ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

サッカーのキックが上手いとは?本当に上手くなる練習法!

【育成年代のキックの指導の問題点】

(1)ジュニアの指導

元日本代表監督の岡田武史さんが、かなり前にFOOT×BRAINという番組に出演しましたが、その中で次のようにコメントしています。

彼がコーチ研修として海外のクラブにいた頃、二人の小学生が向かい合ってキックの練習をしていた時のことです。

お互いが15m程度の距離に離れて、強くて正確なキックをまるでクラッカーのように蹴り合っていたところ、その様子を見て「海外の子供たちはこんなに上手いのか!」と驚いたそうです。

また「日本のジュニアの育成指導は、キックの重要性を見直すべきではないか…」とも話していました。

これに対してジュニア年代では、練習に占めるドリブルの割合がかなり多いと思います。小学生はドリブルを優先すべき…という指導者さえも多いですね。

たしかに大切なテクニックなので、練習量が多いのは分かります。

でもドリブルは、そのほとんどがグラウンダーのボールですし、難しくて出来きないテクニックであっても練習すれば何とかなります。

だから、クーパーコーチングのように、いろいろな技術を詰め込まなくても良いのではないでしょうか?そうでなくとも、両足リフティングなどと言うムダな練習も多いですからね。

そうした一方で、試合になるとパスを優先します。

そうすると、あれだけ練習したドリブルはムダになるわけですね。

また試合中にドリブルをして相手にボールを取られると、怒り出す監督やコーチたちも多いはずです。

そうすると、子供たちはせっかく覚えたドリブルを自然とやらなくなります。

そればかりではありません。

試合中にパスミスやシュートミスがあれば、烈火のごとく怒鳴り散らす始末です。

私が思うに、こうした指導者の姿勢は滑稽にさえ感じます。

なぜなら観客に向かって「私のキックの指導が悪い!」と、公言しているようなものだからです(笑)。

そもそもキック練習の比重が低いのだから、子供がミスをしても全く不思議ではありません。

たぶん育成の本質が分かっていないのでしょう。

そう考えると、ジュニア年代では、もっとキックの練習の割合を増やして、子供たちを上手くさせるべきではないでしょうか?

でもこうした状況は、ジュニアユースになるとさらに違った問題が現れます。

(2)ジュニアユースの指導(日本と海外の違い)

日本の子供が、ジュニアユースのセレクションを受けたとします。

その場合、インステップキックはバックスピンがかかってしまう…。インフロントキックは遠くに蹴るだけ…。インサイドキックはピンポイントでパスを蹴れない…。

このようなレベルでも、合格する子は意外と多いと思います。

その理由は、戦術の理解度、オフザボールの動きの質、状況判断の的確さ、プレースタイルなど、試合で勝つために必要な選手を合格させるからです。

実はこうした選手選考の判断基準は、プロが移籍したり、育成からトップチームに昇格する時(チームに必要かどうか)と同じで、その根底にあるのは、すでに育成を終えたことが前提になっています。

つまり、日本のジュニアユースのセレクションの選考基準は、もう育成はやらない…、試合に勝てれば良い…と言っているようなものですね。

お分かりですか?育成とは、プロのようにチームを強くすることではなく、個々の選手を育てることなのです。

だからジュニアユースの指導では、キックはもちろん、いろいろなテクニックの基礎基本を徹底的に習得させるべきなのです。

ところが実際の練習では、戦術、オフザボール、状況判断などの試合で勝つことを想定した練習が主体ですよね。

そうすると、本来ジュニアユースで育成するべきキックなどの指導に対し、3年間の空白期間が生じてしまうわけです。

先ほどの動画で、日本代表の選手たちのシュート練習の様子を見ましたよね。彼らがジュニアユースの時に、果たしてどのような指導を受けたのかが何となく想像できるのではないでしょうか?

これではキックが上手くなるはずがありません。

また、日本人は、事実上ユースに上がった頃に体の成長が止まるので、その上のカテゴリー(プロ、社会人、大学など)に進んでもテクニックはあまり大きく伸びません。だから、大人になってからキックの練習をしても遅いのです。

これに対して、海外の選手たちはジュニアユースの3年間に、キックを初めとした基礎基本を徹底的に指導されます。

また、本格的な戦術の指導はユースになってからなので、その時期になって初めて試合を重視するのです。

つまり、ジュニアユースで試合ばかりやっている日本と、キックの基礎基本を徹底的に指導する海外の育成を比較すると、3年間という大きな差が付いてしまうわけですね。

そうするとユースから先の時点では、海外の選手たちは日本の子供たちを追い抜いてしまうのです。

簡単に言えば「ウサギとカメ」と同じで、日本の子供たちが試合ばかりするウサギで、海外の子供たちはキックの基礎基本を地道に練習するカメなわけですね。

どちらが将来大きく成長すると思いますか?

要するに、キックの指導一つとっても、日本と海外ではこれだけ違うのです。

(3)キックが上手くならない現実

サッカーのキックは、とても奥が深く、種類もいろいろありますし、蹴り分けの技術なども必要です。

ところが、もしも苦手なキックがあったとしたら、それ以上は成長しないので、一生懸命練習して克服しなくてはいけません。

もちろん、オシムの格言である「キックは狙ったところに正確に蹴れる…」ようにしないと、一流選手にはなれないでしょう。

だから、ジュニアやジュニアユースの子供たちには、キックをたくさん練習させた方が良いのです。

でも、そうした大切な時期に試合形式の練習ばかりやらせていたら、いつまで経ってもキックは上手くなりません。

そうして大人になると厳しい現実が待っています。

あなたは日本代表やJリーガーの試合で、選手たちのキックがきちんと狙ったところに蹴れていると思いますか?

選手たちは正確に蹴っているはずだ!と言う意見もあるでしょうが、私が見る限りそうは思えません。

例えば、コパアメリカ2019で、中島選手がペナルティーエリア付近で相手に囲まれながらシュートを打って失敗するシーンがよくありました。たぶんフリーの状況であれば、シュートを決められたのでしょう。

あなたがそうしたシーンを見て「惜しいなあ…」と感じていたら、それは違うと思います。

なぜなら、プロはどのような状況でも決めなくてはならないからです。

キックが本当に上手い選手は、相手に囲まれても、どんなにプレッシャーが厳しくても狙ったところに蹴っています。

また、こうした技術は、子どもの頃から時間をかけて練習させないと身に付きません。

やはり、日本の選手がピンポイントでキックを蹴れないのは、ジュニアやジュニアユースなどの育成年代できちんと練習させなかった証拠です。

子供がユースや高校までの育成年代を終えた時点で正確なキックが蹴れなかったら、どこに行っても使い物にはなりません。ましてや海外に挑戦…などというのは、夢のまた夢です。

厳しい言い方ですが、これが現実だと思います。

元日本代表監督の岡田さんも話していたように、やはり日本の育成年代の指導ではキックの練習の重要性を見直すべきではないかと思います。

そうすることで、本当にキックが上手くなる子供が増えるのではないでしょうか?

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さて次は、キックが上手くなるための練習法を解説します。

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