ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

サッカーの一対一の守備で抜かれない方法!

(2)相手が抜く時の特徴

①ドリブルで抜く時のスピード

守備側がドリブラーに抜かれて追いかける時は、相手はそれほど速くドリブル出来ません。

その理由は、ドリブルのタッチを見るとよく分かります。

次の画像のドリブルは、走る途中でボールタッチしていますよね。

実はタッチをする瞬間にボールの動きに合わせるため、どうしても走るスピードが落ちてしまうのです。

だからドリブルをしている時は、ふつうに走るスピードよりも遅くなってしまうわけですね。

そうするとドリブラーと並走した時は、ディフェンスの方が有利なので、僅かな差であれば追い付くことが出来ます。

実はこうした特性は、どのようなドリブラーでも同じで、ふつうに走るよりもドリブルの方が速い…というのはあり得ないのです。

そうは言っても、ほとんどの子供は相手に抜かれると「もうダメだ…」とあきらめてしまいますよね。

でも、相手は守備側との間合いの分(1m程度)だけ長い距離を走って抜かなくてならない…という、もう一つの不利な条件もあります。

だから、ディフェンス側にとって、実は有利な点がたくさんあるのです。

したがって、守備側は相手が抜く瞬間の動きをいち早く察知して、右に行くのか?左に行くのか?が分かれば、直ぐに振り返ってボールを奪うチャンスがあるわけですね。

そこで次に、相手が抜く時の特徴的な動作について解説します。

②相手が抜く時の特徴的な動作

一対一の時に相手が守備側に対して有利な状況なのは、お互いに正対した時だけです。

その理由は、自分で行きたい方向を自由に決められるからです。

この時に守備側は相手が動き出さない限り、どちらに抜いて来るのか分かりません。

そうした不利な状況で、足を出してしまうのは相手の思うつぼです。

実は一対一で正対している時、守備側はあえて動かずにドリブラーの「ある動き」に着目すれば、右に抜くのか?左に抜くのか?が簡単に予測出来ます。

次の画像は「とも」のマシューズフェイント(インとアウトのフェイント)で突破するまでの動きです。

①はインサイドのフェイントから、右足が着地する直前です。

②と③は右足が着地した後の切り返しですが、この時の右足(後ろ足)に着目すると、ヒザの向きが抜く方向を向いていますよね(つまり左に抜こうとしている)。

その理由は、突破する時に、後ろ足で地面を蹴ってドリブルをスタートするからです。

この時に、もしも前足でボールを蹴ってから走り出すと動き出しが遅くなりますし、ぎこちないですよね(※実際に試してみるとよく分かります)。

どうして、このような動作をするのかというと、ヒトは後ろ足で地面を蹴ってから走り出すからです。また、その時の後ろ足のヒザは、必ず走る方向に向けています。

こうした動作特性は、どのような高速ドリブラーでも変わりませんし、短距離走のスタートも同じです。

この場合、日本では相手が抜く瞬間に前足でボールを動かしたのを確認してから追いかけろ…とよく言われますが、それからではもう遅いのです。

いずれにしても、相手がいろいろなフェイントを使って揺さぶりをかけたとしても、最終的には、このような動作(後ろ足のヒザが抜く方に向く)が見られます。

次の動画を見ても、子供たちが抜く時の、後ろ足のヒザは抜く方向を向いていますよね。

何度もくどいようですが、ボールを動かすためには、後ろ足で地面を蹴らないと前に走り出すことは出来ないのです。

特に足の速い選手は、後ろ足のヒザだけではなく、上半身もそろって向くので、簡単に抜く方向が分かってしまうわけですね。

したがって守備側は、後ろ足で地面を蹴る動きとヒザの向きをいち早く察知して、直ぐに振り返って並走すれば高確率でボールを奪えるのです。

ここで、先ほどの「1-(1)ドリブラーの抜き方 ②後から動く→守備側が足を出したところを抜く」の解説を思い出してください。

そこでは「守備側のヒザの動きを見て足を出す瞬間を見抜いて抜く…、」と説明しましたよね。

これはドリブラーがディフェンスの動きを見抜くという意味で、後出しジャンケンになります。

これに対して、守備側がドリブラーの後ろ足のヒザの向きを察知するのも、同じように後出しジャンケンなのです。

そうすると相手のフェイントにも、惑わされることがなくなるわけですね。

要するに相手がドリブルで抜く時も、守備側がボールを奪う時も、相手のヒザの動きを待てば良いのです(どちらも後出しじゃんけん)!

例えば次の画像の高校生の一対一を見ると、13番のディフェンスは足を出さずにドリブラーの動き出しを待ってからボールを奪っていますよね。

先ほど解説した、ジェラールピケ、セルヒオ・ラモス、ファンダイクなども、こうしたドリブラーが抜く時の動き出しを読む能力がとても高いのです。

だから優秀なセンターバックとして称えられるわけですね。

特にリバプールFCのファンダイクは、2018-2019シーズンのプレミアリーグの試合中の一対一で、一度も抜かれていません。

チャンピオンズリーグではFCバルセロナのメッシも抑え込みましたし、センターバックとしては珍しくMVPを獲得した理由がよく分かりますね。

ところで先ほど、抜く直前の後ろ足のヒザは抜こうとする方向を向く…と解説しましたが、これは高速ドリブラーの特徴でもあります。

例えば、ロッべンの後ろ足(右足)のヒザは、きれいに前を向いていますよね。

ところが日本代表の原口を見ると、両ヒザがほんのわずかに外側を向いています(がに股)。

そうすると守備側は、後ろ足のヒザ(原口の場合は右ヒザ)は、必ずしも抜く方向を向いていないので、察知し難いのではないか?と思えますよね。

でも、がに股の選手はそれほど速く走れません。

なぜなら、がに股で走ろうとすると地面反力を十分に得られないので、パワーロスを起こしてしまうからです(地面をきちんと蹴って走れない)。

だから守備側が、相手の動き出しに多少遅れたとしても、ドリブラーに追い付くことは十分に可能なのです。

特に日本人は姿勢が悪く、骨盤が後傾気味で開いているため、サッカーに限らずほとんどのスポーツで、がに股の人が多いですね。

(3)守備側が抜かれないために注意すること

ここで、一対一の守備で抜かれないための注意点をまとめておきましょう。

①ドリブラーの抜き方は、大きく分けると2種類しかない。

②ドリブルは走るスピードよりも遅いので、ドリブラーと並走した場合はディフェンスの方が有利である。

③お互いに正対した状態ではドリブラーが有利なので、守備側は足を出さずに相手の動き出しを待つ。

④ドリブラーが抜く直前の後ろ足のヒザが、抜く方向に向いて動き出すのをいち早く察知する(後出しじゃんけん)。

以上の4つの点を踏まえて、次に一対一でのボールの奪い方を解説します。

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