ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

ループシュートの正しい蹴り方!チップキックとの違いとは?

ループシュートは、あるコツを覚えれば小学校低学年でも簡単に蹴れます。

その一方で、チップキックも同じ蹴り方ではないかと思って練習しても、なかなか上手く蹴れない方は多いです。

そこで今回はループシュートの蹴り方、チップキックとの違いについて解説します。

スポンサーリンク

1.ループシュートのコツと蹴り方

ループシュートを決めるコツは、先ずはゴールキーパーの立ち位置とシュートコースをきちんと確認することです。

この点に気を付ければ、ほぼゴールは決まります。

また蹴り方そのものはそれほど難しくはないので、この点は後ほど解説します。

(1)ゴールキーパーの立ち位置とシュートコース

① ループシュートとは

ループシュートは、ボールが弧を描きながらGKの頭上を越えて行くシュートです。

そのため、キーパーがゴールエリアのラインの近くまで出ている時が絶好のチャンスになります(ゴールラインまで下がっていたらセーブされる)。

その際のシュートコースは大きく分けて左、右、正面の3カ所になりますが、左と右からの方が決まりやすく、正面が最も難しいです。

その理由は、左と右から蹴る時はキーパーがニアサイドを守ろうとするため、ファーサイドが空きやすくなるからです(この場合はファーを狙う)。

これに対して正面から蹴る場合はクロスバーぎりぎりに蹴らないとボールがバーを越えてしまうため、あまり高く蹴れません。そうするとキーパーにセーブされやすくなります。

だから、正面から蹴る時は、左右に回り込んでシュートするなどの工夫をした方が良いでしょう。

さて次は実際のJリーグの試合でのシュートの例を参考にして、さらに詳しく解説します。

② Jリーガーのループシュートの例

ここでは、分かりやすい例をいくつか解説します。

A.左サイドから決めた例(動画の最初~0:19)

このシーンでの久保 竜彦(2006年:横浜Fマリノス)選手は、ペナルティーエリアの左角から蹴ってキーパーの頭上を越えてファーサイドに決めています。

ここで注目すべきは、キーパーはゴールエリアの角まで出て来ていますが、どうしてこんなに前に出たのか?ということです。

それは久保選手が味方のパスを受けてDFラインの裏を抜けたことで、キーパーと一対一になったからです。

こうした場合、キーパーがシュートコースを狭めるために前に出て来ることから(ここではニアサイドに出ている)、ファーサイドが空くことになります。

だから、久保選手はそうしたGKの動きを巧みに利用して蹴ったわけですね。

B.右サイドから決めた例(動画の0:20~0:36)

このシーンでの藤本 淳吾(2017年:ガンバ大阪)選手は、左サイドから決めています。

この時もゴールキーパーは前に出ていますが、先ほどの久保選手の状況と似ています。

ここでの藤本選手もDFラインの裏を抜けようとしていたので、やはりキーパーは一対一を警戒してゴールエリアのライン付近に出て、ニアサイドを守ろうとしています。

ところがファーサイドが空いてしまったので、そこを狙ってループシュートを決めたわけですね。

C.ゴール正面から決めた例(動画の2:46~3:07)

このシーンでの小野 伸二(2006年:浦和レッズ)選手は、正面から決めています。

この場合、すでにペナルティーエリアの中に敵と味方が入り乱れている状態なので、キーパーはそれほど前に出ていません。

しかも小野選手のシュートはクロスバーのギリギリの高さなので、ふつうならキーパーはセーブ出来たはずです。

それではなぜシュートが決まったのかと言うと、その理由は小野選手がブラインドを利用して蹴ったからです。

このシーンをよく見ると、小野選手とGkの間に5人ほどの敵味方がいますよね。

そうすると、キーパーは蹴ったボールがこれらの選手の頭上を超えるまでシュートコースが見えないのです。

先ほどの動画の2:46からのシーンをよく見ると、キーパーが慌てて手を伸ばした様子からもよく分かると思います。

そうした意味では、ゴール正面から蹴る時はブラインドを利用するのも大切ですね。

もちろんブラインドが使えるのであれば、左右のサイドに回り込んで蹴っても構いません。

D.これまでのまとめ

ここで、これまで解説した点をいったんまとめてみます。

先ず、ループシュートを決めるコツとして大切なのは、ゴールキーパーの立ち位置とシュートコースをきちんと確認することです。

その際、左・右サイドから蹴る時は、GKにニアサイドを警戒させつつ、なるべくゴールエリアのライン辺りまで出て来てからファーサイドを狙いましょう。

また正面から蹴る時は2つの点に注意してください。

一つ目は、GKが前に出ている場合はそのままループシュートを蹴る。

二つ目は、GKが下がっていたとしても、ブラインドが利用できるのであれば、そこを狙ってシュートする。

もちろんブラインドが使えるのであれば、左右のサイドに回り込んで蹴っても構いません。

さて、それでは次に蹴り方のテクニックについて解説します。

大切な内容なので、ぜひお読みください。

(2)ループシュートの蹴り方

① 最も簡単な蹴り方

ループシュートの蹴り方はいろいろありますが、最も簡単なのは次の動画のようにボールをすくい上げるように蹴ることです。

動画ではボールが無回転になったり、ドライブ回転が掛かったりしていますが、これは次のように足の当てる場所を工夫することで使い分けることが出来ます。

ボールを無回転にする時はインステップあたりに当て、ドライブ回転にする時は指の付け根に当てると良いでしょう。

もちろん足首の角度を変えて蹴っても良いので、いろいろと蹴りながら自分なりの感覚を掴んでください。

いったん感覚を掴めば、次のように小学校低学年(息子が小1の頃)でも蹴ることが出来ます。

また次の動画の1:17からのシーン(息子が小3の時の試合)では、ゴール正面から少し左サイドに回り込んで、キーパーがニアサイドに寄ったところで、ファーサイドを狙ってループシュートを決めています。

このように、すくい上げるような蹴り方さえ覚えれば、後はゴールキーパーの立ち位置とシュートコースを見定めるだけなので、小学校低学年の子供でもループシュートは簡単に蹴れるのです。

② インフロントキックのように蹴る

ループシュートは、インフロントキックのように蹴ることもありますが、ボールにバックスピンが掛かって飛び過ぎ、クロスバーを越えてしまう可能性があることから、なるべく遠くから蹴る場合のみに限定した方が良いでしょう。

特に参考になるのが、次の動画にあるように2011年の女子ワールドカップの日本対スウェーデン戦の川澄選手のループシュートです。

ここでは日本の左サイドからロングパスで、FWがディフェンスラインの裏を抜けようとしたところ、キーパーがペナルティエリアの外に飛び出してボールを弾き返しました。

そして弾かれたボールが川澄選手のところに飛んで来たので、そのままシュートしたものです。

この時はゴールまで35mほどの距離があったようです。

このようにインフロントキックで蹴る場合は、距離が遠いことやキーパーがかなり前に飛び出しているのを見定めましょう。

③ ボールに回転を掛ける

ループシュートは、これまで解説した以外にもいろいろな蹴り方があります。

先ほどのJリーガーの動画を見ると、実はプロの選手たちはボールにいろいろな回転を掛けているのです。

例えば、久保選手と小野選手はアウト回転で、藤本選手と高地選手はカーブ回転を掛けています。

これは難易度が高いのですが、そのためには次の3つのキックを覚えましょう。

・インフロントキックでカーブ回転とアウト回転を掛ける

・カーブで横回転と縦回転を掛ける

・アウトフロントキックを蹴れるようにする。

ところで先ほどのJリーグのループシュートの動画には、名波選手やラモス選手のようにチップキックのシーンも含まれていました。

この場合、日本ではループシュートとチップキックは同じもの…と考えてしまう傾向がありますが、実はこの2つは全く違います。

そこで次にループシュートとチップキックの違いについて解説します。

スポンサーリンク

2.ループシュートとチップキックの違い

(1)チップキックとは

チップキックは、次の動画のようにゴールキーパーの直前でボールを浮かしてゴールを決める蹴り方です。

この場合、ループシュートと比べると同じようなキックに見えますが、蹴り方やシュートのタイミングなどは全く違います。

またチップキックの方がはるかに難易度が高いため、ループシュートは蹴れてもチップキックは蹴れないという子は多いです。

そもそもループシュート(Loop-shot)の語源は「輪」とか「回る」というもので、「(虹のように弧を描いて)大きく回る…」というようなイメージがあります。

これに対してチップキック(chip-kick)の語源は「小さい物」とか「かけら」というもので、「ちょこん!」というようなイメージがあります。

つまり2つの蹴り方は、海外では別の物として扱われているわけですね。

そうした意味ではきちんと区別した方が良いでしょう。

それでは、次にループシュートとチップキックの違いを解説します。

(2)2つのシュートの違い

① ボールの軌道とゴールキーパーとの位置関係

2つのシュートの最も大きな違いは、ボールの軌道とゴールキーパーとの位置関係です。

ループシュートはペナルティーエリアの外などの遠い場所から蹴るため、インフロントキックのように飛距離が長くなり、ボールが弧を描く軌道になります。

この場合、どうしてもキックモーションが大きくなるので、いったん止まるかまたはドリブルスピードを落としてから蹴ります。

そうするとチップキックのように、トップスピードのドリブルから蹴ってゴールキーパーの目の前で突然ボールが浮く…というのは、ほぼ不可能です。

これに対して、チップキックはトップスピードのドリブルから、そのままシュートを打てるという特徴があります。

また蹴った直後にボールが急激に浮きますが、ドライブ回転を掛けるので飛距離は短くすぐに落ちて来ます。

その理由は蹴る場所がゴールのすぐ近くであることから、クロスバーを越えないためです。

② チップキックに必要なスキル

チップキックはループシュートと違って、膝抜きと足の指のバネという2つの特殊なスキルが必要です。

A.膝抜き

チップキックを蹴る時は、膝抜きを使ってボールを高く浮かせます。

この膝抜きは古武術のテクニックですが、その特徴は膝と股関節の脱力です。

このテクニックはシャペウなどにも応用できますが、そもそもこの膝抜きが出来ない限りチップキックは蹴れません。

B.足指のバネ

チップキックでボールを跳ね上げる時は、先ほどの膝抜きと合わせて足の指のバネも必要です。

そこで、次の動画のように足の指を鍛えましょう。

※チップキックの蹴り方と練習法、試合での使い方などを詳しくお知りになりたい方は次の記事をお読みください。
チップキックの3つのコツ!メッシのように蹴る方法とは?

ちなみにループシュートは、こうした2つのスキルがなくても蹴ることが出来ます。

そうした意味で、チップキックに比べると難易度はかなり低いでしょう。

ぜひ練習して上手くなってください。

3.まとめ

これまでループシュートのコツ、蹴り方、チップキックとの違いについて、いろいろと解説してきました。

その際、ループシュートを決めるコツは、先ずはゴールキーパーの立ち位置とシュートコースをきちんと確認することです。

また蹴り方としては、すくい上げるように蹴ったり、インフロントキックのように蹴ったりするのが比較的簡単です。

これらが出来るようになれば、小学校低学年でも十分試合で使えます。

でもジュニアユース年代になったら、Jリーガーのようにカーブ回転やアウト回転を掛ける蹴り方を覚えましょう。

これに対してチップキックはループシュートと同じようなキックに見えますが、蹴り方やシュートのタイミングなどは全く違います。

そこで2つの蹴り方の違いを理解しつつ、たくさん練習して上手くなりましょう。

ぜひ多くの子供たちがループシュートを上手く蹴れるようになるのを願っています。

【画像引用:Youtube.com