アウトフロントキックは、ブラジルで「三本指のキック(Chute com tres dedos)」とも呼ばれる蹴り方です。
シュートやパスの武器が一つ増えるので、ぜひ覚えたいですね。
そこで今回はアウトフロントキックのシュートとパスの2つの蹴り方を解説します。
※この記事は2つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。
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【アウトフロントキックとは】
【アウトフロントキックの蹴り方】
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【練習法】
【まとめ】
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アウトフロントキックとは
(1)三本指のキック
アウトフロントキックはボールをアウト回転させる独特な蹴り方ですが、ブラジルでは「三本指のキック(Chute com tres dedos)」とも呼ばれていて、特にブラジル人の得意なキックとされています。
この場合の三本指は小指、薬指、中指のことですが、この部分でインパクトすると強く蹴れないので、実際にはインステップに近い場所(アウトサイドに近い場所)を使って蹴った方が良いでしょう。
またロベルトカルロスの蹴り方を見ても、やはり三本指ではなく、どちらかというとインステップキックのような蹴り方に近いですよね。
このキックを蹴る時は、三本指(小指、薬指、中指)、足首、前脛骨筋(スネの筋肉)のパワーが必要ですが、日本人はこの部位が弱いという特徴があります。
これに対して、先ほどのロベルトカルロスは足の指、足首、スネの筋肉がとても発達しています(白いソックスを履いているので分かりにくいですが…)。
これは彼だけのことではなく、私がブラジルでのコーチ時代に見て分かったブラジル人の特徴だと思います。
それではなぜブラジル人がこれだけ発達するのかというと、子どもの頃から裸足で過ごすからです(もちろんサッカーも裸足でよくやります)。
だから自然と足の指、足首、スネの筋肉が発達するわけですね(アフリカ系の黒人も同じ理由で発達している)。
でも、きちんと練習すれば上手く蹴れるようになるのでぜひ頑張りましょう。
それでは次に、アウトフロントキックでボールがなぜ曲がるのか?という詳しい仕組みを解説します。
(2)ボールが曲がる仕組み
ロベルトカルロスは左利きですが、彼の蹴ったボールの曲がり方を見るとまるで右利きの選手のカーブのようでしたよね。
どうしてこんなに曲がるのか?というと、これはカーブが曲がる仕組みと同じでマグナス効果によるものです。
マグナス効果とは、ボールが回転しながら飛ぶ時に左右の気圧が変化するため、気圧の低い方に引っ張られるように曲がる…という原理です。
右利きの選手を例にすると、最初はボールに時計回りの回転が掛かりながら真っ直ぐ飛びますが、その時のボールの右側と左側では空気の流れの違いによって気圧が変化します。
左側の空気は進行方向に逆らって流れるので、空気が停滞して壁(空気の層)が発生し、流れが遅くなって気圧が高くなります。
これに対して右側の空気は進行方向とは逆向きに流れるので、流れが速くなって気圧が低くなります。
これによって、気圧の高い方から低い方にボールが引っ張られるように曲がるのです。
つまり足首の角度に注意して真っ直ぐ蹴れば、マグナス効果によって自然に曲がるというわけですね。
だからアウトフロントキックは真っ直ぐ蹴る!ボールが曲がるのは気圧の差!という、この二つは特に大切なのでぜひ覚えてください。
(3)横回転(シュート)と斜め回転(パス)
アウトフロントキックで横回転を掛けると比較的低い弾道で地面に落ちやすいことから、主にシュートに使った方が良いでしょう。
最初の動画でご覧になったロベルト・カルロスのキックを見ても、ボールが地面と水平に飛んでいますよね。
その場合の足首の角度は、やや立てるようにしてください。
その際、縦回転も横回転もカーブと同じようにボールの中心から1~1.5㎝程度ずらした場所を蹴るようにしてください。
もちろん人によって足の形は違うので、自分なりのインパクトポイントを探すことが大切です。
ボールに斜め回転を掛けるとインフロントキックのように遠くに飛ぶので、パスに使うと良いでしょう。
その場合の足首の角度ですが、やや寝かせるようにしてください。
ところで足首を寝かせると、どうしてボールが浮きやすいのか?ということですが、これは横回転とバックスピンを合成した力がボールに伝わるからです。
特に横回転と斜め回転のそれぞれの回転の掛け方は、間違いやすいので注意してください。
さてそれでは次に詳しい蹴り方を解説します。
アウトフロントキックの蹴り方
ここではシュート(横回転)とパス(斜め回転)に分けて解説します。
(1)シュートの場合
アウトフロントキックの蹴り方で、シュートにもパスにも共通するのは軸足の向きを開くこととフォロースルーで体を回転させることです。
そこでロベルト・カルロスの横回転を解析してみましょう。
先ずは軸足の踏込でつま先を開きますが、これはフォロースルーで体を回転させやすくするためです。次にインパクトですが、足首を立ててインステップキックを蹴るようなイメージで横回転を掛けます。
最後に上半身と下半身をひねり、向って右側に蹴るようにするとボールに横回転が掛かって曲がります。
したがってシュートの横回転は、インステップキックのスイング+体の回転+軸足を開くという点がとても大切です。
なお、ここでご注意いただきいのが、スネの筋肉、足首、足の指が発達しているロベルト・カルロスであっても、これだけ体を回転させないとアウトフロントキックが蹴れないという点です。
つまり強い筋力を持った選手であっても、ここまでやらないとボールは曲がらないので、体の回転は忘れないようにしてください。
(2)パスの場合
アウトフロントキックで斜め回転を掛けてパスをする⇒ボールを大きく飛ばす蹴り方は、基本的には先ほどのロベルト・カルロスの蹴り方と似ています。
でも、大きな違いは足首を寝かせてインフロントキックを蹴るようなイメージで斜め回転を掛けることです。
この場合、インフロントキックはボールにバックスピンを掛けてボールを浮かす蹴り方ですよね。
また、先ほど足首を寝かせると横回転とバックスピンを合成した力が伝わってボールが浮く…と解説しました。
だからインフロントキックを蹴るようなイメージが必要なのです。
したがってパスの斜め回転は、インフロントキックのスイング+体の回転+軸足を開くという点を覚えてください。
いずれにしてもシュートの横回転とパスに使う斜め回転の蹴り方は少し違うので、注意しましょう。
さて次は練習法を解説します。
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