ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

グラウンダーシュートの蹴り方と練習法!

 グラウンダーシュートは、地面を這わせるような低いボールの蹴り方です。
 蹴ったボールがゴールキーパーの手前でバウンドすることが多いので、意外とセーブし難いです。
 日本は土のグラウンドが多くボールがバウンドしやすいので、子供たちにはぜひグラウンダーシュートを覚えてほしいと思います。

 私が30年前にいたブラジルのグラウンドは芝の状態がとても悪かったので、GK手前でのバウンドを狙ったグラウンダーのボールを蹴る子供が多かったです。

 インステップキックが蹴れる人なら誰でも出来ますし、ニアサイドやファーサイドの蹴り分けも簡単です。

 そこで今回は、グラウンダーシュートの蹴り方、シュートコースの蹴り分け、練習法などを詳しく解説します。

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1.グラウンダーシュートの仕組み

(1)シュートコースとGKのセーブ

 グラウンダーシュートを蹴る時のシュートコースは、ゴール下側の左右の隅です。
 この2箇所にボールが飛ぶと、GKはかなりセーブし難いです。
 この反対にゴール上側にボールが来た場合は、セーブしやすいです。
 この理由はGKの動作特性にあります。

GKのセーブしやすいコースとやり難いコース

 例えば、先ほどのゴールの画像右隅の高い場所をA、低い場所をBとしましょう。

 ボールがAに来た場合は斜め上にジャンプするため、滞空時間も長いことから何とか手が届いてセーブ出来ます。

 ところがBに来た場合、次の2つの理由によってセーブすることはかなり難いです。
 ・グラウンドと水平にジャンプするため、滞空時間が短いので手が届かない。
 ・目の前で突然バウンドするので対応できない。

GKがゴール隅の高い場所と低い場所をセーブする時のイメージ

 こうしたGKの動作特性は、プロであろうと育成年代であろうと全く同じです。
 また多くのGKはグラウンダーのボールを嫌がりますし、こうした傾向は土のグラウンドでも芝でも変わりません。

 つまりグラウンダーシュートは、ゴールが決まりやすいということですね。

 シュートはゴールの四隅を狙うのがセオリーとされていますが、育成年代の子供たちにとって先ず優先すべきなのは、こうしたグラウンダーシュートの指導ではないかと思います。

(2)日本ではグラウンダーシュートを好まない

 日本のクラブや少年団では、浮かせたシュートを指導することが多いです。

 例えば子供たちがグラウンダーのゴロを蹴ると、「何だ!そのへなちょこな蹴り方は!」などと言われることが多いはすです。
 その反対に浮かせたシュートを蹴ると、「よし!いいぞ!」などと褒めたりします。

 そうすると、子供たちはグラウンダーシュートを蹴ってはダメ…、というように理解するでしょう。
 こうして成長して大人になった結果が、日本のサッカー選手の現状なのです。

 次の動画のようにゴール前で「ふかす」シーンは、Jリーグだけではなく日本代表の試合でも何度も目にしたはずです。

 GKの動作特性をよく考えれば、グラウンダーシュートが効果的なことはハッキリしています。
 ところが日本の指導者はフィールドプレーヤー出身者が多く、GKのことをほとんど理解していないのでしょう。
 だからシュートは浮かすもの…、という発想になるのです。

 子供の頃に身に付けた教えは、大人になっても変わりません。
 また日本では、今も昔も決定力不足と言われています。

 こうした決定力不足は日本の育成指導の大きな問題点ですし、早急な改善が必要です。

(3)グラウンダーシュートは単なるゴロではない

 グラウンダーシュートは、単なるゴロのキックではダメです。

 特に大切なのが、GKの手前でバウンドさせることです。
 なぜなら、ゴロのボールでは地面との摩擦抵抗によってスピードが落ちてしまい、GKが簡単にセーブしてしまうからです。

ゴロのグラウンダーシュート

 次の動画のコウチーニョや私の息子「とも」のシュートは、無回転の低弾道でGKの手前でバウンドしていました。

 こうした無回転のボールは、ゴール前で徐々にスピードが落ちると下方向に大きくブレます。
 その結果、地面にバウンドすると50㎝以上も跳ね上がるのです。
 そうするとGKが追い付いたとしても、大きくバウンドするのでセーブし難くいのです。

無回転の低いボールがバウンドする仕組み

 そこでグラウンダーシュートは単なるゴロではなく、無回転のインステップキックを蹴ることが重要であると覚えてください。

 ※インステップキックで無回転を蹴る方法を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
 インステップキックの蹴り方のコツと練習方法!正しい教え方とは?

 それでは次に、グラウンダーシュートの蹴り方を詳しく解説します。

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2.グラウンダーシュートの蹴り方

 日本の育成指導では、グラウンダーシュートはフォロースルーで体を被せるとかコンパクトに蹴るなどと言われます。

 ところが、そうしたことはあまり関係ありません。

 むしろニアサイドとファーサイドに蹴り分ける場合は、どのように蹴れば良いのか?と考えた方が実戦的ですし、試合でも使えます。

 そこで、次にこうしたコースの蹴り分けの方法を含めて順に解説します。

(1)グラウンダーシュートの蹴り分け

①ニアサイド

(ア)シュートフォーム

 ニアサイドへのグラウンダーシュートで最も大切なことは、自分のふだんのインステップキックのフォームのままで、
 A.軸足を深く踏み込む(つま先がボールを越えるくらいに)。
 B.足首に近いポイントで蹴る。
 この2つの点を意識すれば、小学校低学年でも地面這うような無回転のキックを蹴ることが出来ます。

シュートフォームの軸足と蹴るポイント

 つまり体を被せるとかコンパクトに…などと、そのつどフォームを変えるのではなく、ほんのわずかな工夫で意外と簡単に無回転のグラウンダーシュートが蹴れるわけです。

 また蹴る時の足の当てる場所は、インステップ(足の甲)の中心から1~2㎝ほど足首に寄ったポイントで蹴ってください。
 もちろん人によって足のサイズや形が違うので、必ずしも1~2㎝とは言えません。
ご自分の最適な場所を探して見てください。

蹴る時の足の当てる場所

 また軸足を深く踏み込む理由は、足首に近いポイントで蹴りやすくするためです。
 もしも軸足の踏込が浅いと、足首の近くでインパクト出来ません。
 だから「軸足の踏込」と「足首に近いポイント」は2つをセットにして、何度も練習しながら自分に合ったインパクトポイントを見付けてください。

(イ)無回転になる理由

 足首に近いポイントでグラウンダーシュートを蹴ると無回転になりやすいですが、ここではその理由について解説します。

 一般的なインステップキックは、ボールの表面から中心軸に向かって真っ直ぐ押し出すことで無回転になります。

ボールが無回転になる仕組み

 またインパクトが強いとボールが楕円に変形するので中心軸も短くなります。

インパクトが強い場合のボールの変化

 そうすると、インパクトの瞬間にボールに回転が掛からないので無回転になるのです。
 要するに、中心軸に向かって真っ直ぐ押し出すことが大切なわけです。

 ところが子供のキックはインパクトが弱いたため、ふつうのインステップキックで蹴ってもボールが楕円に変形することはほとんどありません。
 そうすると中心軸を外したり余計な回転がかかったりして、無回転にならないことが多いです。

 ところが足首に近いポイントで蹴ると、インパクトが弱くてボールが楕円に変形しなかったとしても、最初から接地面積が広いのでボールの中心軸を外すことがありません。
 だから、無回転になりやすいのです。

足首に近いポイントで蹴ると無回転になりやすい仕組み

 要するにグラウンダーシュートは、非力な子供でも無回転が蹴れてしまう!ということなのです。

 なお小学校低学年の場合は、次の動画のような練習法も効果的です。
 向かって来るボールをインパクトする時は、迎えに行くような蹴り方になります。
 そうすると自然と軸足の踏込が深くなりますし、足首に近い場所でインパクト出来るのです。
 もちろん自然と地面を這うようなキックになります。
 インパクトのイメージと感覚を養成するためには最適なので、ぜひ試してみてください。

(ウ)ブラインドを意識する

 ニアサイドへのグラウンダーシュートは、ブラインドも意識してください。
 ブラインドとは、相手DFがシュートコースを塞ごうとして横並びになった隙間を狙うことです。

 ブラインドはシュートコースを塞ぐためには効果的ですが、わずかな隙間を狙ってシュートを打たれるとGKは対応し難くなります。
 なぜなら、シュートコースが見え難いからです!

ブラインドがシュートコースを塞ぐ仕組み

 またGKがコースを予測するのは、キッカーがシュートモーションに入った時です。
 ところがブラインドは、このモーションさえも見え難くするのです。

 ブラインドシュートは右サイドでも左サイドでも使えますし、GKの立ち位置によってはファーサイドを狙っても良いでしょう。

ブラインドシュートは右サイドでも左サイドでも使える仕組み

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 それでは次にファーサイドへのグラウンダーシュートについて解説します。

②ファーサイド

 ファーサイドへのグラウンダーシュートは、ニアサイドへの蹴り方とかなり違いやや難易度が高くなります。

 A.軸足はニアサイドに向ける。
 B.インパクトからフォロースルーにかけて体幹を捻る。
 C.軸足はボールの真横または浅く踏み込む。
 D.インステップの内側かインサイドを使い足首に近いポイントで蹴る。

 Aの軸足をニアサイドに向ける理由は、ファーサイドを狙ったシュートコースをGKに読まれないためです。
 特にGKはキッカーの軸足の向きからコースを予測することが多いので、こうした点は注意しましょう。

軸足をニアサイドに向ける理由

 この場合、ブラインドがあればGKは分かり難いですが、そうでない場合は慎重さが必要です。
 例えばキッカーがニアサイドにいて、軸足も同じ方向を向いていたとします。
 そうすればGKはニアサイドを警戒するので、まともに蹴ってはダメです。
 そうした場合は、裏をかいてファーサイドを狙う方が良いのです。

GKの裏をかいてファーサイドを狙う

 Bのインパクトからフォロースルーにかけて体幹を捻る理由は、ファーサイドに蹴りやすくするためです。
 特に軸足をニアサイドに向けるので、こうした蹴り方が効果的です。
 体幹を捻る蹴り方はフィギュアスケートの回転ジャンプのように、体に強い遠心力がかかるので体幹と軸足の強化が必要です。
 体幹と軸足の強化法は、後述するので参考にしてください。

インパクトからフォロースルーにかけて体幹を捻る

 Cの軸足をボールの真横または浅く踏み込む理由は、体幹を捻りやすくするためです。
 こうした場合、軸足を深く踏み込むとやや窮屈になってしまいます。
 ボールと軸足の位置関係は人によっていろいろ異なりますが、スムーズに体幹を捻ることさえ出来ればどのような位置でも構いません。
 そこで何度も練習しながら、自分に合った軸足の位置を見付けてください。

軸足をボールの真横または浅く踏み込む

 Dのインステップの内側かインサイドの足首に近いポイントで蹴る理由は、先ほどのCの体幹を捻りやすくすることと関係します。
 この時に無理にインステップの中心で蹴ろうとすると、キックフォームが窮屈になります。
 また体幹を捻ると、インステップの中心で蹴るのは難しくなります。
 どちらかというと、横回転で足を振るようなイメージで蹴ると良いでしょう。
 私の息子「とも」は、インステップのやや内側を使っています。
 このようにインパクトポイントを少し変えても、足首に近いポイントで蹴れば無回転になるので、何度も練習しながら自分に合ったインパクトポイントを見付けてください。

インステップの内側かインサイドの足首に近いポイントで蹴る

 ※キックの蹴り分けを詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
 キックの蹴り分けの意味と正しい使い方とは?

(2)雨の日はゴロを蹴る

 雨天の場合はボールが滑りやすく、GKもセーブし難いのでゴロのグラウンダーシュートを蹴るのも効果的です。
 ゴロのグラウンダーシュートはボ―ルの中心から1㎝程度上を蹴るだけです。

 また無回転で蹴っても、雨天ではGKの手前で大きくバウンドしないこともあります。
 そこで状況に応じて無回転とゴロを使い分けることも工夫してください(試合前に試し蹴りするなど、グラウンドコンディションを確認すると良い)。

 ただし雨天時のゴロのグラウンダーシュートは滑りやすいからとは言っても、やはり地面との摩擦抵抗が生じます。
 そのため飛距離の短いニアサイドに限定して使うようにしましょう。

 さて次は、グラウンダーシュートの練習法を解説します。
 大切な内容なので、ぜひお読みください!

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