(2)基礎基本
①キックの繊細な感覚を掴む
狙ったところに自由自在に蹴るためには、キックの繊細な感覚がとても大切です。そこで、裸足になって練習をしましょう。
キックの繊細な感覚とは、インパクトの瞬間のいわゆる「肌感覚」のことです。
例えばインステップキックなら「ボールの中心が凹む…」、インフロントキックなら「ボールが足の上に乗って転がる…」というようなものですね。
家の中であれば、次の動画のように3m程度の距離を蹴れば良いですし、芝生の上であれば、もっと長い距離を蹴っても良いでしょう(動画はインフロンキックですが、インステップやインサイドも練習してください)。
こうしたキックの繊細な感覚は裸足で練習しない限り、絶対に身に付きません。
ブラジルの子供たちが上手くなるのは、裸足でサッカーをして、自然と肌感覚を磨くからです。
ところが、日本のジュニア世代ではドリブルはたくさん練習するので、ドリブルの感覚は発達しますが、キックはそれほど練習しません。
もちろん裸足の練習もないので、これではいつまで経ってもキックの繊細な感覚は身に付かないでしょう。
とにかく、裸足でたくさんキックして繊細なボール感覚を身に付けましょう。
②軸足と体幹の強化
キックの上手い選手は軸足と体幹が強いので、バックスイング~フォロースルーまでのキックフォームが安定しています。
特にキックは全身に強い遠心力がかかるので、軸足と体幹を強化して遠心力を克服しましょう。
日本では体幹トレーニングはしても、軸足を鍛えるという発想がほとんどないので日本代表選手でも軸が弱い選手が多いですね。
こうした問題はキック力だけでなく、ボールコントロールが下手な原因にもなります。
そこで、次の動画のように「ちょんちょんリフティング」をたくさん練習しましょう。
このリフティングは体幹と軸足が同時にトレーニング出来ますし、単なる筋トレよりも極めて効果的です。
③蹴り分け
キックの蹴り分けとは、全く同じフォームで真っ直ぐ蹴ったりカーブやアウト回転をかけることです。
そうすることで相手に蹴る方向が読まれ難く「裏をかく、騙す」というマリーシアにも似た心理技術が身に付きます。
私の息子「とも」のキックの軸足は、インステップ、インフロント、カーブなど、ほとんどのキックがボールの真横に位置しています。しかもバックスイング~インパクトまでのキックフォームがほぼ同じです。
これはパスにしてもシュートにしても、相手にとっては実際に蹴るまで球種が判らないということです。
狙ったところに自由自在に蹴るという意味では欠かせないテクニックの一つなので、ぜひ覚えてください。
キックの蹴り分けの意味と正しい使い方とは?
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【まとめ】
これまで、キックが上手いと言う意味、育成年代の指導の問題点、上手くなるための練習法を解説しました。
元日本代表監督のオシムは「サッカーが上手くなりたかったら、狙ったところに正確にキックが蹴れるようになりなさい」という格言を残しています。
また、同じく元日本代表監督の岡田武史さんは「日本のジュニアの育成指導は、キックの重要性を見直すべきではないか…」と説いています。
さらに、ジュニアユースになると試合形式のトレーニングばかりで、キックの練習はほとんどありません。
ところが、海外ではこの時期にキックの基礎基本を徹底的に練習させるので、ユース以降の年代では、日本の選手たちのレベルを大きく追い抜いてしまうのです。
やはり、日本の選手たちのキックが上手くならないのは、育成年代できちんと練習させていないのが原因です。
ぜひ多くの日本の指導者がこの現状に気付き、指導方法を改善して、たくさんの子供たちのキックが上手くなるように願っています。