ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

サッカーでミスが起きる原因と正しい解決方法とは?

サッカーはミスが多いスポーツなので、不安、悩み、恐怖などを抱く必要はありません。

むしろ大切なのは原因を明らかにして、再発しないための改善策を考えることです。

そこで今回はミスに対する2つの考え方、Jリーグの試合中に起きたミスの事例と改善策、ミスが起きた時のチームと本人の対応について解説します。

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1.ミスに対する2つの考え方

サッカーの試合はミスが付き物ですが、選手に対してどのように向き合えば良いのか?という点で大きく2つに分けられます。

一つ目は、出来るだけミスを少なくする。
二つ目は、ミスが起きるのは当たり前。

そこで、次に2つの点について考えてみましょう。

(1)出来るだけミスを少なくする

ミスを出来るだけ少なくするという考えは、特にFCバルセロナの試合運びに多く見られます。

バルサと言えば、パスを繋いでいるだけのように思えますが、実はそうではなく攻撃を続けるためにボールを持ち続けるのが重要とされているのです。

そのためにやってはいけないことがミスであり、ミスの少ない方が試合に勝つと考えられています。

こうした考えはクライフの監督時代に具体化され、グアルディオラの時に完成した一種の哲学なのでしょう。

またミスを少なくする…という考えはすでに日本でも広まっていますが、「あれはダメ」「これもダメ」というネガティブ思考の強い日本人によく合っているのかも知れません。

たしかにミスを少なくするのは大切ですが、育成年代の子供にとって、それだけではミスを恐れたり不安になったりということで精神的に追い込まれてしまいます。

(2)ミスが起きるのは当たり前

サッカーはミスの多いスポーツなので、どんなに上手い選手でもノーミスということはあり得ません。

そうすると、むしろミスが起きるのは当たり前という考えもあります。

これはリバプールFC監督のユルゲン・クロップが主張するもので、どうせミスをするのだからたくさんチャレンジしてチャンスを増やそうというものです。

実際にも、彼はミスをして失点の原因を作った選手を責めるようなことはしませんし、むしろ擁護する発言が多いです。

だからクロップが指揮する選手たちはチームを移籍した後でも彼のことを悪く言ったりしませんし、それだけ彼が選手に慕われている証拠なのでしょう。

でも「ミスが起きるのは当たり前」というのは、先ほどの「出来るだけミスを少なくする」と違ってホジティブ思考なので、日本人にはなかなか受け入れ難いかも知れません。

それでは育成年代の子供にとって、ミスをどのように捉えれば良いのでしょうか?

(3)育成年代のミスに対する考え方

先ほどの「ミスを少なくする」と「ミスが起きるのは当たり前」の考えは相反するように思えますが、行きつく先は選手の成長という同じ目標があります。

なぜなら選手がミスをすること自体を容認していて、そのうえで次は起こさないようにしようという考えを持っているからです。

そうすることで選手が反省し、自分のプレーを改善して成長するわけですね。

これに対して、日本では「ミスを少なくする」という考えが行き過ぎのように思います。

なぜなら未だにミスをした子供を叱る指導者が多く、ミスは悪である…という決め付け方をしているのではないでしょうか?

その一方でミスが起きるのは選手だけの責任ではなく、ミスを防ぐためにはどうするべきか?という指導が欠けているという意味で、指導者にも根本的な問題があるのです。

そもそも子供たちは育成年代の選手であって、プロではありません。

だからたくさんミスをして良いはずですし、そうでないと成長しないのです。

そのためには自分なりに改善策や対応策を考えることが大切ですし、チームメイトとの話し合いも必要でしょう。

また指導者は、チームで自由に話し合える環境作りに配慮しくなくてはいけません。

いずれにしても、子供のミスは成長するための絶好の機会…という考えが、日本に広まることを願っています。

さて次はJリーグの試合中に起きたミスの事例と、それに対する改善策をどのように考えれば良いのか?という点について、具体例を挙げながら解説します。

※特に、プロでも小学生のようなミスは意外と多いという点に注目してください。

2.Jリーグのミスの事例

ここではJリーグの試合中に起きた、小中学生の育成年代にもよくありがちなミスについて動画を交えて解説します。

特に注意していただきたのは「プロでもこんなミスをするのか」「子供なら当たり前に起きることだ」という考えを持つことです。

そのうえで、ミスを防ぐためにはどうすべか?改善策は何か?という積極的な視点に立ってお読みください。

(1)シュートミス

GKと一対一になった選手が、インサイドでキーパーを抜こうとしたものの止められています。

ここで大切なのはミスした結果ではなく、原因や改善策に目を向けることです。

例えば、GKを抜きたいのであれば、ボールをさらしてしまうインサイドではなく、アウトサイドで抜くという方法もあったでしょう。

また、GKがかなり前に出てきているので、無理して抜こうとせずにチップキックでも良かったと思いますし、キーパーがしゃがみ込んで股を開いたところを狙った股抜きシュートなども効果的です。

このようにGKと一対一で点が入りやすい状況であったとしても、確実に得点するためにはどうしたらよいのか?もっと他の方法はなかったのか?という点を考えましょう。

(2)パスミス

このシーンでは、パスの出し手が二つのミスをしています。

一つ目は、パスの受け手に対する相手のマークを見逃した判断の悪さです。

動画の0:21からのシーンを見ると、パスを出した直後に「まずい…」と思ったのか受け手の方に寄ろうとした動きからも分かると思います。

二つ目は、短い距離でパススピードが遅くなってしまった技術的な問題です。

日本では、パスは受け手の取りやすさを優先するので、長い距離であれば強く、短い距離では弱く蹴る傾向がありますが、相手に奪われないことや攻撃を速くするためには、距離に関係なく常に早いパスを出すのが大切です。

例えばFCバルセロナの選手たちは狭い場所でもパスを繋ぎますが、相手に囲まれていてもワンタッチかツータッチ以内で早いパスを回すので、パスカットされることが少ないです。

つまりパスをする時に相手のマークを確認するのはもちろんですが、パススピードやタッチ数も考慮した速いプレーを意識することが大切であり、そうすることで問題の解決に繋がるのです。

(3)トラップミス

GKからのパスをセンターバックが弾きましたが、こうしたミスは、どのポジションの選手でも起こります(育成年代の試合中でもよく見られる)。

また、こうした状況でボールが奪われると大きなピンチになってしまうため、私が30年前にブラジルにいた時は、二度とパスを出してもらえなくなりました。

特にトラップの技術は、キックやドリブルに比べると見過ごされがちですが、日ごろからボールを守るという意識で練習することが必要であり、そうすることで問題を未然に防げるのです。

以上のように、試合中はいろいろなミスが起こります。

またミスが起きて相手にボールを奪われると失点することがとても多く、いわばサッカーの得点はミスから生まれると言っても良いでしょう。

そうした意味でも、プレー中に問題が起きた場合は原因や背景などを探りつつ、どうすれば良いのか?という改善策の検討が大切です。

さて次はミスが起きた時のチームの対応について解説します。

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3.ミスが起きた時のチームと本人の対応

(1)指導者はミスの結果だけを捉えがち

日本のほとんどの指導者は、子供が試合でミスをすると大声で叱ります。

「おい!シュートを外すなよ!」「そんないい加減なパスをするなよ!」「なんだよ!さっきのプレーは!」

このように怒るというのは、起きた出来事の一部分を切り取って伝えるだけなので、サッカーを知らない人でも言えますし、指導者が本来言うべきことではありません。

また、自分のせいで問題が起きたことは、子供自身が分かっていることなので、起きた結果を叱るだけでは何の進歩もありません。

ふつう子供がミスを起こした時に伝えるべきことは、大きく分けて次の3点です。

・どうして起きたのかという原因や理由。
・起きる前の状況判断が正しかったのかどうか。
・今後、同じようなことを起こさないためにはどうすれば良いのか。

また、こうしたことを出来るだけ分かりやすく教えないと、子供には理解できません。

そのためには、時間をかけて粘り強く伝えなくてはダメなのです。

単に叱るだけでは、子供に対して愚痴をこぼすのと同じです。

こうした指導を続けると、子供たちは、ミスを起こすと叱られる…。だから、叱られないように言われた通りのことだけをしよう…。という思考停止状態になるだけです。

またミスを恐れてプレーする選手は上手くなりませんし、成長も期待できません。

一方、指導者は学校の教員とは違って教育的な指導が苦手ですし、とても説明が下手なので、目の前に起きた出来事に対して感情的になるだけしか出来ないのかも知れません。

そうした点では、指導者の教育も必要だと思います。

(2)チームメイトのミスと指導者の真似

「子は親の鏡」と言います。

チームの指導者は、子供にとっては親と同じです。

だから、叱ってばかりの指導者のチームの子供は、ミスをした子に対し「なにやってんだよ!」「ふざけるなよ!」などと真似をします。

そうすると、チームの雰囲気はピリピリして良くありません。

これでは、ミスをした本人はやる気が失せますし、「またやったら、どうしよう…」という不安が募るだけです。

また、ミスが悪いもの…という恐怖感に囚われる結果、メンタルが落ち込んで何度も同じミスを繰り返すことになるでしょう。

ところが、良い指導者のいるチームの子供たちは違います。

そもそも良い指導者は、選手のミスよりも良かったところを探して褒めようとします。

何が起きても「気にするな!」「次があるよ!」など、子供たちに積極的なチャレンジを促すように声掛けします。

またミスした子供には、原因や問題点、解決策などを時間をかけて理解できるまで何度も説明します。

そうすると子供たちは「起きたことは仕方がない。次は気を付けよう。」というように、ミスは直せばよいものと考えるようになります。

またチームメイトは指導者の真似をするので、お互いにポジティブな声掛けをして励まし合うようになります。

だから、チームの雰囲気はとても明るくなるのです。

結局、子供にとっては、チームメイトも指導者しだいなのでしょう。

つまり、ミスを悪いものとして捉えるのか、直せばよいものとして考えるのかという大きな違いとなって現れるのです。

だからこそ、ミスに対する指導者の姿勢はとても大切なのです。

(3)ミスした本人が立ち直る方法

日本の指導者は、結果だけに着目して叱ることが多いため、子供がミスを繰り返すうちに、不安が大きくなってプレーも消極的になって落ち込むケースが多くなります。

この場合、チームメイトの励ましも期待できますが、最終的に立ち直るのは自分自身です。

そこで、ミスの不安、恐怖、悩みから立ち直る方法を考えてみましょう。

ヒトが物事に対して不安や恐怖を感じるのは、その正体が分からないからです。

例えば、お化け屋敷は何が出て来るのか分からないから怖いのです。

でも、最初から登場人物や出現する場所が分かっていれば、どうと言うことはないはずです。

このように、ミスの正体を全て明らかにしてしまうことが、解決のための第一歩です。

そこで、これまでの過去のプレーで思い出せることを全てノートに書き出してみましょう。

単に箇条書きではなく、次の点を中心に頭の中でリアルに思い浮かべてください。

・どうして起きたのかという原因や理由。
・起きる前の状況判断が正しかったのかどうか。
・今後、同じようなことを起こさないためにはどうすれば良いのか。

たぶん、大学ノート一冊分くらいになるかも知れませんが、とにかく、どんなことでも詳しく書き出しましょう。

その後、出来上がったノートを見て、ミスのパターンをいくつかに分類してください。

そうすると、問題を引き起こしやすいプレーがかなり絞られます。

そのうえで、試合の時は数種類の目標を立ててみてください。

例えば、ミスのパターンが5つあったら、1つでも良いから起こさないようにしてみよう…、というような具合です。

また試合だけではなく、チーム練習の時にも実践してみましょう。

試合前や練習の時にイメージトレーニングをしても効果的です(もちろん個々の技術の未熟さに問題がある場合は、自主練が必要です)。

その際、全く上手く行かなかったとしても大丈夫です。

改善するチャンスはいくらでもあるので、次の機会にチャレンジしましょう。

こうしたやり方は、カウンセリングやメンタルトレーニングの手法の一つです。

要するに、不安、悩み、恐怖の正体を明かしてしまうことで、徐々に克服してしまうというわけですね。

ミスの改善方法として高い効果があるので、ぜひ参考にしてください。

4.まとめ

サッカーの試合中は、Jリーグの選手でも小中学生のようなミスが多いので、どんなにサッカーが上手い選手でも必ずミスを起こすものと考えましょう。

その場合、結果だけに目を向けて怒るだけでは何の解決策にもなりません。

個々のプレーの背景を突き詰めて、原因や再発を起こさないための具体策も考えて行きましょう。

また指導者は子供たちにポジティブな声掛けをしつつ、チーム全員で話し合える環境作りも必要です。

そうすれば、チームの子供たち全員の意識が変わります。

その一方で、ミスした本人が立ち直る方法については、その正体を全て明らかにしてしまうことです。

カウンセリングやメンタルトレーニングの手法の一つなので、ぜひ実践してください。

子供たちにはミスを恐れることなく直せるものとして、ぜひ前向きに捉えて成長してほしいと願っています。

【画像引用:Youtube.com