ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

数的優位はサッカーの基本!戦術パターンを覚えよう

【数的優位の練習方法】

ここでは、数的優位の考え方を習得するための練習について解説します。

(1)鳥カゴ

数的優位を攻撃に活かすため、ロンド(鳥かご)のような練習メニューはどこの少年団でもクラブでも行っていると思います。

この場合、なるべく守備者を1人だけではなく2人にしましょう(例:4対2)。

その理由は2つあります。

一つ目は攻撃の際、守備者が1人(例:4対1、3対1)だけでは、ジュニア年代の子供たちにとってはパスを繋ぐことだけが練習の目的になってしまうからです(攻撃の練習にしかならない)。

二つ目は守備の際、守備者が2人であればお互いに協力してプレスとカバーリングという組織戦術の基本が覚えられるからです(守備も練習できる)。

そうした意味で、ぜひ守備者を2人にしましょう。

次の動画は4対2ですが、この状況であれば攻撃と守備の両方で数的優位の活かし方が覚えられます。

攻撃の場合であれば、パスコースは数的優位を活かした、縦、右、左の3通りになりますよね。

最も望ましいのは、守備者2人の間を抜く、前方(ゴール方向)への縦パスです。

ところが、縦のパスコースが切られた場合は、右か左だけになりますよね。

だからと言って攻撃が続けられないわけではなく、数的優位は4対2から3対2に変わっただけなので、右か左へパスを迂回させればゴール方向にボールを進めることが出来ます。

つまり、攻撃の選択肢が少なくなったとしても、数的優位は続いているので、後は一瞬の状況判断で攻撃を続けられるわけです。

でも本当に大切なのは、試合中を想定して一気にチャンスを広げるという意味で、やはり縦パスをいつ出せるかということですね。

これに対して守備側は、攻撃側の選択肢を少なくさせる(絞られる)ことで、ボールを奪えます。

例えば、右と縦のパスコースが切られたら、左しかありません。

特に、守備者(A)のポジショニングが絶妙ですね。

結局、左にパスを出させてボールを奪うわけです。

この守備は、先ほど解説した苦し紛れの横パスを奪う戦術に似ていませんか?

特に大切なのが、攻撃側の選択肢を減らして追い込むということですよね。

実は、こうした守備戦術は、4対2の鳥かごを徹底的に練習すると覚えられるのです。

ところが、日本ではこのような守備戦術が意外とおざなりです。

特に育成年代の場合は、守備者の2人を単なる「鬼」とするだけですが、ボールの奪い方もきちんと徹底させた方が良いでしょう。

ちなみに、このような4対2の鳥かごは、5対2でも6対2でも同じ考え方であって、さらに進化させるとFCバルセロナのような8対2になるわけです。

バルサの鳥かごも、やはり考え方は全く同じで、攻撃の場合のパスコースは縦、右、左の3通りのうちの1つを選んでパスを繋ぎます。

また守備では、いかに守備者の2人が攻撃側の選択肢を少なくさせて、ボールを奪うのか?ということですね。

そうした意味で鳥かごを練習する場合は、数的優位を攻守ともに覚えさせるという点で、なるべく2人の守備者を入れる練習の方が望ましいと思います。

さて次は、オシムジャパンの頃によくやっていた数的優位のライン越えの練習方法について解説します。

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