは「これから攻撃するぞ!」というサイン、つまり予備動作になるので、これを見た相手は防御するか反撃するかのいずれかの体勢を取ります。

そうすると予備動作を見せると、相手に対して次の攻撃を教えてしまうわけですね(サッカーのドリブルであれば、抜く方向にボールを動かそうとする動作など)。

また地面を蹴るのは、足の力で自分の全体重を頑張って運ぶのと同じですし、地面の摩擦抵抗も受けるため、筋力がないと速く動けません。

これに対して浮身の動作は、相手からすると、まるで立っているだけのような状態に見えます(動く気配がない)。

つまり予備動作がないのです。

そして次の瞬間には、いきなり攻撃されてしまうわけですね。

その際、浮いた状態から重力落下する沈身は、地面を蹴って攻撃するような摩擦抵抗がなく(一種の無重力状態)、筋力の有無もほとんど関係ないことから、非力な人でも素早く動けます。

特に武道の達人は、決して強そうなそぶりを見せず、リラックスして自然体に構えながら、いきなり目にも止まらない速さで相手を倒してしまいますよね。

倒された方は「えっ?どうして?」となりますが、この原理はとても簡単で、浮身と沈身を上手く使っているので、相手は全く反応出来ないのです。

以上のように、浮身と沈身には「予備動作がない」「動きが素早くなる」という二つの特徴がありますが、ドリブルの基本の部分では、やはり上手い下手の分かれ目になると思います。

また、相手を抜く時、ターンする時、止まる時などのいろいろなプレーに応用できますし、ドリブル以外にも使えるので、育成年代の子供たちにはぜひ覚えてほしいですね。

ところで、古武術では浮身と沈身以外にも、鞭身(むちみ)という技術があります。

そこで、この動作もサッカーに応用できるので、次に解説したいと思います。

(4)鞭身とは?

鞭身とは、格闘技を例にすると、次の画像のように体をムチのようにしならせて攻撃することですが、体をしならせる分だけ予備動作が出てしまいます。

でも、体がしなる分だけ素早い動き(しなり⇒体の反動になる)になりますし、浮身も使えば、結果的には動きの速さはそれほど変わらないでしょう。

こうした鞭身をサッカーに応用するのであれば、ダイビングヘッドやゴールキーパーのセーブのように、飛び込むような動作に使えると思います。

でもドリブルの場合は、このような動作はほとんどないので、どちらかと言えば左右の動きに活かすのが良いでしょう。

例えば、ディマリアのマシューズフェイントのように、体幹をくねくねと左右に動かす動作ですね。

ただし、鞭身の意味を古武術の原理として厳密に考えた場合は、かなり違った解釈ではないか…という指摘があるかも知れません。

でも、私としてはサッカーのプレーに応用するのが目的なので、古武術の原理原則にとらわれる必要はないと思います。

要するに、サッカーが上手くなれば良いわけですからね。

なお、マシューズフェイントの詳細については改めて解説します。

以上のように、浮身、沈身、鞭身の仕組みを解説しましたが、こうした動作をサッカーのプレーに使う場合はいろいろなパターンがあります。

そこで、次に浮身、沈身、鞭身の具体的な使い方(体の動かし方)と練習法を合わせて解説します。

この続きは下の四角のボタン「3」を押してください。