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数的優位はサッカーの基本!戦術パターンを覚えよう

数的優位は、プロからジュニアまでの全てのカテゴリーで共通するサッカーの基本戦術です。

特に大切なのは攻撃側は攻撃の選択肢を増やす、守備側は相手の攻撃の選択肢を減らすということです。

そこで今回は、数的優位の基本(攻撃と守備)から練習方法までを詳しく解説します。

※この記事は6つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。

1ページ目(このページに書いてあります)
【数的優位とは】
【攻撃の数的優位】
(1)攻撃の基本

2ページ目(←クリック!)
(2)数的不利から数的優位へ
(3)数的優位の注意点

3ページ目(←クリック!)
【守備の数的優位】
(1)守備の基本
(2)数的優位での守備

4ページ目(←クリック!)
(3)数的不利と一対一の守備

5ページ目(←クリック!)
【数的優位の練習方法】
(1)鳥カゴ

6ページ目(←クリック!)
(2)数的優位のライン越え
【まとめ】

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【数的優位とは】

数的優位とは、相手側よりも1人以上多い状態で有利にプレーしようという基本戦術で、この考え方は攻撃でも守備でも変わりません。

例えば攻撃で一対一の場合は、ドリブルで相手を抜くという選択肢しかありませんよね。

またドリブルで突破する確率は成功か失敗かの50%になるので、必ずしも確実とは言えないでしょう。

ところが味方のもう一人がサポートに加わると、2対1になってパスも出来るようになるため、攻撃方法がもう一つ増えるのです。

そうすると確実に攻撃を続けられるので、試合を有利にコントロールできるわけですね。

次に、一対一での守備側の戦術を考えてみましょう。

この状況では、どんなに屈強なディフェンダーであったとしても、基本的にはドリブラーの方が有利です。

なぜならドリブラーがボールを動かす方向を自由に決められるため、守備側はどうしても後手に回りやすいからです。

また攻撃側が突破に成功する確率は50%ですが、だからと言って守備側が抜かれる確率も50%になりますよね。

だから、守備側が安易に飛び込んで抜かれると、ピンチになって失点に直結する危険性もあるわけです。

そこで守備側にもう一人加わって2対1になると、攻撃側は前進をあきらめて横パスやバックパスをするので、相手の攻撃を抑えられるのです(つまり攻撃の選択肢を減らす)。

この場合、小学校低学年の試合であれば、数的優位とは無関係にドリブルで何人も抜いてゴールを決めることもあるでしょう。

ところが高学年になっても、こうしたプレーを続けると単に孤立するだけでボールを奪われることが多くなります。

その理由は、数的有利の考え方を理解していないことが最大の原因です。

そもそもサッカーは団体競技であって、一人でプレーするものではありません。

味方のサポートがあって初めて、攻撃と守備が成り立つのです。

そうした意味で、ジュニア年代の子供たちはなるべく早い時期から数的優位の考え方を理解しましょう。

そこで、次は数的優位を攻撃と守備の二つの局面に分けて、さらに詳しく解説します。

【攻撃の数的優位】

(1)攻撃の基本

①攻撃の選択肢を増やす

攻撃の数的優位の最小単位は2対1ですが、これだけでは攻撃の選択肢はドリブルかパスだけになります。

その際、ドリブルよりもパスの方が安全なのでよく使われますが、パスコースは1つだけになりますよね。

ところが、もう一人がサポートに入ると三角形(トライアングル)が出来るので、パスコースが2つに増えて攻撃が有利になります。

つまり2対1から3対1になることで、数的優位を活かして攻撃の選択肢がさらに広がるわけですね。

②数的同数から数的優位へ

攻撃と守備が数的同数の2対2の場合、守備側のどちらか1人をターゲットにすれば、2対1を作ることが出来ます。

でも、3対1の数的優位のように相手を簡単に崩すのは難しいでしょう。

そうすると膠着状態になって、バックパスや横パスを使って、いったん攻撃を組み立て直す必要があります。

そうした場合、下図のCのように三人目の選手が加わって、Bがサポートとして移動すると三角形(トライアングル)が出来ます。

そうすると数的同数から数的優位へ変わって、攻撃の選択肢が増えるのです。

また、新たに四人目のDがサポートに入る方法もあります。

その場合、Bは直接攻撃に関わらないので、次のプレーを予測して次のスペースを見付けて移動するなどの動きが必要です。いわゆるオフザボールですね。

こうすることで、さらに次の局面でも数的優位を続けることが出来ます。

要するに、どんどん選択肢が増えるわけですね。

さらに、三人目のCとAでワンツーを使って突破する方法もあります。

この場合もBは直接攻撃に関わらないので、次の攻撃を予測して移動する必要があります。

また、CとAのワンツーが上手く行かない場合は、Aはその場に止まるか左に少し寄ってCのバックパスを受けても良いでしょう。

このように数的同数の場合は周囲の選手がサポートしたり、ワンツーを使うことで数的優位に変わるわけですね。

でも、基本の考え方は、攻撃の選択肢を増やすためにはどうしたら良いのか?という点も大切にしてください。

③3対2の数的優位

3対2は、数的優位の最小単位である2対1が2つ出来た状況なので、攻撃側にとっては、かなり有利です。

下図の場合であれば、AとBでXを狙うのか?BとCでYを狙うのか?というように、守備側の2人のどちらかをターゲットにすることで比較的簡単に突破できます。

この場合の一例としては、B→A→CがXをターゲットに三角形を作ってパスを繋げることが出来ます。

その際、パスを出すBとAは次の局面での数的優位を予測してスペースに移動することで、さらに攻撃の継続が可能になります。

これも次の攻撃の選択肢を増やすわけですね。

またBとAのワンツーも可能です。

その際、パスを出すAと攻撃に関わらないCは、次の攻撃を予測してスペースに移動する必要があります。

こうした3対2の数的優位は試合中でもよく起きるので、チーム練習の頻度を高くすると良いでしょう(練習方法は後述します)。

また、常に攻撃の選択肢を増やすという発想を持つことで、さらに状況判断が的確になります。

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