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キック

カーブの蹴り方と練習方法【実演動画と画像で詳しく解説】

投稿日:2019年5月25日 更新日:

カーブを蹴るメッシ
日本ではカーブを蹴る時に「擦り上げる」と言いますが、こうしたことは過去の遺物です。
実際にも海外のプロ選手たちは、こうした蹴り方をしていません。

一方、日本人は欧米人と比べて胴長短足で低身長なので、自分の体型に合った蹴り方を覚える必要があります。

そこで今回は正しいカーブの蹴り方、ボールが曲がる仕組み、練習法などを詳しく解説します。

1.カーブが曲がる仕組み

カーブを蹴る時は単にボールに回転をかけて曲がれば良い…というものではありません。

特にフリーキックでは、蹴る場所によってゴールのどの辺(ニアサイド、ファーサイド、中央)を狙うのか?ということも大切です。

その場合、横回転をかけて大きく曲げるのか?縦回転で鋭く落とすのか?という蹴り分けも必要です。

そうすると、横回転と縦回転の2種類のカーブを覚えないと試合で使いこなすことが出来ません。

また、カーブの蹴り方を覚えるためには、ボールが曲がる仕組み、スイングの方法、キックフォーム、ボールと足の当てる場所、助走の仕方、軸足との関係など、たくさんのことを学ぶ必要があります。

そうしないと、いくら練習しても上手くなることはありません。

つまりカーブを蹴る技術は、それほど簡単ではないのです。

そこで、先ずはボールが曲がる仕組みをきちんと理解してください。
そのうえで、今回の記事の後半で解説する正しい蹴り方を覚えて練習しましょう。

そうすることが、カーブの蹴り方を身に付けるための近道です。

(1)ボールが曲がるメカニズム

① マグナス効果

カーブを蹴った時にボールが曲がるのは、マグナス効果の影響を受けるからです。
マグナス効果とは物理学の原理の一つです。
出来るだけ簡単に説明すると次のとおりになります。

回転が掛かった状態でボールが真っ直ぐ飛ぶと左右の気圧が変化します。
そうするとボールは気圧の低い方に引っ張られるように曲がって行くのです。

言葉だけでは分かり難いので、このメカニズムについて図を使って詳しく解説しましょう。

マグナス効果の説明画像

例として右利きの選手がカーブを蹴ったとしましょう。
最初のうちは、ボールに反時計回りの回転が掛かりながらも真っ直ぐ飛びます。
その際、ボールの右側と左側とでは空気の流れの違いによって気圧が変化します。

右側の空気は進行方向に逆らって流れるので、空気が停滞して壁(空気の層)が発生します。
そうするとますます流れが遅くなって気圧が高くなるのです。

その反対に左側の空気は進行方向とは逆向きなので、流れが速くなります。
そうすると気圧が低くなるのです。

その結果、回転のかかったボールが真っ直ぐ飛ぶときは、気圧の高い方から低い方に向かってボールが曲がるわけです。

またボールが真っ直ぐ飛ぶスピードが速ければ速いほど、左右の気圧差が大きくなります。
そうすると弧を描くような曲がり方ではなく、ほぼ直角に近い鋭角的なカーブになるのです。
いわゆる鋭く曲がるということです。

したがってカーブを蹴って曲げるためには、ボールスピードを速くするためのパワーが必要ということですね。

この原理はインフロントキックでボールを飛ばす仕組みと同じです。

インフロントキックの説明画像

インフロントでボールを擦り下げると、下側の気圧が高くなり上側は低くなります。
その結果、気圧差が生じることでボールが浮くのです。
また、その時のインパクトのパワーが大きいほど、気圧差も大きくなって高く遠くに飛ぶわけです。

ところで、カーブを蹴って大きく曲げるためには、ボールの回転数を多くする…という考え方があります。
たしかに物理学的にはそのとおりなのですが、回転数が多すぎると別の問題が起きます。

そこで、次にボールの回転数について解説します。

② ボールの回転数

カーブを蹴る時はボールを擦り上げて回転させる…とよく言われます。
そうすると回転数が多いほどよく曲がる…と思われがちです。
またアマチュアよりもプロが蹴ったボールの方が回転数が多いのではないか?という疑問もあるでしょう。

この場合、時速100㎞で蹴ったボールの回転数は毎秒7~8回転なので、だいたい3~4m程度曲がります。
そうするとボールの回転数だけをもっと多くすれば、より大きく曲がることになるでしょう。

ところが回転数を多くすると、ボールのスピードが落ちてしまうという問題が発生します。

この場合、フリーキックでカーブを蹴って大きく曲がったとしても、ボールスピードが遅くなるのでGKにセーブされやすくなるわけですね。

こうした現象は、エネルギー保存の法則によって説明出来ます。

例えば、ボールが真っ直ぐ進むエネルギーを8として、回転のエネルギーを2とすると、その合計は10になります。

この時に回転数が多くなって、そのエネルギーが2⇒5程度に増えたとしましょう。
そうするとボールが真っ直ぐ進むエネルギーは8⇒5に減ってしまいます。
なぜならエネルギー保存の法則によって合計の10という数値は変化しないので、この範囲内でやり取りをするしかないからです。

つまり、ボールのスピードと回転数は反比例するわけです。

別の見方をすれば、回転数を多くするとスピードのエネルギーが使われてしまうのです。

そうした意味で、カーブを蹴る時の回転数はあまり関係ないと言えるでしょう。
むしろ回転をかけ過ぎない方が良いのです。

それでは、効率的に曲げるためにはどのように蹴れば良いのか?ということで、次に蹴り足のスイングの方法について解説します。

(2)カーブのスイング

カーブのスイングを考えるうえでは、フェイスベクトルとスイングベクトルという物理の原理を使います。
ベクトルとは重さや力の「向き」を指します。

フェイスベクトルのフェイスとは、蹴り足の「面(カーブの場合はインフロント)」のことです。
そうするとフェイスベクトルは、蹴り足の面がどの方向に向くのか?ということですね。

またスイングベクトルは蹴り足のスイングの向きを指します。

以上の知識を踏まえて、次にカーブのスイング、横回転と縦回転、擦り上げについて順番に解説します。

① スイングベクトルと蹴り方

次の図は右利きの選手がインパクトする時の、蹴り足とボールの関係を真上から見たものです。

キックのスイングベクトルとフェスベクトルの説明画像

ボールを真っ直ぐ蹴る時(インステップ、インサイド、無回転など)は、フェイスベクトル(蹴り足の面)とスイングベクトル(蹴る方向)が一致しています。

これに対してカーブの場合は、フェイスベクトル(蹴り足の面=インフロント)をやや内側に向けて、スイングベクトルは真っ直ぐのままとします。

この場合、特に注意していただきたいのが、スイングベクトルは両方とも真っ直ぐ前に向かうということです。

つまり、インステップキックのようにボールを真っ直ぐ蹴る場合でも、カーブを蹴る場合でも、スイング自体は真っ直ぐ前に蹴るということです。

このようにしてカーブを蹴ると回転しながら真っ直ぐ飛ぶので、マグナス効果によってボールの左右に気圧差が生じ、最終的に曲がるというわけです。

カーブは真っ直ぐ蹴ること!
ボールが曲がるのは気圧の差!
この二つの点は特に大切なので、ぜひ覚えてください。

② 横回転と縦回転

カーブの横回転と縦回転を蹴り分けるためには、ほんの少しだけ工夫が必要です。
そこで、この点について解説しまょう。

次の図は蹴り足とボールの関係を真横から見たものです。

縦回転と横回転の説明画像

フリーキックを蹴る時は、ディフェンスの壁を超えるために高い弾道が必要です。
だから、横回転も縦回転も斜め上に蹴り上げることが必要です。

その際にご注意いただきたいのが、
ボールの中心から何㎝下を蹴れば良いのか?
足の角度はどのくらいが良いのか?
縦回転と横回転ではどのように蹴り分けるのか?
などは、ある程度の目安はありますが、一概に言えないという点です。

その理由は人によって足の形が違うからです。
インフロントの面が広い人もいれば、狭い人もいるでしょう。
また足の大きさにも関係します。

実はカーブの蹴り方で最も難しい部分がこの点です。

こうした点はたくさん練習して、自分なりのスイングとインパクトポイントを掴むしかありません。

※詳しい蹴り方については、後ほど詳しく解説します。

③ 擦り上げ

カーブを蹴る時は擦り上げが大切という人が多いですが、これは正解ではありません。
実は擦り上げというのは、現代では死語になって良いものだと考えています。

むしろ、インパクトの瞬間に起きる蹴り足の感覚の方が大切です。

次の図は右利きの選手がインパクトする時の、蹴り足とボールの関係を真上から見たものです。
この時、フェイスベクトル(インフロント)はやや内側で、スイングベクトルは真っ直ぐ蹴ることになります。

擦り上げの説明画像

こうした状態でインパクトすると、蹴った瞬間からボールの回転が始まります。
この時、蹴り足のインフロント面の2~3㎝程度の範囲で、ボールが回転する感覚が起きます。
現代では、この感覚が擦り上げと呼ばれているのではないでしょうか?

よく言われる擦り上げは、昔のボールであれば縫い目があったのでやり易かったようです。
もちろん今のサッカーボールは、野球のボールと違って縫い目が見えないように出来ています。
ちなみに野球のボールに縫い目があるのは、ピッチャーがこの部分に指を引っ掛けて変化球を投げるからです。

サッカーボールと野球のボール

でも、昔のサッカーボールには縫い目が見えるものもありました。
そうすると縫い目の部分を狙って擦り上げると、ちょうど野球のピッチャーのように変化球を蹴ることが出来たのです。

縫い目のある昔のサッカーボール

ところが、今のボールは縫い目が見えません。
そうすると縫い目を狙って擦り上げることは出来ないのです。

だからフェイスベクトルとスイングベクトルを意識したうえで、速いインパクトスピードで気圧差を起こして曲げなくてはならないのです。

そうした意味で「擦り上げ」という表現は、現代では紛らわしいと思います。
また、多くの子供たちに勘違いをもたらす原因かも知れません。

でも実際の指導現場、書籍、ネットの世界では、カーブを蹴る時は擦り上げる…などと未だに言われています。
こうした人たちは本当の意味でサッカーを分かっていないのでしょう。
そうした意味では、一人でも多くの方がきちんと学ぶべきだと思います。

さて、これまでボールが曲がるメカニズムとカーブのスイングについて解説しました。

これらを踏まえて、次にフリーキックでカーブを蹴る時の弾道の変化とGKの反応について解説します。

(3)カーブの弾道とGKの反応

フリーキックでカーブを蹴る時は、弾道の変化によってゴールキ―パーがどのように反応するのか?という点を理解する必要があります。

次の図は、AとBの二種類の弾道を比較したものです。
Aは3~5mくらい大きく曲がるがスピードは遅い(ボールの回転数が多い)。
Bは2~3m程度小さく曲がるがスピードは速い(回転数は通常からやや少なめ)。

カーブの二種類の弾道比較の説明画像

この様子をゴールキーパー側から見たのが次の図です。
この時、AとBの位置関係はこのように見えています。

ゴールキーパー側から見た弾道の位置関係の説明画像

そうするとキーパーは次のように判断します。
Aの場合⇒「このままファーサイドに大きく曲がるだろう…」
Bの場合⇒「真っ直ぐ向かって来るが、いつ曲がるのだろうか?」

つまりGKがシュートコースを判断するのは、ボールが壁を超えて曲がり始めた時点なのです。
逆の言い方をすると、ボールが曲がり始めない限り真っ直ぐ来ると予測するしかないわけです。

ボールが壁を超えて曲がり始めた時点GKが判断する旨の説明画像

こうした場合、Aはすでに曲がり始めているのでGKにとっては弾道が分かりやすいはずです。

ところがBのようにいつまでも曲がらないと、GKとしてはそのまま真っ直ぐ来るのではないか?と躊躇します。

そうした際にいきなり曲がるとキーパーの反応は遅れてしまうのです。
しかも、ボールが壁を超えた時点のスピードが速ければ速いほどGKは判断に迷います。

実は、現在のカーブの蹴り方で世界的に主流なのは、Bの方です。
理想を言えば、Gkの直前まで真っ直ぐ来てから突然曲がるカーブですね。
そうした場合、例え1~2mくらいしか曲がらなくてもゴールが決まりやすいのです。

ちなみに、こうした考え方は無回転シュートも同じです。
無回転シュートがセーブし難いのは、Gkに真っ直ぐ向かって来るからです。
しかも目の前で突然ぶれるとほぼ反応出来ません。

あなたがプロの試合を見ていて「この選手のカーブはそれほど曲がらないのに、なぜGKは取れないのだろう?」と感じたことはありませんか?

ちなみに、昔はベッカムのような大きく曲がるカーブの方が良いとされた時期もありました。
ところが、この蹴り方を一般の人たちが真似るとボールの回転エネルギーを浪費するため、どうしてもスピードが遅くなります。
そうするとGKにセーブされやすくなるのです。
要するに、いくらベッカムの真似をしても、本人にしかこの蹴り方は出来ないと考えた方が良いでしょう。

そうした点で育成年代の子供たちには、曲がり方はそれほど大きくなくても良いので、GKの判断を迷わせるような速くて鋭いカーブを覚えてほしいと思います。

さて、それではいよいよ次からはカーブの蹴り方について詳しく解説します。

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2.カーブの蹴り方

(1)日本人に合った蹴り方

① メッシのカーブ

海外のトップ選手たちのカーブで現在主流なのは、壁を超えてGkの直前まで真っ直ぐ来てから突然曲がる蹴り方でしたよね。

そこで、私が育成年代の子供たちにおススメしたい蹴り方は、メッシのカーブです。

私がおススメする理由は、二つあります。

一つ目は、胴長短足で低身長という日本人の体型に合っている点です。
メッシの身長は169㎝ですが、ロシアWカップの日本代表の平均身長は177.9㎝です。
その差は約9㎝程度ですが、胴長短足という体型そのものは変わりません。
特に見習うべき点は、日本人よりも小柄ながら抜群のキック力があるということです。

二つ目は、先ほどの身長差とも関係しますが、全身を使った蹴り方であるという点です。
これは小柄なメッシが、なぜあれほどまでに強いキックが蹴れるのか?という点を考えると分かると思います。
もしもカーブを蹴る時に足だけを使っていたとしたら、このようなスピードは出ないはずです。
そうすると全身の筋肉とバネ作用を効果的に使っているのではないか?と考えられるのです。

こうした二つの点を踏まえると、ぜひ育成年代の子供たちの手本にしていただきたいと思います。

もちろん、ベッカム、クリスチアーノ・ロナウド、ネイマールのような蹴り方をしたいという人も多いでしょう。
でも、彼らと我々では足の長さや身長などの体格差があります。
憧れるのは結構ですが、無理をしてまで真似する必要もありません。
やはり、現実に目を向けるべきでしょう。

② メッシのカーブの特徴

メッシのカーブの蹴り方の特徴は、バックスイングが大きく、フォロースルーが小さいという点です。

メッシのカーブのバックスイングとフォロースルーの比較

バックスイングが大きい理由は、インパクトのパワーを最大化するためです。
そうすることでボールスピードが速くなり、マグナス効果を発揮して曲がるのです。

その際、メッシのカーブは球速が速いため、壁を超えてもなかなか曲がりません。
だから、キーパーの直前まで真っ直ぐ来てから突然曲がるのです。
先ほどの動画のシーンでは、ほぼゴールライン付近で曲がっています。

一方、フォロースルーが小さい理由はバックスイングが大きいことと関係します。
バックスイングが大きいのはボールインパクトを大きく速くするためでしたよね。
そうするとフォロースルーに頼る必要がないということです。

これはとてもシンプルな考え方だと思います。

ちなみにインステップキックもバックスイングを大きくすると、フォロースルーは小さくなります。
もっと言えば、フォロースルーはバックスイングの反動でしかなく、一種の「おまけ」のようなものです。

そうした意味では、メッシのカーブはバックスイングの大きさが全てと言っても過言ではないでしょう。
物理の原則に合った理想的な蹴り方だと思います。

ところで、私の息子「とも」のカーブはメッシの蹴り方を真似したものです。
そこで、次からは私の息子「とも」の実演動画を利用しながら、キックフォームや助走の取り方などについて詳しく解説します。

(2)キックフォーム

「とも」のカーブもメッシと同じように、バックスイングを大きくフォロースルーは小さくです。
次の動画ではフルパワーの半分の力で蹴っています。
ほぼ力感のないリラックスしたフォームですね。

インパクトの時は蹴り足のフェイスベクトルを内側に向け、スイングベクトルに向かって真っ直ぐ蹴るようにしてください。

カーブを蹴る時のフェイスベクトルとスイングベクトルの関係

このように蹴るとインパクトの瞬間に窮屈になりますが、股関節を脱力するとそうした点は解消されます。
そうした意味では股関節のストレッチはやった方が良いでしょう。

ただし、こうしたカーブの蹴り方は内転筋に大きな負荷がかかるので、蹴り過ぎるとケガの原因になります。
大人であれば筋トレで補強すると効果的ですが、ジュニア年代の内は適宜休みをとりながら練習しましょう。

ちなみに「とも」が身体をリラックした蹴り方をする理由は、筋肉の伸張反射、上半身のバネ作用、足の重さと遠心力を使うということで、全身のパワーを引き出すためです。

そこで、次にこの点について解説します。

① 筋肉の伸張反射

筋肉の伸張反射とは、その名のとおり筋肉をゴムのように伸ばすと反射的に縮もうとするという作用です。
これは反射神経と同様に、例えば熱い物を触った時に手を引っ込める…というのと同じ動作なので反応速度がとても速くなります。

筋肉の伸張反射のイメージ図

またカーブを蹴る時のバックスイングでは、上腕筋、大胸筋、腹斜筋、腸腰筋、大腿四頭筋などの筋肉を急激に伸ばします。
また、これらの筋肉がフォロースルーにかけて素早く縮むのです。

したがって、こうした伸張反射を使うことでインパクトのスピードとパワーが大きくなります。

一般的に筋肉に力を入れてパワーを出すのは、ウェイトリフティングのような静的な競技に限られます。

サッカーのような動的スポーツは筋肉に力を入れるのではなく、伸張反射を使ってパフォーマンスを高くするのが正しいのです。
こうした点は多くの方が誤解しているので、ぜひご注意ください。

参考記事:伸張反射はサッカーのプレーを劇的に改善!最新理論を紹介

② 上半身のバネ作用

上半身の背骨のバネ作用を上手に使うと、体に板バネのような反発作用が起きます。

・バックスイングで体を反らすとバネ(背骨)が伸びる。
・フォロースルーにかけて急激な巻き戻しが起きるので、バネ(背骨)が縮む。

こうすることでインパクトのパワーが大きくなるのです。
つまり、背骨(板バネ)の反発力をキックのパワーに利用するということですね。
しかもバネの反発作用は、筋肉の伸張反射のように無意識下で起こすことが出来ます。

上半身のバネ作用の説明画像

またカーブを蹴る時以外にも、インステップやインフロントキックなどの全ての蹴り方に利用できるのです。

参考記事:体のバネ作用でサッカーがレベルアップ!【最新理論で解明】

③ 足の重さと遠心力を使う

カーブを蹴る時に足の重さと遠心力を使うとインパクトのスピードとパワーが大きくなります。

足の重さと遠心力を使うことの説明画像

足の重さを使うのは、ヒトの片足の重さが体重の18~20%なので、65㎏の体重の人であれば約12㎏分の重量をハンマー投げの重りのように利用するということです。

また遠心力は、足の縦回転運動のエネルギーをパワーとして利用するという意味です。

この場合、足の力を抜いてリラックスした状態で蹴った方が、足の重さと遠心力が発揮しやすくなります。
なぜなら力を入れてしまうと筋肉が硬直するため、かえって動きが悪くなるからです。

参考記事:サッカーの蹴り方のコツ!膝を強く振るのは間違い?

(2)横回転と縦回転の蹴り方の違い

横回転と縦回転の2種類のカーブを覚えると、ニアサイドでもファーサイドでも自由自在に蹴り分けることが出来るので、ぜひ身に付けてください。

そこで先ずは横回転から解説しましょう。
これまで解説したとおり、スイングベクトルに沿って真っ直ぐ蹴るつもりでスイングします。
もちろんフェイスベクトルはやや内側に向けてください。

横回転のカーブを蹴る時の説明画像

次の動画では右サイド寄りから蹴ることを想定していますが、真っ直ぐインパクトしているので、だいたい3m程度曲がっています。

次に縦回転です。
この蹴り方は1m程度曲がりますが、正確には斜め回転です。
どちらかと言うとドライブシュートに近いと思います。

縦回転のカーブを蹴る時の説明画像

次の動画ではポストの外側に向かって真っ直ぐスイングして、ゴール手前で急激に曲がって落ちて来ます。

横回転も縦回転もキックフォームはほぼ同じですが、インパクトの時の足首の角度やボールの当てる場所が少し違います。

そこで、次にこの点について解説します。

(3)ボールと足の当てる場所

① ボールの当てる場所

ボールの当てる場所は中心から半径1~1.5㎝の範囲内です。
この範囲を大きく超えると回転数が多くなるので、真っ直ぐ飛ぶエネルギーが減ってしまいます。
また足首の角度は、横回転の場合は横向きから少し斜め、縦回転の場合は少し縦にします。
※「とも」は左利きなので、右利きの方は下図の逆をイメージしてください。

横回転と縦回転を蹴る時のボールの当てる場所の比較画像

フォロースルーを見ると、この違いが良く分かりますね。
横回転はつま先が横向きで、縦回転は縦向きになっています。

横回転と縦回転のフォロースルーの比較画像

ただし先ほども解説しましたが、ボールの中心から何㎝下を蹴れば良いのか?とか、足首の角度はどれくらいが良いのか?とは一概には言えません。
やはり、人によって足の形や大きさが違うからです。

たぶん、この点は多くの人がカーブの蹴り方を覚えるうえで悩むところだと思います。
この点はたくさん練習して自分なりの蹴るポイントを掴むしかありません。

② 足の当てる場所

足の当てる場所はインフロントが最適です。

インサイドやインステップを使って蹴る人もいますが、足の形や大きさが人それぞれなので、自分に合うのであればどこで蹴っても良いでしょう。
その際に注意するのは、フェイスベクトルとスイングベクトルの向きです。
要するにスイングそのものは真っ直ぐ蹴るので、どこで蹴っても構わないのです。

ちなみに「とも」の場合は、横回転はややインサイド寄りのインフロント(境目)、縦回転は親指の付け根辺りを使います。
足首の角度も微妙に変えますが、これは何度も蹴って自分の感覚を掴んでこの角度にしたようです。

横回転と縦回転の足の当てる場所

横回転と縦回転の違いを後ろから見ると下図のようになります。

この場合、土踏まずが未熟であると甲の部分が低いので、インフロントの面は狭くなっているはずです。
そうした場合は偏平足の可能性があります。

そこで、次の動画のように足指グーパーと足指スリスリで土踏まずを鍛えましよう。
土踏まずがしっかりすると甲高になるので、インフロントの面が広くなります。
そうするとボールインパクトの面が広くなるので、カーブが蹴りやすくなるのです。

(4)助走と軸足

助走と軸足は密接な関係があるので、ここでは2つの点を交えながら解説します。

① 助走の大きさと歩数

助走そのものは何歩取っても構いませんが、蹴る直前の一歩を最も大きくしてください。
その理由は、バックスイングを大きくしてインパクトのパワーを最大化するためです。

助走の大きさと歩数の説明画像

これは全てのキックに共通した考え方なので注意しましょう。

参考記事:サッカーのキックの助走は何歩で?正しい蹴り方を解説!

② 助走の角度

助走の角度は真横でも斜めでも、自分の蹴りやすい角度で構いません。

ただし「助走の角度」と「軸足を踏み込む角度」はスイングベクトルを基準にするという点が、特に大切です。

助走の角度の説明画像
「とも」のカーブの助走角度は、インステップやインフロントキックを蹴る時と全く同じです。

唯一違う点は、軸足を踏み込む時の角度です。
・インステップやインフロントキックは、スイングベクトルと平行にする(軸足を着地する時は角度を変える)。
・カーブは、助走の角度と平行にする(軸足を着地する時は角度を変えない)。

軸足を踏み込む時の比較画像

また、軸足の踏込みの角度を斜めにするのは、蹴り足のフェイスベクトルを内側に向けやすくするためです。

軸足の踏込角度を斜めにする理由の比較画像

② 軸足の位置

軸足の位置はどこでも構いませんが、出来ることならインステップキックやインフロントキックなどと同じ場所にしてください。
「とも」の場合は全てボールの真横に置いています。

軸足の位置関係の比較画像

これは、GKに対して実際に蹴るまで球種を見破られないという意味があります。
こうした蹴り分けの技術は、日本の指導ではおざなりです。
将来は海外でプレーしたいというのであれば、こうしたテクニックは身に付けた方が良いですね。

参考記事:キックの蹴り分けの意味と正しい使い方とは?

以上が、カーブの蹴り方の解説です。
それでは、次に具体的な練習方法を説明します。

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3.練習方法

(1)利き足リフティング

カーブを蹴る時は体に強い遠心力がかかるので、軸足と体幹を鍛えて克服する必要があります。
その場合、海外の選手たちの軸足と体幹は強固ですが、日本の選手は貧弱なのでキックフォームが安定しません。
そこで、次の動画のような利き足リフティングをたくさんやって鍛えましょう。

① ちょんちょんリフティング

ちょんちょんリフティングは、いつでも連続して3000回以上続けられるようにしましょう。
カーブはサッカーのキックの中で、アウトフロントキックや無回転シュートと並んで体の負担が大きい蹴り方です。
このリフティングが100~500回程度しか出来ないのに、いくらカーブの練習をしても上手くなることはありません。
妥協はしないで、ぜひ続けてみてください。

② インフロント

カーブを蹴るのはインフロントなので、ボールを当てる感覚を掴むためにぜひやりましょう。
意図的にボールを回転させるようにしてください。
特に回数の指定はありません。
あくまでもインフロントの感覚を養成するという点を大切にしてください。

③ テニスボールとスーパーボール

④ インステップ

⑤ コンビネーション

参考記事
ちょんちょんリフティングがサッカーに役立つ驚きの効果
利き足リフティングの効果は3つ!両足練習は役立たず?
サッカーのキックは軸足を鍛えて上達する!トレーニング法も解説

(2)スイングの素振り

次の動画を参考にしてカーブを蹴る時の素振りをしてください。
その際、バックスイングを大きくしましょう。

※このブログをお読みになっている方の多くは、右利きの方だと思います。
そこで、参考のために「とも」のカーブの右利きver.を作成しました。
ぜひ何度もご覧いだき、イメージトレーニングなどに活用してください。

ちなみに、スイングの素振りをする時は全身をリラックスしてください。
そうすると、次の3つが身に付くのでインパクトのパワーが格段にアップします。
・筋肉の伸張反射
・背骨のバネ作用
・足の重さと遠心力

こうした練習法は野球のバッティングの素振りや、シャドーピッチングと同じ効果があります。
実際にボールを蹴る前にこうした基本の練習も大切にしましょう。

(3)腸腰筋トレーニング

メッシは、胴長短足で低身長にも関わらず速いカーブが蹴れます。
その理由として意外と見落とされがちなのが、腸腰筋の使い方だと思います。
そこで、ここでは腸腰筋を活用するためのトレーニングについて解説します。

腸腰筋とは、みぞおちから骨盤の両端を通って股関節まで続く筋肉群(小腰筋、大腰筋、腸骨筋)の総称です。

腸腰筋の説明画像

腸腰筋が発達すると股関節から下の大腿部の筋肉と連動します。
そうすると、まるで足が長くなったような蹴り方が出来るようになります。
つまり、個々の筋肉が繋がって一本の長い足として使うということですね。

実際のトレーニング方法は次の動画を参考にしてください(動画中の大腰筋⇒腸腰筋と読み替えてください)。

ただしこの練習は体への負担が大きいので、10歳以上か小学校3年生から始めましょう。

参考記事:腸腰筋を鍛えてサッカーがレベルアップ!基本練習メニュー3選

(4)インステップキックとインフロントキック

これまで解説したカーブの蹴り方は、速いボールがGKの直前で鋭く曲がるというものです。
こうした蹴り方は誰でも可能なわけではなく、キックのスピードやパワーに一定以上の水準が必要です。

そうした蹴り方が可能な目安として、インステップキックとインフロントキックを、次のレベルになるまで徹底的に練習してください。

① インステップキック

インステップキックは、フルパワーの半分で無回転のシュートが蹴れるようにしてください。
無回転を蹴るためにはスイングスピードの速さが必要です。

そうしてカーブを蹴る時もスイングが速くなって、インパクトのパワーも大きくなります。
そうするとマグナス効果が起きて鋭く曲がるのです。

つまりカーブを蹴って鋭く曲げるためには、無回転のインステップキックが蹴れるようなスイングスピードが必要だということです。

参考記事:インステップキックの蹴り方のコツと正しい練習方法!【動画解説】

② インフロントキック

インフロントキックはフルパワーの半分で35m以上蹴れること、蹴ったボールが2~3m飛んだ地点で自分の身長を超える高さまで浮くことが必要です。
こうした点は、インステップキックと同じようにインパクトのスピードとパワーに関わってきます。

次の動画を見ても「とも」のキックは蹴った瞬間にボールが浮き上がりますが、インパクトのスピードとパワーが一定の水準に達している証拠です。

したがってインステップキックやインフロントキックの蹴り方のレベルが低いうちは、いくらカーブを練習しても、まともに蹴ることが出来ないのは当然のこととお考えください。

参考記事:インフロントキックの正しい蹴リ方と練習法!【動画解説付き】

(5)カーブの感覚を掴む

インフロントを使ってフェイスベクトルとスイングベクトルに注意しながら、実際にカーブを蹴ってみましょう。
もちろん、助走、軸足の位置や角度、ボールと足の当てる場所、足首の角度など、いろいろな点に注意してください。

その際、横回転と縦回転を一緒に覚えるのは難しいので、先ずは横回転のカーブから練習しましょう。

先ず、目標(出来れば壁のような場所)から9m程度(小学生は7m)離れた距離から蹴って、正しい回転が掛かっているかどうか確認してください。

次に、同じ距離で2.2m程度の高さ(小学生は2m)に向かって蹴ってください。

このようにして真っ直ぐ蹴れるようになったら、少しずつ距離を伸ばしてください。
最終的に30m程度の距離から蹴れるようになれば、試合でのフリーキックとして使えます(小学生は20m)。

ちなみに、9mの距離と2.2mの高さはフリーキックの壁と関係があります。
この場合、フリーキックの壁は9.15m離れ、その時にディフェンスがジャンプ出来る高さは2.2m程度までと想定しています(小学生の場合は7mの距離と2mの高さ)。

つまり、最初からフリーキックの壁を超えるような練習をしようということです。

カーブの感覚を掴む練習の説明画像
※ちなみにキッカーが蹴った瞬間に、ディフェンスが2.2mの高さにジャンプしてボールを跳ね返すのは事実上不可能です。
こうした点については物理学と脳科学的な根拠があります。
でも、説明が膨大な量になるので申し訳ありませんが割愛します。

ところで、だいたいの目安としてインステップとインフロントキックが一定のレベル(前述の(4))で蹴れるようになった場合、練習量にもよりますが概ね1~2ヶ月程度で横回転のカーブが習得できます。
これが蹴れるようになったら、引き続いて縦回転にチャレンジすると良いでしょう。

また横回転が蹴れるようになれば、縦回転は足首の角度やボールの当てる場所を変えるだけなので、比較的短期間に習得できるはずです。

(6)一本歯下駄トレーニング

一本歯下駄トレーニングは、体のバネ作用、筋肉の伸張反射、足の重さと遠心力を使った蹴り方の3つを覚えるための最も効果的な練習法です。
その理由は、このトレーニングがリラックスして行うからです。

このトレーニングによって身に付いたリラックス感が、そのままリラックしたプレースタイルを引き出します。
それによって、キックの時だけではなく、ドリブルやトラップなどの全てのプレーにおいて3つの作用を起こすわけです。

カーブの蹴り方で特に必要な練習種目はワップアップとワップダウンです。
次の動画の0:59からのシーンを参考にしてください。

なお、このトレーニングは下駄を履かなくても動作を真似るだけで一定の効果があります。
ぜひチャレンジしてみてください。

参考記事
一本歯下駄トレーニングの練習メニューおすすめ22選!
一本歯下駄トレーニングが身体能力アップに役立つ5つの理由!

(7)内転筋トレーニング

カーブを蹴る時は、太ももの内側にある内転筋を使います(インステップやインフロントキックではほとんど使わない)。

この部位は太ももの前後の筋肉と比べた場合、日常生活ではほとんど使わないのであまり発達していません。
そうすると、カーブを練習した時に炎症を起こすなどして故障の原因になることがあります。

そこで、おススメなのが次の動画のような内転筋トレーニングです。
特に回数等の目安はありませんが、中学生以上であれば1セット20回で毎日10~15セット程度で良いでしょう。
※このトレーニングは小学校高学年になってから始めるようにしましょう(1日5セットくらい)。

動画では100均で購入したゴムボールを使っていますが、別に何を使っても構いません。

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4.まとめ

これまでカーブの蹴り方、曲がる仕組み、練習法などを解説しました。

海外のトップ選手のカーブで現在主流の正しい蹴り方は、メッシのようにボールスピードが速いキックです。
特に壁を超えてGkの直前まで真っ直ぐ来てから突然曲がるので、キーパーはセーブし難いです。

カーブを蹴って大きく曲げたいという選手は多いと思いますが、最も大切なのは得点をすることです。

そうした意味で、ぜひ現代サッカーに合った正しいカーブの蹴り方を覚えましょう。

【画像引用:Youtube.com

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-キック

執筆者:


  1. 根性論が嫌い より:

    はじめまして。

    アメブロ時代から、
    何年も前から、貴殿ブログを
    拝見しております。

    現在は、少年団サッカーの父コーチをしております。

    以前から拝見して思いますのは、
    これほどまでに、論理的解説
    は過去ありません。
    おそらく本業は、物理学系の方と、思わざるを得ない、秀逸なるevidence baseな解説の数々、それを、実子の指導を介し、証明していらっしゃる。
    当方は貴殿の全ての教えを参考にし、我が息子に、伝えております。一本歯にしてもそうであります。

    いずれ、製本化して頂きたい!

    本当にありがとうございます。

    これからも勢力的なご指導賜りますよう、宜しくお願い申し上げます。

    • ともパパ より:

      コメントをありがとうございます。

      私が記事を書くのにあたって普段から心がけていることは、サッカー未経験者が読んでも分かるように伝えるという点です。
      そうすると、どうしても基本的な点から書くことになるので記事の分量が膨大になります。
      また、たくさんの画像と動画も必要になります。

      さらに、一つの記事のテーマを考え始めてから書き終えるまでに、簡単なものなら2~3日で、今回の程度の記事なら1~2週間はかかります。

      そうした意味では、私の記事は手っ取り早くサッカーが上手くなる方法を求めるような人には向きません。
      そもそもサッカーには聖杯はありませんし、そうしたことを考えている時点で成長もしませんので…。

      どちらかと言えば、私の記事は本気でじっくり読みたい人向けに書いています。

      そうした点ではきちんとお読みいただいて誠に感謝しています。

      それと今のところは製本化や出版等はお金もかかるようですので考えていません。

      ご了承ください。