ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

マリーシアの本当の意味!今、日本のサッカーに必要な理由とは?

 日本に初めてマリーシアを伝えたのは、元ブラジル代表のキャプテンとして1995年に来日したドゥンガです。

 それから20年以上も経つのに、いまだに日本ではマリーシアのことを「ずる賢い」とか「汚いプレー」と誤解されています。

 こうしたプレーは、ブラジルではマランダラージと呼ばれていて、マリーシア本来の意味とは全く違います。

 そこで今回は、私がブラジルで体験した本当の意味のマリーシアを詳しく解説します。

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1.マリーシアとは

(1)マリーシアの本当の意味

 マリーシア(malicia)とは、ポルトガル語で「ずる賢い」という意味です。

 でも、日本ではこの言葉の意味をとても狭く解釈しているようです。
 例えばリードしているチームが試合後半で時間稼ぎをする、ファールを受けるためにわざと倒れて痛がったりする、審判の見ていないところでラフプレーをするなどを指すことが多いです。

 そうすると汚いプレー、みっともない、ずるい…などと思われがちです。
 だから、正々堂々とやるべきだ!というように考えることが多いのでしょう。

 これに対してブラジルのマリーシアは、男女の恋愛の駆け引きでよく使われています。
 例えば好きな女性に真正面から告白して失恋した友人に対し、「お前はマリーシアが足りないな…」などと言う具合です。
 これは「経験が少ない」とか「駆け引きが下手」という意味になるわけです。

 ブラジルのサッカーもこれと同じで、経験が浅くて真正直なプレーをした選手に対し「マリーシアが足りない」というように使われます。

 もちろん、日本で解釈されているようなルール違反のプレーを指すこともあるようです。
 有名なところでは、ネイマールがペナルティーエリア内でPKを取ろうとして、わざと倒れるシーンはよくありますよね。
 でも、こうした汚くてずるいプレーはマランダラージと呼ばれていて、ブラジル国内でも批判されています。

ネイマールがペナルティーエリア内でわざと倒れるシーン

 むしろ本当の意味は、「試合経験が豊富」「駆け引きが上手い」「したたかな試合運び」「知的なプレー」などの言い方の方が正しいのです。

 こうしたマリーシアの本来の意味を初めて日本に伝えたのは、元ブラジル代表でJリーグでも活躍したドゥンガです。

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(2)ドゥンガと日本代表

 ドゥンガはブラジル代表のキャプテンとして、1995年8月に日本代表と対戦し5対1で勝ちました。

 ドゥンガは試合終了後のインタビューで、日本代表の印象を質問され、次のように応えています。
 「日本人は真面目にプレーしていたがマリーシアが足りない。」
 「日本の選手たちはキックオフ直後からハイプレスを繰り返してきた。」
 「だから今日の暑さを利用して前半はパスを回して相手の体力を消耗させた。」

 たぶん日本選手に対する印象として、暑い中でブラジルのパス回しを必死で追いかける様子を見て「経験が足りないな…」と感じたのでしょう。

ドゥンガ

 当時の日本代表は加茂監督で、主な戦術はハイプレスとショートカウンターです。

 ハイプレスとは守備戦術の一つで、相手陣内の高い位置で相手を2~3人で囲んでプレスをかけてボールを奪うというものです。
 ショートカウンターは、高い位置で奪ったボールを少ないパスで繋いで速くゴールに向かうという攻撃戦術です。

 こうしたプレーを90分間続けると、やはり選手の体力は消耗します。

 現在こうした戦術は海外でもよく使われますが、どのチームも試合途中でパスを回しながら休む時間を作っています。
 つまり速い攻撃をする時と、時間をかけて休む時間を使い分けているのです。

 でも日本人は真面目なので、こうした体力勝負のプレーでも文句を言わずにひたすら頑張ったのだと思います。
 当時の日本はワールドカップの出場経験もなく、アジアで勝つのが精いっぱいの状態でした。
 そうした意味では、海外の本物のサッカーを知らなかったのでしょう。

 ドゥンガとしては、そうした日本の事情も全て分かっていたのかも知れません。

 こうした日本のサッカーに対するマリーシアの足りなさは、日本代表の歴代外国人監督も指摘しています。

 そこで次に、日本代表の外国人監督とマリーシアについて解説します。
 ぜひお読みください!

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