【無回転シュートの蹴り方】
(1)足の当てる場所
無回転シュートを蹴る時の足の場所は、一般的にはくるぶしの下か横またはインサイドとされています。
この場合、インパクトの瞬間にボールの中心軸をきちんと捉え、上下左右に蹴り足が動かずに正確にボールを押し出せるのであれば、どこで蹴っても構いません。
私の息子の場合はくるぶしの近くで蹴っていますが、この場所はインステップキックのミートポイントにもなっています。
この場所は本人がコントロールしやすいポイントなので、息子の感覚を尊重しています。
そもそも足の形は人それぞれですし、身長や脚の長さも違います。
そうした意味でサッカーの蹴り方には正解がないので、自分の蹴りやすい場所で蹴るのがいちばん良いと思います。
だから自分に合った場所で蹴りましょう。
(2)ボールの当てる場所とスイング軌道
ふつうボールの当てる場所は中心より少し下…と言われていますが、それでは大雑把過ぎです。
この場合に大切なのはボールの放射角を意識することです。
放射角とは、地面に対してどのくらいの角度で蹴れば良いのか?ということです。
この場合、これまで何度も「インパクトの瞬間にボールの中心軸をきちんと捉え、上下左右に蹴り足が動かずに正確にボールを押し出すのが大切…」と解説しましたよね。
そうすると、ボールのどの場所を蹴るのか?を考える時も、この放射角を意識しないと意味がありません。
なぜならボールを押し出す時にほんの僅かでもスイングの放射角がずれると、中心軸を捉えられませんし、ボールに上下左右の回転が掛かってしまう可能性があるからです。
つまりボールの当てる場所はどこか?という安直な考えではなく、インパクトの瞬間(ボールに当たる瞬間)の放射角が30度であれば、スイング軌道も30度を維持するという考えが先に来ないとおかしいわけですね。
そのうえで始めてボールの中心から1㎝下が良いとか、2㎝下が良いとかの発想が出て来るのです。
そうした意味で単にボールの中心から少し下というのではなく、先ずは放射角とスイング軌道を意識したうえで、中心から何㎝下が良いのか?という考えを持ちましょう。
ちなみに私の息子はゴールまでの距離に応じて、20mなら中心から1㎝下、30mなら1.5㎝下というように細かく分けていますが、最終的には本人が練習によって体得した独自の感覚を持っているようです。
そうした意味では何度も蹴ってみて、自分が良いと思える場所を決めましょう。
(3)キックフォーム
①助走
助走については、次の①~②のようにインパクト直前の踏込みを大きくすることが重要です。
その理由は③でバックスイングを大きくして背骨を反らす(板バネのように伸ばす)ためです。
これによって④~⑥まで背骨のバネが反発(縮む)する時に、スイングのスピードとパワーが得られるのです(同時に筋肉の伸張反射が起きますが、詳細は後述します)。
これに対して先ほどクリスチアーノ・ロナウドのつま先立ちの助走を解説しましたが、くれぐれも日本人に彼の真似は出来ないので止めた方が良いでしょう。
また助走に入る角度はインステップキックやインフロントキックと同じように斜めから入れば良いので、自分のやりやすさを考えましょう。
そもそも人によって足の長さや身長が違うので、どのくらいの角度とか何歩で…というのも、特に決まったものはありません。
さらに無回転シュートのインパクトまでのキックフォームは、他の種類のキックと比べるとほとんど変わらないので、それほど難しく考える必要はないのです。
②押し出すように蹴る
これは先ほどの連続写真の④~⑤を見ると分かりますが、インパクトの瞬間(ボールに当たる瞬間)の放射角と、押し出す時のスイング軌道を維持するのが大切です。
ここが上手くいかないと無回転にはなりません。
これは、たぶん多くの方が失敗する原因になっていると思います。
そうした意味では、単に押し出せば良い…というのではなく、放射角も意識して蹴るようにしましょう。
(4)キック力を付ける
無回転シュートでブレ球を蹴るためには、キック力を付けるのが大切です。
その場合、全身を使った蹴り方を覚えましょう。
また練習方法としては、「スイングスピードを速くする」「筋トレ」「ストレッチ」などになります。
このうちスイングスピードを速くするためには、
① 足の重さと遠心力を使う
② バックスイングを大きくする
③ キックの素振り
④ 筋肉の伸張反射と体のバネ作用
筋トレについては、
① ハムストリングスの強化
② 骨盤前傾トレーニング
③ 腸腰筋トレーニング
④ 軸足と体幹の強化
⑤ 足首と足指の強化
ストレッチについては筋肉の伸張反射と体のバネ作用を起こしやすくするために、体の前と後ろを入念に行ってください。
体の前側:腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋、大胸筋、腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋
体の後ろ側:背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎ
※キック力を付けるための詳しい練習方法は次の記事で解説しています。
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【まとめ】
これまで無回転シュートの蹴り方をいろいろと解説しました。
特に無回転シュートの仕組みとして次の4つをきちんと理解しましょう。
(1)ブレ玉になる仕組み
(2)GKがブレ球をセーブし難い理由
(3)キックの仕組み
(4)蹴り方の誤解
そのうえで正しい蹴り方として次の3つも覚えましょう。
(1)足の当てる場所
(2)ボールの当てる場所とスイング軌道
(3)キックフォーム
さらに無回転シュートでブレ球を蹴るためにはキック力も必要なので、ぜひキック力を付ける練習もしてください。
ぜひ日本の多くの子供たちが無回転シュートを蹴れるよう願っています。