ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

膝抜きでサッカーのプレーが劇的に改善!【練習法も解説】

膝抜きは、サッカーのプレーで、素早く動いたり、スムーズに止まったり、急激に方向転換する時などに使える、とても大切な技術です。

特にサッカーの上手い選手は、必ずと言って良いほど身に付けているテクニックですね。

そこで今回は、膝抜きの練習法やサッカーのプレーにどのように活かされているのか?という点について、詳しく解説します。

※この記事は3つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。

1ページ目(このページに書いてあります)
【膝抜きとは何か?】

2ページ目(←クリック!)
【膝抜きの練習法】

3ページ目(←クリック!)
【膝抜きをサッカーに活かす】
(1)ドリブルの切り返しと方向転換

4ページ目(←クリック!)
(2)フェイント動作
【まとめ】

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【膝抜きとは何か?】

(1)膝抜きとサッカーの関係

膝抜きは古武術に由来しますが、最近ではサッカー、バスケットボール、陸上競技など、走力を必要とするスポーツに広く普及しています。

ところが日本のサッカー指導者の多くは、未だに「サッカーは足でやるもの…」という考えが蔓延していることから、下半身の筋力に頼ったテクニックを教えるケースが多いですね。

その場合、上半身と下半身の体重比は6対4で上半身の方が重たいため、足だけを使うのは、重たい上半身をリュックサックのように背負って一生懸命プレーするようなものです。

これでは、サッカーのプレーのパフォーマンスが落ちますし、腰、股関節、膝、足首などの負担が大きいのでケガの危険も高くなります。

そもそもヒトの筋出力(自分の筋肉が持つパワー)を最大限に発揮するためには、全身のリラックスが必要です。

また、そうすることによる副産物として、関節や筋肉の過度な負担を軽減できるのです。

そうした点で、膝抜きはサッカーのパワーフォーマンスが格段にアップする一方で、関節や筋肉の負担もほとんどないことから、特に小中学生の育成年代ではぜひ身に付けてほしい技術ですね。

(2)膝抜きのやり方

ここでは、サッカーの試合中に最も多い、立っている状態から走り出す時の膝抜きを例に解説します。

次の動画は古武術の例ですが、基本的な動作はサッカーと同じなのでぜひご覧ください。

①膝抜きをしない走り方

膝抜きをしないで走る時は、後ろ足で地面を蹴ってスタートします。

この走り方ではたしかに地面反力を得られるので、いちおう前に向かう推進力が出ますが、足腰の筋力に頼った走り方なので、スピードとパワーが筋肉量に左右されます。

そうすると、筋力の乏しい子供たちは速く走ることが出来ません。

また先ほども解説したとおり、上半身が重りのようになるため、下半身の負担が大きくなり、かえってスピードが落ちるのです。

さて次は、膝抜きを使った走り方について解説します。

②膝抜きを使った走り方

膝抜きを使った走り方は、筋力とはほぼ関係なくスピードとパワーを発揮出来ます。

ところが意外と多くの方が勘違いされていることがあり、それは単に膝の力を抜くだけ…と考えていることですね。

実は効果的な走り方をするためには、いくつかの関連動作を併用する必要があります。

特に重要なことは3つです。

膝抜きは股関節も同時に抜く

膝抜きは股関節も同時に抜きましょう。

その理由は、ヒトの膝の動きが股関節と連動するからです。

その場合、股関節の脱力が不十分であると、いくら膝を抜いても上手く走れません。

重力落下と重心移動

膝と股関節を同時に抜くと、無意識かつ反射的にしゃがみ込もうとします。

こうした動作を重力落下と言いますが、ちょうど「ひざかっくん」のような感じですね。

その時、体を前に倒しながら、片方の足を前に出してください。

そうすると簡単に重心移動が出来るので、自然な一歩が踏み出せます。

つまり重力落下によって体が沈むエネルギーを、重心移動によって前に向かう推進力に変えてしまうわけですね。

これは膝抜きをしないふつうの走り方とは全く違い、足の筋肉に頼らないので、特に小中学生年代のサッカー選手にはおススメです。

一歩目の着地でも膝抜き

走り出しで一歩目の足が着地する時は、もう一度膝抜きをしましょう。

この時に地面を蹴ろうとして膝を踏み込んでしまうと、体にブレーキが掛かってしまいます。

そうすると、前に向かう推進力が落ちてしまうのです。

これは、意外と起こりやすい間違いなので注意してください。

ちなみに、この膝抜きは走り出しの動作だけではなく、中間走でも使えます。

例として、私の息子「とも」の走り方を見てみましょう。

次の動画は小学5年生の時のリレーの様子です。

「とも」の膝抜きを解析すると次のとおりです。

① 左足が着地。
② 着地と同時に膝抜き。
③ 重力落下と重心移動によって体が前に進む。

※足が地面に着地する時は常に膝抜きをしています。

お気付きかも知れませんが、「とも」の走り方を見ると頭の上下動が全くありませんよね。

これは重力落下と重心移動を上手く利用しているからです。

地面を蹴って頑張って走るというのではなく、長距離走のようにリラックスしながら、まるでボールが弾むような弾力性のある走り方をしているわけですね。

これに対して、よくありがちな頭の上下動が起きる原因は、着地と同時に地面を強く蹴り過ぎるからです。

たしかに地面反力は得られますが、過度に地面を蹴り過ぎると体が上下動して前に向かう推進力をロスしてしまいます。

また地面を強く蹴るという点では、一時期流行った「ポン・ピュン走法」も地面反力を利用した走り方ですね。

これも良い面はあるでしょうが、基本的には大腿四頭筋の筋力に頼った走り方です。

それなりに速くはなるでしょうが、私としては筋力に頼った走り方はおススメ出来ません。

なぜなら、筋力に頼った走り方では疲労が起きるため、後半になるとスピードが落ちてしまうからです。

また、サッカーの試合中も短距離ダッシュを繰り返すので、やはり試合の後半に疲労が溜まって足が止まる原因になります。

そうした点でも、筋力に頼らないで走れる膝抜きをぜひ覚えましょう。

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さて次は、膝抜きを身に付けるための練習法を解説します。

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