ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

ラダートレーニングをサッカーに活かす5つのポイントとタニラダーの効果

ラダートレーニングは、SAQ(スピード、アジリティ、クイックネス)を高めるための練習法として、おなじみですよね。

でも、このトレーニングをサッカーに活かすために注意したいポイントが、5つあるのをご存知ですか?

その一方で、最近ではサッカーに効果的なタニラダーが注目されており、Jリーグのクラブにも導入されて、とても評価が高いようです。

そこで、今回はラダートレーニングをサッカーに活かすために注意したい5つのポイント、タニラダーが評価される理由について詳しく解説します。

スポンサーリンク

1.ラダートレーニングの5つのポイント

ラダートレーニングをサッカーに活かすために注意したいのは、次の5つです。

(1)正しいステップ
(2)疲れた状態ではやらない
(3)上半身と下半身の連動
(4)基礎的な運動能力の有無
(5)サッカー専門のメニュー

そこで、この5つのポイントを順に解説します。

(1)正しいステップと動作

ラダートレーニングには数十種類のステップがありますが、単に真似するだけではかえって中途半端な動作になるだけです。

そこで、個々のステップが何の役に立つのか?そのための正しい動きは何なのか?という点をきちんと理解してから始めましょう。

特にありがちな間違いは、速くステップすることだけが重要と考えてしまい、同時に行うべき他の動作(例:腕振り、腰のひねりなど)が疎かになることです。

そうした意味では、最初は遅くても良いので正しいステップを覚えましょう。

例えばクイックランは、サッカーの試合中で特に多い5~10mの瞬間的な加速動作を身に付けるステップです。

そのため、立ち止まっている状態から加速して、一気にトップスピードになるという意識が必要です。

そうすると太ももを高く上げて、腕を速く振り、小刻みなステップを繰り返すことで、初めて効果が上がるわけですね。

こうした考え方は他のステップも同じで、例えば腰をひねる、腕を大きく振るなどの正しい動作が大切なのです。

また、自分のステップが本当に正しいのか?間違っているのか?を他の人に確認してもらうのも必要で、自己流に頼るのは絶対に止めましょう。

さらに特定のステップがどうしても苦手な場合は、ゆっくりとしたフォームから始めて、だんだんとスピードアップするのも良いと思います。

このように、正しいステップを覚えることで、初めてサッカーに活かせるのです。

(2)疲れた状態ではやらない

ラダートレーニングは、毎日練習するのと、週に1~2回まとめてやるのでは、どちらのペースが正しいと思いますか?

結論から言えばどちらでも良いですが、「疲れた状態でやらない」ことが大切です。

これは何かというと、先ほどの「正しいステップ」と関係しています。

そもそもヒトが何らかのテクニックやスキルを覚える時、その動作は体で覚えるのではなく、脳に新しい神経回路を作ることで記憶されるのです。

その場合、疲れた状態でラダートレーニングをしていたら、その動きは中途半端になりやすく、脳神経には間違ったステップが記憶されてしまいます。

そうすると、実際の試合では間違ったステップに基づいた動作が出てしまうので、プレーのパフォーマンスが低下するのです。

だから、疲労の少ないリフレッシュした状態でラダートレーニングをやりましょう。

なお、練習頻度の参考例は次のとおりです。

① 毎日練習する場合

毎日トレーニングをやる場合は、サッカーの練習を行う前のウォーミングアップ(疲労がない状態)として、セット数を出来るだけ少なくしてください。

例えば、先ほどのクイックランであれば、1日あたり3セットくらいで十分です。

また練習メニューは5~10種類以内に限定しましょう。

特に大切なのは、正しいステップを繰り返して脳神経の記憶を確かにすることなので、疲れるまで続けたり、サッカーの練習後にトレーニングをするのは止めた方が良いと思います。

② 週に1~2回練習する場合

週に1~2回トレーニングをやる場合は、正しいステップが身に付いていることが前提です。

その場合、一つ一つのメニューのセット数を増やすのではなく、メニューの種類を増やしましょう。

なぜなら、セット数を増やすと特定の骨格や筋肉を使い過ぎるため、疲労が起きやすく、しだいに正しいステップが出来なくなるからです。

そこで、例えばラン系のメニューだけを繰り返すのではなく、ツイスト系、ジャンプ系、バランス系などのいろいろなメニューを組み合わせ、出来るだけ特定の骨格や筋肉を繰り返して使わないようにしてください。

このような工夫をして、リフレッシュした状態を維持しながら練習するようにしましょう。

さて、次はラダートレーニングをサッカーに活かすために注意したいポイントの3つ目の「上半身と下半身の連動」です。

(3)上半身と下半身の連動

ラダートレーニングでSAQの能力を高くするためには、上半身と下半身を連動させた全身運動が必要です。

また、スポーツ科学の観点からも全身運動によって、パワーとスピードを発揮するのが定説になっています。

この場合、日本の少年団やクラブチームでよくありがちなのが、足だけのステップになってしまうことですね。

例えば、次の動画の最初に実演している少年は、上半身を全く動かさず足だけでステップしています。

この場合、上半身と下半身の体重比は6対4で上半身の方が重たいため、足の力だけで重たい上半身を背負って一生懸命頑張っているようなものです。

また、実演した少年のステップはとても素早く感じますが、実際には股関節、ヒザ、足首などにかなりの負担をかけています。

これではSAQの能力アップという以前に、慢性的なケガの危険性が高くなるでしょう。

特に日本人の体型は、文部科学省の学校保健調査によれば、身長は伸びたが座高も伸びているということで、戦前からの胴長短足傾向は変わっていません。

そうすると胴長短足では、どうしても低重心になるので、サッカーにおいても足だけを使った動作になりやすいのです。

そうした場合、先ほどの子供たちのような足だけを使ったラダートレーニングを繰り返すと、足だけでサッカーをするのが習慣化してしまいます。

特に育成年代でいったん習慣化してしまうと、大人になっても悪い状態が続くので、こうした指導は直ちに改善するべきでしょう。

これに対して、次の動画の0:36からのシーンでは、指導者が上半身と下半身を連動させた正しいお手本を見せています。

また、実演するほとんどの子供たちも、上半身と下半身が連動したステップを繰り返しているので、トレーニングの効果は高いと思います。

ちなみに、海外のトッププロたちは上半身と下半身を連動させた全身運動によって、サッカーのプレーのパフォーマンスを上げており、また高重心であるのも特徴の一つです。

次の動画の4:08からのシーンでは、タイツ先生がメッシの高重心の動作と全身運動によるバネ作用を解説しているので参考にしてください。

※体のバネ作用を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
体のバネでサッカーがレベルアップ!ドリブルやキックに効果抜群

(4)基礎的な身体能力の有無

ラダートレーニングをする時に意外と見過ごされがちなのが、子供の現在の基礎的な身体能力が適正なレベルにあるのか?ということです。

この基礎的な身体能力とは、自分の身体を思い通り動かすことが出来るか?どうか?という意味です。

特に、定位、変換、連結、識別、反応、リズム、バランスという7つの身体能力はとても大切で、サッカーなどの専門的なスポーツを始める前に養成しておくべきでしょう。

もしも、そうした能力が欠けている状態でラダートレーニングに取り組んでも、SAQ(スピード、アジリティ、クイックネス)が直ちに身に付くというわけではありません。

そもそもラダートレーニングのいろいろなステップは高度で専門的な動作なので、もしも基礎的な身体能力が低い状態で練習したとしたら、十分な効果は出せないはずです。

そればかりではなく、体が思い通り動かせないので、ケガの危険もあるでしょう。

もっと言えば、単なる真似事の練習で終わってしまうかも知れません。

この場合、昔の子供は幼少期から追いかけっこや鬼ごっこなどの遊びを通じて身体能力を高めていたので、大人になってもすぐにいろいろなスポーツに適応できています。

ところが最近の子供はあまり外遊びをしないので、基礎的な身体能力が低下しているため、そうした状態でいくらトレーニングをしても、たいして効果は上がりません。

つまり子供がラダートレーニングを始める前には、ある程度の身体能力を身に付けておく必要があるのです。

そうした点では、ラダートレーニングを始める前に、例えばコーディネーショントレーニングなどで身体能力をアップさせるなど、全身を思い通りに動かせる状態にしておくのが重要です。

また、他のスポーツとして、陸上競技、水泳、バスケットボール、バレーボール、テニスなど、出来るだけ全身を動かす競技を経験する必要もあります。

私のブログでおなじみの一本歯下駄トレーニングを練習しても良いでしょう。

そうすることで、本当の意味でラダートレーニングの効果が高まるのです。

さて、次はラダートレーニングをサッカーに活かすために注意したいポイントの5つ目の「サッカー専門のメニュー」です。

(5)サッカー専門のメニュー

サッカー選手がラダートレーニングをする場合、ドリブル、パス、オフザボールなど、実際のプレーの動作に特化した練習メニューを組むのが大切です。

この場合、ラダーのステップは多種多様で数十種類ものメニューがあるため、あれも…、これも…となって、いろいろなメニューが増えてしまうかも知れません。

これは良さそうなステップだ!と思って取り入れてみたら、実は野球用のメニューだった…ということもあるでしょう。

特に子供の練習に熱心なお父さんやお母さんたちは、Youtubeなどで調べたステップを何の疑問も持たずに取り入れていることもあるはずです。

つまり、単なる自己流ということですね。

そもそもラダートレーニングはきちんとしたスポーツ科学に基づいていますし、それほど簡単なものではありません。

これは笑い話のように思えますが、地方の少年団やクラブチームではよくありがちなことです。

その結果、サッカーにはそれほど必要のないステップまでも練習し、実際にトレーニングをしてみたら疲れただけだった…というケースもあるでしょう。

その反対に、速く走れるようになるなら何でも良いということで、2~3種類のメニューに限定して練習するケースもあると思います。

そうすると、それだけのステップでは明らかに練習不足で、例えば体を瞬時にひねったり、方向転換したり、ジャンプしたりなどのサッカー特有の動作のステップが不足するのです。

このように、ラダートレーニングのメニューが多すぎたり少なすぎたりというのは、実際の指導現場でもよく見られます。

なぜこのような状況になるのかといえば、それはひとえにサッカー指導者の不勉強が原因だと思います。

特にこうした指導者は慣例的に受け継がれたメニューを、何の疑問も持たずにひたすら子供たちに教えているだけなのです。

そうした意味では、ラダートレーニングのステップは、サッカーの動作に特化した練習メニューに再検討するのが大切です。

ところが、きちんとしたスポーツ科学を勉強していないこともあって、トレーニングの正しい方法をきちんと子供に教えられる指導者は少ないと思います。

そうした点では、指導者自身が成長することも必要ですね。

いずれにしてもラダートレーニングは、次の5つのポイントに注意して練習しましょう。

(1)正しいステップ
(2)疲れた状態ではやらない
(3)上半身と下半身の連動
(4)基礎的な運動能力の有無
(5)サッカー専門のメニュー

さて、最近はサッカーのいろいろな動きを高めることに特化した、タニラダーが注目されています。

これは先ほども解説した「サッカーのプレーに特化したメニュー」という点で、とても高い効果があるようです。

そこで次に、タニラダーにはどのような特徴や効果があるのか?と言う点を解説します。

スポンサーリンク

2.タニラダーの特徴と効果

(1)タニラダーとは

タニラダーは、元サッカー日本代表でフィジカルコーチの谷真一郎氏が開発したサッカー専用のラダートレーニングです。

特にスポーツ科学の理論に基づいて、サッカーのいろいろなプレーの動きを高めることに特化しています。

私の息子の「とも」はタニラダーを使って、小学四年生から週一回のトレーニングを続けており、一本歯下駄トレーニングも併用しているので、主なフィジカルトレーニングはこの二つだけです。

これまで使ってみて感じたタニラダーの特徴と効果は、次の3つの点が重要だと思います。

① 独特の4マスラダー。
② 体をリフレッシュした状態で練習。
③ サッカーの動作を追求したステップ。

そこで、次に3つの特徴と効果について順に解説します。

(2)3つの特徴と効果

① 独特の4マスラダー

タニラダーは4マスだけなので、ふつうのラダートレーニングのように同じステップを何度も繰り返しません。

その理由はサッカーの試合中、同じステップを何度も繰り返すような動作がないからです。

実際のところ、多くても2~3回のステップをして、次のステップへ移る…というように、次々と動作を切り替えます。

そうすると必然的に4マスで十分なのです。

別の言い方をすれば、最小限のトレーニングで最大限の効果を上げるというわけですね。

② 体をリフレッシュした状態で練習

タニラダーは、体がリフレッシュした状態で練習することを推奨していますが、その理由は、サッカーのプレーとインターバルの関係から来ています。

試合中に起きる1回あたりのプレー(ドリブル、パス、オフザボールなど)時間は、だいたい数秒から長くても1分くらいで終わります。

また、その後は歩いていたり立ち止まったりしているのでインターバルになりますが、こうした状況は選手にとってのリフレッシュの時間になるのです。

つまり、試合中は動いたり、止まったり(休んだり)を繰り返しているわけですね。

そうした意味で、ふつうのラダートレーニングのように同じステップを何度も繰り返すのは、単に選手を疲れさせるだけですし、実際の試合の状況とはかけ離れています。

また、同じステップを何度も繰り返すような疲れた状態では、正しいステップが身に付かないので、脳の記憶中枢には悪い動作を覚えてしいますよね。

だからこそ、タニラダーは体をリフレッシュした状態でトレーニングすることを大切にしているわけです。

③ サッカーの動作を追求したステップ

タニラダーはサッカーのプレー中の動作を追求した結果、大きく分けて、ラン系、ツイスト系、バランス系、ジャンプ系の4つのステップで構成しています。

ラン系は、足を速くする、ドリブルスピードをアップする。

ツイスト系は、素早いターンやフェイント、速く鋭いシュート、正確なセンタリング。

バランス系は、ボディバランスの強化、ケガのリスクの軽減。

ジャンプ系は、動き出しのスピードアップ、鋭い方向転換、ドリブルの切り替え。

以上のように、タニラダーはサッカーの実際の動作に特化したステップを身に付けるのです。

つまり、ムダな練習は一切ないというわけですね。

製品自体は、基本動作のベーシックセットと、サッカー専用のアドバンスセットが発売されていますが、価格はふつうのラダーと比べるとかなり高価です。

でも、谷真一郎氏の実演や解説の付いたDVDが付属しているので、サッカーに特化したステップを覚えたい子供にとっては有効だと思います。

また4マスラダーで省スペースですし、いったんステップを覚えれば子供一人だけでも自主練が出来るでしょう。

こうして考えると、タニラダーはサッカーのいろいろなプレーの動きを高めることに特化していることから、かなり高い効果が期待できると思います。

3.まとめ

これまでラダートレーニングをする時の注意点として、次の5つを解説しました。

(1)正しいステップ
(2)疲れた状態ではやらない
(3)上半身と下半身の連動
(4)基礎的な運動能力の有無
(5)サッカー専門のメニュー

またサッカーのプレーに特化したメニュー…という点で、とても高い効果を発揮するタニラダーの特徴と有用性も解説しました。

その一方で、日本の一部の指導者はきちんとしたトレーニング理論を理解せずに、間違った動作を教えるケースが後を絶ちません。

そもそもラダートレーニングは、SAQ(スピード、アジリティ、クイックネス)の能力を高めるものです。

そうした点では、多くの子供たちに正しいトレーニングを指導されるよう願っています。

【画像引用:Youtube.com タニラダー