ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

サッカーを教える時に子供にとって最も大切なことは何か?

(4)ヒントを与えた例

私の息子「とも」は小学6年生の4~9月まで、地元のサッカー少年団に所属していました。

そのチームはあまり強くはなかったのですが、「とも」が入団してから1人で4点も5点も取るので強豪チームにも勝てるようになりました。

そうした中、退団する9月末に地元のカップ戦が開催されました。

先ずはグループリーグですが、初戦は1対5の完敗でした。

昼食の時の選手たちの表情は暗かったです。

そこで、私は父兄の立場でありながらも、昼食中に選手たちを集めていろいろ話をしました。

私「みんな悔しくない?」
子供たち「すごく悔しい?」

私「次も試合があるけど、どうしたら勝てるのか分かる?」
子供たち「…」

私「それじゃあ、きっと負けちゃうね」
子供たち「…」

私「試合というのは、練習で出来たこと以上のプレーは出来ないんだよ。」
子供たち「うん。分かるよ。」

私「さっきの試合では負けたけど、相手がボールを持った時に、みんなは何人でプレスに行ってた?」
子供たち「1人かな?」

私「それなら、ボールを確実に奪うためには何人でプレスをかけたら良いと思う?」
子供たち「2人以上で…」

私「そういうのは、なんて言うんだっけ?」
子供たち「数的優位…。」

私「それなら、攻撃の時に確実にパスをつなげるとしたらどうすれば良いのかな?」
子供たち「あっ!数的優位を作れば良いんだ!」

私「そうだよね。でも君たちはすぐにボールを奪われるよね。」
子どもたち「うん。たしかに…。」

私「FCバルセロナの選手たちは、パスをどうやって出してるかな?」
子供たち「すごく早いパスだね。」

私「そうだね。ワンタッチとかツータッチだよね。君たちにも出来ないかな?」
子供たち「練習だったら、出来るけど…。」

私「ちょっと待って?さっき、私は試合というのは練習で出来たこと以上のプレーは出来ないと言ったよね」
子供たち「うん…。」

私「練習で出来てるってことは、試合でも出来るんじゃないかな?」
子供たち「あっそうか!」

私「ここで、みんなの約束事を作ったらどうだろう?」
子供たち「そうだね。そうする!」

私「守備でプレスをかける時や攻撃でパスをつなぐ時はどうする?」
子供たち「必ず二人以上で!」

私「君たちがすぐにボールが奪われないためには?」
子供たち「ワンタッチとかツータッチで…、3秒以内にパスを出す!」

私「それともう一つ。君たちは味方のパスを受ける時に、ヘイ!って呼んでるよね?」
子供たち「うん…」

私「このチームに「ヘイ」って名前の人はいるの?」
子供たち「いないよ。」

私「だったら、ちゃんとした呼び方は出来ないかな?」
子供たち「そうだね。名前で呼んでみるよ!」

私「それと、プレーに関わっていない人は見ているだけで良いのかな?」
子供たち「あっ!コーチングだね。」

私「みんなの約束事ができたね。」
子供たち「攻撃と守備は二人以上でやる。パスはワンタッチとかツータッチで出す。パスを受ける時は名前で呼んだり、みんなでコーチングする。」

私「そうだね。君たちは大人の操り人形じゃないんだよ。来年から中学生だろ?言われたことだけを出来ていたんじゃダメなんだよ。みんなで考えて試合をしようよ。」
子供たち「うん分かった!ボクたち頑張るよ!」

この時、子供たちの目の色が変わったのを、今でもよく覚えています。

子供にサッカーを教えるというのは、こういうことではないでしょうか?

やれば出来るはずなのに、なぜ出来なかったのか?どうすれば出来るのか?ということに対して、根気強くヒントを出し続けるのです。

それによって「ヒントを与える→気付かせる→考えさせる」ことになるわけですね。

だから、最初から答えを教えては絶対にダメなのです。

さて二試合目の結果ですが、3対0の完勝でした。

子供たちは、私が与えたヒントに対して、自分で考えて答えを出して頑張ってくれました。

試合後の子どもたちの表情は、すごく明るかったです。

子供たちは「すごく楽しかった!」「こんなに楽しく試合したのって始めてだよ!」と喜んでいました。

たしかに、自分たちで考えて試合して勝ったのだから楽しいですよね。

初戦に完敗して落ち込んでいたのがウソみたいでした。

でも、初戦に負けた後に「ああしろ!こうしろ!」と指示をしていたら、子供たちはどうなっていたと思いますか?

もちろん指示が適切だったら、もしかして勝っていたかも知れません。

でも、それでは言われたことをやっただけなのです。

そもそも少年サッカーは子供が主役で、指導者や親たちは脇役です。

だから黒子に徹して、子供たちが気付くまで、粘り強くいろいろなヒントを与えましょう。

それが本当の意味で、子供にサッカーを教えるということなのです。

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4.まとめ

これまで、子供にサッカーを教えるとは何か?また実際の試合で私が子供たちに教えたことなどについて解説しました。

特に大切なのは、答えを教えることではありません。

ヒントを出すことなのです。

そうすることによって、子供は、気づいて、考えて、答えを出して、やがては自立に繋がるというわけですね。

ぜひ、全国の指導者や親御さんが、この点に気付いて、子供たちに正しくサッカーを教えるよう願っています。

【画像引用:Youtube.com