サッカー選手のメンタルは強い方が良い…とよく言いますよね。
でも、メンタルの本当の意味を知っていますか?
そこで今回は私が息子のメンタルを改善するために教えた3つのアドバイスを解説します。
スポンサーリンク
1.メンタルの弱さと認知の歪
(1)メンタルの弱さ
私の息子は小1の2学期の終わり頃に地元のクラブチームに入団しましたが、メンタルの弱さのためか、なかなかチームに溶け込めない引っ込み思案の子供でした。
また保育園にいた頃から特にイジメを受けていたわけではなかったのですが、どうしても自分からは積極的に行動するタイプではなかったようです。
やはり家庭でかなり厳しく育てたせいか、ややネガティブ思考を植え付けてしまったのかも知れません。
私としては息子が強い子になって欲しいと思って柔道、空手、剣道などの武道をやらせたかったのですが、ひょんなことがきっかけでサッカーを始めています。
この場合、世間ではメンタルが強いか?弱いか?という2つに分けて考える傾向がありますよね。
でも、それは違うと思います。
そもそも人のメンタルは、誰でも弱いものなのではないかと考えています。
むしろ大切なのは、自分のメンタルが弱いことをきちんと理解して、どのように行動すれば良いのかを考えることではないでしょうか?
(2)認知の歪と気持ちの支え方
私は大学生の時に教職課程を専攻し教育心理学などを勉強しました。
その際、子供のメンタルケアとして特に参考になったのがアメリカの精神科医デビッド・バーンズが提唱した「認知の歪み」です。
認知の歪みを簡単に言うと、ヒトは根拠のない非合理的な思考パターンに陥りやすい…というものです。
このパターンは10個あって、「心のフィルター」「〇〇すべき思考」「全か無かの思考」「行き過ぎた一般化」「マイナス思考」「論理の飛躍」「拡大解釈、過小解釈」「感情の理由づけ」「レッテル貼り」「誤った自己責任化」になります。
このうち「心のフィルター」であれば、物事を判断する時に悪い方ばかり気になってしまい、良かったことに目が向かなくなることです。
例えば試合に出場して勝ったのにも関わらず、ミスをしたことに捉われてしまう…ことなどですね。
でもサッカーはミスが多いスポーツなので、そのことばかりに目を向ける必要はありません。
だから「メッシもクリロナもミスはするのだから、気にしなくて良いんだよ」いうように、前向きにアドバイスすれば気持ちが落ち込むことが少なくなります。
また、このようにアドバイスをすれば、子供が自分で心の持ち方をコントロールするきっかけにもなります。
この場合、メンタルトレーナーと呼ばれる人たちは選手の気持ちに寄り添いながら、いろいろなアドバイスをするだけであって、実はそれほど難しいことはしていません。
そうした意味で、親御さんがほんの少しだけ工夫すれば子供の心の持ち方が改善するので、ぜひ寄り添ってほしいと思います。
さて、それでは私が息子のメンタルを改善するために教えた3つのアドバイスについて、次に解説します。
2.息子に教えた3つのこと
(1)たくさん失敗しなさい
サッカーは他のスポーツと違って覚えるべきテクニックがたくさんあるため、子供にとって苦手なスキルが出て来ます。
そうすると、やがて子供はそれを避けるようになります。
こうした行動はデビッド・バーンズの認知の歪によると「誤った自己責任化」に該当します。
これは自分ではどうにもならないことに対して、自分はダメなんだ…、下手なんだ…と思い込んで逃げてしまうことですね。
その際、私がアドバイスしたのは「どんなことでも、たくさん失敗しなさい」と言うことでした。
また最初から成功する人はいないし、最初はみんな素人である…などと繰り返し言い続け、失敗するのは当たり前のことであると理解させました。
さらに大げさに「失敗は最低でも100万回は必要である!」とも言いました。
その際、特に大切なのはなぜ失敗したのか?という理由を考えさせることです。
そもそも失敗が多いのは当たり前…というのは、裏を返せば「結果はすぐには出ない」ということですよね。
そうすると結果を急がなくなって息子の心にゆとりが生まれたので、どうしたら上手くいくのか?を考えるようになりました。
そうした気持ちの持ち方が、やがて冷静さに変わっていったのです。
その頃からの息子の口ぐせは「最初から上手くいかないよ。そのうち上手くなるさ…」というものです。
このように幼少期から淡々と冷静な態度を取るようになったわけですね。
さて次は息子に教えた3つ目のアドバイスのうちの2つ目です。
(2)強くなろうとしなくて良い
息子は幼少期から、元日本代表の中田英寿や本田圭佑のような強いメンタルを持つ選手に憧れていました。
こうした行動はデビッド・バーンズの認知の歪によると「〇〇すべき思考」に該当します。
これは日本の道徳教育にありがちな「こうあるべき!」とか「こうしなければならない!」という考え方と似ていて、メンタルは強くあるべきという結論になりがちです。
極論すれば、何事も強ければ良いとか正しいとなってしまうわけですね。
そうした中で息子が周りの子と比べてサッカーが上手くなった場合、必ず起こり得るのがそうした子たちを見下してしまうことです。
その際、私がアドバイスしたのは「強くなろうとしなくて良い」と言うことでした。
特に大切にさせたのは自分が弱い人間であることを認め、実際の試合や練習の時に、何を考えてどのような気持ちでプレーしたのかを自己分析することです。
もちろんサッカーノートも書かせました。
そうすることで、くじけそうになった時でも一人で立ち直れるようになってほしかったのです。
そもそもヒトは強いものに憧れますが、その裏返しは自分の弱さを認めたくないという気持ちがあります。
でもそうではなく現実に向き合うことこそが、成長のきっかけになるのではないでしょうか?
ちなみに息子が小学校高学年になった頃、お世辞にも上手いとは言えない子に対して守備の仕方をアドバイスする様子を目にしたことがあります。
たふんメンタルが弱くてサッカーが下手だった頃の自分を思い出したのでしょう。
それによって、チームのみんなを上手くさせたい…という気持ちが芽生えたのかも知れません。
やはりサッカーはチームスポーツなので、自分一人が上手くなれば良いということはありません。
全員が上手くなって試合に勝つことで、初めて喜びを分かち合えるのではないでしょうか?
(3)リラックスしなさい
これは息子のプレースタイルと関係することですが、私がサッカーを教える時に大切にしたのが筋肉の伸張反射とバネ作用です。
この2つの作用は生まれ付き全てのヒトに備わっている身体能力なので、練習によって誰でも使いこなせるようになります。
そのために大切なことは、常に全身をリラックスしてプレーするということです。
それによってプレーのパフォーマンスが最大限に発揮出来るのです。
そうした意味では常日頃から、私は息子に対して「リラックスしなさい!」と言い続けました。
また少しでも力が入っている時は「ダメだよ。力を抜かないと…」とも言いました。
その結果、たしかにサッカーのテクニックは上達しましたが、その副産物として試合をする時は全く緊張しなくなったのです。
そればかりではなく、試合前はワクワクしてどうしようもないくらいでしたね(笑)。
しかも度胸が付いて、たいていの物事には動じなくなりました。
この場合、お父さんやお母さんたちも自分の子供が試合に出る時は「リラックスして」ということがあるかも知れません。
でも試合直前に言うだけでは、「頑張れ!」とか「気合いを入れて!」と同じように単なる掛け声として子供は聞き流してしまうだけなのです。
つまり「リラックス」と言う声掛けは、出かける時に「行ってらっしゃい。気を付けてね」とか、帰った時に「お帰り。寒くなかった?」というように、日常的に言い続ないと効果がないわけですね。
そうした意味では、意外と効果があるのでぜひ参考にしてください。
3.その他のアドバイス
(1)人は人、自分は自分
自分と他人を比較するのではなく、常に自分の行動や考え方を振り返ることで感情に流されないようにさせました。
(2)ありがとうを言いなさい
他人をリスペクトすることはとても大切ですが、なかなか照れくさくて言い出せませんよね。
でも私が子供に対しても家族に対しても言い続けることで、子供も自然と言えるようになりました。
(3)努力を褒める
これは米スタンフォード大学教授で心理学者のキャロル・ドゥェック博士の成長思考に基づく考え方で、子供をやる気にさせるうえで最も大切なことです。
その場合、例えば試合の勝ち負けという「結果」を褒めるのではなく、たくさん練習したからだよ…という「努力」を褒めるのが大切です。
そうすることでこの次も頑張って練習しようという、やる気に繋がるわけですね。
この他にも息子のメンタルを改善するためのアドバイスはたくさんありました。
特に徹底したのは、自分のメンタルの弱さをきちんと理解させてどのように行動すれば良いのかを考えさせたことです。
これに対して子供のメンタルが強いとか弱いとかを決め付ける必要はありません。
そもそも子供は成長途中なので、きっかけしだいで私の息子のようにいくらでも変わります。
そうした意味では、ぜひ子供さんと本気で向き合ってみてください。
スポンサーリンク
4.まとめ
これまで私が息子のメンタルを改善するために教えたアドバイスについて、いろいろと解説しました。
特に大切にしたのは次の3つです。
(1)たくさん失敗しなさい
(2)強くなろうとしなくて良い
(3)リラックスしなさい
もちろんその他にもいろいろなアドバイスをしています。
これに対して、子供のメンタルが強いとか弱いとかを決め付ける必要はありません。
成長途中なので、親御さんがきちんと子供に向き合って話し合うことで、私の息子のようにいくらでも変わります。
ぜひ参考にしてください。
【画像引用:Youtube.com】