ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

キックで足首を固定…と言う前に、やるべき大切なこと!

日本ではキックの時に足首を固定するように言いますが、実はこれを続けると捻挫を起こしやすくなります。

そこで、今回は子供の足首を守るために本当に大切なことを解説します。

※この記事は2つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。

1ページ目(このページに書いてあります)
【日本のキックの指導と子供の足首】
【日本とブラジルの子供たちの違い】

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【足首のトレーニング法】
【まとめ】

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【日本のキックの指導と子供の足首】

(1)キックの衝撃と足首

キックで足首を固定する理由は、インパクトの瞬間にミートポイントを外さないため…とか、パワーを発揮するため…などとされています。

そうすると当たり前のように思えるので、こうした指導に何の疑問も持たない親御さんは多いでしょう。

ところが、こうした指導は大きな問題があります。

例えばインステップキックの場合は、足首を伸ばして固定するように教わりますよね。

でも、このようにすると足首がボールに衝突しているのと同じなので、関節に大きな負担がかかるのです(小学校高学年であれば時速70~80㎞のスピードで衝突)。

さらに、足首を固定すると靱帯が過度な緊張状態になるので、キックの衝撃をまともに受けることになります(衝撃を緩和できない)。

この場合、足周りの筋力やじん帯が発達している子供であれば、何の問題もないでしょう。

でも、サッカーをする子供たち全員がそうではありません。

特に問題なのが、足首の弱い子供たちが、いつまで衝撃に耐えられるのか?ということですね。

しかも長い間こうした蹴り方を続けると、捻挫などのケガの危険性が高くなります。

そこで、次に足首のケガの問題について、詳しく考えてみましょう。

(2)足首のケガの問題

足首の弱い子供が、キックによってケガをする場合に、最も多いのは靱帯の損傷(捻挫)です。

特に小学校低学年なら、いっそう危険性が高いでしょう。

こうした場合、靱帯はコラーゲンが主成分なので、筋肉(タンパク質)のように鍛えて補強をすることは出来ません。

だから、自然な成長と発達を待つしかないのです。

でも、足首の筋トレをすれば靱帯も発達するので、足首への過度な負担を軽減できます(筋肉が成長すれば靱帯も太くなる)。

ところが育成年代の指導では、足首の筋肉を強化するような練習はほとんどないので、靱帯が未熟なまま成長します。

もちろん走り込みくらいはするでしょうが、その程度では足首周りの補強は期待できません。

要するに、日本のサッカー指導は、足首周りの筋肉を鍛えて靱帯も発達させるという発想がないのです。

そうした意味で、子供たちはいつも足首のケガの危険性を抱えていると言えるでしょう。

私が思うに、幼少期の子供がキックの練習を始める場合は、あらかじめ足首の筋力強化をするのが重要だと考えます。

例えば次の動画のように足首を伸ばして固定しながらインステップキックを蹴る…という練習は、幼少期の子供に「捻挫をしましょうね…」と言っているようなものです。

特に幼少期の子供にとって、いきなりこのような指導をするのは危険なので、やはり最初に足首の筋トレをやるべきだと思います。

そこで、次に足首の筋トレとその効果について解説します。

(3)足首の筋トレと効果

①筋トレの必要性

私の息子「とも」は、小学校一年生のころに何度も足首を捻挫しました。

特に内側に捻ることが多く、また典型的な偏平足だったので、足底筋膜炎やカカトの痛みもありました。

でも、後述するトレーニングを続けたところ、今では何ともありません。

ふつう、成長期の子供には筋トレは必要ないとされますが、サッカー、野球、テニスなどの専門的なスポーツをする場合は必要最低限の筋力が必要です。

そうした意味で、キックをする時の衝撃に対し、あらかじめ足首を鍛えるのは当たり前のことなのです。

つまり、何もしないでボールを蹴るから捻挫をするわけですね。

別の言い方をすれば、姿勢の悪い子に「背筋をピンと伸ばして姿勢を良くしなさい!」というのは、背中の筋トレをしているようなものでしょ?

だから、筋トレは絶対にダメ!というわけではないのです。

そうした意味では、子供にとっての必要最低限の筋トレは必ずやるべきです。

②筋肉の連動性

足首の筋トレで大切なのは、筋肉の連動性を意識することです。

筋肉の連動性とは、特定の部位を動かすとその周辺の筋肉が無意識に動くということです。

例えば、足の指を動かすと周辺の筋肉がピクピクと反応しますよね。

その場合、スネやふくらはぎまで反応していたら、その子の足首はかなり強いですが、何も感じなかったらボールを蹴った時に捻挫をしやすいはずです。

つまり、そういう子は足首周辺の筋肉が未熟なので、やはり筋トレが必要だということですね。

その場合、足の指からスネ・ふくらはぎ(出来れば太ももくらい)までの筋肉をまんべんなくトレーニングするのが理想的です。

※トレーニングの方法は後述します。

③筋トレの効果

私の息子「とも」は、後述する足首の筋トレを小学校二年生の頃から続けていますが、その結果、次のような効果がありました。

・足首周りの筋肉が発達し、くるぶしを覆うような太さになった。
・足の甲が盛り上がって土踏まずが深くなった。
・指の間が広がって筋が浮き上がり、グリップ力が強くなった。
・ふくらはぎが太くなり、アキレス腱が発達した。
・足首を内側や外側に急激に捻っても捻挫をするようなことが全くない。

これによって、いくら強いキックを蹴っても、足首には何の問題もありません。

そればかりではなく、土踏まずが発達したことから、足のアーチ(縦アーチ)のバネ作用を使えるようになりました。

これは、例えばインステップキックを蹴る時に足のアーチを板バネのように使うということであって、これによりキック力がパワーアップしたということですね。

キック力をアップする方法はいろいろありますが、足首のトレーニングによる強化は意外と見落とされがちなので、ぜひ後述のトレーニング法を参考にしてください。

ちなみに、サッカー大国のブラジルで育った子供たちの足周りの筋力はかなり発達しています。

そこで次に、日本とブラジルの子供たちの違いを解説します。

【日本とブラジルの子供たちの違い】

(1)ブラジルの指導

私は30年前にブラジル・サンパウロのサッカークラブでジュニアとジュニアユースのアシスタントコーチをしていました。

その時のキックの指導は、子供がよほどおかしな蹴り方をしていない限り、細かい事には口出しをしません。

だから、日本でよくありがちな「キックする時は足首を固定する…」という指導はないのです。

これは子供たちの主体性を尊重している…という意味ではありません。

ブラジルの子供たちはもともと足首が強いので、キックの時に固定するように指導する必要がないのです。

しかもキックの衝撃に平気で耐えられるので、捻挫などのケガはほとんどありません。

これは何を意味するのか?と言うと、例えばあなたが2~3㎏の物を持ってヒジを水平に伸ばして固定するとよく分かります。

腕の筋力がある人なら、そのままでも10分くらいは何ともないでしょうが、華奢な人であれば2~3分も耐えられません。

これはひとえに筋力があるかどうかの問題です。

実は、キックする時に足首を固定する…というのも、これと同じで、もともと筋力が強いか?どうか?の問題なのです。

つまり、キックの時に足首を固定するのは、わざわざ指導するものではなく、無意識で固定出来るだけの筋力を身に付けるのが、まず最初にやるべきことなのです。

このように、ブラジルの子供たちの足首が強いのは、実は生活習慣に特徴があると思います。

(2)ブラジルと日本の子供たち

ブラジルの子供たちは日常生活を裸足で過ごすので、外に出かける時は通学の時もサンダルを履くことが多く、ストリートサッカーなども裸足で遊んだりします。

そうすると足の指のグリップ力が強くなり、足底筋膜、土踏まず、ふくらはぎ、スネなどの筋肉も自然と発達し、その結果、足首が強くなるのです。

つまり、ブラジルの子供たちは自然と足首が鍛えられるような生活を過ごしているわけですね。

それに比べて日本の子供たちは、日常生活の中で裸足になる機会がほとんどありません。

家の中では靴下を履いたままですし、外出する時もクツを履きます。

また、サッカーをする時はスパイクやトレーニングシューズを履いて練習しますよね。

そうなると足首は貧弱で、モデル並みに「キュッ」と細くなるのです。

たしかに見た目はカッコ良いでしょうが、まるで蚊トンボのように貧弱なので、これではキックをする時の衝撃には耐えられません。

要するに、日本の子供たちは、日常生活の中で足首を鍛えるような習慣がないのです。

だから、キックの時は足首を固定する…と言う前に、ケガを防ぐための必要最低限の筋トレが必要ではないか?と思います。

※ブラジルと日本の子供たちの違いを詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
サッカーは裸足で上手くなる!ブラジルと日本の子供達の違い
ボールの蹴り方には正解はない!ブラジルと日本サッカーの違い

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さて次は、足首のトレーニング法について解説します。

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