③腸腰筋トレーニング
練習の目的
腸腰筋は、小腰筋、大腰筋、腸骨筋の総称で、3つの筋肉が1つにまとまり、みぞおち辺りから股関節まで繋がった体幹の筋肉です。
また、股関節から下に大腿四頭筋などの足の筋肉がありますが、この部分の筋肉と腸腰筋の連動がとても大切です。
この場合の腸腰筋と足の筋肉の連動には、二つの意味があります。
一つ目は、腸腰筋と足の筋肉が一本の筋肉のように動くため、股下が80㎝の人に15㎝の腸腰筋を足したのと同じで、足が長くなったように使えます。
二つ目は、腸腰筋と足の筋肉が連動すると、バックスイングの時に大腿四頭筋と合わせて腸腰筋も伸びるので、筋肉の伸張反射の範囲が広くなって、パワーアップします。
そうすると、2つの効果によってキックのスイングが、さらに大きく速くなるわけです。
これに対して、腸腰筋の未熟な人は、大腿四頭筋しか働かないので、足の筋肉だけに頼ったキックになってしまいます。
練習方法
トレーニングのやり方は、次の動画のとおり三種類です。
・前方ジャンプ
・片足ジャンプ
・立ち腹筋
注意点
三種類のメニューとも体への負荷が大きいので、一日あたり5~6回から始めましょう。
また、対象年齢は10歳以上か小学校3年生からにしてください。
小学校低学年(小学二年生以下)は、次の動画の要領で、片方の足を脱力して、腸腰筋を使って後ろに反らす動的ストレッチを繰り返してください。
筋トレの前段階として、筋肉や骨格を刺激するのが狙いです。
もしも低学年の子供が、こうした練習をしないで、いきなり前方ジャンプ、片足ジャンプ、立ち腹筋などのトレーニングをすると、肉離れなどを起こす危険性があるので注意してください。
④軸足と体幹の強化
練習の目的
キックのスイングが速くなると、それに比例して遠心力も大きくなります。
また、その際の遠心力は軸足と体幹できちんと支えないと、体がグラグラしてキックが不安定になります。
この場合、日本では体幹トレーニングはしても、軸足を鍛えるという発想がほとんどないのでプロになっても軸が弱い選手が多いです。
練習方法
次の動画のように「ちょんちょんリフティング」をたくさん練習しましょう。
このリフティングは単なる筋トレよりも極めて効果が高いです。
しかも回数に比例してキックの飛距離や強さが目に見えて伸びて来ます。
そうした意味で、今回ご紹介する練習法の中では、最も即効性が高いメニューだと思います。
先ずは1000回連続を目指しましょう(「とも」は毎日5000回以上)。
先ほども解説しましたが、「とも」のキック力がアップした最大の要因は、前述の筋肉の伸張反射と体のバネ作用とともに、この「ちょんちょんリフティング」をたくさん練習したからです。
注意点
ちょんちょんリフティングを練習する時は、先ほどの「①ハムストリングスの強化」で解説したように、背骨、背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎを意識してください。
そうすると、体の後ろ側の筋肉も自然と強化されます。
もしも、ちょんちょんリフティングを練習した後で、大腿四頭筋、足の付け根の前、鼠蹊部が筋肉痛になったとしたら、体の後ろ側の筋肉を使っていない証拠なので、ご注意ください。
⑤足首と足指の強化
練習の目的
足首と足指の強化の目的は三つあります。
一つ目は、足首を強くして、キックのインパクトの衝撃に耐えられるようにすることです。
日本ではキックの時に足首を固定するようによく言われますが、ほとんどの子供は足首が弱いので素直に固定して蹴っていたら捻挫を起こしやすいと思います。
むしろ無理に足首を固定して蹴るのではなく、自然と固定できるだけの筋力強化を優先するべきです。
二つ目は、足指のグリップを強くして、軸足を安定させることです。
これは、先ほどの「ちょんちょんリフティング」との複合的な効果を狙ったものですね。
三つ目は、土踏まずのアーチを発達させて、蹴り足のバネ作用を発揮することです。
これにより土踏まずのアーチ構造が板バネのように使えるようになるので、キック力がさらにアップします。
練習方法
次の動画で実演しているように、足指グーパーと足指スリスリで足回りの強化をしましょう。
また、指と一緒にリスフラン関節(足の甲の中心辺り)を動かすことで、スネ、ふくらはぎ、指のグリップ、土踏まずなどを広範囲に強化することが出来ます。
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(3)ストレッチ
①目的
ストレッチは、体の柔軟性を高めることやケガの防止だけが目的ではありません。
筋肉の伸張反射やバネ作用を促すためにも必要です。
特にサッカーの練習の前後や入浴後に行うと効果的ですね。
②やり方
体の前側
腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋、大胸筋、腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋
体の後ろ側
背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎ
さて次は、5.練習の成果について解説します。
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