ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

マシューズフェイントのやり方!動画と画像で詳しく解説

マシューズフェイントの正しいやり方は上半身のバネ作用や古武術の浮身、膝抜きなどを使うことです。特に海外のサッカー選手は高重心なので、こうしたテクニックが身に付いています。

ところが日本人は低重心のため、インとアウトの足だけを使ったマシューズフェイントになりやすいです。

そこで今回は日本人に多い間違ったマシューズフェイント、正しいやり方、練習法などを詳しく解説します。

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1.マシューズフェイントとは

マシューズフェイントは、元イングランド代表のスタンリー・マシューズが得意としたテクニックです。

日本では、単にイン・アウトとも呼ばれています。

たぶん足の動きだけを見ているので、こうした呼び方になったのでしょう。

(1)スタンリー・マシューズ

マシューズフェイントは、インサイドとアウトサイドを使って利き足側に抜くという、オーソドックスなテクニックです。

ふつうのフェイントは、いったんスピードを落としてから仕掛けるテクニックが多いですよね。

でも、マシューズフェイントは、スピードに乗ったまま相手を抜くことが出来ます。

ほんの少し練習すれば誰でも出来るので、子どもたちにはぜひ覚えてほしいですね。

(2)日本人に多い間違ったマシューズフェイント

日本人がマシューズフェイントをやると、どうしても足の動きだけてで抜こうとします。

先ほどイン・アウトとも呼ばれている…と解説しましたが、次の動画は上半身が棒立ちで足だけを使った典型的なやり方です。

足のフェイントだけで抜くのは、上半身がまるで重たい荷物のようになって、プレーするようなものです。

また、上半身と下半身の体重比は6対4で上半身の方が重く、下半身の負担も大きいことから、素早い動きは無理でしょう。

さらに、こうした動作を長年続けると、膝や腰を酷使するのでケガの原因になります。

特に、日本人は胴長短足・低重心なので、どうしてもこのようなフェイントになってしまうようです。

※体のバネ作用を詳しくお知りになりたい方は次の記事をお読みください。
体のバネ作用でサッカーがレベルアップ!【最新理論で解明】

(3)試合では使えないマシューズフェイント

次の動画のプレーは、複雑すぎるので試合では使えません。

そもそもマシューズフェイントは、インとアウトのシンプルなテクニックです。

また、この方はフリースタイルの選手であって、サッカー選手ではありません。

だから、単なるパフォーマンスなので、あまり参考にはならないのです。

そうした点では、先ずは正しいテクニックを身に付けましょう。

ところで、現代版のマシューズフェイントは大きく分けて、ディマリア型とメッシ型の二つのパターンがあります。

もちろん二つとも、イン・アウトで相手を抜くのは同じですが、大きく違うのは上半身のバネの使い方です。

そこで、次に、この二つのパターンを順に説明します。

2.ディマリア型

ディマリア型のマシューズフェイントは、とても簡単なので、子供たちにはぜひマスターして欲しいですね。

ディマリア型は、イン(親指)・アウト(小指)でタッチする時に、肋骨を蛇腹のように左右に伸び縮み(上半身のバネ作用)させます。

また、このやり方は、海外のサッカー選手に多い体の使い方です。

簡単に言えば、上半身を左右にクネクネ動かすと言う意味で、横方向のバネ作用を使います。

インサイドでタッチする時は、肋骨の左側が縮む。右側が伸びる。

アウトサイドでタッチする時は、肋骨の右側が縮む。左側が伸びる。

要するに、左右の肋骨を伸び縮みさせているわけですね。

※ディマリアは左利きなので、右利きの人はこの反対の動きをしてください。

この時に、注意していただきたいのは、アウトで相手を抜く時に後ろ足(軸足)を踏み込まない!ということです。

これは日本人に特に多い間違ったやり方ですね。

後ろ足で踏み込むのは、先ほども解説したとおり、上半身という重たい荷物を背負ってプレーするようなものです。

これに対して、ディマリアのマシューズフェイントは、足を踏み込まなくても、肋骨の伸び縮みだけで十分なバネ作用が発揮出来るため、下半身の力はほとんど必要ありません。

しかも膝抜きも使っているので、軸足を踏み込むよりも速く動けます(膝抜きについては後ほど詳しく解説します)。

だから、下半身の力に頼って相手を抜くのは止めましょう(詳しくは後述します)。

さて、次はメッシ型のマシューズフェイントを詳しく解説します。

3.メッシ型

メッシ型のマシューズフェイントは、複雑な身体の使い方をするので意外と難しいです。

だから、この動きを覚えるまでには、少し時間がかかるでしょう。

でもディマリア型より複雑な分だけ、実はもっと動きが速いです。

次の動画を見ると、一瞬のことなので何が何だか?よく分からないですよね(笑)。

メッシ型の特徴は、ディマリア型のように上半身を左右にクネクネ動かすのではなく、背骨のバネを上下に伸び縮みさせます。

それでは詳しく解析してみましょう。

① イン(親指)のタッチの時は、まだバネを使いません(次の動作でバネが縮む)。

② 軸足(右足)の着地と同時に、背骨のバネが縮み始めます(次の動作でもっと縮む)。

③ アウト(小指)のタッチの時に、背骨のバネが最も縮まります(次の動作でバネを伸ばす)。

④ 背骨が伸びて、体が前に飛び出して抜き去ります。

それでは、なぜ背骨のバネを使うと動きが速くなるのか?というと、その理由は、前に向かう推進力が生まれるからです。

これに対して、ディマリア型のフェイントは肋骨のバネを左右に伸び縮みさせるので、相手を左右に揺さぶる効果はあっても、前に向かう推進力は意外と少ないです。

実はメッシのように姿勢を低くしてから飛び出すのは、猫が獲物を襲う時と同じです。

なぜ、このように姿勢を低くするのか?というと、ネコ科の動物は背骨のバネを使って狩りをするからです。

また、猫の背中が丸いのは姿勢が悪いからではなく、獲物を捕まえるために、いつでも背骨のバネを縮めた状態にしているわけですね。

このように考えるとメッシのマシューズフェイントは、動物的な動きをしているので、人並み外れた速さなのは当たり前なのでしょう。

でもメッシの動きが速いのは、それだけではありません。

それは、メッシが、アウトでタッチしてから飛び出す時の動きを見るとよく分かります。

次の画像の⑤では、アウトでタッチした時に後ろ足(右足)が少し曲がっていますが、これは踏み込んでいない証拠です(やや見えにくいですがご容赦ください)。

また⑥では、アウトでタッチした方の足(左足)で地面を蹴って抜き去ろうとしています。

これは何を意味するのか?というと、日本人のように後ろ足で踏み込むのではなく、アウトでタッチした方の前足を踏み込むということです。

これによって、相手を抜き去る時の一歩目が速くなるのです。

次の動画の実演者は、日本人の典型例です。

特に、この方のマシューズフェイントを見ると、アウトのタッチで上体が立っているので背骨のバネはほとんど使えません。

さらに、アウトのタッチの後で、後ろ足を思いっ切り踏込んでいます。

このようにすると、ボールだけが先に進んでしまい、自分の体がその場に残ってしまいます。

つまり、メッシと比べて、相手を抜く時の一歩目が遅くなるわけですね。

実はメッシのように前足(アウトでタッチした方の足)を踏み込むのは、古武術で言う「膝抜き」というテクニックです。

膝抜きを覚えると、相手を抜き去る時に、速い飛び出しが出来るようになります。

また、膝抜きは誰でも身に付けられる技術なので、せび覚えましょう。

さて、これまでディマリア型とメッシ型の二つのマシューズフェイントを解説しましたが、私の息子「とも」は、この二つを合わせたやり方をしています。

いわば良いとこ取りのやり方なので、参考のために次に解説します。

4.ディマリア型+メッシ型

「とも」のマシューズフェイントは、インのタッチまではディマリア型で、その後はメッシ型です。

でも、メッシ型と大きな違いが一つだけあって、それは相手を抜く時に低い姿勢を維持したまま突破するという点です。

そうすることで、ドリブルスピードが格段にアップします。

(1)インのタッチ

①軸足をボールの横に置く。②イン(親指)のタッチ。

この時の親指のタッチは、ボールの表面を触るか触らないか…というくらいに浅くタッチしてください。

このようにソフトにタッチすると、この後のアウトの切り返しがとてもスムーズに出来ます。

また②のインのタッチの時に、ディマリア型と同じように横方向のバネを使います。

フェイントの効果としては、左右のゆさぶりと言う点で、メッシ型よりも相手は引っかかりやすいです。

なお、この時にほんのわずかですが体が空中に浮いています(紙一枚分くらい)。

こうした動作は古武術の「浮身(うきみ)」と言いますが、これはドリブルが上手くなるためにはとても大切です。

ちなみに日本人のマシューズフェイントはインのタッチの後で、次のように軸足方向にジャンプすることが多いですね。

その原因は、インサイド(インサイドキックを蹴る場所)を使って、ボールに深くタッチしてしまうからです。

実はこのようにタッチすると、ジャンプしない限りアウトで切り返すことがまともに出来ません。

またジャンプすると体がいったん上に向かうので、その分だけ時間がムダになりますよね(つまりこのジャンプは意味がない)。

さらにジャンプする時に上体が棒立ちになっています(背骨の伸び縮みの動作がない)。

これは明らかに体が開いていて、背骨のバネ作用が使えないために起こる動きです。

やはり、下半身の動きだけに頼った日本人独特の動作ですね(ディマリアもメッシも、上にジャンプするようなおかしな動作は見られません)。

しかもイン(親指)とアウト(小指)でタッチするべきところを、インサイド(インサイドキックを蹴る場所)とアウトサイド(アウトサイドキックを蹴る場所)でタッチしています。

これは、ふだんのジグザグドリブルが間違っていることを意味します。

つまり基本のドリブルさえも分かっていないわけですね。

日本人には、特に多い間違いなので注意しましょう。

(2)インからアウトの切り返し

③インのタッチからアウトに切り換え

この時にディマリアやメッシと同じように膝抜きをすると、インとアウトの切り替えしの動きがスムーズになります。

しかも膝で踏ん張ったりしないのでヒザや足首の負担もほとんどありません。ぜひ膝抜きを覚えましょう。

④背骨を縮める

メッシと同じように背骨を縮めて姿勢を低くして、この後の飛び出しの動きに備えるわけですね。

(3)低い姿勢から飛び出し

⑤アウトのタッチ

ここではアウトでタッチするとともに、頭の重さを使って前に向かいます。

またアウトで抜く時は、強く蹴るのではなく小指でソフトにタッチすると足からボールが離れにくくなります。

さらにこの姿勢は短距離走のクラウチングスタートと同じで、メッシはここまで極端に低い姿勢ではありませんが、速い飛び出しのためには欠かせない体勢ですね。

※相手を抜く時に強く蹴っては行けない理由は次の記事をご覧ください。
サッカーのドリブルで「運ぶ」ということの本当の意味とは?

⑥ 突破の動き

ここでは背骨を縮めた状態からの反射的なバネ作用(背骨が伸びる動き)によって、体が浮き上がります。

これによって通常のドリブル姿勢に戻るわけですね。

また、ここではアウトでタッチした前足が一歩目になるので、後ろ足で踏み込まないようにしましょう。

そうすることで、メッシのように速く飛び出せます。

この場合、日本では軸足を踏み込んで…と指導されることが多いですが、先ほども解説したとおり、膝抜きを覚えれば素早く動けますし、このようなムダなことをする必要はありません。

なお、これまでの動きの中では、突破の時にクラウチングスタートのような低い姿勢を取り続けるという点はメッシとかなり違う点です。

これはドリブルと言うよりも、短距離走のスタートダッシュに近い動作ですね。

これは「とも」が小学二年生のころに、足を速くするため、短距離ダッシュのフォームを練習したことに由来します。

こうした練習も相手を抜く時の飛び出しを速くするのに役立ちます。

さて次は、マシューズフェイントを身に付けるための練習法を詳しく解説します。

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5.マシューズフェイントの練習法

練習のポイントは、大きく分けて2つあります。

一つ目はインとアウトのジグザグドリブル。
二つ目はバネ作用を使うための体操。

(1)ジグザグドリブル

次の動画の前半のシーンを参考にして、イン(親指)とアウト(小指)のジグザグドリブルを繰り返してください。

練習の時はスピードよりも、正確なタッチを心がけましょう。

この場合、多くの日本人はイン(親指)とアウト(小指)でタッチするべきところを、インサイド(インサイドキックを蹴る場所)とアウトサイド(アウトサイドキックを蹴る場所)でタッチすることがあります。

くどいようですが、これは間違いなので絶対に直しましょう(下の「関連記事」をお読みください)。

(2)バネ作用を使うための体操

① ディマリア型の動き

ディマリア型の特徴である、肋骨の左右を蛇腹のように交互に伸び縮みさせる動きは、次の体操をすると効果的です。

② メッシ型の動き

メッシ型の特徴は、上半身のバネを使えるようにしましょう。

そのためには、一本歯下駄トレーニングがおススメです。

※なお一本歯下駄をお持ちでない方は、ふつうのクツを履いて練習しても効果はあります。

A.首下回し(「ツイスト系」動画の0:09~0:16)

突破する時に、頭の重さを使って飛び出しを速くするための体操です。

B.体幹ひねり(「ツイスト系」動画の1:25~1:36)

イン~アウトのフェイントからの素早い切り返しに役立つ体操です。

C.体幹割れ(「バネ系」動画の0:09~0:18)

アウトで突破する時の飛び出しの動作に役立つ体操です。

D.ヒザ抜きブレーキ(「バネ系」動画の0:46~0:58)

先ほどの体幹ひねりとともに、イン~アウトのフェイントからの素早い切り返しに役立つ体操です。

E.ワップワップ、ワップダウン(「バネ系」動画の1:00~1:20)

この動きは、背骨のバネ作用を身に付けるための体操です。

特にメッシ型のマシューズフェイントには、とても重要な動作なので繰り返し練習してください。

※一本歯下駄トレーニングをもっと詳しくお知りになりたい方は次の記事をお読みください。
一本歯下駄の効果!身体能力アップに役立つ5つの理由!
一本歯下駄トレーニング!サッカー向け練習メニュー22選

6.まとめ

正しいマシューズフェイントは、ディマリア型とメッシ型の二つに分かれます。

また、二つのやり方に共通しているのは、上半身のバネ作用を使うことです。

ディマリア型は肋骨を左右に動かす横方向のバネ、メッシ型は背骨を上下に伸び縮みさせるバネを使います。

ところが多くの日本人は、下半身だけでサッカーをするため、上半身のバネ作用が使えません。

そうすると、インのフェイントでジャンプしたり、アウトの切り返しの時に後ろ足(軸足)を踏ん張ったりという、おかしな動作が起きるのです。

日本の指導は、こうしたフェイント一つを取っても間違いが多いですね。

やはり、海外のトッププレーヤーの正しいマシューズフェイントを学びましょう。

【画像引用:Youtube.com