ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

天才サッカー少年とは?努力は才能を超える!

日本には天才サッカー少年と呼ばれる子供たちがたくさんいますが、大人になると挫折することが多いですね。

その理由は何だと思いますか?

そこで、今回は天才サッカー少年とは何か?才能と努力の意味について解説します。

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1.日本の天才サッカー少年

ここでは、天才サッカー少年と呼ばれる選手たちの現状について、次の3つの点を解説します。

(1)日本は天才サッカー少年の宝庫?
(2)マスメディアと天才少年
(3)天才少年の成長と人生

(1)日本は天才サッカー少年の宝庫?

日本のサッカー界で天才少年と言えば久保建英くん、中井卓大くん、石井久継くんの3人が有名ですよね。

このうち久保くんはFCバルセロナ(後にFC東京からレアル・マドリード)、中井くんはレアル・マドリード、石井くんはJリーグの下部組織に入団しています。

この3人は、日本の子供たちにとって、最近まで自分と同じ小学生だったこともあり、「努力すればひょっとして…」ということで、ジュニア年代の身近な目標になっているようですね。

また、親御さんも「うちの子も、もしかして…」というふうに考えているかも知れません。

そうすると3人に続け!とばかりに一生懸命になるので、次々と天才サッカー少年が登場するのでしょう。

この場合、ネットで「天才サッカー少年」と検索するといろいろな子供が出て来ますよね。

例えば、Youtubeの「BLAZE A NEW PATH」には、何と総勢50人近くの少年たちが紹介されています。

この子たちが本当に天才だとすると、日本のサッカー界の未来は頼もしいばかりです。

日本がワールドカップで優勝するのも、そう遠くはないかも知れませんね(笑)。

でも、こうした風潮は、マスメディアがいたずらに好奇心を掻き立てているだけではないでしょうか?

(2)マスメディアと天才少年

マスメディアは、自社の記事やテレビ、ラジオ、ネットの視聴率が上がることを考えています。

これは普通の会社と同じで、世間に広まれば、広告収入などが増えて儲けになるからです。

だから、「天才サッカー少年、現る!」などと私たちをあおりたてるわけですね。

私が思うに、メディアは騒ぎ過ぎと言うよりも「騒ぎ好き?」と言えるでしょう(笑)。

要するに、メディアとしては自社の情報が売れれば良いだけなのかも知れません。

こうした現状に対し、子供の頃に天才サッカー少年と言われた選手たちが、大人になって挫折したとしましょう。

そうするとメディアが一斉に飛び付いて記事のネタにしたり、あの人は今?などと話題にしますよね。

例えば、帝京高校に入学して1年生から10番を付けた磯貝洋光は、東海大学、ガンバ大阪で活躍して日本代表に選出されましたが、ケガが原因で引退しています。

その後、ゴルファーになったり、大工仕事やスポーツコンサルタントに転身しています。

国見高校出身で全国高校サッカー選手権で活躍した平山相太は、オランダのヘラクレス・アルメロ、FC東京、ベガルタ仙台に在籍しましたが、引退後は指導者を目指して仙台大学に入学しています。

和製フリットと呼ばれた石塚啓次は、ヴェルディ川崎で活躍後、川崎フロンターレ、名古屋グランパスエイトと渡り歩き、引退後はスペインに移住してうどん店を開業しています。

その他にも、じん帯断裂のケガに悩まされた財前宣之、10年に一人の逸材とされた阿部祐大朗など、数多くの天才サッカー少年たちがいました。

こうした選手たちは、ずっと天才…と言われ続けましたが、すでに表舞台から去って、自分の人生を歩んでいるのです。

その場合、彼らのことをメディアが面白おかしく取り上げるのは、「天才」という言葉をネタにしているだけにしか思えません。

その一方で、こうした天才少年たちの生き様に対し、好奇心を駆り立てられる人は多いようです。

特に、少年時代は天才ともてはやされ、挫折を味わって、大人になったらふつうの人…。正にジェットコースターのように浮き沈みの激しい人生です。

テレビを見ている方は興味津々ですし、人の不幸は蜜の味…というのかも知れません。

でも、こうした選手たちは、少年時代に念願だったプロの道を歩んだわけですし、ある意味では希望が叶ったとも言えるのでしょう。

もちろん天才サッカー少年と言われる今の子供たちも、プロを目指しているのでしょうが、現実には厳しい道のりが待っています。

(3)天才少年の成長と人生

天才サッカー少年と言えども、プロになれる確率は1%もありません。

これは野球でも、その他のプロスポーツでも同じようなものです。

またサッカー選手の寿命はプロになってから、平均して2~3年で引退します。

そうすると高卒でプロになっても、20歳過ぎにはふつうの人になるわけですね。

もちろん日本代表になったり、海外に移籍するような選手になれば、もっと長いサッカー人生が続きます。

また、プロ野球の場合は、高卒ルーキーで2~3年ほど二軍で鍛えてから一軍に昇格…という流れを考えると、サッカー選手は想像以上に厳しい世界だと思います。

そうして考えると、天才と言われたサッカー少年たちも、実は短命の可能性があるわけです。

こうした主な原因は、日本人の成長のピークが中学三年生~高校生年代にあることです。

子供たちにとっては、この時期から大人と同じレベルの試合が多くなるため、体を酷使してしまいます。

そうした場合、高校生であれば夏のインターハイ、秋の国体、冬の全国選手権がありますし、高円宮杯U-18サッカーリーグや地域の大会も目白押しですし、その合間にはたくさんの練習試合があります。

もちろん、高校生がJリーグの下部組織などのクラブユースに所属していたとしても、たくさんの試合を経験しますよね。

そればかりではありません。

そもそも、天才少年と言われた子供たちは、すでに小学生年代から数多くの試合を重ねています。

そうすると育成とは名ばかりの、試合に勝つために体を酷使するという、さらに厳しい生存競争を勝ち抜かなくてはいけないのです。

だから、子供たちは心身ともに疲弊しきった状態でプロになるので、2~3年で引退しても不思議ではありません。

そもそも世界的に見た場合、サッカーはユース年代までが育成期間です。

また海外では個を育成するので、対外試合の比重はあまり高くありません。

特に天才少年と評された選手たちは、大切に育てられます。

なぜならトップチームに入って活躍すれば、クラブ側に多大な利益をもたらすからです。

だからユース年代を終えて疲れ切っている日本の選手とは違って、さらに成長の余地があるのです。

つまり少年時代から体を酷使して成長した日本の子供と、きちんと個を育成された海外の選手たちとでは、もともと大きな違いがあるわけですね。

そうした点を考えると、日本の育成指導は天才サッカー少年たちを潰してしまうのではないでしょうか?

さて次は、そもそも天才とは何か?という点について解説します。

2.天才とは何か?

ここでは、天才とは何か?と題して、次の2つの点を解説します。

(1)天才の特徴
(2)天才になるための努力

(1)天才の特徴

そもそも天才とは、どのような人を指すのでしょう?

ふつうは天賦の才がある、持って生まれた才能がある、誰も持っていないものがある…などとよく言われますよね。

この場合、天才の特徴やパターンはいろいろとありますが、大きく2つに分けられると思います。

一つ目は新しいものを生み出す、二つ目は努力することです。

①新しいものを生み出す

新しいものを生み出すというと、アインシュタインやエジソンのように科学的な発明を想像しがちですが、必ずしもそうではありません。

少年時代から好奇心や探究心が旺盛で、誰もが思いも付かなかったアイディアが湧いて出てくるという意味です。

そうした特徴に対して、オリジナリティがある!独創的だ!などと評価されるのです。

でも天才と呼ばれる人たちは、全く何もない「0」の状態から新しいものを生み出したわけではありません。

ほとんどの場合「1」というものが先にあって、そこから新しい何かである「2」を生み出したのです。

例えばアインシュタインは相対性理論で有名ですが、この研究は突然出て来たものではありません。

それまで常識と考えられていたニュートンの絶対時空(時間と空間は変わらない)を基にして、時間と空間は変化すると研究したのです。

つまりニュートンが研究した「1」に基づいて、新たな成果の「2」を生み出したわけですね。

これをサッカーの世界に置き換えてみましょう。

サッカー界では、ペレ、マラドーナ、メッシが天才と言われますが、いずれも先人たちの成績を超えたところに偉大さがあります。

この3人は、これまで多くのサッカー選手がなし得なかったたくさんのタイトルを取るなど、とても優秀な成績を収めています。

こうした現状を理論的に考えてみましょう。

そうすると、先人たちの功績を超えるだけで天才と呼ばれるのであれば、実は誰でも可能性があるのです(サッカーの上手い下手に関わらず、あくまでも理論的な考え方です)。

そうして考えれば、人は誰でも天才になれる可能性があるのです。

②努力する

天才たちは、人並み外れた努力と、その必要性を強調します。

例えば、アインシュタインの「天才とは努力する凡才のことである」という言葉は有名ですよね。

ニュートンは「もし私が価値ある発見をしたのであれば、それは才能ではなく忍耐強く注意を払っていたことによるものだ」という名言を残しています。

これら二人の格言は、実は才能を否定することを意味します。

要するに、ふつうの人が輝かしい成果を成し遂げる…ということなのです。

私が思うに、サッカーも含め全ての物事対する成果は、才能があるとかないとかはあまり関係ないと考えています。

また、その人に才能があるかどうかは、常人(凡人)では判断できないはずです。

そうした判断が出来るのは、人間の領域を超えた存在(もしも神がいるとすれば「神」)でない限り無理だと思います。

つまり人が人に対して、才能云々を評価することは出来ないのです。

もっと言えば、才能という言葉は人が勝手に作り出した単なる幻想だとさえ考えています。

そもそも、私たちは生物学的には単なるヒトです。

生れてから成長するまでの個体差はあっても、羽根や角が生えていたり、しっぽがあったり、などという特異な差はありません。

また生育環境による個体差が生じたとしても、生物学的には同じ条件で成長する可能性があるのです。

そうすると、ある程度の環境が整っていれば、いろいろな分野で自分の能力が発揮出来るはずです。

そうした場合に大切なのは、自分の適性がその分野に合っているのか?どうか?です。

つまり、サッカーで天才と呼ばれた人たちは、自分の適性が偶然合っていただけに過ぎないのです。

そうした場合に大切なことは、自分を磨いて技術を高めるための努力だと思います。

なぜなら、努力なしに天才になった人は存在しないからです。

(2)天才になるための努力

ペレ、マラドーナ、メッシは、3人とも努力を欠かしません。

これは彼らの格言にもよく表れています。

ペレ「成功は決して偶然ではない。勤勉、忍耐、知識、学び、犠牲、そして何よりも自分が取り組んでいることへの愛情が必要だ。」

マラドーナ「私がしたドーピングは努力だけだ。」

メッシ「僕は生まれながらの天才ではない。努力の人間なんだ。努力すれば報われる?そうじゃないだろ。報われるまで努力するんだ。」

たいていの人は、こうした天才たちを見ると「才能」があるから…と一言で片付けてしまいます。

でも彼らは目に見えない所で、たくさんの努力を積み重ねていることは確かなのです。

そうした意味では、努力は天才になるために絶対に必要ということですね。

1960年代に活躍した大相撲の横綱・大鵬は、ある週刊誌の取材に対して次のように述べています。

「マスコミは天才という言葉を簡単に使うが、言われた当人たちは虚しくなる。」
「まるで才能だけで勝っているみたいだ。」
「私は才能だけで横綱になったわけではない。」
「みんなが知らないところで、人の何倍もの努力をしてきたんだ。」
「だから、天才の2文字で片付けてほしくない。」

大鵬の話しは、天才と言う言葉の本当の意味を表したものだと思います。

つまり努力こそが、天才になれる道筋ということですね。

そうした点では、天才と言われたイチローも名言を残しています。

「そりゃ、僕だって勉強や野球の練習は嫌いですよ。」
「誰だってそうじゃないですか。」
「辛いし、大抵はつまらないことの繰り返しだし。」
「でも僕は子供のころから、目標を持って努力するのが好きです。」
「だってその努力が結果として出るのは、うれしいじゃないですか。」

イチローの言うように、努力をすれば必ず何らかの成果が出ます。

そうした、成果が続ければ、誰でも天才になれる可能性があるのです。

さて次は、天才サッカー少年の育て方について解説します。

3.天才サッカー少年の育て方

サッカーの適性があれば、子供は誰でも努力しだいで天才になれます。

そうした際の子育てについて考えてみましょう。

天才サッカー少年と言われた久保くん、中井くん、石井くんの3人に共通するのは、親が何らかの形でサッカーに関わっていたことです。

だから、3人ともそれなりのレベルに成長したのでしょう。

その場合によくありがちなのが、サッカー未経験の親でも天才少年に育てられるのか?という疑問です。

でも、そうした点はあまり関係ありません。

なぜなら努力するのは子供自身だからです。

そうした場合、親として大切なことは子供をサポートすることです。

そのためには親自身がきちんとサッカーを勉強しなくてはいけませんし、決して他人任せではダメなのです。

またサッカーの〇〇のコツなどという聖杯や秘宝を求めても無駄で、そもそもサッカーには、そうしたものはありません。

むしろ大切なことは、子供の適性をきちんと見極めて、正しい努力をするように促すことです。

だからサッカーの役に立たないことは、今すぐに止めさせましょう。

もしも親がサッカーを勉強する時間がないのであれば、子供と向き合う時間を作りましょう。

あなたが家に帰れば子供もいるはずなので、きちんと会話をしましょう。

褒めるべきところはきちんと褒めて、叱るところは叱りましょう。もちろん感情的になってはダメです。

その一方で、サポートが必要と言っても、過保護になってはいけません。

これは日常生活から考え直してください。

子供が毎朝登校する時に、早く起きなさい!忘れ物はない?遅刻するよ!などと口うるさく言っていませんか?

帰って来た時に、宿題は?風呂に入りなさい!早く食べなさい!早く寝なさい!などと言っていませんか?

そのくらいのことは放っておきましょう。

忘れ物をしそうなら、させれば良いのです。

遅刻をしそうなら、させれば良いのです。

どちらも子供にとっては恥ずかしいことなので、自分なりに考え直します。

そうすることで、子どもの自立を促すのです。

私は妻の反対を押し切って、このようにして息子の「とも」を育てました。

つまり子供のサポートはするが、自立させるのも大切なのです。

そうすることで、子供が自ら努力の必要性に気付きます。

そして、この瞬間が天才への道しるべになるのです。

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4.まとめ

これまで天才サッカー少年というテーマで、努力の大切さについて解説しました。

多くの先人たちが言うように、天才は才能とは関係ありません。

私が思うに天才という言葉は、意外と身近なものに考えています。

サッカーの適正があって努力が続けられるのなら、誰でも天才になれる可能性があるのです。

また努力なしに天才になった人は、この世にはいません。

だから、結果が出るまであきらめないことです。

子供たちには、ぜひ努力を続けてサッカーの天才と呼ばれるようになってほしいと願っています。

【画像引用:Youtube.com