ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

サッカーで周りを見るための意外な練習法!【小学生におススメ】

サッカーの試合で周りを見るのは、適格な状況判断のためにも欠かせません。

そこで今回は、サッカーの試合で周りを見る意味、いつ何を見れば良いのか、私の息子が小学校低学年のころに実践した親子で一緒に出来る練習法などをご紹介します。

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1.サッカーの試合で周りを見る意味

(1)子供が周りを見ないのはなぜ?

ジュニア年代では試合中に周りを見れるようにするために、パスを出したり受けたりする時に首を振って周りを見る、ドリブルの時に顔を上げるなど、いろいろな練習をしますよね。

ところが、いつまで経ってもボールばかり見てしまうボールウォッチャーの子供は多いと思います。

この場合、いくら「周りを見ろ!」と言っても、そう簡単には直りません。

なぜなら、いくら練習をしても、それはサッカーをしている時だけであって、日常生活に戻れば周りを見る習慣がないからです。

そうは言っても、いつまでも周りを見れないようでは困りますよね。

実は子供がサッカーの試合中に周りを見ない最大の理由は、ボールばかり見ているからです。

その際、ヒトは動くモノ(試合中ならボール)に対して見入ってしまう特性があります。

なぜなら、それが安全なのか?危険なのか?をいち早く判断するためであって、一種の生存本能によるものだからです。

例えば、小学校低学年の団子サッカーは、ボールばかり見てほぼ全員が一箇所に集まってしまいますが、これも本能的な行動だと言えます。

つまり、サッカーでボールばかりを見るのはヒトの本能なので、いくら子供に「周りを見るんだ!」と言っても、それだけでは理解出来ないのです。

もしもあなたが「2~3日何も食べなくてもガマンしろ!」と言われたら耐えられますか?

やはり食欲だって本能だから、これを抑えるのは無理ですよね。

それと同じで、あなたがいくら「周りを見るんだ!」と言っても、子供たちがすぐに出来ないのは、むしろ当たり前と考えた方が良いのです。

(2)周りを見るのは非日常的

私は30年前にブラジル・サンパウロのクラブでジュニアとジュニアユースのアシスタントコーチをしていました。

そのころ指導していた子供たちは、試合中もきちんと周りを見ていたことに驚かされたものです。

たぶん、日本とは違ってプロの試合が毎日のようにテレビ中継されるなど、日常的にサッカーに触れていたせいかも知れません。

でも私なりに考えると、実はもっと違うところに理由があると思います。

それは治安の悪さです。

平和な日本で生活しているとピンと来ないでしょうが、30年前のブラジルはとても治安が悪く、例えば子供が1人で歩いていると、すぐに不良グループに捕まって酷い目にあったものです。

そうした点で、異常なまでに周囲に気を付けるという習慣は、日本とは比べ物になりません。

そうすると、子供たちにとって試合中に周りを見るのは当たり前のこと…、つまり日常生活と何ら変わらないことなのです。

ところが、日本は平和で、世界でも珍しい安全で親切な国なのです。

そうすると、それだけ平和な国であれば、ブラジルと違って、子供たちは周囲に気を付ける必要はほとんどない…、だからサッカーの試合で周りを見るのは非日常的なわけですね。

つまり、ブラジルと日本の子供たちを比べると、周りを見るのが日常的か?非日常的か?という生活習慣の違いなので、日本の子供が試合中に周りを見ないのは当たり前のことなのです。

もちろん、大人のみなさんも同じですよ(笑)。

そうした意味で試合中に周りを見ない子供が多いのは、日本の子供の特徴とも言えるでしょう。

それでは、こうした子供の特徴を踏まえ、次に、サッカーの試合中、いつ?何を?どのように周りを見るのか?について考えてみましょう。

(3)試合中はいつ何を見れば良いのか?

サッカーの試合中に周りを見るのは大切ですが、子供に対していろいろと言っても混乱して逆効果になるだけです。

そこで、大きく2つに分けて考えた方が良いでしょう。

一つ目はオフザボールとオンザボール。
二つ目は近くと遠くの視野を切り替える。

小学生の場合は、先ず最初にこの二つを覚えれば、後は子供の成長とともに、いろいろなものを見るようになります。

① オフザボールとオンザボール

試合中に周りを見るのは、主にオフザボールの時が効果的です。

その理由は、オフザボールは直接プレーに関わっていないので、ボールから目を離せるからです。

またボールを持っていないので、プレー中のミスの心配もないので、安心して周りを見れるはずです。

そうした場合、ボールではなく、別のものを見るチャンスであると言い聞かせましょう。

その際、遠くのスペース、相手との位置関係、味方はどこにいるのかなどを探させてください。

そうすることによってプレー中の視野が広くなり、状況判断の思考が身に付きます。

もちろんボールを持ったオンザボールの時(ドリブルする時に顔を上げたり、パスの出し手としてパスコースを探す時など)も重要ですが、それはオフザボールで周りを見るようになってからでも遅くはありません。

だから、先ずはオフザボールの時に周りを見る習慣付けをさせましょう。

なお、オフザボールとオンザボールで周りを見るための練習法は後述します。

② 近くと遠くの視野を切り替える

先ほど「ヒトは動くモノに対して見入ってしまう特性がある…」と解説しましたが、これは対象物が近くにあればあるほど、そうした傾向が強くなります。

だから、遠くのモノより、目の前にあるものを優先するため、視野が狭く身近なものしか見なくなるのです。

これに対してサッカーの場合は、近くても遠くても前後左右に360度の視野が必要です。

こうした状況は非日常的な行動なので、子供たちにはなかなか身に付きません(もちろん平和な日本という文化的な影響もあります)。

そうすると、大人にとっては「いくら言い聞かせても簡単に出来ることではない…」という、子供に対する理解が必要なのです。

でも、こうした近くと遠くの視野の切り替えは練習しだいで何とかなるので、根気強く子どもと向き合いましょう。

特にお父さんやお母さんたちには、ぜひ協力していただきたいと思います。

さてそれでは次に、私の息子「とも」が小学校低学年のころに実践した、周りを見るための練習法をご紹介します。

子供と親御さんが一緒に出来るメニューなので、少年団やクラブチームの練習とは別に、遊び感覚のトレーニングとしてぜひ試してみてください。

※なお、サッカーに必要な視野を確保するためには、次の記事をお読みいただくと、さらに理解が深まります。
サッカーで視野を広げる方法と練習法!何をどう見れば良い?

さて次は、サッカーで周りを見るためのかなり変わった練習法です。

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2.周りを見るための練習法

サッカーの試合で周りを見るのは大切ですが、そもそもこうした体験は子供にとっては非日常的です。

そこで、先ほど話したブラジルの子供たちの生活と同じように、サッカーとは関係のない日常生活の中から、気を付けて周りを見る…という体験を習慣付けるようにしましょう。

そうすることで、非日常的な体験が日常化する…というように変わっていきます。

(1)オフザボールで周りを見る習慣付の練習

次の動画のように近所の街中を散歩して、いろいろな景色を観察してください。

子供の学校の登下校で、いろいろな景色を観察させても良いでしょう。

特に大切なことは、近くと遠くの景色を周辺視野を活かして一緒に見ることです。

また、近くと遠くを切り替えて見たり、ときどき後ろを振り返ると360度の視野になるので、子供にとっては非日常的な体験になります。

そして、この練習の狙いは、サッカーの試合中のオフザボールの時に落ち着いて周りを見ようという意識付けにあります。

例えば試合中の状況をイメージするとしたら、近くの人と遠くの人(味方と相手)の位置関係、人がいない場所(スペース)といる場所を分けて見る…などいろいろ工夫してみてください。

たぶんお気づきでしょうが、ヒトは近くの景色はよく見ますが遠くはほとんど見ていません。

なぜなら、遠くを見るのは非日常的な行動だからです。

でも意外と簡単な練習ですし、サッカーの試合中に周りを見ることに活かせます。

遊び感覚でやってみても良いでしょう。

その他にも駅の改札に行って、首を振りながら近くの人や遠くの人をキョロキョロと見てください。

人の往来が激しいので、周りを見るだけでも大変ですが、その分だけサッカーの試合中では大したことはないな…と感じるはずです。

ショッピングセンターやスーパーなどの人が多い場所も効果的です。

とにかく、人がたくさん行き来する場所ならどこでも良いのです。

こんな程度のことでも周りを見る練習になります。

何と言っても、ブラジルの子供たちと同じような体験をするわけですからね。

(2)速読の練習

周りを見るという点で視野を広くするために、動体視力と周辺視野を鍛えましょう。

特におススメは速読です。

視野が広くなれば、否が応でも、いろいろなものが見えるようになります。

そうすると、後々オンザボールでも落ち着いて周りを見れるようになるのです。

先ほど「ボールを持ったオンザボールの時(ドリブルする時に顔を上げたり、パスの出し手としてパスコースを探す時など)も重要ですが、それはオフザボールで周りを見るようになってからでも遅くはありません。」と言いましたよね。

つまり、速読はオンザボールでも、周りが見れるようにする練習も兼ねているわけですね。

だから、単に動体視力と周辺視野を鍛えるという目的だけではなく、オフザボールでもオンザボールでも周りを見るのに役立つ練習と考えてください。

ちなみに、速読は脳神経が活性化するので、サッカー以外のスポーツはもちろんですが、勉強にも役立ちます。

ホンマでっかTVでおなじみの脳科学者の澤口先生によれば、サッカー、勉強、英語など多方面の効果を訴えています。

速読教材はいろいろと安価で販売されていますが、DVD付であれば子供に飽きが来ないと思いますし、通販などのレビューを参考にして購入すると良いでしょう。

このように動体視力と周辺視野を鍛えると、眼球が速く動くようになるため自然と視野が広くなります。

そうすると、サッカーの試合中は自然とボールから目を離して周りを見るようになるので、ぜひ試してみてください。

(3)試合の動画を使って周りを見る

次の動画は、FCバルセロナとレアルマドリードの試合の様子です。

試合で周りを見ない子供が試合中継を見る時は、ほぼボールばかり見ているはずです。

そうすると本人が試合する時も、やはりボールばかり見てしまいます。

つまり、何の気なしに試合を見るのは、悪い癖を助長するだけなのです。

そこで試合中継を見る時は、必ず守備側の目線で見るようにしてください。

例えばバルサの攻撃であれば、レアルの守備陣形はどうなっているのか?スペースはどこにあるのか?という点に注意して見るようにしましょう。

そうすると自然とボールから目が離れ、スペースを探すようになりますし、スペースはどこか?が分かるようになると状況判断の養成にもなります。

また、攻守の切り替えは頻繁に起きるので、切り替わった時点でお父さんやお母さんが「守備側を見て!」などと声掛けをしてみてください。

ちなみにサッカー中継は、Youtubeなどで「FC Barcelona vs Real Madrid Full Match」などと検索すると、過去の試合ですが一試合分を見ることが出来ます。

その他にも、子供さんがネイマールのファンだったら、「paris saint germain full match」などと検索すると、パリサンジェルマンの試合を見れます。

こうしたプロの試合はとても参考になるので、子供と観戦するのも良いでしょう。

ただし、ダイジェスト版は得点シーンだけなので参考になりません。

さて次は、実際の試合を想定した、周りを見る意識付けの練習法です。

(4)実際の試合で周りを見る意識付け

① 振り向き遊び

家の中でも外でも良いので、子供さんの横に立って(1~2m程度離れる)後ろに回り込んで振り向かせてください。

これは、試合中にパスを受ける時など、特に無防備になりやすい自分の後ろの相手を見る習慣付になります。

このように後ろを見るのは、同時に左右の横方向も見ることになります。

先ほど「遠くのモノより、目の前にあるものを優先する…だから視野が狭く身近なものしか見なくなる…」と解説しましたよね。

そこで、例えば試合中にパスを受ける時は「振り向き遊びのように左右と後ろは必ず見ようね…」「後ろには鬼がいるよ…」などとアドバイスすると良いでしょう。

② 対面パス

FCバルセロナの選手たちは、相手に囲まれた状態でもパスを受けることが多いです。

そこで次の画像のように目印(マーカー、コーンなど)を置いて、パスを受ける時は左右と後ろを見てから安全なスペースでトラップするように練習してください。

最初は親御さんがパスの出し手になり、子供さんを受け手にさせてください。

この動きに慣れて来たら、この役割を反対にしてください。

そうすると、子供はパスの出し手と受け手を交互に繰り返すので、試合中に周りを見ることの大切さが理解できます。

また目印は、なるべくなら子供さんと同じ目線の方がリアル感があります。

その場合、子供の身長と同じ長さの棒などを地面に刺して使っても良いでしょう。

ちなみに、私は100均で家庭菜園用の支柱を3本購入して使っていました。

もちろんそうしたものがなければ、地面に落ちている小石などで、目印になるものであれば何でも良いと思います。

③ ドリブルと間接視野

次の動画のようにマーカーなどで四角形のスペースを作って、運ぶドリブルと突破のドリブルを交互に切り替えながら練習させてください。

またドリブルをする時は、常に間接視野を使うように意識付けさせましょう。

特に運ぶドリブルの時は、顔を上げて、近くのモノ(ボール)と遠くのモノ(味方、相手、スペース)を合わせて見るようにさせてください。

その時に近くに人が歩いていたら「あの人の洋服の色は何色?」「身長はどのくらい?」「犬が散歩しているけど何色?」などと質問を投げかけてみましょう。

その他にも、お父さんやお母さんが四角形のスペースの周りを歩きながら、時々、ジャンケンのグー、パー、チョキを適当に出しながら「今の何だった?」と質問してみましょう。

このようにすると、自然とボールから目を離して周りを見ることに注意が向きます。

またボールから目を離すとボールコントロール出来なくなることが多いので、そうした時に間接視野でボールと周りを見るよう注意を促してください。

これに対して、突破のドリブルの時はボールに集中して構いません。

なぜなら突破のドリブルは周りを見ることよりも、相手を抜く方が大切だからです。

つまりドリブルは使い分けるということですね。

この辺は、日本の指導は突破のドリブルも運ぶドリブルも、両方とも顔を上げるように言いますが、これは絶対に止めましょう。

そんなことをしていたら、いつまで経っても、メッシ、クリロナ、ネイマールのような本格的なドリブラーが育ちません。

くれぐれも、周りを見るのは運ぶドリブルの時だけにしてください。

※詳細は次の記事を参考にしてください。
サッカーのドリブル姿勢で正しいのは前傾?それとも直立?

なお、ドリブルの際は常にヒザ下にボールを置くようにさせてください。

そうするとボールの置き場が決まって、ボールコントロールが安定するので、顔を上げて周りを見るようになります。

この練習の目的は、ボールから目を離して周りを見るようにするのはもちろんですが、間接視野を覚えるのにも繋がります。

ぜひ試してください。

3.まとめ

これまでサッカーの試合で周りを見る意味として、子供が周りを見ない理由や試合中はいつ何を見れば良いのかなどについて解説しました。

また、私の息子が小学校低学年のころに実践した、周りを見るための練習法もご紹介しました。

今回の記事で私が最も言いたかったことは、子供がサッカーの試合中に周りを見ないでボールばかり見るのは本能的なことや、日本独特の文化の影響なので、いくら口で言ってもすぐには改善できないということです。

だから、少年団やクラブの練習に任せても、いつまで経っても周りを見ない子供がいるのです

そうした意味ではお父さんとお母さんには、子供さんのために一肌脱いでいただいて、ぜひ先ほどご紹介した練習を一緒にやってほしいと思います。

このような練習を通じて、一人でも多くの子供たちがサッカーの試合中に周りを見ることが出来るようになるのを願っています。

【画像引用:Youtube.com