サッカーで最も大切なことは、何だと思いますか? ドリブルでしょうか?キックでしょうか?トラップでしょうか?
小学生年代ならドリブルと答えるでしょうし、ジュニアユースではパスの精度という人も多いでしょう。
もちろん、メンタル、戦術、オフザボールなどが大切だという方も多いはずです。
たしかに、それぞれの考えは正しいと思います。
ただし、日本なら…。
私は、30年前にブラジルでジュニアのアシスタントコーチをしていましたが、その時に実感したのは、子供たちのテクニックではありません。
子供たちが大切にしていたことは、ボールを奪われない、守る、奪われたら奪い返すという意識とサッカーの基礎基本です。
そこで、今回はジュニア世代で本当に覚えるべき、サッカーにとっての大切なことについて解説します。
※この記事は2つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。
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【サッカーで大切なこととは何か?】
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【ブラジルと日本の子供たちの「大切なこと」の違い】
【まとめ】
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【サッカーで大切なこととは何か?】
(1)ネイマールが教えた大切なこと
2013年コンフェデレーションズカップで、日本代表はブラジル代表と対戦して0対3で完敗しました。
その時、ネイマールは試合後のスポーツ紙のインタビューで、日本代表の印象とサッカーで大切なことについて次のように語っています。
「日本代表には必死さが足りなかった。僕らでも泥臭く攻め続けるのに格好を気にしてるように見えた。」「経済的には発展しているのに、広告だけで満足なのかな。」
当時の日本では、「ネイマールが日本をバカにしている!」とか、「日本は弱いくせにカッコ付けているなんて…ふざけている!」などと言った謝った解釈が多かったようですね。
でも、ネイマールは日本に対して、サッカーにとっての大切なことを教えくれたように思います。
ブラジルではよく使われるサッカースラングで、サッカーが下手な人のことを「japones」と呼びます。
japonesはポルトガル語ですが、本来の意味は日本人とか日本の国を指しています。
もうお分かりですか?
つまり、日本人はサッカーが下手…と思われていて、しかもブラジルだけではなく、世界的にもそのように考えられているのです。
そんなことはない!日本人は海外でも活躍している!という方も多いでしょう。
でも、そうした選手はほんの一握りであって、海外のトッププロたちと対等に渡り合っている選手は少ないのです。
そうした中で、ネイマールが言いたかったのは、
・日本人はあまりサッカーが上手くない。
・それなら、形(パスサッカーのような華麗さ)にこだわっていてはダメだ。
・ブラジル代表であっても格好にはこだわっていない。
・むしろ必死になって泥臭いサッカーをしている。
・だから、日本も変わらなくては行けない。
これはサッカーの弱いチームが、強い相手と試合をする時の大切なことを説いているのです。
また、その前提として、ボールを奪われない、守る、奪われたら奪い返すという泥臭さとサッカーの基礎基本の大切さ(上手くなりたかったら基礎基本を磨く)を説いているのであって、決して日本をバカにしているのではありません。
彼自身は何度か日本と対戦していますし、日本人の意識がいつまでも変わらないことを不思議に感じたのでしょう。
私が思うに、日本はサッカー先進国のトップ選手から大切なことを教わったものと感じますし、もしかして、エールを送ってくれているのかも知れません。
日本サッカーの進歩のためには、こうした大切なアドバイスを謙虚に受け止めるべきではないでしょうか?
実は、こうしたサッカーにとっての大切なことは、ブラジル代表の実際の試合にもよく表れています。
果たして、それは何でしょうか?
そこで、次に2013年コンフェデ杯のブラジル対日本の試合を振り返って考えてみましょう。
(2)コンフェデ杯から分かるサッカーにとっての大切なこと
①ブラジルの一点目はボールを守る大切さ
ここでは、ネイマールのシュートの跳ね返ったこぼれ球を左サイドの選手が拾い、左サイドバックのマルセロにバックパスします。
一見して何でもないようなプレーですが、左サイドの選手がこぼれ球を正確に拾うという技術は、攻撃中のボールを守るという、とても大切なことです。
その後、マルセロからFWの選手に縦パスを入れて落とし、最後にネイマールがミドルシュートを決めています。
この時、実際に得点したのはネイマールですが、ここでの大切なことは、左サイドの選手がボールを守ろうとしたプレーです。
こうしたプレーがなかったら得点には結び付かなかったでしょう。
とても地味なプレーですが、ブラジル代表のボールを守る大切さがよく分かりますよね。
②ブラジルの二点目は基礎基本の大切さ
ここではスローインを受けたネイマールが、ペナルティーエリア前に切り込んで、日本のDFを引き付けたところで右サイドの選手にパスをします。
右サイドの選手のワンタッチパスを受けた、右サイドバックのダニエルアウベスはゴール前にクロスを蹴ります。
その時、ペナルティーエリア内のブラジルの選手たちは、それぞれがフリーになろうとします。
そうすることで、日本のDFはマークを絞り切れなくなります。
そして最後はパスを受けた選手が振り返ってシュートです。
このプレーを見た当時の日本のアナウンサーや解説者たちは、日本のDFがネイマールのドリブルに攪乱された…などと評していましたが、そうではありません。
ポイントは二つあって、
一つ目は中(ネイマール)→外(ダニエルアウベス)→中(シュートした選手)という基本的な戦術を活かしたことです。
二つ目は、クロスを受ける時のペナルティーエリア内のブラジルの選手たちが、それぞれがフリーになろうとするオフザボールの動きです。
こうした戦術はいわば基本のプレーであって、それほど難しいものではありません。
やはり、基礎基本を大切にするブラジルの意識の高さが分かります。
これに対して、日本の攻撃でも似たようなシーンがありました。
これは中盤から縦パスを受けた本田のシュートシーンですが、結論から言えば、何の工夫もなくそのまま強引にゴールを狙って蹴っただけです。
しかもブラジルの中盤の選手たちは、DFラインの一つ前で本田を囲い込んでシュートコースを狭めています。
そうするとシュートを打ったとしても、ゴールする可能性は極めて低くなりますよね。
ということは、ブラジルの選手は中を絞っているので、いったん幅を作ってスペースを生み出すための発想が必要です。
そうした場合、左サイドの長友にパスしてからクロスを狙う方が良かったように思います。
このプレーを実況した当時の日本の解説者たちは「シュートで終わったことが大切!」とか「チームに勢いが出る!」などと言っていましたが、それは違います。
私からすれば強豪相手の数少ないチャンスなのに、もっと一つ一つのプレーを大切にするべきだったと思います。
要するに、小学生でもよくありがちな、格好付けただけのプレーでしかありません。
やはり、基礎基本や一つ一つのプレーをいかに大切にするべきか?ということがよく分かると思います。
③ブラジルの三点目も基礎基本の大切さ
これは、左サイドから攻撃して来た日本の選手から、ブラジルのDFがボールを奪ってフリーの逆サイドの選手にパスします。
パスを受けた選手はそのままドリブルして、カウンターを始めます。
この時の日本のDFは、ドリブルする選手に注意を引き付けられてボールウォッチャーになります。
そして中で待つブラジルの選手は完全にノーマークになり、ラストパスからシュートを決めています。
こうしたカウンターは大切な基本の戦術です。
先ほどのネイマールの言った「僕らでも泥臭く攻め続けるのに…」ということを表現したプレーですね。
また日本が攻め込んだことに対して反撃するということは、ボールを奪われたら奪い返すという大切さも意識されています。
たしかにサッカーは点を取って勝つことが大事ですが、そのためにはなりふり構ってはいられないのです。
当時のザックジャパンは典型的なパスサッカーですが、やはりネイマールから見たら日本は格好つけていたように見えたのでしょう。
以上のように、ブラジル代表のボールを奪われない、守る、奪われたら奪い返すという意識とサッカーの基礎基本の大切さという点は、日本との大きな違いになっているのです。
さて次は、ブラジルと日本の子供たちの意識の違いを詳しく解説します。
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