ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

サッカーのキックが上手いとは?本当に上手くなる練習法!

サッカーのキックが上手いとは狙った場所に自由自在に蹴れることです。

この辺に蹴れば…などという適当な考えは今すぐ止めましょう。

そこで今回はキックの上手さ、育成年代の指導の問題点、上手くなるための練習法を解説します。

※この記事は3つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。

1ページ目(このページに書いてあります)
【キックが上手いとは?】

2ページ目(←クリック!)
【育成年代のキックの指導の問題点】

3ページ目(←クリック!)
【キックが上手くなるための練習法】
(1)試合中によく使うキック

4ページ目(←クリック!)
(2)基礎基本
【まとめ】

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【キックが上手いとは?】

(1)キックが蹴れるのと上手いのは違う

サッカーのキックは、いろいろな蹴り方がありますよね。

小学生であれば、インサイドキック、インステップキック、インフロントキックの順に覚えるでしょう。

子供なりに、たくさん練習して蹴れるようなった。だからキックが上手くなった…。

もしもそのように思っていたとしたら、大きな勘違いです。

これは単に蹴り方を覚えただけであって、決して上手くなったわけではありません。

つまり「蹴れる」と「上手い」は、全く別物なのです。

たしかに練習していろいろな蹴り方を覚えれば、試合でも使えるようになるでしょう。

だからと言って、それで満足していてはダメです。

これを野球のピッチャーに例えて考えてみましょう。

子供がピッチング練習をして、速いボールが投げられたとします。

でも、正確にコントロール出来ないとバッターを打ち取れません。

実は、速く投げられるだけでは、ボールがどこに行くのか分からない…という意味もあるのです。

これでは、監督やコーチは安心して任せられませんよね。

だから、インコースやアウトコース、高めや低めにコントロール出来るように練習します。また変化球も覚えて、いろいろなコースに投げ分けられるようになって初めて試合で通用するのです。

これをサッカーのキックの話しに戻しましょう。

そうすると、インサイドキック、インステップ、インフロントが蹴れるようになったからと言って、果たして試合で使いこなせるのでしょうか?

野球のピッチャーで言えば、真っ直ぐ投げられるだけ…と同じですよね。

つまり、サッカーのキックでいろいろな蹴り方を覚えたとしても、それだけでは実際に蹴ってみないと、ボールがどこに飛ぶのか分からないわけです。

パス一つ取ってみても、きちんと蹴ることが出来ないかも知れません。

でも、取り合えず蹴れるようになれば、試合に出場する子供たちは多いでしょう。そうした意味では、サッカーは実におおらかなスポーツだと思います(笑)。

たぶんほとんどの子供たちは、いろいろな蹴り方を覚えて小中高と成長すれば、それなりのボールコントロールが出来るようになるとは思います。

でも、それだけでは本当の意味で上手くなった…とは考えない方が良いでしょう。

それではキックが本当に上手い…というのは、どういう意味なのでしょう?

(2)キックが本当に上手いとは

元日本代表監督のオシムは、「サッカーが上手くなりたかったら、狙ったところに正確にキックが蹴れるようになりなさい」という格言を残しています。

正にその通りだと思います。私は息子の「とも」に、この格言を小1の頃からずっと繰り返し言い続けていました。

要するに、どのようなキックでも狙ったところにピンポイントで蹴れるのが、本当の意味で上手い!と言うことなのです。

次の動画の1:50からのシーンを見てください。

元ブラジル代表のロナウジーニョが、リフティングからボレーを蹴ってゴールのバーに何度も当てていますよね。

つまり、これがキックが上手いということなのです。

Youtubeの投稿欄を見ると「このキックはCGではないか?」などと言うコメントも多いですが、決してそうではありません。

私は30年前にブラジルサンパウロのクラブで、ジュニアとジュニアユースのアシスタントコーチをしていました。

その頃、トップチームの練習を見学したこともありますが、選手たちはウォーミングアップでボールを蹴ってバー当てをすることがありましたが、平然と何度も当てるので、さすがに上手いな…と驚いたものです。

つまり、海外では、こんなことが出来るのはロナウジーニョだけではないのです。

ところがジュニアやジュニアユースの選手たちの中にも、同じようなキックが蹴れる子供は多かったです。日本ではどうなのでしょうか?

ところで、次の動画の日本代表の選手たちのキックの様子を見て、あなたはどう思いますか?

冒頭のシーンでは、元日本代表の本田が2~3回ほどバーに当てていますよね。

でも、ロナウジーニョのようにリフティングをしながらフルスイングで正確にキックしているわけではありません。

ボールを地面に置いた状態から、時間をかけて「そっと」蹴っているのです。

また本田の周囲の選手たちはシュート練習をしていますが、ゴールを外すシーンが多いですよね。しかも無人のゴールに対してですよ(笑)。

実際の試合であれば相手のプレッシャーもありますし、もっと難易度が上がります。

たぶん、この動画は練習前のウォーミングアップかクールダウンを収録したものなのでしょう。

もしそうであれば心身ともにリフレッシュしているので、いとも簡単に百発百中のキックが蹴れてもおかしくないはずです。

しかも彼らは日本代表の選手ですから、誰よりもキックが上手いのが当たり前なはずです。

あなたは、彼らが本当に上手いと思いますか?

巷では日本の選手は決定力が不足している…とよく言われますよね。

でも練習の時にこの程度のキックしか蹴れないのだから、決定力の不足ではなく、むしろキックそのものが下手…と考えた方が良いと思います。

このような選手たちの何気ない練習を見るだけでも、日本人のキックのレベルの低さがよくお分かりになるでしょう。

一般的に国の代表選手のレベルは、その国の育成年代の指導の結果とか集大成と見なされています。つまり、どのような指導を受けて育ったのか?という結果を、選手という形として表現しているわけですね。

やはり、日本代表の選手たちのキックが必ずしも上手いとは言えない現状は、育成年代の指導に問題があると思います。

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そこで次に、育成年代のキックの指導について考えてみましょう。

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