ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

インサイドトラップの仕方!【動画と画像で詳しく解説】

インサイドトラップで弾いてしまう、後ろに反らしてしまう…というミスは意外と多いですよね。

でも日本代表の香川、中島、久保のような止め方を覚えると、単に止めるだけではなくドリブルやキックの切り替えも上手くなります。

そこで、今回はインサイドトラップの仕方や練習法について解説します。

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1.日本のインサイドトラップの特徴と問題点

ここでは、日本で良く指導される2つのインサイドトラップといろいろな問題点について解説します。

そのうえで、後述する正しい止め方を覚えましょう。

(1)ボールを止める二つの方法

日本のインサイドトラップは、足を引いて止める、押して止めるという二つの方法がありましたが、現在は押して止めるのが一般的です。

① 足を引いて止める場合

これは次の動画の2:07からのシーンのように、自分の方に向かって来るボールの勢いを吸収して止める…というものです。

この場合、足に当たった時の反発によってボールが前に跳ね変えるので、止まる場所は軸足の前あたりになります。

これでは物理的に考えても、勢いを吸収することはありません。

つまり、このような引く動作は浮き球のクッションコントロールなら効果的ですが、グラウンダーのボールには意味がないのです。

それなら、最初から軸足の前で止めた方が良いということになりますよね。

ちなみに、このようなインサイドトラップはかなり昔のもので、今ではほとんど使われていませんが、一部の指導者は未だにこのような教え方をしているので気を付けましょう。

② 押して止める場合

A.一般的な止め方

現在のインサイドトラップは、次の動画の中村選手のような止め方が一般的です。

ポイントは2つあります。

一つ目はボールの中心からやや上に足を当てる。

二つ目は足首を固定してボールの勢いを抑える。

この場合、ボールが足に当たるとほんのわずかにバックスピンを起こすので、逆方向に戻りながら止まります(動画の最初の方のシーンを見るとよく分かります)。

この動画の後半では、中村選手が足首を固定して止めるように指導するシーンがあります。

たぶん彼にとっては、インサイドキックは足首を固定する…、だからトラップもそうする…という考えがあるのでしょう。

B.ボールを切る止め方

これはボールが足に当たる時に、足を上から下に垂直に切るように降ろすことで、急激なバックスピンをかけて止めるものです。

かなり変わったインサイドトラップのように思えますが、基本的な原理は先ほどの中村選手の止め方を大げさにしただけです。

しかも、ボールの中心からやや上に足を当てるのも同じですね。

こうした止め方にも、実はいろいろな問題点があります。

そこで、次に押して止める場合の特徴と問題点について解説します。

(2)押して止める場合の特徴と問題点

ボールを足で押す場合のインサイドトラップは、いろいろな種類があるようですが、結局、基本の部分はみんな同じです。

でも、その特徴を考えるといくつかの問題点があります。

A.足を当てる場所

足を当てるボールの場所は中心からやや上ですが、こうした止め方は、インサイドトラップをしながらボールを動かすプレーには適しません。

もちろん確実に止めるという点では最適な場所なので、いったん止めてから蹴る、またはドリブルするというツータッチのプレーに向いています。

でもプレー中はダイレクトパス(ワンタッチパス)や、ほとんど止めずにドリブルする場合もあるので、こうしたトラップを覚えるだけでは不十分です。

なぜならダイレクトパスはボールの中心あたりを蹴りますし、ドリブルの場合はボールの中心や下の方にタッチするからです。

つまり、ボールの中心から上だけではなく、いろいろな場所を止められるようにしなくては試合では使えないのです。

ちなみにダイレクトパスは、キック+トラップという二つのテクニックが合わさったプレーなので、きちんとしたトラップの技術が必要です。

また、ほとんど止めずにドリブルするプレーも同じように、トラップ+ドリブルの考えがあるので、ダイレクトプレーだからトラップは関係ない…ということはありません。

特に小学校低学年でインサイドトラップが満足に出来ないうちに、いきなりダイレクトプレーを練習するチームもありますが、これは間違った指導法です。

先ずはボールを止める技術が先です。その点はご注意ください。

B.ボールを止める位置

ボールを止める位置はインサイドキックでパスを蹴りやすい場所…、つまり軸足の真横か前あたりとされていますが、どちらかと言えば前の方ですね。

でも、これでは試合を想定した場合、敵に次のプレーが見破られてしまいます。

なぜなら、この止め方は次のプレーがインサイドキックを想定しているので、どうしてもパスが多くなるからです。

例えば中村選手の場合は、次の画像の(C)で軸足の前で止めて、(E)で踏み込んで蹴っています。

つまり、インサイドキックをしやすいという点で、軸足を一歩踏み込める位置にボールを置いているわけですね。

また彼のインサイドキックは、インサイドの面を作ってから蹴るので、バックスイングが小さく、その反対にフロースルーが大きいです。

これはフォロースルーのスイングの大きさに頼った蹴り方なので、軸足の前にボールを止めた方が好都合なのです。

実際にも日本代表時代のスルーパスの画像を見ると、3枚の連続写真のうちの一枚目では軸足の前にボールを置いて、二枚目では上体を立てた小さなバックスイングをしていますよね。

また、三枚目はほとんどそっくり返っています。この蹴り方はパター型のようにフォロースルーが大きいので、軸足の前にボールを置いた方が良いということなのです。

さらに、「インサイドキックでパスの蹴りやすい場所にボールを止める→軸足の前にボールを置いて踏込む」という動作を考えると、これは先ほども解説したように、敵に対して、次のプレーはパスだよ!と教えているようなものです。

そうすると相手はプレスをかけるのではなく、いち早くパスコースを塞ぐ守備をするので、パスの出しどころがなくなってしまうわけですね。

私は30年前にブラジル・サンパウロでジュニアとジュニアユースのアシスタントコーチをしていましたが、当時の子供たちは相手選手のクセを見抜く能力がとても高かったです。

中村選手のような、ほんのわずかなクセ(軸足の前にボールを置いて踏み込む)は簡単に見抜かれてしまいます。

しかも、ほとんどの日本の選手たちは軸足を向けた方向にパスを蹴りますよね。

したがって日本でよくありがちな、インサイドキックでパスを蹴りやすい場所(軸足の前)にボールを止めるという考えは改めた方が良いでしょう。

というよりも、インサイドキックの蹴り方そのものを変えるべきですね。

※インサイドキックの正しい蹴り方を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
インサイドキックの正しい蹴り方と練習法!

C.プレーの切り替えがやり難い

先ほど中村選手のトラップのクセを解説しましたが、プレーの切り替え難さはこれと関係します。

先ほど、日本ではインサイドキックでパスを蹴りやすい場所にボールを止める…と解説しましたよね。

これは、トラップ練習をする時に対面パスの練習ばかりやることとも関係します。

このような練習だけでは、トラップからパスの切り替えは覚えられても、ドリブルへの切り替えはなかなか上手くならないことを意味します。

仮に切り替えるとしたら、無理矢理やることになるので、どうしても動きが不自然になることから、動作そのものが遅くなります。

だから、子供たちにとっては、トラップからドリブルに切り替えるという別の練習メニューが必要になります。

そうではなく、対面パスの練習メニューの中でトラップからパスを返す、トラップからドリブルで2~3歩進んでからパスを返すなどの工夫が必要です。

なぜなら、その方が実戦的ですし、練習のための練習はいくらやっても意味がないのです。

あなたの子供さんの所属するチームは、こうした工夫をきちんとしていますか?

先ほどの中村選手のトラップからインサイドキックまでの動作を見ると、蹴る前に踏み込む時以外は軸足が地面に付いたままですよね。

これは、切り替え動作を速くするための「浮身」が苦手…ということです。

浮身は二つの特徴があって、一つ目は予備動作がないこと、二つ目は動きが素早くなることです。

この場合、中村選手はパサー型の選手のためか、ほとんど浮身は使っていないようです。

だから敵のプレスを受けると、直前でプレーを切り替える(パスではなくドリブルにするとか)などの動作が遅くなるわけです。

そうした点では、香川、長友、久保、中島などのドリブラータイプの選手は、自然と浮身が出来るので動きが素早いです。

また彼らのトラップは、足の当てる場所やボールを止める位置を自由自在に変えて、敵のプレスを回避する…という特徴があります。

そうした意味では、トラップは単にボールを止める…というテクニックではなく、パスやドリブルに切り替える素早さも必要なのです。

なお、浮身に関しては後ほど詳しく解説します。

D.結論

これまで解説した日本の一般的なインサイドトラップの特徴(足で押して止める)は、次の二つです。

① ボールの少し上に足を当てる。

② インサイドキックでパスを蹴りやすい場所(軸足の前)に止める。

ところが、これでは3つの問題があります。

① トラップしながらボールを動かすなどのダイレクトプレーには適さない。

② 軸足の前にボールをトラップするのは、敵に対して次のプレー(パス)が見破られる。

③ プレーの切り替えがやり難い(浮身が必要)。

したがって、日本で一般的とされているインサイドのトラップは、これが全てとは考えてはいけません。

あくまでも、いろいろなトラップのうちの一つ(ピタッと止めるためのテクニック)として考えましょう。

特に大切なのは、香川、長友、久保、中島などのように、ボールの止め方を自由自在に変えるテクニックを身に付けて、臨機応変にプレー出来るようにすることです。

そのためには、日本で一般的とされているインサイドトラップだけではなく、いわば応用に結び付くような基礎基本の止め方を覚えましょう。

そこで次に、インサイドトラップの正しい仕方と2つのポイントを解説します。

大切な内容なので、ぜひお読みください。

2.インサイドトラップの正しい仕方

正しいインサイドトラップは、これまで日本で一般的とされた中村選手のような止め方ではありません。

香川、長友、久保、中島などのように、臨機応変にプレーが切り替えられるテクニックを身に付けるための、基礎基本のスキルと考えてください。

つまり、将来の一流選手を目指すための応用性の高い止め方を覚える…と言っても良いでしょう。

その場合のポイントは2つあります。

(1)クッションコントロール

(2)浮身を覚える

また、この2つのスキルが身に付けば、中村選手のような単に止めるだけのトラップは簡単なので、あえて練習する必要はありません。

もしも覚えるとしたら、10分くらい練習すればすぐにマスターできるでしょう。

(1)クッションコントロール

① ボールの勢いを吸収する

クッションコントロールは、ふつう浮き球のトラップでよく言われるものですが、インサイドトラップでもこの考え方が必要です。

つまり、押すでも引くでもなく、ボールの勢いを吸収するという止め方です。

具体的なやり方は、次の2つの動画をご覧になるとよく分かります。それぞれ短く編集しているので、ぜひご覧ください。

この止め方は動画の中でも解説しているとおり、足をコンニャクのようにするとか、干した布団にボールが当たって止まる…というイメージですね。

その際、全身をリラックスして、足首を直角くらいに曲げますが、決して足首に力を入れて固定する必要はありません。

なぜなら、過度に固定してしまうと筋肉が緊張し、インサイドの面が硬い壁のようになってボールが跳ね返ってしまうからです。

むしろ適度にリラックスした方が、ボールが当たった瞬間に足首が「くにゃっ」と変形するので勢いが吸収できます。

試してみると分かりますが、どんなに強いボールでも不思議なくらいに止まりますよ。

この場合、ボールが止まる仕組みを物理的(運動量保存の法則)に考えると、ボールと同じ力を当てるか?勢いを吸収するか?の二つの方法があります。

その場合、向かって来るボールの勢い(運動エネルギー)を10としたら、10の足の力で止めようとしても、ボールは柔らかいので跳ね返りますよね(弾性エネルギーが生じる)。

そうすると、中村選手のように足首を固定して止めようとすると、少し手前に跳ね返るのです。

こうした仕組みを子供さんに教えるとしたら、ボールの運動エネルギーの10が足に当たった瞬間に、8の衝突のエネルギー(衝突した瞬間に消える)と2の弾性エネルギーに変化し、残った弾性エネルギーが0になって止まる…と説明してあげても良いでしょう。

単なる算数なので難しくはないはずですよ。

これに対して足をコンニャクのように脱力すると、ボールの運動エネルギー10を全て吸収するので、跳ね返るための弾性エネルギーは生じません。

だから、ピタッと止まるのです。

したがって、この止め方は物理的に考えても正しいわけですね。

② 足を当てる場所

足を当てる場所は、ボールの中心あたりです。

その理由は、止めた直後にボールを動かすプレーを想定しているからです。

この場合、そのまま止めずに蹴ればダイレクトパス(ワンタッチパス)が出来ますし、小学校低学年でもすぐに力加減を覚えられますよ。

また、こうした力加減を覚えると、ドリブルに切り替えるのも簡単です。

これは、最初からボールの中心を捉えていることと深く関係します。

例えば、中村選手のようにボールの少し上に足を当てて止めてから、ドリブルに切り替える場合は、いったん持ち直す必要があります(ボールの中心や下の方をタッチし直す)。

これに対して、クッションコントロール型のインサイドトラップは、そのままボールを止めても良いですし、ドリブルやキックにも柔軟に切り替えられるわけです。

特に、このテクニックは試合中の密集した場所で威力を発揮します。

これに対して中村選手は、試合中ではスペース(フリーの状態)でボールを持つことが多いので、ボールを持ち直してドリブルを始めたとしても、動作の切り替えの遅さは目立ちません。

それに、彼は密集した場所ではあまりプレーしないようです。

つまり彼はフリーの時に止めやすいトラップを多用しているので、いわば彼のプレースタイルに合った止め方をしているだけなのです。

そうすると彼の止め方では、狭い場所でプレーする場合は使い難いということですね。

なお、ボールの中心を止められるようになったら、次はボールの上、下、左、右というように、いろいろな場所を止められるようにしましょう。

なぜなら、いろいろなドリブルやキックに切り替えられるようになるなど、プレーの幅が広がるからです。

なお、詳細については「3.練習方法」で詳しく解説します。

③ 足の止める場所

足の止める場所はインサイドキックを蹴る場所と同じインサイドで…というのは、日本によくありがちな指導です。

でもインサイドで止めるのは、ほんの一例だと考えましょう。

もしも子供が、インサイドトラップはインサイドで止めるもの…と考えてしまったら、他の場所で止めるやり方を覚えなくなります。

やはり上手くなりたかったら、次の画像のように最低でも3つの場所で止められるようにしましょう。

(A)親指の横
(B)インサイドの面
(C)くるぶし~かかと

例えば、イニエスタ、シャビ、ブスケツなどのスペインの選手たちは、インサイドだけではなく、いろいろな場所で止められます。

またメッシやジダンなども同じで、日本の選手なら、香川、長友、久保あたりが、いろいろな場所でボールを止めています。

どちらかと言えば、ドリブラーとパサーの両方を兼ね備えたマルチタイプの選手が、密集した場所でもボールを奪われないように、このようなトラップをしているようです。

別の言い方をすると、トラップはボールタッチの一つとして考え、止め方の問題ではなく、次のプレーのスムーズな切り替えやすさを重視すべきだと思います。

したがってインサイドトラップはインサイドだけで止めるもの…という考え方は、絶対にしない方が良いでしょう。

これに対して「そんなことはないだろう…。いつかはいろいろな止め方を覚えるはずだ…。」と考えている指導者がいたとしたら、それは怠慢なので指導者失格です。

そうした考え方は、あなたの指導の限界なので今すぐに辞めましょう。

さて、次は「(2)浮身を覚える」を解説します。

(2)浮身を覚える

先ほど解説したクッションコントロールを覚えると、トラップからキック・ドリブルへの切り替えがスムーズになります。

でも、さらにもっと上のレベルを目指して上手くなりましょう。

そこで必要なのが浮身を覚えることです。

浮身は二つの特徴があって、一つ目は予備動作がないこと、二つ目は動きが素早くなることです。

① 予備動作

予備動作とは、ボールを止める時に、あらかじめ足を持ち上げたり身構えたりしてトラップに備えようとする動作です。

そうすると敵は「いったんトラップするだろう…、それならボールを止める瞬間を狙って奪おう…。」と考えます。

つまり、インサイドトラップという次のプレーが見破られてしまうわけですね。

これに対して浮身を使うと、次の画像のようにトラップ直前でも、浮身で体が浮いている時でも、片足を持ち上げたり身構えたりする動作が見られません。

着地してボールを止める時になって始めて、トラップの姿勢になるのです。

「とも」がトラップする直前の姿勢をよく見ると、何となく突っ立っているだけ…のように見えませんか?

つまり相手にとっては、ボールを止めてから始めて「トラップだったのか…」と分かるわけですね。

これはドリブルやキックへの切り替え動作でも同じです。

ドリブルであれば、ボールが1メートル手前に来ていても(浮身の状態)、相手からは単に突っ立っているようにしか見えないので、次のプレーは分かりません。

でも着地した時には、インサイドでボールを持ってドリブルを始めているので、相手にとっては、その時点になって「ドリブルだったのか…」と気が付くわけです。

また、パスへの切り替えであったら、ボールが60㎝くらい手前(1m手前かも知れませんが)になって始めて、相手は「パスなのか…」と気が付くわけです。

この場合も、パスを受ける前は相変わらず突っ立っていますよね(笑)。

でもこんなふうに立っていたら、「体の向きを準備しろ!」なんて監督やコーチたちに怒られると思います。

例えば、サイドハーフはふだんサイドラインに背を向けていますが、もしも攻撃方向に体を向けてパスを待っていたら、「次はこっちに行くよ…」と敵に教えているようなものですよね。

そうした意味では、日本の指導者たちの愚かさが情けなくなります。

ちなみに、試合中の密集した場所でもボールが奪われない選手は、必ずと言ってよいほど浮身を身に付けています。

だから、上手く相手のプレスをかわしてしまうのです。

その理由はもう分かりますよね。

② 動きが素早くなる

浮身によって動きが素早くなるのは、体が浮く動作と関係します。

結論から言うと、空中で姿勢を切り替えることで、地面の摩擦抵抗を一切受けないために素早く動けるということです。

この場合、浮身が出来ない選手がインサイドトラップからドリブルに切り替えるとしたら、トラップと同時に後ろ足で地面を蹴ってスタートします。

そうすると地面との摩擦抵抗が発生するので、かえって初動が遅くなるのです。

だったら、トラップする前に、最初からドリブルの体勢を取れば良いと思われますよね。

でも、これでは相手に予備動作を見せているので「次はドリブルだな…」と見抜かれてしまうのです。

ところが浮身を使うと、着地した時点でドリブルの姿勢になっています。

だから、トラップと同時に素早くドリブルが始まるのです。

しかも浮身が使える選手の多くは膝抜きも出来るので、後ろ足で地面を蹴るような動作がないことから、よりいっそう動きが素早くなります。

キックの場合も同じで、ボールが来るまで突っ立っているような姿勢から、いきなりパスコースを変えるのも簡単ですし、動作そのものが素早いです。

お分かりですか?

つまり、出来るだけプレーの開始を遅らせて相手にこちらの手の内を読ませない、そして動きを素早くするということです。

これは小細工ではありません。

サッカーではふつうに必要とされるスキルなのです。

ちなみに先日の浮身の記事では、浮身を覚えるとドリブルが上手くなると解説しましたよね。

でも浮身を覚えると、ドリブルだけではなく、実はサッカーの全てのプレーが上手くなるのです。あしからずご了承ください(笑)。

さて、次は練習方法について解説します。

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3.練習方法

インサイドトラップは必ず2人1組で練習してください。それほど大変ではないので、ぜひお父さんやお母さんが練習相手になってあげましょう。

その際、練習の時は繊細なボールタッチの感覚を身に付けるため、なるべく裸足か薄手のシューズを履きましょう。私のおススメは学校の上履きです。

また本当に上手くなりたかったら、キックやドリブルのトレーニングは中断して、1ヶ月くらいは徹底的に練習しても良いでしょう。

特に試合で不安になる子供達のほとんどの原因は、トラップミスを恐れることにあります。

そうした不安をなくすことで、子供さんが自信を持って試合に出場出来ますし、大きく成長するきっかけになると思います。

ぜひたくさん練習して上手くなりましょう。

(1)浮身を使えるようにする

インサイドトラップで浮身が使えるようになると、トラップの考え方が大きく変わります。

従来であれば、中村選手のように「ボールを足元に止める」という発想がありましたよね。

でも、そうではなく、トラップはボールタッチの一つとして考えるようになります。

また、ボールの止め方をいろいろと考えるよりも、現代サッカーのスピードに合わせた、プレーのスムーズな切り替えやすさを重視すべきです。

そのためには、絶対に浮身を覚えましょう。

この場合「浮身はジャンプではないか?だから足の力が必要ではないか?」とお考えの方も多いと思います。

でも、そう簡単なものではなく、実は全身を上手く使わないと浮身は身に付きません。

そこで、大切なのは次の5つの点です。

① 体幹の使い方
② 軸足と足のアーチの使い方
③ 膝抜きを覚える
④ 重心移動を使う
⑤ 一本歯下駄トレーニング

特に、香川、長友、久保、中島などのように、ボールの止め方を自由自在に変えるテクニックを身に付けるため、次の記事をお読みになって、ぜひ浮身の技術を習得しましょう。

(2)クッションコントロール

クッションコントロールは、止める感覚を掴むことが最も大切です。

この感覚さえ覚えれば、あとはチーム内のいろいろなトラップ練習に活かせます。

① 対面パス

A.止める感覚を覚える

お互いに向き合い、2~3mの距離から強めのボールを蹴ってください。

これに慣れたら、だんだんと強く蹴るようにして、また距離も長くしてください。

止める場所はインサイドを使って、ボールの中心を止めるようにしましょう。

その際、足をコンニャクのようにするとか、干した布団にボールが当たっても跳ね返らない…というイメージを伝えてください。

また、足首を直角に曲げて止めますが、決して足首に力を入れて固定する必要はありません。

むしろ全身をリラックスした方が止めやすいです。

B.ドリブルとキックの切り替え

止める感覚を覚えたら、今度はドリブルやキックに切り替える感覚を身に付けましょう。

この場合、主に練習してほしいのはドリブルへの切り替えで、これが出来るようになれば、キックの切り替えは練習しなくてもすぐに覚えられます。

なぜなら、ワンタッチで蹴る場合は止めずにそのままインサイドキックをやれば良いだけですし、ツータッチの場合はいったん止めてから蹴れば良いだけだからです。

つまり力の入れ具合ですね。

そうした意味では、ドリブルの切り替えの方が難易度が高いので、こちらを徹底的に練習しましょう。

次の画像はインサイドを使ってトラップからドリブルに切り替えていますが、特に大切なのは「指」を意識することです。

過去の記事になりますが、「サッカーのドリブル練習法!小学校低学年向け基本8選」の中で、ドリブルは指の感覚が大切である点を解説しています。

また、トラップからドリブルに切り替えるということは、ボールを止めようとする時点でドリブルを始めるわけですよね。

そうすると指を意識した方が、ドリブルへの切り替えがスムーズになるのです。

さらに、この時ボールを強めに押し出せば、そのままコントロールオリエンタードも覚えられます。

要するに力加減ですよね。

そうした意味では、あまり難しく考えずに、いろいろと試してみましょう。

なお、キックの場合も指を意識してください。

その理由はトラップの直前まで、ドリブルでもキックでもリバーシブルにプレーを切り替えられるようにするためです。

これも結局は感覚なので、練習すれば小学校低学年でも自然と繊細なタッチが身に付きます。

要するに、プレーの切り替え=感覚ということですね。

最終的には、10m程度の距離から蹴った強いボールが確実に止められるようになったり、ドリブルやキックの切り替えが出来るようになったら、次のステップに移りましょう。

② タッチを変える

A.足首の角度

先ほどの「①対面パス」が出来るようになったら、次は足首の角度を変えてみましょう。

この練習は、ドリブルに切り替える時のタッチの感覚を掴むのが狙いです。

また足首のインサイドの面の角度は、大ざっぱで良いので、90度、60度、120度というようにいろいろと変えてみましょう。

この時、アウトサイド、インステップ、インフロント、足裏などを使うとテクニックのバリエーションが増えるので、インサイドにこだわらずに、いろいろな止め方を試してみてください。

インサイドトラップの練習だからインサイドだけを使う…なんて考えは止めましょう。

子供にとって大切なのは感覚を身に付けることですし、せっかくの機会なのでいろいろと覚えさせてください。

B.ボールの止める場所

ボールの止める場所は中心が基本ですが、トラップからドリブルの切り替えに活かすため、ボールの少し上・下、少し右・左というように、いろいろと変えてみてください。

大切なのはタッチの感覚なので、一つ一つのタッチを大切にしてください。

例えば「今のタッチはどんな感じがする?」と問いかけると、子供は「ボールの下の方を止めようとすると滑るような感じがする…」などと答えると思います。

こうしたやり取りも感覚を意識するきっかけになるので、問いかけを大切にしてください。

C.足の当てる場所

足の当てる場所は、インサイド、指、くるぶしの下からカカト近くの3つです。

これも場所を変えながら、タッチの感覚を覚えましょう。

また、慣れてきたら、インサイドだけではなく、アウトサイド、インステップ、インフロント、足裏など、いろいろな場所で止められるようにしてください。

特にトラップの瞬間は当たる場所が見えないので、足の感覚に頼るしかありません。

その際、子供の感性に任せて、いろいろと試させたり、たくさん失敗させて自分の感覚を研ぎ澄ますように仕向けましょう。

そうすることで、自分なりの感覚を掴むようになります。

また親がいちいち口出しすると、子供は思考停止になるので、自分で工夫したり、感じ取ったりというチャレンジ思考が芽生えません。

そうした意味では子供との我慢比べになります。

もしもアドバイスするとしたら、「リラックス!」「自分のやりやすい方法で!」「たくさん失敗しないと上手くならないよ!」という程度で結構です。

なお、苦手なタッチも出て来ると思いますが、時間をかけて克服するようにしましょう。

練習方法は以上ですが、これらの基本さえきちんと身に付けば、ジュニア→ジュニアユース→ユースというように、カテゴリーが上がっても十分通用します。

なぜなら、チーム内でのトラップ練習のほとんどは、オフザボ―ルに合わせた止め方を練習するだけだからです(例えば動きながらトラップするなど)。

この場合、チーム練習で上手く使いこなせない…ということがあるかも知れません。

でも、そうした原因の多くは体に力が入り過ぎているからなので、必ずリラックスも心がけてください。

「リラックスはプレーのパフォーマンスを最大化する…」と動画でも解説していたでしょ?

以上が正しいインサイドトラップの解説ですが、ぜひ今のうちに正しいテクニックと浮身のスキルを身に付けましょう。

4.まとめ

これまで、日本の一般的なインサイドトラップの特徴(足で押して止める)と問題点を解説しました。

特徴は二つあり、①ボールの少し上に足を当てる。②インサイドキックでパスを蹴りやすい場所(軸足の前)に止める。

ところが、これでは3つの問題があります。

① トラップしながらボールを動かすというダイレクトプレーには適さない。

② 軸足の前にボールをトラップすると、敵に対して次のプレーが見破られる。

③ プレーの切り替えがやり難い(浮身が必要)。

したがって、日本で一般的とされているインサイドのトラップは、これが全てとは考えてはいけません。

これに対してクッションコントロール型のトラップと浮身は、香川、長友、久保、中島などのように、自由自在にプレーが切り替えられるための基礎基本の技術です。

しかも、これを先に覚えてしまえば、日本の一般的なインサイドトラップは簡単に覚えられます。

つまり、将来の一流選手を目指すための応用性の高い止め方を先に覚えるのが大切なのです。

この場合、日本では、トラップはサッカーのテクニックの基本…などという耳障りの良い、いかにも分かったふうな言い方が蔓延しています。

でもそうではなく、日本人はトラップが下手だから基本をしっかり覚えなくなてならない…という意味に解釈するべきでしょう。

またインサイドトラップは単に止めるだけのスキルではなく、次のプレーに繋げるためのテクニックとして覚えてこそ本当の基礎基本なのです。

あくまでも、これまで一般的とされてきたインサイドトラップは、いろいろな止め方のうちの一つでしかないと考えましょう。

そうした意味では、ぜひ多くの子供たちが正しいインサイドトラップを覚えて、サッカーが上手くなることを願っています。

【画像引用:Youtube.com