ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

ステップオーバ―の2つのコツ!日本と海外の違いとは?

日本人のステップオーバーは足でボールをまたぐやり方が多いですが、それだけではフェイントになりません

そこで今回は正しいステップオーバーのやり方、2つのコツ、 練習法など、あなたの知りたい全てのことを詳しく解説します。

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1.日本と海外のステップオーバーの違い

(1)日本人のステップオーバー

日本人のステップオーバーは、次の動画に見られるように、膝から下を小さく動かすだけ…というのがとても多いですね。

なぜ、このようなやり方になるのか?というと、ステップオーバーが、またぎフェイント=またぐだけのフェイント…と考えられているからです。

そもそもフェイントは上半身の動き(ボディフェイク)が必要なので、足を「ちょこちょこ」動かした程度では何の意味もありません。

特に、動画の実演者の背中にある「STAFF」という文字がハッキリと分かりますよね。

これは、上半身をほとんど動かしていない=ボディフェイクをしていない…ということです。

もしも、上半身を使っていたら、ジャージの背中の文字が読めないくらいに、しわくちゃになるはずです。

でも、足でまたぐだけなので単なる棒立ちですし、典型的な体重移動にもなっています(下半身で重たい上半身を運ぶという動きの遅い動作)。

特にヒトの上半身と下半身の体重比は6対4なので、体重が60㎏の人だったら36㎏の荷物(上半身)を背負って、一生懸命ステップオーバーをするのと同じですね。

そうすると、下半身はかなりの負担になるので、スピーディーな動きは出来ません。

また先ほどの動画の0:41からのシーンを見ると、いったん姿勢を低くしてからアウトのタッチで動き出していますが、本来ならまたぐ時に低くなるべきです。

そもそもヒトが走り出す時は、低い姿勢からスタートしますよね(スタンディングスタートを想像してみてください)。

そうすると動画の0:41からのシーンにあるように、姿勢を低くするのはムダな動きであって、その分だけ動き出しが遅くなるのです。

ということは、最初からまたぐ時に姿勢を低くすれば動き出しが速くなると思いませんか?

足でまたぐだけのステップオーバーには、こうした細かいところにも問題があるのです。

なお先ほどの動画では、ディフェンス役の人がわざとらしく反応していますが、やはりフェイントの効果が全くなく、動き出しも遅いので、実際の試合では使えないでしょう。

このような足でまたぐだけのステップオーバーは、多くの子供たちにも見られます。

(2)またぎフェイントの考え方

次の動画はどこかのクラブか少年団の子供の練習のようですが、これを見ると、なぜ日本人は足でまたぐだけになってしまうのか?という理由が分かります。

それはボールを地面において動かさない状態で、またぐ練習を繰り返すからです。

たぶん最初の動画の実演者も幼少期にこのような練習をたくさんしたので、足でまたぐだけになってしまったのでしょう。

これに対してブラジルの指導は違います。

ブラジルでは、最初はボールを地面に置いて動かさない状態でまたぎ方を教えます(ここまでは日本と同じ)が、その後はボールを前に動かしながらステップオーバーをやるように練習させます。

つまりステップオーバーはボールを動かした状態で使うフェイント…というのを徹底させるわけですね。

さらにブラジルには「ジンガ」という考え方があります。

これはフェイントはボディフェイク(体を左右に揺らすような動き)を使わないと意味がない…という発想です。

例えば、ネイマール、ロナウジーニョ、ロビーニョなどは全身を「くにゃくにゃ」と揺らすようにフェイントをしますよね。

そうすると「この選手はジンガを持っている…」と称賛されるわけです。

したがって、日本人のような足だけでまたいで、ボディフェイクを使わないステップオーバーはフェイントとはみなされないのです。

もっと言えば、足でまたぐだけではフェイントにはならないわけですね。

これはシザースを教える時も同じですよ。

日本ではボールを地面に置いて動かさない状態で、またぐ動作を繰り返しますよね。

だから足を振り回すようなシザースになってしまうのです(ブラジルではボールを動かしながら練習させる)。

つまり、何度もくどいようですが足だけの動きではフェイントにはなりません。

上半身を使ってこそ本当のフェイント(ボディフェイク⇒上半身も使う)になるのです。

だからこそ、ブラジル人はシザースやステップオーバーはもちろんですが、あらゆるフェイントが上手くなるわけですね。

いずれにしても、日本でのステップオーバーのやり方では単にまたぐだけでフェイントになっていなかったり、動き出しが遅いという問題点があります。

要するに、日本人のステップオーバーは間違いだらけ…ということです。

あなたもそうならないために、ぜひ正しいステップオーバーを覚えましょう。

さて、それでは次に海外の正しいステップオーバーのやり方を解説しましょう。

(3)海外のステップオーバーと1つ目のコツ

① ステップオーバーの1つ目のコツ

海外のステップオーバーは、ボディフェイクが必要と考えられているため、上半身と下半身が連動した、速くて大きなフェイントになっています。

次の動画を見ても、先ほどの日本人とは違ったダイナミックな動きの様子が分かりますよね。

また、次の画像では、ステップオーバーのコツが隠されています。

最初に、①と②の関係では、①で体幹(上半身)を大きくひねり、②で腰(下半身)をひねってボールをまたぎます。

次に、③と④の関係では、③で体幹(上半身)を大きくひねり、④で腰(下半身)をひねってドリブルを再開します。

つまり、①と③のように、体幹を大きくひねるのが一つ目のコツなのです。

特に、日本人のように足を少し動かした程度のステップオーバーと比べると、その違いが分かると思います。

また、②と④では腰をひねるというよりも、実際には①と③で体幹を大きくひねる動きに連動するので、自分で動かそうとしなくても勝手に動いてしまいます。

その理由は、体幹をひねることによって、上半身と下半身の筋肉に伸張反射が起きるからです。

② 筋肉の伸張反射

筋肉の伸張反射とは、筋肉を急激に伸ばした時に、ゴムと同じように縮もうとする反射運動で、反射神経(例:熱い物を触った時にすぐに手を離すなど)と同じように、とても速い作用があります。

※詳しくは次の記事をお読みください。
伸張反射でサッカーのプレーが劇的に改善!最新理論で解明

例えば、次の画像はボールをまたぐ前後の動きですが、①では、腕(上腕筋)、胸(大胸筋)、腹(腹斜筋、腸腰筋)、太もも(大腿四頭筋)などが伸ばされています。

これに対して、②では、これらの筋肉が急激に縮んでいます。

また、③でも腕、胸、腹、太ももなどの筋肉が急激に伸ばされ、④では縮んでいます。

つまり、こうした伸張反射を使うことによって、体幹のひねり(筋肉を伸ばす)が、即座に腰のひねりに伝わるということで、筋肉に力を入れて動かすよりも、格段に速く動けるのです。

簡単に言えば、上半身(体幹ひねり)を使うと、下半身(足腰)も速く動かせるということですね。

伸張反射を使う時の注意点としては、全身のリラックスと、体を大きく動かすことが必要です。

なぜリラックスが必要なのか?というと、筋肉をゴムのように使って伸張反射を起こすからです(筋肉に力を入れたら硬いゴムのようになって動けなくなる)。

また、体を大きく動かすのは、ゴムを大きく伸ばして「パチン!」と縮ませるように、筋肉を急激に伸ばすためです。

なお、体を大きく動かすという点で、正しいステップオーバーには、またぐ直前の動作にも一つの特徴があります。

② またぎ方の違い

足だけで小さくまたぐ間違ったステップオーバーは、またぐ直前に軸足(左足)をボールの後ろに置いています。

これに対して正しいステップオーバーは、軸足(軸足)をボールの横に置いています。

両方の特徴を比較すると、またぎが小さい場合は1回だけのフェイントになりますが、またぎが大きい場合は左右2回分のフェイントになるのです。

それでは、またぎが小さいのを無理矢理大きくしようとすると、どうなると思いますか?

実は、またぎ終えると足からボールが離れてしまうので、相手に奪われやすくなるのです。

しかも、フェイントは相変わらず1回のままですよね。

このように、無理矢理大きくまたいで足からボールが離れるのは、少年サッカーの試合ではよく起きます。

こうした点にも注意が必要ですね。

さて、それでは次にステップオーバーの2つ目のコツについて解説します。

(4)ステップオーバーの2つ目のコツ

ステップオーバーの2つ目のコツとして、特に注意してほしいのが、またぎ終えた後の動き出しです。

足だけで小さくまたぐステップオーバーは、いったん姿勢を低くしてから動き出しています(またぐ⇒低くなる⇒動き出す)。

これに対して正しいステップオーバーは、またぎ終えた時に姿勢が低くいので、ドリブル再開の動き出しがとても速いのです。

でも、もっと動き出しを速くする方法があります。

そこで、私の息子「とも」のステップオーバーの動作解析をしてみましょう。

次の画像のとおり、「とも」のステップオーバーの②・Aと③・Bの関係では、体幹を大きくひねってボールをまたぎ、③・Cと⑤・Dの関係では、体幹を大きくひねってドリブルを再開します。

ここまでは、海外の正しいステップオーバーに見られる「体幹を大きくひねる(筋肉の伸張反射を活かす)」という一つ目のコツをそのまま使っていますね。

これに対して、またぎ終えてからのドリブル再開の動き出しを速くするために、④から⑥にかけて背骨のバネ作用も使っています。

このように「背骨のバネ作用を使う」のが、2つ目のコツです。

バネ作用とは、背骨を板バネのように使うことです(縮めて伸ばす)。

先ほどの画像であれば、③~④でバネを縮め、⑤~⑥で伸びる(縮めた後の反発)時の反射作用を使って、速く動き出すわけですね。

ここで、ステップオーバーの2つのコツをまとめると、

1つ目は、体幹を大きくひねる。
2つ目は、背骨のバネ作用を使う。

この2つの動作を覚えると、フェイントが大きくなって、とても速いステップオーバーになります。

こうした考え方はスポーツ科学の定説なので、ぜひ覚えましょう。

さて、次は、ステップオーバーの2つのコツである、「体幹を大きくひねる」「背骨のバネ作用を使う」ための練習法について解説します。

2.ステップオーバーの練習法

(1)体幹を大きくひねる

体幹をひねる動作を覚えると、上半身と下半身が連動するので、ステップオーバーがとても速くなります。

また体幹ひねりは、いろいろなドリブル(突破のドリブルやターンなど)に応用できるので、ぜひ覚えましょう。

練習方法は簡単で、次の動画のように、全身をリラックスさせて上半身と下半身を交互にひねるだけです。

ただし、筋肉の伸張反射を活かすためにも、次の画像のように、①・A1(上半身をひねる)と②・A2(下半身をひねる)というように、上半身が先行して下半身が連動するというイメージを持ちましょう。

もちろん、あまり意識し過ぎるとぎこちなくなるので、最初のうちは上半身と下半身を交互にひねるだけでも結構です(慣れて来たら上半身先行→下半身連動のイメージを持つ)。

(2)背骨のバネ作用を使う

背骨のバネ作用を覚えると、またぎ終えた後の動き出しが速くなります。

背骨のバネ作用の練習では、次の動画に出てくる「ワップダウン(背骨を縮める)」と「ワップアップ(背骨を伸ばす)」の動きを覚えてください。

※ワップダウンは1:10~、ワップアップは0:58~のシーンをご覧ください。

この二つの動きは、ヒップホップダンスの背骨の伸び縮み動作から来たものですが、海外のサッカー選手は、いろいろなドリブルやキックにも応用しているので、ぜひ練習しましょう。

動画では一本歯下駄を履いていますが、この動きはふつうのクツを履いて練習しても効果があります。

さて、次はステップオーバーの応用として、とても関係の深いシザースとのコンビネーション、リベリーノターン、オコチャダンスについて解説します。

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3.ステップオーバーの応用

(1)シザースとのコンビネーション

シザースとステップオーバーは、両方ともまたぎフェイントになりますが、日本では外から内にまたぐのか?内から外にまたぐのか?だけの違いと考えられています。

でも、この考えは大きな間違いで、両方の動作は全く違います。

シザースの特徴は、
①肩甲骨の回旋運動を使う。
②筋肉の伸張反射を使う。

ステップオーバーは、
①体幹を大きくひねる。
②背骨のバネ作用を使う。

このようにして両方の動きを正しく覚えると、シザースとステップオーバーのコンビネーションのフェイントが出来るようになります。

この2つの組み合わせはとても相性が良く、実際の試合でも使えますし、海外のプロたちも良く使います。

また、コーディネーショントレーニングの変換能力(状況に応じて動作を切り替える)や連結能力(全身を円滑に動かす)の養成にも役立つので、ぜひふだんのトレーニングに取り入れてください。

※シザースのやり方を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
サッカーの高速・連続シザースの2つのコツ!練習法も公開

(2)リベリーノターン

リベリーノターンは、ボールキープで相手を背負った状態から反転するテクニックです。

やり方としては、先ず相手を背負った状態から、体幹ひねりとワップダウンを使ってフェイントをします(動画の0:26~0:35)。

次にワップアップと体幹ひねりを使って反転して戻ります(動画の0:35~0:43)。

ステップオーバーに必要な体幹ひねりとワップダウン・ワップアップの動きを覚えると、リベリーノターンが簡単に出来るようになるので、ぜひ練習してみてください。

ちなみに、日本人によくありがちな足だけを使うリベリーノターンは、フェイントや反転動作が遅くなるだけなのでマネはしない方が良いでしょう。

(3)オコチャダンス

ジェイジェイ・オコチャのオコチャダンスは、ステップオーバーの応用としてよく知られています。

ところがフェイントの効果がほとんどないという意外な欠点があるので、次に詳しく解説します。

特にオコチャの前にいる相手DFの動きに注目してください。

たぶんお気付きだと思いますが、オコチャダンスのフェイントの動きは、相手に丸見えになっています。

これはどういうことかと言うと、相手の目の前でボールをさらすので、ボールの行き先が分かってしまうということですね。

このように相手の目の前でボールをさらすのは、フェイントを全く使わないで相手を抜こうとするのと同じです。

それでも相手を振り切ってしまうのは、オコチャの身体能力が高いからです。

オコチャダンスは使えるフェイント…などとよく言われますが、これは大きな間違いで、オコチャだからこそ使えるテクニックなのです。

やはり子供たちは、ステップオーバーとアウトサイドのシンプルな抜き方を覚えた方が良いでしょう。

4.まとめ

これまで解説したステップオーバーのコツは、次の2つです。

①体幹を大きくひねる。
②背骨のバネ作用を使う。

これに対して、ほとんどの日本人は足だけを使うので、フェイントが小さく、動きも遅いため、こうした間違ったやり方は真似をしないようにしましょう。

さらに、オコチャダンスは意外とフェイントの効果がないことも覚えてください。

いずれにしても、ステップオーバーは、シザースとのコンビネーションや、リベリーノターンにも応用できるので、本当に使えるテクニックです。

ぜひ日本の子供たちには、正しいステップオーバーを覚えてほしいと願っています。

【画像引用:Youtube】