インサイドトラップで弾いてしまう、後ろに反らしてしまう…というミスは意外と多いですよね。
でも日本代表の香川、中島、久保のような止め方を覚えると、単に止めるだけではなくドリブルやキックの切り替えも上手くなります。
そこで、今回はインサイドトラップの仕方や練習法について解説します。
※この記事は4つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。
1ページ目(このページに書いてあります)
【日本のインサイドトラップの特徴と問題点】
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【インサイドトラップの正しい仕方】
(1)クッションコントロール
3ページ目(←クリック!)
(2)浮身を覚える
4ページ目(←クリック!)
【練習方法】
【まとめ】
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【日本のインサイドトラップの特徴と問題点】
ここでは、日本で良く指導されるインサイドトラップといろいろな問題点について解説します。
そのうえで、後述する正しい止め方を覚えましょう。
(1)押して止める
日本の現在のインサイドトラップは、次の動画の中村選手のような押して止めるというやり方が一般的です。
ポイントは2つあります。
一つ目はボールの中心からやや上に足を当てる。
二つ目は足首を固定してボールの勢いを抑える。
この場合、ボールが足に当たるとほんのわずかにバックスピンを起こすので、逆方向に戻りながら止まります(動画の最初の方のシーンを見るとよく分かります)。
この動画の後半では、中村選手が足首を固定して止めるように指導するシーンがあります。
たぶん彼にとっては、インサイドキックは足首を固定する…、だからトラップもそうする…という考えがあるのでしょう。
こうした止め方にも、実はいろいろな問題点があります。
そこで、次に押して止める場合の特徴と問題点について解説します。
(2)押して止める場合の特徴と問題点
ボールを足で押す場合のインサイドトラップは、いろいろな種類があるようですが、結局、基本の部分はみんな同じです。
でも、その特徴を考えるといくつかの問題点があります。
①足を当てる場所
足を当てるボールの場所は中心からやや上ですが、こうした止め方は、インサイドトラップをしながらボールを動かすプレーには適しません。
もちろん確実に止めるという点では最適な場所なので、いったん止めてから蹴る、またはドリブルするというツータッチのプレーに向いています。
でもプレー中はダイレクトパス(ワンタッチパス)や、ほとんど止めずにドリブルする場合もあるので、こうしたトラップを覚えるだけでは不十分です。
なぜならダイレクトパスはボールの中心あたりを蹴りますし、ドリブルの場合はボールの中心や下の方にタッチするからです。
つまり、ボールの中心から上だけではなく、いろいろな場所を止められるようにしなくては試合では使えないのです。
ちなみにダイレクトパスは、キック+トラップという二つのテクニックが合わさったプレーなので、きちんとしたトラップの技術が必要です。
また、ほとんど止めずにドリブルするプレーも同じように、トラップ+ドリブルの考えがあるので、ダイレクトプレーだからトラップは関係ない…ということはありません。
特に小学校低学年でインサイドトラップが満足に出来ないうちに、いきなりダイレクトプレーを練習するチームもありますが、これは間違った指導法です。
先ずはボールを止める技術が先です。その点はご注意ください。
②ボールを止める位置
ボールを止める位置はインサイドキックでパスを蹴りやすい場所…、つまり軸足の真横か前あたりとされていますが、どちらかと言えば前の方ですね。
でも、これでは試合を想定した場合、敵に次のプレーが見破られてしまいます。
なぜなら、この止め方は次のプレーがインサイドキックを想定しているので、どうしてもパスが多くなるからです。
例えば中村選手の場合は、次の画像の(C)で軸足の前で止めて、(E)で踏み込んで蹴っています。
つまり、インサイドキックをしやすいという点で、軸足を一歩踏み込める位置にボールを置いているわけですね。
また彼のインサイドキックは、インサイドの面を作ってから蹴るので、バックスイングが小さく、その反対にフロースルーが大きいです。
これはフォロースルーのスイングの大きさに頼った蹴り方なので、軸足の前にボールを止めた方が好都合なのです。
実際にも日本代表時代のスルーパスの画像を見ると、3枚の連続写真のうちの一枚目では軸足の前にボールを置いて、二枚目では上体を立てた小さなバックスイングをしていますよね。
また、三枚目はほとんどそっくり返っています。この蹴り方はパター型のようにフォロースルーが大きいので、軸足の前にボールを置いた方が良いということなのです。
さらに、「インサイドキックでパスの蹴りやすい場所にボールを止める→軸足の前にボールを置いて踏込む」という動作を考えると、これは先ほども解説したように、敵に対して、次のプレーはパスだよ!と教えているようなものです。
そうすると相手はプレスをかけるのではなく、いち早くパスコースを塞ぐ守備をするので、パスの出しどころがなくなってしまうわけですね。
私は30年前にブラジル・サンパウロでジュニアとジュニアユースのアシスタントコーチをしていましたが、当時の子供たちは相手選手のクセを見抜く能力がとても高かったです。
中村選手のような、ほんのわずかなクセ(軸足の前にボールを置いて踏み込む)は簡単に見抜かれてしまいます。
しかも、ほとんどの日本の選手たちは軸足を向けた方向にパスを蹴りますよね。
したがって日本でよくありがちな、インサイドキックでパスを蹴りやすい場所(軸足の前)にボールを止めるという考えは改めた方が良いでしょう。
というよりも、インサイドキックの蹴り方そのものを変えるべきですね。
インサイドキックの正しい蹴り方と練習法!
③プレーの切り替えがやり難い
先ほど中村選手のトラップのクセを解説しましたが、プレーの切り替え難さはこれと関係します。
先ほど、日本ではインサイドキックでパスを蹴りやすい場所にボールを止める…と解説しましたよね。
これは、トラップ練習をする時に対面パスの練習ばかりやることとも関係します。
このような練習だけでは、トラップからパスの切り替えは覚えられても、ドリブルへの切り替えはなかなか上手くならないことを意味します。
仮に切り替えるとしたら、無理矢理やることになるので、どうしても動きが不自然になることから、動作そのものが遅くなります。
だから子供たちにとっては、トラップからドリブルに切り替えるという別の練習メニューが必要になります。
そうではなく、対面パスの練習メニューの中でトラップからパスを返す、トラップからドリブルで2~3歩進んでからパスを返すなどの工夫が必要です(コントロールオリエンタードのような)。
なぜなら、その方が実戦的ですし練習のための練習はいくらやっても意味がないのです。
あなたの子供さんの所属するチームは、こうした工夫をきちんとしていますか?
先ほどの中村選手のトラップからインサイドキックまでの動作を見ると、蹴る前に踏み込む時以外は軸足が地面に付いたままですよね。
これは、切り替え動作を速くするための「浮身」が苦手…ということです。
浮身は二つの特徴があって、一つ目は予備動作がないこと、二つ目は動きが素早くなることです。
この場合、中村選手はパサー型の選手のためか、ほとんど浮身は使っていないようです。
だから敵のプレスを受けると、直前でプレーを切り替える(パスではなくドリブルにするとか)などの動作が遅くなるわけです。
そうした点では、香川、長友、久保、中島などのドリブラータイプの選手は、自然と浮身が出来るので動きが素早いです。
また彼らのトラップは、足の当てる場所やボールを止める位置を自由自在に変えて、敵のプレスを回避する…という特徴があります。
そうした意味では、トラップは単にボールを止める…というテクニックではなく、パスやドリブルに切り替える素早さも必要なのです。
なお、浮身に関しては後ほど詳しく解説します。
④結 論
これまで解説した日本の一般的なインサイドトラップの特徴(足で押して止める)は、次の二つです。
① ボールの少し上に足を当てる。
② インサイドキックでパスを蹴りやすい場所(軸足の前)に止める。
ところが、これでは3つの問題があります。
① トラップしながらボールを動かすなどのダイレクトプレーには適さない。
② 軸足の前にボールをトラップするのは、敵に対して次のプレー(パス)が見破られる。
③ プレーの切り替えがやり難い(浮身が必要)。
したがって、日本で一般的とされているインサイドのトラップは、これが全てとは考えてはいけません。
あくまでも、いろいろなトラップのうちの一つ(ピタッと止めるためのテクニック)として考えましょう。
特に大切なのは、香川、長友、久保、中島などのように、ボールの止め方を自由自在に変えるテクニックを身に付けて、臨機応変にプレー出来るようにすることです。
そのためには、日本で一般的とされているインサイドトラップだけではなく、いわば応用に結び付くような基礎基本の止め方を覚えましょう。
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そこで次に、インサイドトラップの正しい仕方と2つのポイントを解説します。
大切な内容なので、ぜひお読みください。
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