ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

サッカーで視野を広げる方法と練習法!何をどう見れば良い?

サッカーの試合で広い視野を持つのは、とても大切です。

ところが育成年代の指導では「周りを見ろ!」と言うだけなので、子供たちは何をどう見たらよいのか分からないと思います。

そこで今回は、視野を広げる方法、視野を広げる練習法などについて詳しく解説します。

スポンサーリンク

1.視野を広げる方法

(1)試合中の視野と状況判断

サッカーの試合で広い視野を持つのは、適格な状況判断のために絶対必要です。

特にサッカーは広いピッチで、11人対11人が攻守で複雑に入り乱れるため、味方、敵、スペース、ボールの位置を常に把握しなくてはいけません。

ところがボールばかり見ていると、目の前に起きているプレーだけしか分からないですよね。そうすると、その周囲で何が起きているのか?次に何が起きるのか?という状況判断が出来なくなります。

だからこそ、常にピッチ全体を見渡せるような広い視野が必要になるわけですね。

この場合、他の競技はプレーエリアがはっきりと分かれるため、サッカーほどの視野の広さは必要ありません。

例えばテニス、卓球、バレーボールなどは、ネットを挟んで相手の動きがハッキリ分かりますよね。また、野球はサッカーのように大人数の選手が味方と敵に入り乱れてプレーすることはありません。

さらに、こうした競技は一回ごとにプレーが中断して、再開するという特徴があります。そのためプレーが中断している間に、落ち着いて次の展開を考えれば良い…という余裕があるのです(つまりじっくり考える時間がある)。

ところがサッカーでは、審判が笛を吹かない限り試合が続行します。そうすると今の時点から3秒先の未来は、現在の状況と全く違って目まぐるしく変化するのです。

そうした意味で、サッカーは、他の競技と違ってプレーをしながら常に状況判断を考えなくてはならない…という特殊なスポーツと言えるでしょう。

だからこそ、いつも広い視野を保って、周囲の状況を把握する必要があるのです。

こうした視野は、オフザボールとプレー中ではいろいろと変わって来るので、次に、その違いを解説します。

(2)オフザボールとプレー中の視野

ここでは、①オフザボールと②プレー中の視野の違いを解説します。

① オフザボール

オフザボールで必要な視野は、「プレーに関わらない場合」と「プレーに関わりそうな場合」の2つに分かれます。

【プレーに関わらない場合】

これは、自分のポジションが、現在のプレーエリアから前後左右に大きく離れている場合です。

・ピッチの一方のサイドがプレーエリアになっている場合で、自分が逆サイドにいる時。
・DFラインにボールがある時のFWや、その反対に前線にボールがある時のDF。

こうした状況であれば、直ぐにプレーに関わるわけではないので、落ち着いて視野を広くして周りを見ることができると思います。

特にボールウォッチャーになってしまう子供は、こうした状況の時に視野を広くして周りを見るのが大切です。

【プレーに関わりそうな場合】

これは先ほどと違って、自分がプレーエリアにいる時です。

例えば攻撃であれば、パスが来るかも知れない…、スペースを作る動きが必要かも知れない…、オーバーラップが必要かも知れない…などと考えている時ですね。

これとは反対に、守備の時は、プレスに行く必要があるかも知れない…、マークに付く必要があるかも知れない…などと考えている時です。

要するに、今すぐにプレーに関わるわけではないが、もうすぐそうなるだろう…と予測している時ですね。

だからボールを持ったり奪ったりしているようなプレー中の時よりも、ほんわずかに余裕があるので、広い視野を持てるはずです。

先ほどのボールウォッチャーを卒業したら、次のステップは、こうした状況でも視野を広く出来るようにチャレンジしましょう。

② プレー中

これはオフザボールと違って、直接プレーに関わっている時です。

例えば攻撃の時は、パスを出したり受けたりする時、スペースを作る動き、オーバーラップなどです。守備の時であれば、プレスに行く、マークに付く、パスコースを塞ぐ時などですね。

この場合、ボールを持っているかどうかは関係ありません。

なぜならプレー中は、3対3や2対2のように複数の味方と敵が入り乱れるからです。

だからボールを持っている選手が一人であっても、その周囲でお互いが連携するので、こうした複数の選手たちは全てプレー中と言うことになります。

こうしたプレー中の視野はあまり広く取れませんが、それは仕方のないことです。なぜなら、目の前のプレーに集中しなくてはいけないからです。そうしないと攻撃側はボールを奪われますし、守備側は突破を許してしまいます。

実際にも海外のトップクラスの選手たちは、プレー中はボールに集中しています。

こうした場合に首を振って視野を広く取れるのは、例えば、運ぶドリブルやフリーでパスを出せる時などの、敵のプレッシャーがない時だけです。

ところが、日本の育成指導では、どんな時でも「顔を上げて!」とか「周りを見ろ!」などと言いますよね。

これではプレーに集中できませんし、ミスが起きる原因にもなります。また、ボールから目を離すとプレーが遅くなってしまいます。

もちろんボールを見ないでプレーするのがいちばんですが、例えば突破のドリブルの時など、必ずしも全ての状況でボールを見なくて済むということはあり得ません。

私が思うに、オフザボールとプレー中の視野は、二段階で使い分ける必要があると考えます。

先ずオフザボールの時は、プレーに関わらない場合とプレーに関わりそうな場合に、可能な限り視野を広くして必要最大限の情報を得ることが大切です。

要するに、前もって周りを見ておくということですね。

次にプレー中は、そうした事前の情報に基づいて周囲を確認しながらも、プレーに集中すれば良いと思います。

ただし相手のプレッシャーがない時であれば視野を広く取れるので、そうした時はいち早く状況の変化を察知するために視野を確保するという慎重さも大切です。

そうした場合であっても、日本の指導でよくありがちな「首を振って…」というのは難しいケースが多いと思います。例えば周りを敵に囲まれたら、ボールを守ることで精いっぱいでしょ?

こうした場合の改善策として、眼球を動かしたり(チラ見)、間接視野を使ったりすれば、視野を確保することが出来ます。

そこで次に、眼球を動かして視野を確保するという点で、とても関係の深い中心視野、周辺視野、動体視力について解説します。

(3)中心視野・周辺視野と動体視力

① 中心視野と周辺視野

ヒトが両目を動かさずに見える視野は、左右合わせて約200度の範囲です。

そのうちの中心視野は、中心から約5度の範囲(30度という説もある)になり、これ以外は全て周辺視野になります。

実際に視野に入っていても、意外と見えていないのはこうした理由があるからですね。

この場合、試合中にボールばかり見るのは、中心視野の5度の範囲しか見ていないわけなので、これでは次の展開の予測や状況判断は難しくなります。

そこで試合中は首を振って周りを見ることが必要ですが、そうした場合でも、実は中心視野を左右に動かしているだけに過ぎません。

つまりヒトの視野の特性によって、モノを見る時はどうしても中心視野の狭い範囲に制限されてしまうのです。

試しに、あなたの首を左側に向けて1~2m程度先にある物を見てください。

次に、首を右側に向けて1~2m程度先にある別の物を見てください。

そうすると先ほど左側で見た物は見えますか?

たぶん視野から消えてしまったのではないでしょうか?

つまり中心視野が左右に移動するだけで…とか、狭い範囲に制限される…というのは、こういう意味なのです。

そもそもヒトは何かを見ようとすると、無意識のうちに両目の焦点を合わせようとします。また動いているモノほど、一点に集中して見ようとします。

なぜなら、危険なモノかどうかを判断するためです。

しかも、こうしたメカニズムが無意識のうちに働くので、そうした点でも中心視野に抑制された生活が日常的になるのです。

だからサッカーの試合中でも、ヒトは中心視野の特性から逃れられないわけですね。

そうした意味で試合中に広い視野を持つためには、如何にして中心視野の拘束から逃れ、さらに周辺視野を拡大するのか?という点が大切です。

そこで重要なのが「動体視力」のレベルアップです。

② 動体視力のレベルアップ

動体視力は主に眼球を動かすことによって視野を広くするのですが、だからと言って中心視野の範囲(中心から5度の範囲)が変わることはありません。

むしろ眼球を動かすことによって、中心視野の位置を左右にスピーディーに動かせる…という方が正しいのです。

そのため、動体視力を鍛えて眼球を速く動かすことにより、周辺視野の見えない部分を素早く補う…というわけですね。

また、眼球そのものは、首を左右に振って周りを見るよりも、速く動かすことが出来ます。

なぜなら、眼球を動かす時は6つの筋肉を使いますが、そもそも眼球自体は軽いからです。

これに対して、首を左右に振って周りを見ることを考えると、ヒトの頭の重さは体重の10%なので、体重が60㎏の人は6㎏になります。

そうすると、首を左右に振る…というのは、首の筋肉と頸椎を使って、頭の重さの6㎏分を重りとして動かし続けるようなものです。

でも眼球を動かす時は、重りのようなものはないですよね。

だから、眼球を動かした方が速いですし、それほど疲れないのです。

意外と知られていませんが、よく試合後半の疲労によって、周りを見れずにケアレスミスを起こすのは、首振りが一つの原因とされているようです(「肩こり」と同じようなもの)。

ただし眼球を動かす方が速いからと言って、首振りが必要ないというわけではありません。

むしろ、そうではなく使い分けが必要なのです。

例えば、オフザボールの時は首を振る、プレー中の首振りはわずかに止めて眼球を動かした方が良いのです。

ちなみに、日本代表の久保選手は試合中はよく首を振って周りを見ますが、そのほとんどはオフザボールの時です。またドリブルやパスをする時の首振りはほんのわずかです。

久保選手は卓球が強いそうですが、たぶん動体視力が発達しているのでしょう。だから首が振れない状況では、眼球を速く動かして視野を補っているのかも知れません。

そうした点でも、やはり使い分けは必要ですね。

子供が動体視力を鍛えて、目をキョロキョロと動かすと「落ち着きがない!」とか「目付きが悪くなる!」と叱ってしまうかも知れません。

でも、サッカーの試合では動体視力を使いこなすのは、とても大切です(詳しい練習法は後述します)。だから、そうした点は大目に見てください。

さて次は、これまでの視野の説明とは違って、ピッチを俯瞰することやヘリコプタービューなどについて解説します。

(4)俯瞰するとは

元日本代表の中田英寿や遠藤保仁は、視野が広い選手として有名です。またピッチを俯瞰したり、ヘリコプタービューのような視野を持っているとも言われます。

ところがサッカーのピッチは、縦と横の平面上の世界です。

もちろんこの世は三次元なので高さもありますが、それはせいぜい選手たちの身長の2mまでの範囲です(パントキックを蹴っても10~15m程度の高さ)。

これに対してピッチの縦と横は、国際ルールで100~110m×64~75mと決められています。

つまり高さに比べて縦横の比率がはるかに大きいので、試合中はどうしても平面をイメージするわけですね。

そうした条件のもとで、果たしてピッチを俯瞰することや、ヘリコプタービューのような視野を持つことは可能なのでしょうか?

ふつうに考えたら、スタンドからピッチを見たりテレビ中継を見たりしない限り、こうした視野を確保できないはずです。

したがってピッチを俯瞰することは物理的には無理でしょうが、唯一考えられるとしたら俯瞰の「イメージ」を持つことではないか?と思います。

そもそも中田英寿や遠藤保仁はボランチやトップ下の選手で、先ほど解説した久保選手はトップ下やサイドハーフ(ポジションチェンジで中に入ることが多い)の選手です。

したがって試合中はいつもピッチの中央付近に位置することが多いので、360度の視野が必要になるわけですね。そうするとピッチを見渡すような広い視野を確保するため、首を振って周りをよく見ているはずです。

またプロの試合は戦術としての攻守の約束事があるため、味方がどのように動くのかも心得ています。だから、そうした考えが頭の中に入っているので、作戦ボードを真上から見下ろすようなイメージを持っているのでしょう。

こうしたイメージは、味方との連携や相手の動きを先読みすると言う点で、将棋やチェスに似ています。もちろん、将棋やチェスも平面上の世界ですよね。

そうするとピッチを俯瞰したりヘリコプタービューのような視野を持つことは、選手自身のイメージによって作られていくものだと思います。

こうした俯瞰のイメージは、豊富な試合経験によって身に付けられるものです。

でも、ジュニアやジュニアユース年代においても、ほんのわずかな練習によって俯瞰のイメージ作りは可能です(詳細は後述します)。

それでは、次にサッカーの試合中の視野として、何をどう見れば良いのか?という点を解説します。

(5)何をどう見るのか?

① 何をどう見るのかの例

サッカーの試合中に視野を広くするため、「周りを見ろ!」と監督やコーチたちがよく言いますが、何をどう見たらよいのか?という点までは詳しく指導しないようです。

そこで、プレー中に何をどう見たらよいのか?という点を考えてみましょう。

結論から説明すると二つの点を意識することが重要です。

① 味方と攻守で連携する。
② 敵を回避する。

こうした点を、あなたがマイカーで旅行をする場合を例にしてみましょう。

先ずは自宅から出発です(あなたのマイカーはサッカーであればボールになります)。

その際、目的地までの道のりで、観光のために2~3箇所立ち寄ることがあるでしょう。

また、ガス欠をしないようにガソリンスタンドの場所を把握しておく必要もあります。昼時になればレストラン、サービスエリアを探さなくてはいけません。高速道路を使ったり、一般道に乗り換えるなどのいろいろなルートを考えることも大切です。

そうした、いろいろな行程を経て目的地に到着するわけです。サッカーであれば、ボールを守り続けることで初めてゴールするのと同じですね。

実は、ここまでが先ほどの「①味方と攻守で連携する」ということになります。

この場合、観光で立ち寄った場所、ガソリンスタンド、レストラン、サービスエリア、道路などは全てあなたの味方になります。だから旅行をする場合でもサッカーの試合でも、常に味方との連携が必要になるのです。

しかも自動車はボールですから、旅行で目的地に到着するのは味方がボールを繋いでゴールすることになります。

これに対して「②敵を回避する」というのは、渋滞、悪路、降雨や降雪など、あなたの旅行の妨げになる出来事を避けようというものです。

この場合、渋滞や悪路は交通情報で分かりますし、降雨や降雪は気象情報で調べることが可能です。そうすることで安全な道のりを行くことが出来るはずです。

サッカーで言えば、如何に敵を回避してボールを守るのか?ということになるわけですね。

一方、旅行の出発地は自宅だけですが、サッカーではいろいろと変わります。

つまり、サッカーの場合はマイボールになった瞬間が出発地なのです。

これはプレー中に相手からボールを奪った時、スローイン、ゴールキック、コーナーキック、フリーキックなど、いろいろありますよね。

そうすると中盤で激しくボールを奪い合えば、マイボールになったり相手のボールになったりと試合展開がよく変わります。

だから、その都度ゴールまでの出発地が変わるわけです。

こうした点は、旅行とサッカーの大きな違いですね。

何となく分かりましたか?

私のブログを読まれる方の多くはサッカー経験がない方ですが、そうした方にも分かるように説明したいと思います。

これから先もさらに詳しく説明するので、今のところは何となく分かれば大丈夫ですよ。

いずれにしても、何をどう見るのか?という点は、①味方と攻守で連携する。②敵を回避する。という二つの点を前提として意識しましょう。

それでは実際の試合で、具体的に何をどう見るのか?という点を次に解説します。

② 具体的に何をどう見るのか?

先ほど旅行に例えて説明しましたが、サッカーの試合で必要な視野として、具体的に何をどう見るのか?という点は、4つに分けると良いでしょう。

① 今はピッチ内のどこにいるのか?ゴールまでの道のりは?
② 敵はどこにいるのか?
③ ボールはどこにあるのか?
④ 味方とスペースはどこにあるのか?

そこで、この4つの点を解説します。

A.今はピッチ内のどこにいるのか?ゴールまでの道のりは?

例えば攻撃の時に、あなたが左サイドにいてパスを受けようとしていた…とします。

その時、
パスを受けたらドリブルで突破するのか?突破したらクロスを蹴るのか?それともカットインからシュートを打つのか?そうではなく、パスを受けたら中にいる味方にパスするのか?それともバックパスをするのか?大きくサイドチェンジするのか?

このようにパスを受ける場合でも、3秒先の未来にはたくさんの選択肢があります。

またピッチ内の場所によっても、選択肢が変わります。

例えばFW、SH、ボランチ、DFにいた場合、ゴールまでの道のりは全て同じではありません。右や左、縦や後ろにパスを繋ぎながらゴールを目指すので、ボールの動きはかなり複雑になります。

そうすると複数の選択肢の分だけ、これからボールが通りそうな場所に対して、視野を広くするべきなのです。

つまり、今はピッチ内のどこにいるのか?ゴールまでの道のりは?という点は、自分が現在いる場所から見て、次に起こり得る攻撃の選択肢の分だけ周りを見なくてならないわけですね。

一見すると難しそうですが「3秒先の未来には何が起きるのか?」という点を意識して、オフザボールでもプレー中でも、首を振ったり眼球を動かしたりして視野を確保するようにしましょう。

もちろん、これがきちんと出来るようになれば戦術眼も向上します。

ちなみに日本代表の久保選手が首を振ってよく周りを見ているのは「次に起こるのは何だろうか?と考え、これからボールが進みそうな場所に視野を向けているだけなのです。

それによってスペースはどこに出来そうか?どのようにパスを繋いでゴールに向かうのか?などと考えているはずです。

これは決して難しいことではなく、誰でも身に付けられる能力です。

ただし彼が他の選手と大きく違うのは、先を読む能力(将棋で言えば10手先くらい)が高いということですね。だからオフザボールの動きが適格になりますし、実際のプレーでも迷いがないのでしょう。

なお、守備の場合は攻撃の反対になります。

例えば左サイドにいて、敵がパスを受けようとしていた…とします。そうした場合、敵はどのように攻めようと考えているのか?などの、敵側の選択肢を予測しなくてはなりません。

だから、その分だけ視野を広くして周りを見る必要があるわけですね。

B.敵はどこにいるのか?

これは大きく二つの点に分かれます。

一つ目は、先ほどの「今はピッチ内のどこにいるのか?ゴールまでの道のりは?」という点と深い関係があります。

例えば攻撃で次に起こり得る選択肢を考えた場合、敵との位置関係に左右されるので、敵のいる場所をあらかじめ視野に収める必要があります。

またパスやドリブルでボールを動かした場合、敵の陣形がどのように変化して奪いに来るのか?という予測も大切です。

だから攻撃の選択肢に応じて、あらかじめ敵の位置関係を把握する必要があるのです。

こうした点は守備の場合も同じで、やはり敵の攻撃の選択肢に応じて視野を広くする必要があるわけです。

二つ目は、自分が次のプレーを開始する時です。

例えば、パスを受ける直前のトラップの時が代表的な例ですね。

特にこうした状況では相手がボールを奪いに来るので、敵の誰がプレスに来るのか?という点を事前に把握する必要があります。

もちろんシュートを打つ時やドリブルを始める時も同じような状況なので、敵の動きを察知する必要があるのです(要するに敵は旅行する時の障害物と同じ)。

こうした二つの点に共通するのは、やはり事前の予測と状況判断です。

そのためにも視野を広くして情報を集める必要があるわけですね。

旅行をする時も、出発前にいろいろと調べるでしょ?

C.ボールはどこにあるのか?

この点は小学校低学年でも分かると思います。

万が一、ボールを見失った場合は次の展開の予測が出来ませんよね。

だからと言って、ボールばかり見ていたら、単なるボールウォッチャーです。

やはりボールの位置関係を常に視野に入れながら、味方の攻撃や守備の選択肢を考えることが大切なのです。

これはボールと敵・味方を一つの視野に入れるという意味で、間接視野の大切さに通ずるものとお考えください(練習法は後述します)。

D.味方とスペースはどこか?

これは、例えば攻撃の時にパスを繋ぐためにはスペースにいる味方を見付けるなど、味方とスペースの関係を常にセットで考えましょう。

その場合、味方がマークを外せばフリーになることが出来ます。また、味方がマークされていたとしても、もう一人がスペースを作る動きをすれば味方がフリーになれることもあります。

そもそもフリーになるということは、その付近にスペースがあるということです。

つまり味方を見ていれば、すぐに使えそうなスペースが近くにあったり、新たなスペースが生まれる可能性があるわけですね。

そうした場合も、やはり事前の予測と状況判断が大切です。

そのためにも視野を広く取るようにしましょう。

ただし実際の試合ではいろいろなことが起こりますし、これまで解説したことは、ほんの一例でしかありません。

したがってこれが全て…と考えずに、いろいろな状況を経験しながら視野を広くすることを常に意識しましょう。

さて次は、視野を広げるための練習法を解説します。

スポンサーリンク

2.視野を広げる練習法

(1)周りを見る練習

ジュニア年代でボールばかり見てしまう子供は、先ずは周りを見る練習から始めましょう。

特にオフザボールで全くプレーに関わっていない時(例えばボールから遠く離れている場合)は、特に意識して周りを見るようにしましょう。

※周りを見るための簡単な練習法は、次の記事もお読みください。
サッカーで周りを見るための意外な練習法とは?小学生におススメ!

なお、この記事の中で試合を見る方法を紹介していますが、これとは別に実際のゲームを参考にするのも良いと思います。

例えば実際の試合会場の周辺から、コート側の選手の視点に立って、個々の選手の動きを見てみましょう。その場合、ゴール裏、右サイド、左サイド、相手ゴール裏の4箇所に移動しながら見ると良いです。

例えば右サイドから見ていたとしたら、右サイドハーフの選手が何をどのように見ているのか?という点に注目してください。

※選手の顔を見ていれば、彼らが何を見ているのかがすぐに分かります。

またサイドラインに背を向けることが多いので、ポジションごとの体の向きも分かるようになります。

この場合、同年代の強豪チームで一つ上のカテゴリーの試合を見てください。例えばU10であればU12、U12であればジュニアユースの試合を見ると、かなり参考になると思います。

(2)複数のポジションを経験

これは、先ほどの実際のゲーム(一つ上のカテゴリーの試合)を見る…と深く関係します。

簡単に言えば、実際に見た選手の視野を真似して試合で試そうということですね。

たぶんジュニア年代であれば、どこのチームでも試合形式の練習をすると思います。そうした際に毎回いろいろなポジションを経験しながら、ポジションごとの視野を学んでください。

8人制の場合で難易度の順に言えば、最初にセンターバック、次が左右のサイドハーフ、次がフォワード、最後にボランチになります。

センターバックは左右のワイドな視野、サイドハーフはサイドラインを背にして前後と中への視野を意識します。フォワードはいつも後ろ向きになりますが、センターバックと同じように左右のワイドな視野を持ちます。

最後がボランチですが、フォメーションの真ん中に位置するので360度の視野が必要です。また敵のプレッシャーが多く、かなり難易度が高いのですが、最終的にはボランチまで経験するとかなり視野が広くなるでしょう。

その際、全てのポジションにおいて、一つ上のカテゴリーの試合を見た成果を活かすようにしましょう。「あの選手はこんなふうに視野を確保していたな…」と思い出す程度でも十分です。こうした意識がきちんと持てるかどうかは、一流選手になれるかどうかの分かれ目だとお考えください。

(3)ミニゲームの活用

ミニゲームはコートが狭いので、敵と味方の位置関係が視野に入りやすいので、視野を広くするためには、とても良い練習法です。

その際は3対3のゲームで良いですし、ゴールキーパーは必要ありません。

特に大切なのは、攻撃ではトライアングルを意識して数的優位を作り出すことです。また守備の時は2人で一緒にプレスに行くのではなく、プレスとカバーリングに分かれたり、前後から挟むようなポジション取りを意識すると良いでしょう。

そうすることで、自分はどのように動いたら良いのか?そのためには何をどのように見たらよいのか?という考えが自然と身に付きます。

そうした過程を経ながら、自然と視野が広くなるわけですね。

※数的優位の考え方を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
数的優位はサッカーの基本!戦術パターンを覚えよう

ちなみに実際の試合中のプレーエリアは3対3や4対4で入り乱れていることが多いので、ミニゲームで学んだことはそのまま実際の試合にも活かせます。

また8人制から11人制に移行したとしても、基本的な点はほとんど変わりません。そうした点でジュニア年代では、なるべく多くのミニゲームを練習した方が良いのです。

(4)俯瞰のイメージ作り

元日本代表の中田英寿や遠藤保仁のように、ピッチを俯瞰したり、ヘリコプタービューのような視野を持つためには、試合中の状況を頭の中でイメージ化する能力が必要です。

この場合、試合後に帰宅してから作戦ボードなどを使って、試合の様子を再現しながら復習するのが最も効果的です(1000円程度の安価な物で十分です)。

こうすることによって、なぜ相手チームはこのように攻めたのか?という試合のイメージが出来ます。

その他にも、味方は、きちんと動いていたのだろか?中盤やディフェンスラインは、きちんと守備をしていたのだろうか?というように、チーム全体の動きを振り返ることも大切です。

そうすると、平面上のピッチを真上から見下ろすようなイメージを作ることが出来るわけですね。

もしも試合の様子が思い出せなかったとしたら、周りを全然見ていなかった…ということです。そうした場合は、まだ自分の視野は狭い…と考えて反省しましょう。

次の試合では、必ず広い視野を持つようにする!という意識も必要です。

ちなみに、プロの将棋の対局で勝敗が決まった後は「感想戦」というのがあります。簡単に言えば、対局が終わった後で歓談しながらお互いの差し手を振り返る…ということですね。

これは対局の流れを一から復習して、お互いの技術を向上させる目的があります。またチェスでも似たようなものがあり、やはりお互いのレベルアップに活かすわけです。

私の息子「とも」は、小二の頃から試合が終わった後にゲームボードを使って俯瞰のイメージ作りをしていました。そうした地道な努力によって、試合中の視野を広く取れるようになったことは言うまでもありません。

ちなみに将棋も強かったですね。私とよく勝負しましたが、「とも」は何手か先を読めていたようです。だから、いつも私が負けていました(笑)。

いずれにしても、必ず効果が出るのでぜひ試してください。

(5)テクニックの上達

① トラップ

パスを受ける時のトラップは意外とミスが起こりやすく、ボールが奪われやすいです。そうするとパスを受ける時は不安になって、ボールばかり見てしまいます。

そこでトラップのテクニックを磨いてください。

グラウンダーでのボールであれば、強めの壁打ちが良いでしょう。

最初のうちはボールを見ながらトラップしても良いので、きちんと足元で止められようにしてください。屋内でも屋外でもどこでも出来ると思います。

なお、浮き球のトラップは、次のようなコンビネーションリフティングを練習すると自然と上手くなるので、特別なトレーニングをしなくても大丈夫です。

グラウンダーと浮き球のトラップに慣れて来たら、トラップ直前にほんのわずかでも良いので周りを見ることも意識してください。

また眼球を動かして、敵をイメージしながら周りをチラ見するのも大切です。

② ドリブル

間接視野を広げるためのトレーニングとして、次のように四角形のグリッド作って、運ぶドリブルと突破のドリブルを交互に練習してください。

また、常に間接視野を使ってボールと前方3~4m先を視野に入れるようにしましょう。

運ぶドリブルの時は、首を振って周りを見てください。突破のドリブルの時は、ボールに集中して構いません。

なおドリブルの際は、常にヒザ下にボールを置くようにしてください。ボールの置き場が決まっていれば、足からボールが離れなくなります。

そうするとボールコントロールに自信が付くので、顔を上げて周りを見れるようになります。

③ キック

キックの飛距離と視野の範囲は比例します。

これはキックの飛距離が10mなら、そのエリアがパスの範囲になるので、それ以上の視野を持つことが出来ない…という意味です。

つまり、キックの弾道イメージ=視野のイメージと言っても良いでしょう。

これは小学校低学年の子供が、浮き球に対しての空間認識力が低いため、ヘディングや浮き球のトラップが苦手…というのと同じことです。

もちろん試合中に10mずつ2人の選手でパスを繋げば、20mの飛距離になるでしょう。でも、そうした場合は視野を広く取る必要がありますし、キックの飛距離と切り離して正確な視野のイメージを身に付けるのはなかなか難しいと思います。

そこで、先ずはキックの飛距離をアップするようにしてください。

私の息子「とも」の場合は、小三の時にインフロントキックを覚え、その後、飛距離が伸びるのにしたがって、だんだんと視野が広くなりました。

(6)動体視力の強化

動体視力を強化すると、プレー中の視野が拡大します。

その理由は眼球を動かすことで、試合中のいろいろな情報を瞬時に見分けることが出来るからです。

そうした点で、ぜひ動体視力を鍛えましょう。

※動体視力と視野の関係や強化法を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
動体視力と周辺視野がアップ!サッカーが速読で上手くなる?

4.まとめ

これまで試合中の視野の広さの意味として、状況判断、オフザボールとプレー中の視野、中心視野・周辺視野と動体視力の関係、俯瞰すること、試合中は何をどう見れば良いのか、視野を広げる練習法について解説しました。

特に日本の育成年代では「周りを見ろ!」「首を振れ!」「顔を上げろ!」と言うだけで、何をどう見れば良いのか?どうすれば視野が広がるのか?という具体的な指導はありません。

その原因は、指導者自身がよく分かっていないからだと思います。

そうした点では、先ずは自分自身で周りが見れるようになり、テクニックをレベルアップして、いろいろな試合を見つつ、たくさんのポジションを経験しながら視野を広げるようになりましょう。

ぜひ多くの子供たちが、サッカーで広い視野を持てるように願っています。

【画像引用:Youtube.com