ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

運動神経が悪いからサッカーが下手?でも必ず良くなります!

私の息子は小1の冬休みからサッカーを始めましたが、足が遅い、動き出しも遅い、プレー中の反応が鈍いなど運動神経の悪さが目立ちました。

そこで私が息子と二人三脚で身体能力アップのためのいろいろなトレーニングを行って改善しています。

今回の記事はそうした経験を踏まえて、子供の運動神経は必ず良くなるという話をします。

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1.運動神経を正しく理解する

運動神経を医学的に言うと、ヒトの内臓や筋肉などにいろいろな動きを指示する神経の総称(脳神経や脊髄神経など)です。

そうした意味では、運動神経という特定の神経は存在しません。

これに対して運動神経が良いとか悪いとか言われるものは、コーディネーション能力、SAQ能力、全身運動の能力などが欠けている…ということではないでしょうか?

そのため運動神経が悪い子は自分の思った通りに体が動かせないので、プレーが遅いとかサッカーの一つ一つのスキルが上手く出来ない…という状態が見られるのだと思います。

この場合のコーディネーション能力とは、定位、変換、連結、反応、識別、リズム、バランスという7つの能力を指します。

例えばサッカーの場合、定位能力は自分と相手との距離感や位置関係の把握などに関わってきます。変換能力は、トラップからドリブル・キックへのプレーの切り替え、味方や相手などの周りの状況に合わせた動きの正確さ(パスを受けるとかオフザボールなど)に必要とされています。

またSAQ能力とは、スピード(重心移動の速さ)、アジリティ(体の動きをコントロールする能力)、クイックネス (プレー中の反応と動き出しの能力)を指し、全身運動の能力は全身の骨格と筋肉をくまなく使ってパワーとスピードを発揮するスキルです。

こうした能力は生まれ付きというよりも、専門のトレーニングを積むことで後天的に身に付けるのは十分に可能です。

だから「うちの子は運動神経が悪くて…」と悩むお父さんやお母さんがいたとしても、きちんとしたトレーニングで補えば子供の運動神経は必ず改善するはずです。

要するに何とでもなるわけです。

2.運動と記憶のメカニズム

子供の運動神経の善し悪しは、脳の記憶のメカニズムとも関係します。

話しを分かりやすくするために、あなたが最初に自転車に乗れた時のことを思い出してください。

その時、最初から上手く運転出来ましたか?

たぶん最初のうちは何度も転んでしまったと思いますが、そのうちだんだんと上手く乗れるようになったはずです。

その理由は何度も失敗を重ねながら、どうすれば上手く運転できるのかということをいろいろと学んだからではないでしょうか?

これは運動の場合も同じです。

つまりいろいろな運動を経験して、体の動かし方や使い方を脳が覚えた=記憶したということになります。

そうした意味では、ヒトはいろいろな運動体験を重ねない限り、運動能力はアップしないということですね。

その際、運動の記憶は短期記憶と長期記憶の2種類に分かれます。

短期記憶とは、数秒から数日で忘れてしまう一過性の記憶のことです。

例えば幼少期の外遊びであれば、追いかけっこ、鬼ごっこ、公園の遊具で遊ぶなど、いろいろありますよね。

でも、毎日のように続けないと意味がありませんよ。

なぜなら外遊びで学習した運動経験(体の動かし方)が、その場限りの短期記憶として終わってしまうからです。

そうすると毎日のように外遊びをした子は、こういう時はこういうふうに動けば良い…、という運動学習が長期記憶として脳神経にしっかり蓄えられますよね。

これは、脳の中で運動に関する新しい神経回路がたくさん作られて行くということにもなります。

その一方で、外遊びは幼少期の子供にとって万能な運動なので、コーディネーション能力、SAQ能力、全身運動の能力などが自然と身に付いてしまいます。

そうして成長した子供がサッカーを始めたとしたら、上手くなるのは当たり前ですよね。

なぜなら、基礎基本の運動能力という土台が出来上がっているので、自分の思い通りに体を動かせるため、いろいろなテクニックをすぐに覚えてしまうからです。

日本代表の久保選手の幼少期は、こんな感じで育ったらしいですよ。

そうすると、運動神経の悪い子の原因はどこにあると思いますか?

ここまで話せば想像が付きますよね。

つまり、基礎基本の運動能力が記憶の面で欠けているのです。

そこで次に、サッカーを始める前の運動学習の必要性について解説します。

3.サッカーを始める前の運動学習の重要性

先ほど外遊びを例に解説しましたが、運動神経の悪い子は必ずと言ってよいほど、コーディネーション能力、SAQ能力、全身運動の能力などが不十分です。

そうすると自分の思い通りに体を動かせないので、サッカーが上手くなるのは難しいでしょう。

この場合、子供に運動をさせようとしてサッカーを始めたが、なかなか上手くならない…という親御さんも多いと思います。

このまま続けても良いのだろうか?と考えてしまうこともあるはずです。

たしかにお悩みの気持ちはよく分かります。

でも、サッカー、野球、バスケットボールなどのスポーツは、そもそも勝敗を競い合うための専門的な競技です。

しかも、サッカーであれば足を、野球であれば腕をよく使うなど、競技によって特定の骨格や筋肉を使いますよね。

またスピードやパワーも必要ですし、テクニックの正確さも求められます。

だから、自分の思い通りに体を動かすという基礎的な運動能力のない状態で頑張っても、なかなか上手くならないのです。

これは運動学習の記憶量(基礎差的な運動能力)が不足しているからと言うことにもなります。

また、運動神経の良い子の脳神経の記憶という引き出しの中にはたくさんの能力が詰まっていますが、悪い子の引き出しはほとんど空っぽということですね。

要するに、最初からサッカーや野球などのスポーツをいくらやったとしても、運動神経はそう簡単には良くらならないのです。

そればかりではなく、子供が周りの子と比べて「自分は運動神経が悪い…」と、自信を失ってしまうことさえあるでしょう。

うちの子は運動神経が悪いから…と言うのは簡単ですが、その原因は子供のせいではありません。

実は、幼少期に多様な運動経験をさせなかった親御さんにも責任があるのです。

こうした場合、よく生まれ付き運動神経が悪い…という言い方をする人も多いですよね。

つまり遺伝と言うことですが、たしかにそうした原因はいくらかは関係しているかも知れません。

でも本当にそうでしょうか?

4.運動能力と遺伝

現代科学では運動能力と遺伝の研究はかなり進んでいて、親の運動能力が子供に遺伝する確率は60%程度と考えられています(ただし諸説ある)。

例えば陸上競技の短距離で足の速い親の子供は、かなりの確率で足が速くなるというわけですね。

でも勘違いしないでください。

何もしないで、足が速くなるということはあり得ません。

やはり、幼少期からのいろいろな運動体験を経て、本格的に陸上競技を始めた場合のみこれに当てはまる…と考えるべきです。

つまり後天的な環境要因として、スプリンターになるという道筋を歩まない限り、足は速くならないのです。

なぜなら、その子がスポーツをしないで別の道に進んだとしたら、違った結果になるのは想像が付くはずです。

これに対して、運動神経の悪い親(または運動経験の乏しい親)の子供は運動神経が悪いままなのか?という疑問もありますよね。

それも後天的な環境要因によって何とかなるはず…というのが私の考えです。

慶應義塾大学の「安藤 寿康(あんどう じゅこう)」教授によれば、遺伝(生まれ付き)と環境(後天的)の影響はおよそ半々と考えておけば良く、これは運動でも勉強でも変わらないと主張されています。

さらに、一つの分野に関して才能があるかどうか?または子供にどのような才能があるのか?は遺伝子検査で分かるものではなく、実際にいろいろとやってみないと分からないそうです。

そう考えると運動神経が悪くてサッカーが上手くならない子も、トレーニングしだいで何とかなる可能性が十分あるのです。

なぜなら、先ほどの安藤教授は遺伝と環境の影響が半々と言っていますが、環境(つまり後天的)の影響が上回ることもあり得るので、やって見るだけの価値はあるからです。

つまり、いつまでも同じようにサッカーを続けるのではなく、どこかの時点で基礎的な運動能力を高めるということで、後天的に変化させれば良いわけですね。

また、そうした状況を経て改めてサッカーに臨めば、かなりの確率でサッカーが上手くなるはずです。

でも、そうは言っても遺伝とか生まれ付きだから…という、あきらめた考えをお持ちの親御さんも多いでしょう。

たしかにそうした遺伝とか生まれ付きというのは、ふつうの人にとっては未知の世界なので、もうどうにもならないと思われがちですよね。

実は、そうした考え方は固定思考であって、日本人的なネガティブ思考に近いです。

ハッキリ言いますと、親御さんの考え方が変わらない限り子供は変わりません。

そこで、次に運動神経を良くするための考え方として、米スタンフォード大学教授で心理学者のキャロル・ドゥェック博士が提唱する「固定思考と成長思考」について解説します。

5.固定思考と成長思考

米スタンフォード大学教授で心理学者のキャロル・ドゥェック博士の20年間の研究によれば、ヒトの思考パターンは主に2つに分かれることを発表しています。

次の動画は日本語字幕もありますが、ドゥェック博士はとてもゆっくり話されるので英語が苦手な方でも聞き取れると思いますよ。

ドゥェック博士の研究によれば、固定思考を持つ人は「才能は生まれ付きのもので一生変わらない、だから出来るだけ失敗しないように安全な道のりを選択しよう」とするそうです。

また自分の子供をそのように育てると、解決の困難な状況に直面すると避けてしまい、やがて逃げるようになるそうです。

その結果、学校の授業で難しくて解けない問題に「どうにもならない…」とあきらめて、その結果どんどん成績が落ちてしまうのです。

特に日本人は保守的な人が多いので、どうしても固定思考になりがちだと思います。

これに対して、成長思考を持つように育てられた人は「才能は努力しだいで変わるもの、だから積極的にチャレンジしよう」という発想が身に付きます。

そうすると「あきらめる」とか「失敗を恐れる」とかの考え方はないので、授業中の難しい問題でも積極的に取り組むので成績が上がるのです。

これは運動でも同じですよね。

さらにドゥェック博士は、こうした成長思考の持ち方は学校教育や子育てによって備わるものであり、また人を成長させるためには「努力した…」という過程を評価すべきと提唱しています。

例えば、子供のテストの成績が良かったことに対して「やっぱり頭が良いからね」という能力や才能を褒めるのではなく、「よく頑張ったね、一生懸命勉強したからだよ」というように努力そのものを評価するのが大切だということです。

それによって「次も頑張ってみよう…」というチャレンジの気持ちと、何があっても負けない…という強い心が身に付くのです。

こうしたドゥェック博士の成長思考の考え方の根底にあるのは、脳は成長するということです。

以前、ゴールデンエイジの記事で、ララ・ボイド博士の「あなたの脳は変わる」という動画を紹介しましたよね。要するにこれと同じなのです。

そうすると遺伝とか生まれ付きだから運動神経は良くならない…とか、9~12歳までにサッカーを頑張らせないと大人になってからでは成長しない…などのゴールデンエイジの発想は正しいとは言えないわけですね。

要するに子供は後天的な環境要因によって、いくらでも変わってしまうということです。

だから運動神経の悪い子供であっても、良くなる可能性は十分にあるのです。

さて、次は私の息子の運動神経を改善させるのにあたって、どのように関わったのかという点について解説します。

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6.私の息子との関わり方

私の息子は幼少期から身体能力が低い子で、小1の冬休みからサッカーを始めましたが、足が遅い、動き出しも遅い、プレー中の反応が鈍いなど、いろいろな問題がありました。

その一方でメッシに憧れていたので左利きになりたいという想いがあったようです。

そこで、親子二人三脚で左利きに変えるとともに、身体能力アップのためのトレーニングをいろいろと行って改善しています。

関連カテゴリー:身体能力開発

これは今から7~8年前のことでしたが、その頃からドゥェック博士やララ・ボイド博士の研究成果は知っていたので、私は決してあきらめませんでした。

その頃の私は息子に対して「人はみんな同じである。シッポの生えた人・ツノが生えた人・羽根が生えた人はいない。だから特別な人なんて世の中にはいない。今大切なのは努力すること。」と何度も言い聞かせました。

そして息子は成長思考が芽生えて努力を続け、その結果、足が速くなり、左利きの選手としてもサッカーが上手くなり、身体能力もアップしました。

特に、毎日コツコツと続けた一本歯下駄トレーニングの効果はかなり大きかったと思います。

それによって、いつの間にか重心移動、古武術の浮身、膝抜きなどのスキルを覚えてしまいました。

また運動は視覚の情報をいち早く察知するのも必要なので、速読トレーニングも続けました。

その一方で小4までほとんど泳げませんでしたが、夏休み前に一週間ほど私と練習したら、あっという間にクロールを覚えました。

もちろん、学校の授業で一番好きな教科が体育になったのは言うまでもありません。

それに物怖じしたり緊張をしなくなりましたが、これは運動神経が良くなったという自信の表れだと思います。

私が自信を持ってハッキリ言えるのは、正しいトレーニングと努力をすれば必ず運動神経は良くなる!ということです。

この場合、私がブラジルでコーチ経験があったから息子も成長したのだろう…という意見があるかも知れません。

でも、そうしたことはあまり関係ありません。

なぜなら、そんな経験があってもなくても、もっと根本的な部分で子供のマインドの変化の方がとても大切だからです。

そうした意味では運動神経は必ず良くなりますし、親の心の持ち方が変われば子供も自然と変わるので、あきらめずに頑張りましょう。

7.まとめ

これまでの解説を一通りまとめると、次のとおりです。

(1)一般的に運動神経が良いとか悪いとか言われるものは、コーディネーション能力、SAQ能力、全身運動の能力などが欠けていること。

(2)運動神経の悪い子の原因は、基礎基本の運動能力が記憶の面で欠けている。

(3)サッカーなどのスポーツは専門的な競技なので、自分の思い通りに体を動かすという基礎的な運動能力のない状態で頑張っても、なかなか上手くならない。

(4)運動神経は遺伝や生まれ付きなどに左右されるのではなく、いろいろとやってみないと分からない。

(5)子供が成長思考を持つように育てれば、後天的な環境要因によって、いくらでも変わってしまう。

以上のように、運動神経の悪い子供であっても変わる可能性は十分にありますし、頑張れば必ず良くなります。

そもそも運動神経が良いとか悪いとか、遺伝とか生まれ付きとか、そんなことで悩む必要はありません。

子供は無限の可能性を持っていますし、それを引き出すのは親の役目です。

ぜひ、みなさんの参考にしてください。