ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

ハイプレスとは?サッカー初心者でも分かりやすく解説!

ハイプレスは守備戦術の一つですが、今や小学生からプロまで取り入れている現代サッカーの基本と言っても良いでしょう。

そこで今回はハイプレスについて、サッカー初心者でも分かりやすく解説します。

※この記事は3つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。

1ページ目(このページに書いてあります)
【ハイプレスの特徴】

2ページ目(←クリック!)
【具体的な守備戦術】

3ページ目(←クリック!)
【体力の問題】
【ハイプレスへの対策とポゼッションの使い分け】
【まとめ】

スポンサーリンク

【ハイプレスの特徴】

(1)ハイプレスとは

ハイプレスをとても簡単に言うと、実際の試合でよく見られるのは次の2通りのケースに分かれます。

一つ目は、相手チームがビルドアップしている時にディフェンスラインにプレスをかけてボールを奪うケースです。

こちらの動画はハイプレスをかける様子ですが、特に試合開始直後は選手たちがフレッシュなので、かなりゴール近くまでプレスを掛けます。

この場合、次の動画のようにディフェンスラインから中盤にパス(サイドバック⇒サイドハーフ)が出たところを狙って奪うことも多いですが、基本的には相手のディフェンスラインでプレスを掛けるのを優先します。

なぜなら限りなくゴールに近いからです。そうした意味で現代サッカーはフットサル並みのスピード感が必要です。

二つ目は、相手陣内でボールが奪われた時に直ぐにプレスをかけてボールを奪い返すことです。

次の動画では相手にボールを奪われた後にしつこくハイプレスをかけていますよね。

やはり、これも出来るだけゴールに近い場所でマイボールにしようという考え方から来ています。

少年サッカーの試合でも「前から行け!」とか、「(奪われたら)奪い返せ!」とよく言われていますよね。

こうした守備は単に守るというのではなく、積極的にボールを奪って攻撃の時間を長くする…という考え方に基づいています。

この場合、攻撃時間を長くするとしたらFCバルセロナのようなポゼッションが有利ではないか?と想像する方は多いでしょう。

でもバルサが相手陣内でボールを奪われた場合も、すぐに敵を囲い込んで奪い返します。

しかもバルサの選手は10m程度の短い距離でショートパスを繋ぐので、そうした狭いエリアの攻撃スタイルが、ボールを奪われた場合でもそのまま守備の囲い込みに活かせるわけですね。

つまりバルサのポゼッションが成り立つのは、ハイプレスの守備戦術があってこそなのです。

そうした意味で、チームによってやり方の違いはありますが、基本的にはジュニアからプロまで当たり前のように使われている戦術と言えるでしょう。

(2)相手陣内でボールを奪う意味

ハイプレスで特に大切なのは、相手陣内でボールを奪うことです。

その場合、いわゆるアタッキングサードのあたりで奪うとそのまま得点チャンスになります。

これもゴールに近い場所で、一分一秒でも攻撃時間を長くするという発想から来ているわけですね。

でも実際にはそう簡単に上手く行くわけではなく、ボールを奪う勝負どころはセンターライン付近での囲い込みが多くなります。

また前線にいるFWやSHの選手たちだけが頑張ってプレスをかければ、それで良いというわけではありません。

ディフェンスラインも全体的に高い位置に押し上げる必要があります。

特にFWの選手がペナルティエリア付近でハイプレスを掛ける場合は、センターバックはセンターラインを越えて相手陣内までディフェンスラインを押し上げた方が良いでしょう。

なぜなら、そうしないとライン間の距離が間延びして選手間にスペースが出来てしまうため、そこを狙われてかえって相手に攻撃のチャンスを与えてしまうからです。

したがって、ハイプレスを掛ける時は全員が連動してラインを高く保つことが重要なのです。

いわゆるコンパクトな守備ということですね。

こうした守備はボールを奪ってから一気にゴールを狙えるという点で、弱者が強者を倒す戦術として発展しました。

これに対して、自陣のゴール前まで引いて守ってロングカウンターという戦術がありますよね。

例えば2018年のロシアワールドカップのベルギーがよく使っていたカウンターが典型的だと思います。

でも現代サッカーは限られた時間内で出来るだけチャンスを作る…という発想に変わっています。

つまり引いて守るだけではチャンスがほとんど作れませんし、良くて引き分けですから、相手に勝つためにはそれではダメというわけですね。

そうすると相手陣内でボールを持つ時間を多くした方が良い…、だから相手陣内で奪われたらすぐに奪い返すという考え方に転換したのです。

(3)全員攻撃と全員守備

ハイプレスが広まる前(20年以上前)はフォワードは点を取るのが仕事、ディフェンダーは守備だけ、ゴールキーパーはキャッチング能力が高ければ良いというようにポジションごとに役割がハッキリしていました。

ところが、そうした時代はもう終わっています。

この場合、FWにはハイプレスを続けるための持久的な守備能力が必要とされ、CBやGKには相手のハイプレスからボールを守るために足元の技術が要求されます。

また、以前はビルドアップの時にディフェンダーからボランチにパスをして攻撃の起点になることが多かったです。

ところがハイプレス戦術が登場してからは、ディフェンスラインからボランチへのパスが入り難くなりました。

そうするとディフェンダーやゴールキーパーが直接攻撃の起点になるケースが多くなったのです。

例えば、ロングパスを使って直接前線にボールを放り込むパターンですね(ハリルジャパンの頃にも時々やっていた)。

そうした意味で、サッカーの全てのポジションにおいて攻撃と守備を分けるとか、ポジションごとに役割を分担するという発想がなくなっています。

つまり現代サッカーはハイプレス戦術が登場したことによって、全員攻撃・全員守備の時代になったわけですね。

こうしたハイプレスの特徴を改めてまとめると、次の2つになります。

(1)高い位置でボールを奪う
(2)前線でボールを奪われたらすぐにプレス

スポンサーリンク

そこで次に、この2つの具体的な守備方法を解説します。