ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

カーブの蹴り方と練習方法!【実演動画と画像で詳しく解説】

 日本ではフリーキックでカーブを蹴る時、よく「擦り上げる」と言いますが、これは過去の遺物です。
 実際にも海外のプロ選手たちは、こうした蹴り方をしていません。

 一方、日本人は欧米人と比べて胴長短足の低身長なので、自分の体型に合った蹴り方を覚える必要があります。

 そこで今回は正しいカーブの蹴り方、ボールが曲がる仕組み、フリーキックを決める方法、練習法などを詳しく解説します。

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1.カーブが曲がる仕組み

 フリーキックでカーブを蹴る時は、単にボールに回転をかけて曲がれば良い…というものではありません。

 特に蹴る場所によって、ゴールのどの辺(ニアサイド、ファーサイド、中央)を狙うのか?ということも大切です。

 その場合、横回転をかけて大きく曲げるのか?縦回転で鋭く落とすのか?という蹴り分けも必要です。

 そうすると、横回転と縦回転の2種類のカーブを覚えないと試合で使いこなすことが出来ません。

 また、カーブの蹴り方を覚えるためには、ボールが曲がる仕組み、スイングの方法、キックフォーム、ボールと足の当てる場所、助走の仕方、軸足との関係など、たくさんのことを学ぶ必要があります。

 そうしないと、いくら練習しても上手くなることはありません。

つまりカーブを蹴る技術は、それほど簡単ではないのです。

 そこで、先ずはボールが曲がる仕組みをきちんと理解してください。
 そのうえで、今回の記事の後半で解説する正しい蹴り方を練習しましょう。

 そうすることが、カーブの蹴り方を覚えるための近道です。

(1)ボールが曲がるメカニズム

① マグナス効果

 カーブを蹴った時にボールが曲がるのは、マグナス効果の影響を受けるからです。
 マグナス効果とは物理学の原理の一つです。
 出来るだけ簡単に説明すると、次のとおりになります。

 回転が掛かった状態でボールが真っ直ぐ飛ぶと、左右の気圧が変化します。
 そうすると、ボールは気圧の低い方に引っ張られるように曲がって行くのです。

 言葉だけでは分かり難いので、このメカニズムについて図を使って詳しく解説しましょう。

マグナス効果の説明画像

 例として、右利きの選手がカーブを蹴ったとしましょう。
 最初のうちは、ボールに反時計回りの回転が掛かりながらも真っ直ぐ飛びます。
 その際、ボールの右側と左側とでは空気の流れの違いによって気圧が変化します。

 右側の空気は進行方向に逆らって流れるので、空気が停滞して壁(空気の層)が発生します。
 そうすると、ますます流れが遅くなって気圧が高くなるのです。

 その反対に左側の空気は進行方向とは逆向きなので、流れが速くなります。
 そうすると気圧が低くなるのです。

 その結果、回転のかかったボールが真っ直ぐ飛ぶときは、気圧の高い方から低い方に向かってボールが曲がるわけです。

 またボールが真っ直ぐ飛ぶスピードが速ければ速いほど、左右の気圧差が大きくなります。
 そうすると弧を描くような曲がり方ではなく、ほぼ直角に近い鋭角的なカーブになるのです。
 いわゆる鋭く曲がるということです。

 したがってカーブを蹴って曲げるためには、ボールスピードを速くするためのパワーが必要ということですね。

 この原理はインフロントキックでボールを飛ばす仕組みと同じです。

インフロントキックの説明画像

 インフロントでボールを擦り下げると、下側の気圧が高くなり上側は低くなります。
 その結果、気圧差が生じることでボールが浮くのです。
 また、その時のインパクトのパワーが大きいほど、気圧差も大きくなって高く遠くに飛ぶわけです。

 ところで、カーブを蹴って大きく曲げるためには、ボールの回転数を多くする…という考え方があります。
 たしかに物理学的にはそのとおりなのですが、回転数が多すぎると別の問題が起きます。

 そこで、次にボールの回転数について解説します。

② ボールの回転数

 カーブを蹴る時は、ボールを擦り上げて回転させる…とよく言われます。
 そうすると、回転数が多いほどよく曲がる…と思われがちです。
 また、アマチュアよりもプロが蹴ったボールの方が回転数が多いのではないか?という疑問もあるでしょう。

 この場合、時速100㎞で蹴ったボールの回転数は毎秒7~8回転なので、だいたい3~4m程度曲がります。
 そうするとボールの回転数だけをもっと多くすれば、より大きく曲がることになるでしょう。

 ところが回転数を多くすると、ボールのスピードが落ちてしまうという問題が発生します。

 この場合、フリーキックでカーブを蹴って大きく曲がったとしても、ボールスピードが遅くなるのでGKにセーブされやすくなるわけですね。

 こうした現象は、エネルギー保存の法則によって説明出来ます。

 例えば、ボールが真っ直ぐ進むエネルギーを8として、回転のエネルギーを2とすると、その合計は10になります。

 この時に回転数が多くなって、そのエネルギーが2⇒5程度に増えたとしましょう。
 そうするとボールが真っ直ぐ進むエネルギーは8⇒5に減ってしまいます。
 なぜならエネルギー保存の法則によって合計の10という数値は変化しないので、この範囲内でやり取りをするしかないからです。

 つまり、ボールのスピードと回転数は反比例するわけです。

 別の見方をすれば、回転数を多くするとスピードのエネルギーが使われてしまうのです。

 そうした意味で、カーブを蹴る時の回転数はあまり関係ないと言えるでしょう。
 むしろ回転をかけ過ぎない方が良いのです。

 それでは、効率的に曲げるためにはどのように蹴れば良いのか?ということで、次に蹴り足のスイングの方法について解説します。

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(2)カーブのスイング

 カーブのスイングを考えるうえでは、フェイスベクトルとスイングベクトルという物理の原理を使います。
 ベクトルとは重さや力の「向き」を指します。

 フェイスベクトルのフェイスとは、蹴り足の「面(カーブの場合はインフロント)」のことです。
 そうするとフェイスベクトルは、蹴り足の面がどの方向に向くのか?ということですね。

 またスイングベクトルは蹴り足のスイングの向きを指します。

 以上の知識を踏まえて、次にカーブのスイング、横回転と縦回転、擦り上げについて順番に解説します。

① スイングベクトルと蹴り方

次の図は、右利きの選手がインパクトする時の、蹴り足とボールの関係を真上から見たものです。

キックのスイングベクトルとフェスベクトルの説明画像.1
キックのスイングベクトルとフェスベクトルの説明画像.2

 ボールを真っ直ぐ蹴る時(インステップ、インサイド、無回転など)は、フェイスベクトル(蹴り足の面)とスイングベクトル(蹴る方向)が一致しています。

 これに対してカーブの場合は、フェイスベクトル(蹴り足の面=インフロント)をやや内側に向けて、スイングベクトルは真っ直ぐのままとします。

 この場合、特に注意していただきたいのが、スイングベクトルは両方とも真っ直ぐ前に向かうということです。

 つまり、インステップキックのようにボールを真っ直ぐ蹴る場合でも、カーブを蹴る場合でも、スイング自体は真っ直ぐ前に蹴るということです。

 このようにしてカーブを蹴ると回転しながら真っ直ぐ飛ぶので、マグナス効果によってボールの左右に気圧差が生じ、最終的に曲がるというわけです。

 カーブは真っ直ぐ蹴ること!
 ボールが曲がるのは気圧の差!
 この二つは、特に大切なので、ぜひ覚えてください。

② 横回転と縦回転

 カーブの横回転と縦回転を蹴り分けるためには、ほんの少しだけ工夫が必要です。
 そこで、この点について解説しまょう。

 次の図は蹴り足とボールの関係を真横から見たものです。

縦回転と横回転の説明画像

 フリーキックを蹴る時は、ディフェンスの壁を超えるために高い弾道が必要です。
 だから、横回転も縦回転も斜め上に蹴り上げることが必要です。

 その際にご注意いただきたいのが、
 ボールの中心から何㎝下を蹴れば良いのか?
 足の角度はどのくらいが良いのか?
 縦回転と横回転ではどのように蹴り分けるのか?
 などは、ある程度の目安はありますが、一概に言えないという点です。

 その理由は、人によって足の形が違うからです。
 インフロントの面が広い人もいれば、狭い人もいるでしょう。
 また足の大きさにも関係します。

 実はカーブの蹴り方で最も難しい部分がこの点です。

 こうした点はたくさん練習して、自分なりのスイングとインパクトポイントを掴むしかありません。

 ※詳しい蹴り方については、後ほど詳しく解説します。

③ 擦り上げ

 フリーキックでカーブを蹴る時は、擦り上げが大切という人が多いですが、これは正解ではありません。
 実は擦り上げというのは、現代では死語になって良いものだと考えています。

 むしろ、インパクトの瞬間に起きる蹴り足の感覚の方が大切です。

 次の図は右利きの選手がインパクトする時の、蹴り足とボールの関係を真上から見たものです。
 この時、フェイスベクトル(インフロント)はやや内側で、スイングベクトルは真っ直ぐ蹴ることになります。

擦り上げの説明画像

 こうした状態でインパクトすると、蹴った瞬間からボールの回転が始まります。
 この時、蹴り足のインフロント面の2~3㎝程度の範囲で、ボールが回転する感覚が起きます。
 現代では、この感覚が擦り上げと呼ばれているのではないでしょうか?

 よく言われる擦り上げは、昔のボールであれば縫い目があったのでやり易かったようです。
 もちろん今のサッカーボールは、野球のボールと違って縫い目が見えないように出来ています。
 ちなみに野球のボールに縫い目があるのは、ピッチャーがこの部分に指を引っ掛けて変化球を投げるからです。

サッカーボールと野球のボール

 でも、昔のサッカーボールには縫い目が見えるものもありました。
 そうすると縫い目の部分を狙って擦り上げると、ちょうど野球のピッチャーのように変化球を蹴ることが出来たのです。

 ところが、今のボールは縫い目が見えません。
 そうすると縫い目を狙って擦り上げることは出来ないのです。

 だからフェイスベクトルとスイングベクトルを意識したうえで、速いインパクトスピードで気圧差を起こして曲げなくてはならないのです。

 そうした意味で「擦り上げ」という表現は、現代では紛らわしいと思います。
 また、多くの子供たちに勘違いをもたらす原因かも知れません。

 でも実際の指導現場、書籍、ネットの世界では、カーブを蹴る時は擦り上げる…などと未だに言われています。
 こうした人たちは、本当の意味でサッカーを分かっていないのでしょう。
 そうした意味では、一人でも多くの方がきちんと学ぶべきだと思います。

 さて、これまでボールが曲がるメカニズムとカーブのスイングについて解説しました。

 これらを踏まえて、次にフリーキックでカーブを蹴る時の弾道の変化とGKの反応について解説します。

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(3)カーブの弾道とGKの反応

 フリーキックでカーブを蹴る時は、弾道の変化によって、ゴールキ―パーがどのように反応するのか?という点を理解する必要があります。

 次の図は、AとBの二種類の弾道を比較したものです。
 Aは3~5mくらい大きく曲がるがスピードは遅い(ボールの回転数が多い)。
 Bは2~3m程度小さく曲がるがスピードは速い(回転数は通常からやや少なめ)。

カーブの二種類の弾道の比較

 この様子をゴールキーパー側から見たのが次の図です。
 この時、AとBの位置関係はこのように見えています。

ゴールキーパー側から見た弾道の位置関係

 そうするとキーパーは次のように判断します。
 Aの場合⇒「このままファーサイドに大きく曲がるだろう…」
 Bの場合⇒「真っ直ぐ向かって来るが、いつ曲がるのだろうか?」

 つまりGKがシュートコースを判断するのは、ボールが壁を超えて曲がり始めた時点なのです。
 逆の言い方をすると、ボールが曲がり始めない限り真っ直ぐ来ると予測するしかないわけです。

ボールが壁を超えて曲がり始めた時点GKが判断する旨の説明画像

 こうした場合、Aはすでに曲がり始めているのでGKにとっては弾道が分かりやすいはずです。

 ところが、Bのようにいつまでも曲がらないと、GKとしてはそのまま真っ直ぐ来るのではないか?と躊躇します。

 そうした際に、いきなり曲がるとキーパーの反応は遅れてしまうのです。
 しかも、ボールが壁を超えた時点のスピードが速ければ速いほどGKは判断に迷います。

 実は、現在のカーブの蹴り方で世界的に主流なのは、Bの方です。
 理想を言えば、Gkの直前まで真っ直ぐ来てから突然曲がるカーブですね。
 そうした場合、例え1~2mくらいしか曲がらなくてもゴールが決まりやすいのです。

 ちなみに、こうした考え方は無回転シュートも同じです。
 無回転シュートがセーブし難いのは、Gkに真っ直ぐ向かって来るからです。
 しかも目の前で突然ぶれると、ほぼ反応出来ません。

 あなたがプロの試合を見ていて「この選手のカーブはそれほど曲がらないのに、なぜGKは取れないのだろう?」と感じたことはありませんか?

 ちなみに、昔はベッカムのような大きく曲がるカーブの方が良いとされた時期もありました。
 ところが、この蹴り方を一般の人たちが真似るとボールの回転エネルギーを浪費するため、どうしてもスピードが遅くなります。
 そうするとGKにセーブされやすくなるのです。
 要するに、いくらベッカムの真似をしても、本人にしかこの蹴り方は出来ないと考えた方が良いでしょう。

 そうした点で育成年代の子供たちには、曲がり方はそれほど大きくなくても良いので、GKの判断を迷わせるような速くて鋭いカーブを覚えてほしいと思います。

 さて、それではいよいよ次からはフリーキックのカーブの蹴り方について詳しく解説します。

 ぜひお読みください!

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