ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

ダブルタッチの2つの抜き方!イニエスタとメッシの特徴とは?

ダブルタッチが上手くなるためには「ボールをさらす」テクニックを覚えましょう。

特にお手本になるのがイニエスタとメッシの2つの抜き方ですね。

そこで今回はダブルタッチの注意点と2つの抜き方について、イニエスタとメッシを参考に、あなたの知りたい全てのことを詳しく解説します。

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1.ダブルタッチの注意点

(1)ダブルタッチは簡単?

ダブルタッチは、次の動画のように両足のインサイドを使うだけなので、比較的簡単に覚えられる抜き技です。

特に、左右のインサイドのタッチを練習すれば、小学校低学年でもすぐにマスター出来てしまうでしょう。

たぶん、どこのクラブでも少年団でも、このようなやり方を教わるのではないでしょうか?

でも、日本では、多くの方がダブルタッチのやり方を勘違いしていると思います。

そこで、次にこの点について解説します。

(2)ダブルタッチの勘違い

ダブルタッチが上手いサッカー選手と言えば、イニエスタを思い浮かべる方は多いと思います。

特に、大きなディフェンダーをあっさり抜く姿は、まるで牛若丸(イニエスタ)と弁慶(ディフェンス)みたいですね(笑)。

でも、日本ではボールを横にスライドさせる時のやり方を勘違いしている方が多いと思います。

例えば次の動画の実演者を見ると、タッチも速いし、幅も広いので、一見すると正しいのでは?と思われますが、少し残念なところがありますね。

それは足だけでボールを動かしているという点です。

特に注目してほしいのは、右足から左足のタッチまでの間に、まるでカニの横歩きみたいに、頭と体が同じ高さで横に動いていますよね(後ろにある吊り橋と比較すると分かりやすい)。

実は、このダブルタッチは足の力を使って体重移動をしているのです(体重移動とは筋肉の力を使って「よいしょ」と体を動かすこと)。

この場合、ヒトの体重比は6対4で上半身の方が重たいため、足の力に頼った動作は上半身を重たい荷物として背負うようなものですね。

でも、イニエスタのダブルタッチは違います。

次の連続写真を見ると、右足→左足のインサイドのタッチの時に頭の位置がほとんど変わりませし、しかもタッチの幅はそれほど広くない…、むしろ狭いのではないか…と思いませんか?

これは先ほどの動画のカニの横歩きとは違って、右から左へタッチする時に全身を振り子のようにして宙に浮かせているのです。

このように体を浮かせる動作のことを、古武術では「浮身」と言います。

なぜ、このような体の使い方が良いのか?というと、そもそもヒトの動作は体を浮かせた方が、地面との摩擦抵抗がないので素早く動けるからです。

また素早く動けるので、タッチの幅を広くする必要もありませんし、さっさと相手を抜き去った方が良いのです。

たぶん、この点はほとんどの方が勘違いしていると思います!

これに対して、カニの横歩きのようなタッチでは、浮身を使っていないので、地面の摩擦抵抗をまともに受けて動きが遅くなります。

だから、もっとタッチを速くしたり、幅を広くようとして、足の力を使って一生懸命に頑張る(体重移動)わけですが、これでは本末転倒のような気がしますね。

特に、日本人は低重心のため、このような動作になりやすいことから、注意した方が良いでしょう。

※浮身とドリブルの関係や習得法を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
古武術の浮身でドリブルが超上手くなる!【習得法も解説】
※「浮身」を身に付ける手っ取り早い方法は一本歯下駄トレーニングが最適なので、興味のある方は、次の記事をお読みください。
一本歯下駄の効果!身体能力アップに役立つ5つの理由!
一本歯下駄トレーニング!サッカー向け練習メニュー22選

さて、話しを元に戻しましょう。

ところで、子供たちがダブルタッチを練習する場合、動きだけなら簡単に覚えられますが、その反面、実際の試合では上手くいかずに、相手にボールを奪われてしまうことがあります。

例えば、相手との間合いなどを全く気にしないで、自分から先に仕掛けて自爆してしまうケースですね。

これは、ダブルタッチ特有の「相手にボールをさらす」という動作に原因があります。

そこで、次に、ボールをさらすとは何なのか?について解説します。

(3)ボールをさらすとは?

ダブルタッチ特有の「ボールをさらす」とは相手の目の前でボールを動かすことで、ドリブルの行き先を教えてしまうようなことです。

例えば、次の画像であれば、相手はボールが左から右に動く様子が分かるので、右足を出しやすく、奪いやすいというわけですね。

また上手く抜けたとしても、相手はボールの行き先が分かるので、すぐに振り返って追いかけられます。

そうすると相手との競争になってしまうので、抜いたら一歩先に行く…というアドバンテージがほとんどないのです。

もちろん、足が速ければ何とかなるでしょうが、そうしたことはせいぜい小中学生までなので、やがては限界が来るでしょう。

このようなダブルタッチは、アウトサイドで抜く時(相手が足を出しても奪われない)のように、相手の後ろ側にボールを移動して一気に抜き去るというわけではありません。

また、そもそもフェイント動作がありませんし、クライフターンのようにボールを隠すこともありません。

したがってダブルタッチをそのままやるのは、相手にとって、とても守備がやりやすい抜き技というわけですね。

たぶん、子供たちがサッカーの試合で失敗する時は、このような状況が多いのではないでしょうか?

要するに、ダブルタッチはとても簡単に覚えられるものの、意外と失敗しやすいテクニックなのです。

ところが、ほんの少しだけ工夫をすれば、効果的な抜き技になります。

そこで、次にダブルタッチを成功するための2つの抜き方について考えてみましょう。

(4)ダブルタッチの2つの抜き方

ダブルタッチは相手にボールをさらすテクニックなので、何の工夫もしないで抜こうとすると失敗する可能性が高いです。

そうするとよくありがちなのが、先ほどのページで解説したように、①タッチを速くしたり、②幅を広くすれば、相手を抜けるのではないか?ということですね。

でも、こうした工夫をしたとしても相手にボールをさらすことには変わらないので、それほど有利になることはありません。

またタッチを速くしたり幅を広くするのは、単にフィジカルに頼っているだけなので、いずれは限界が来ます(上のカテゴリーでは通用しない)。

その他にもYoutubeなどでは、いろいろな机上の空論が蔓延していますよね。

でも、育成年代の子供たちにとって最も大切なことは、いつの時代でも通用するテクニックを身に付けることではないでしょうか?

そうした意味で、ダブルタッチを成功させるために、ぜひ覚えてほしいのが、次の2つの抜き方です。

・相手に足を出させる(イニエスタ)。

・フェイントを使う(メッシ)。

この2つの抜き方は、相手にボールをさらす状態を逆手に取ったテクニックで、ディフェンスとの駆け引きも身に付きますし、とてもオーソドックスなやり方です。

しかも、イニエスタもメッシも、先ほどの①タッチを速くしたり、②幅を広くするというのではなく、ごく普通のダブルタッチのスピードで抜いています。

そこで次に、相手に足を出させる(イニエスタ)、フェイントを使う(メッシ)、2つのダブルタッチを順に解説します。

2.ダブルタッチで相手に足を出させる

(1)イニエスタのダブルタッチ

イニエスタのダブルタッチは、特にフェイントを使っているわけでもないのに、どうして簡単に相手を抜けるのだろう?と思えますよね。

実は彼の抜き方は、ダブルタッチ特有の「ボールをさらす」という動作を逆手に取ったテクニックなのです。

次の画像を見ると、ボールをさらすことで、相手に足を出させていますよね。

特に大切なのが、相手が出して来る方の足の前に、ボールをさらすことです(相手の目の前にボールを置く)。

これは何かというと、イニエスタは右利きなので、右足のインサイドを使って、相手の右足の前にボールをスライドさせます。

そうすると相手としては、そのまま右足を出してボールを突こうとしますよね。

そこでイニエスタは、そのタイミングを狙って相手を抜き去ってしまうわけです。

このパターンの抜き方は次の動画でも同じですが、特にニクイのが、わさわざ2回もボールを動かしているところですね。

ここまでやると、まるで相手が足を出すのを待っているようで、まさに駆け引きだと思います。

ただし、この抜き方で注意していただきたいのが、相手との位置関係です。

先ほどは相手が右足を出していたので成功しましたが、もしも左足を少し前に出しているとしたら、どうなるでしょうか?

これでは相手の足が届いて、ボールが奪われてしまいますよね。

それでは、どうしたら良いのかというと、アウトサイドで抜けば良いだけです(利き足側に抜くのなら、別の抜き技でも良い)。

実際にもイニエスタは、相手の右足の前にボールをさらして、そのまま右足を出して来るとダブルタッチを使います(相手が右から来るのと同じ)。

また、相手の左足の前にボールをさらして、そのまま左足を出すとアウトで抜くことが多いです(相手が左から来るのと同じ)。

要するに、ダブルタッチでもアウトで抜くにしても、ボールをさらして相手に足を出させるわけで、実に巧妙な駆け引きですね。

こうしたイニエスタのテクニックは、相手にしてみたら、ダブルタッチで来るのか?アウトで抜いて来るのかが分からないので、全く予測が出来ません。

さらに、ボールをさらす…という動作は、相手にとって「次はどうやって動くのだろう…」と考えるのではなく、「ボールを取りに行きたい…」という心理が先に働いて思考停止になります。

そうすると、イニエスタの次の動きの予測まで頭が働かなくなるのです。

何しろ一瞬のことですからね。

まるで、飼い犬の目の前にエサを置いて、お預けをしているようなもので、犬にとっては目の前のエサのことしか頭にないから他のことは思考停止になるのと同じです。

ちなみに、イニエスタのダブルタッチは他にもいろいろなパターンがあります。

次の動画では、相手がイニエスタの右足を狙って向かって来ましたが、左にかわしています。

これは相手の重心が左足に寄っているので、いくら右足を出してもダメなわけですね。

また、相手が飛び込んできた場合も、上手くかわしてしまいます。

これも相手の逆を突いているわけですね。

これは「後出しじゃんけんゲーム」の練習法と同じです。

※「後出しじゃんけんゲーム」の練習法を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
ドリブルが本当に上手くなる練習方法とは?即効・対人メニュー!

こうして考えると、イニエスタは特に難しいテクニックを使っているわけではなく、相手にボールをさらしてわざと足を出させたり、相手が向かって来たり飛び込んで来たら、逆を突いてかわすだけなのです。

そうした意味では、とてもオーソドックスなテクニックだと思います。

ところで、先ほどの相手に足を出させるという抜き方ですが、どのタイミングでダブルタッチを仕掛けるのか?という点には注意が必要です。

そこで、次にこの点を解説します。

(2)相手の足が出る瞬間を見抜く方法

先ほどのイニエスタの抜き方を私の息子「とも」が実演すると、次のようになります。

ここで注目していただきたいのが、ディフェンダーの足が出る動きを見抜く瞬間ですが、それは動画の0:55からのシーンにある通り相手の膝が動いた時です。

実はヒトの動作特性として、足を動かす時は必ず膝が最初に動きます。

またいったん一つの動作を開始すると、急に止めることは出来ません。

つまり相手の膝が動いたら、ほぼ100%に近い状態で足を出してしまう…ということであって、「車は急に止まれない!」のと同じですね。

でも膝が動くのを見てダブルタッチを仕掛けるというのは、まるで後出しジャンケンと同じやり方です。

たぶん、イニエスタも、こうしたヒトの動作特性を理解しているのでしょう。

さて次は、フェイントを使う(メッシ)ダブルタッチについて解説します。

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3.ダブルタッチでフェイントを使う

(1)メッシのダブルタッチ

フェイントを使ったダブルタッチで特に参考になるのは、次の動画でメッシが見せた重心移動を組み合わせた抜き方です。

メッシの動きがあまりにも速いので、特にスローモーションを注意して見てください。

この時のメッシは、アウトサイドのフェイントを仕掛けています。

相手にしてみたら、メッシの抜き技のほとんどはアウトで抜いてきます(海外では利き足側に抜くのがセオリー)し、しかもボールを見ているので、かなりの高確率で予測していたのかも知れません。

もしも、このままアウトで抜いたら、相手はすぐに追い付けたはずでしょう。

だから、メッシはあえてフェイントを使って相手の背中側に抜いたのだと思います。

そこで、この間のメッシのフェイントを詳しく解説してみましょう。

先ずはアウトでフェイントをかけた、次にインサイドに戻してダブルタッチを始めます。

ここで、相手は反応が遅れましたが、この動きはとても違和感がありますね。

なぜなら、すでにメッシはインサイドでタッチしているので、「フェイントだった…」と気が付いて良いはずですが、次の画像では相手はさらに右足へ重心が寄っています。

たしかに、メッシの動きがとても速かった…というのはあるでしょう。

でも、むしろ相手はメッシがアウトでボールをさらしたことで、イニエスタのダブルタッチと同様に思考停止になってしまったために、フェイントに引っかかってしまったのかも知れません。

こうして考えると、実はフェイントも相手にボールをさらすのと同じ意味があります。

そうした意味では、イニエスタもメッシも同じような考え方を持ってダブルタッチを使っているのでしょう。

ちなみに、このダブルタッチは、いったん動きを止めた状態からのフェイントでしたが、次の動画のように、メッシは動きの中でフェイントを仕掛けることも多いです。

どうして、相手はこんな簡単に引っかかるのか?というと、メッシの抜き技のほとんどはアウトで抜くからです。

だから、アウトで抜こうとする動きに、過剰に警戒してしまうのでしょう。

そうした意味で、ダブルタッチは、ふだん利き足側にアウトで抜く選手ほど、フェイントが効果的であるということですね。

日本では、ダブルタッチを単一のテクニックとして考えがちなので、どうしてもタッチを速くするとか、幅を広げるとかのフィジカル勝負が大切と考えられがちです。

だから、ダブルタッチだけで何とかする!という発想が蔓延するのでしょう。

そうした意味では、相手にボールをさらす意味をきちんと理解したうえで、駆け引きを使った抜き方を覚えるべきだと思います。

ところで、メッシのダブルタッチもイニエスタと同じように、相手の逆を突いてかわすケースがあります。

例えば、相手の重心が右足に寄っていた場合のダブルタッチ(イニエスタと同じ)。

また、相手がメッシの左足を狙って飛び込んできた場合も、結局かわしてしまいます(イニエスタも同様)。

これらは、結局、フェイントを使うかどうかという違いはあっても、イニエスタとメッシは、ほぼ同じようにボールをさらして抜いたり、相手の逆を突いたりしているわけで、とてもオーソドックスな抜き方をしているわけですね。

こうしたシンプルな抜き方は、ぜひ多くの子供たちに覚えてほしいと思います。

ところで、メッシのフェイントは、アウトを使った重心移動とインの動きを組み合わせた、とてもシンプルなテクニックですが、この点について次に解説します。

(2)ダブルタッチのフェイントと練習法

先ほどのメッシのフェイント動作を私の息子「とも」が実演すると、次のような動きになります。

ここでのフェイントは、アウトサイドで抜くようなフェイントというよりも、利き足側への、ほんのわずかな重心移動だけです(動画では体重移動と表記していますが、重心移動と読み替えてください)。

その後、メッシと同じようにインサイドに戻してダブルタッチを始めます。

動画の0:59からの解説を見るとよく分かります。

このフェイントは、利き足のアウトからインに切り替えるだけなので、とてもシンプルですね。

先ほどのメッシの動画でも見られましたが、試合中にダブルタッチを使う場合は、このような簡単なテクニックで相手は引っかかってしまうのです。

また「とも」の抜き技の9割以上はアウトで抜くので、フェイントの効果としてもかなり高いと思います。

ちなみに、このような重心移動の練習法としては、インとアウトを使ったジグザグドリブルを練習すれば誰でも覚えられます。

またボールを使わない練習法としては、誰でも簡単に出来る重心移動体操もおススメですね。

※重視移動とサッカーの関係を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
重心移動でサッカーが100倍上手くなる!【中学生でも分かる】

4.まとめ

今回は子供たちがダブルタッチを成功させるために、ぜひ覚えてほしい2つの方法を解説しました。

一つ目は、イニエスタのように相手に足を出させる。

二つ目は、メッシのようにフェイントを使う。

また、両方の抜き方に共通するのは、相手にボールをさらす動作を逆手に取って駆け引きをしたり、相手の逆を突いてかわすことです。

日本では、ダブルタッチを単一のテクニックとして考えがちなので、どうしてもタッチを速くする方法とか、タッチの幅を広げるとかのフィジカル勝負が大切と考えられがちです。

そうした意味では、相手にボールをさらす意味をきちんと理解して、駆け引きを使った抜き方などを覚えるべきだと思います。

ぜひ多くの子供たちが、ダブルタッチを上手くなれるように願っています。

【画像引用:Youtube.com