ゴールデンエイジでは9~12歳までが運動学習に最適とされ、この時期を逃すと発達は困難とされています。
ところが脳科学や医学の分野では、実は間違っていたことが30年前に分かっています。
そこで今回はゴールデンエイジの間違いを脳科学で解明します。
特に今回の記事の後半では、衝撃の事実をお伝えするので注意してお読みください。
※この記事は5つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。
1ページ目(このページに書いてあります)
【ゴールデンエイジの理論】
2ページ目(←クリック!)
【ゴールデンエイジの根拠と妥当性】
(1)スキャモンの成長曲線
3ページ目(←クリック!)
(2)即座の習得
4ページ目(←クリック!)
(3)脳の可塑性
【脳の可塑性の最新の研究成果】
5ページ目(←クリック!)
【ゴールデンエイジの間違いと真相】
【まとめ】
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【ゴールデンエイジの理論】
(1)ゴールデンエイジとは
ゴールデンエイジは、日本サッカー協会の「JFAキッズ(U-8/U-10)ハンドブック」の9ページに載っています。
たぶん、少年団やクラブチームに所属する子供の親御さんなら、一度は読まれたことがあるでしょう。
それによれば、
U-10~U-12年代は心身の発達が調和し、動作習得に最も有利な時期とされています。集中力が高まり運動学習能力が向上し、大人でも難しい難易度の高い動作も即座に覚えることができます。
「ゴールデンエイジ」と呼ばれ、世界中どこでも非常に重要視され、サッカーに必要なあらゆるスキル(状況に応じて技術を発揮すること)の獲得に最適な時期として位置づけられています。(以下省略)。
(引用元「JFAキッズ(U-8/U-10)ハンドブック」)
要するに、子供は9~12歳までの時期が運動学習に最適なので、この年代までにサッカーのスキルを覚えましょう…ということですね。
特に9~12歳までを「運動学習最適期」と呼び、ゴールデンエイジの理論の核心部分として、とても重要とされています。
その一方で、8歳以下の子供はプレゴールデンエイジと呼ばれ、ゴールデンエイジに向けて運動の基本動作(投げる、打つ、走る、跳ぶ、蹴る)を反復し、サッカーだけではなく全身をたくさん使うような運動も取り入れるよう推奨しています。
たしかに、8歳以下の子供が運動の基本動作を習得するために、全身をたくさん使うような運動も取り入れる…というのは正しいでしょう。
なぜなら、サッカーはスポーツとしての専門性が高いため、8歳以下の子供がいきなり始めると、上半身が貧弱なままで成長するなど、健全な発育を阻害する可能性があるからです。
つまり、スポーツは専門性が高いので、その前に運動の基本を身に付けましょうね…ということです。
たぶん、ふつうの方なら、これは大切だと思えるはずです(ただしそのように考えていない不勉強な親御さんも多いようです)。
ところが、9~12歳までの運動学習最適期の考え方がとても疑問に感じます。
それは子供が12歳を過ぎると、本当に運動学習には適さないのか?何をやってもダメなのか?という点です。
こうした素朴な疑問は、たぶん多くの方が抱えているはずです。
そうした問題に関しては、後ほど詳しく解説します。
(2)ゴールデンエイジ理論の普及
ゴールデンエイジの理論が世間に普及したきっかけは、Jリーグが発足する30年近く前にさかのぼります。
当時の日本サッカー協会は、Jリーグに参加する各クラブにジュニア~ユースまでの育成組織を持つよう指導しましたが、その際の育成組織の運営のガイドラインとして提唱されたのが、ゴールデンエイジの理論です。
その後、この理論はサッカー以外のいろいろなスポーツにも普及して、日本中に広まりました。
近年ではスポーツの低年齢化の傾向が見られますが、いわゆるエリート教育や選手強化などで、この理論が応用されています。
さらに、この理論はスポーツだけではなくピアノや書道などの習い事、学習塾など、あらゆる分野にも活かされているのです。
その結果、オリンピックなどの世界大会でメダリストが増えるなど、一定の成果が表れました。
そうすると、世間のお父さんやお母さんたちは「始めるなら早い方が…」「ゴールデンエイジに間に合わない」ということで、さらにスポーツの低年齢化に拍車をかけています。
この場合、ゴールデンエイジの理論は、日本サッカー協会という権威ある組織が提唱したので、ほとんどの方は正しいと思うはずです。
ところが、この理論は科学的に検証されたわけではありません。
また、ゴールデンエイジ理論の中核である9~12歳までの運動学習最適期の根拠は、「スキャモンの成長曲線」、「即座の習得」、「脳の可塑性(かそせい)」という3つの科学理論から導き出されていますが、日本中の数多くの子供たちの運動データを収集して分析するなどの深い研究成果は一切発表されていないのです。
つまりゴールデンエイジは正しい…という、何の証明もされていないわけですね。
そもそも、何の検証データも存在しない理論は単なる机上の空論でしかありません。
もっと言えば、ゴールデンエイジの理論は文献を引用した程度で作られた安易な意見とも言えるのです。
かなり過激な事を言ってしまいましたが、今回の記事は全国のサッカー少年を育てる親御さんにハッキリと警鐘します。
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そこで次は、ゴールデンエイジの根拠とされる「スキャモンの成長曲線」、「即座の習得」、「脳の可塑性(かそせい)」という3つの科学理論の妥当性について順に解説します。
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