ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

体が開くとは?指導者が気付かない両足練習の3つの弊害!

②体の軸が不安定

ここでは体の軸について、体が開いていない場合(安定)と、体が開いている場合(不安定)を順に解説します。

体が開いていない場合

体が開いていない選手は、軸足と中心軸(腹部や背骨周辺などの体幹の筋肉)を使って全身を支えることが出来ます。

例えば、私の息子「とも」は左利きなので、軸足(右足)と中心軸(体幹の筋肉)を使って、左半身を前に出して右半身を後ろに下げるという半身の姿勢を維持します(半身の姿勢は軸が安定)。

そうすると、前後左右全ての方向からの力を押し返せますし、また全ての方向に素早く動き出せるのです。

なぜなら、先ほど解説したように、どのような方向に対してもパワーを一点に集中できるからです。

ところが体が開いている選手は、このような動作が上手く出来ません(理由は後述します)。

要するに、体が開いていない場合は体の軸が安定しているわけで、逆の言い方をすると、体の軸を強化しないと体の開きを抑えられないということですね。

実は、このような軸足と中心軸の使い方は、フラミンゴの片足立ちと比べると面白いことが分かります。

これまでフラミンゴの片足立ちの理由は、水辺で両足立ちを続けると体温が低下するので片足立ちになるとか、片足で交互に立つ方が疲れないという考え方が一般的でした。

ところが、2017年5月にジョージア工科大学のヤング・ホイ・チャン氏とエモリー大学のレナ・ティン氏が共同発表した論文によれば、片足立ちは重心バランスを取るためという説が公表されています。

つまり、フラミンゴの片足立ちは、バランスを取るための軸足(ヒトに例えた場合)になっているわけですね。

しかも、フラミンゴの体重は3㎏程度しかないので、片足立ちを続けても全く苦にならないのです。

ここで話をサッカーに戻すと、ドリブルやキックなどのボールプレーのほとんどは片足立ちですよね。

この場合、サッカー選手の平均体重が60㎏だとしたら、その全体重を片足で支えるわけなので、軸足と中心軸(体幹の筋肉)をかなり鍛えないと、まともなプレーが出来ません。

つまり、フラミンゴの10倍以上の体重を片足で支えるわけですし、しかもプレー中は全身のバランスを取らなくてはいけないのです。

私のブログでは「ちょんちょんリフティング」などで軸足の強化を!という解説が多いですが、厳密に言うと軸足だけではなく体の中心軸にある体幹も鍛えられるので、ぜひ全国のサッカー少年におススメしたいですね。

※体幹と軸足を鍛えることや、ちょんちょんリフティングの効果を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
キックは軸足を鍛えて上手くなる!トレーニング法も解説
ちょんちょんリフティングがサッカーに役立つ驚きの効果
利き足リフティングの効果は3つ!両足練習は役立たず?

いずれにしても、体が開いていない場合は体の軸が安定するという点をご理解ください(逆に言えば、体の軸を強化しないと体の開きを抑えられない)。

体が開いている場合

体が開いている選手は、軸足と中心軸を使った片足立ちで全身を支えるのが上手く出来ません。

なぜなら、体が開いた状態は、両足で体重を支えるような日常生活に適した姿勢(つまり両足立ち)であって、サッカーをやる時もこの姿勢を取ろうとするからです。

つまり、軸足と中心軸を鍛えて使いこなせない限り、常に体が開いた両足立ちの姿勢を取ってしまう…というわけですね。

この場合、サッカーのボールプレーは両足立ちではなく、もっぱら片足立ちですよね。

そうすると体が開いている選手は片足立ちが苦手なので、そもそもサッカーが上手くならないのです。

その一方で、体が開いた両足立ちの姿勢に慣れてしまうと、前後左右からの力に押し負けますし、また全ての方向に素早く動き出すのはなかなか難しくなります。

なぜなら、全身のパワーを一点に集中できないからです。

例えば次の画像のように、体を開いている時に、前から押されるとカカトで全体重を支えるしか出来ませんよね。

これは軸足と中心軸を使って体を支えていない…、つまり体に軸がないのと同じで、バランスが不安定になってしまうのです。

したがって、体が開いた状態は、立ったり歩いたりという日常生活の姿勢を続ける時のみ有効であって、サッカーのようなアクティブな動作の多いスポーツには向かないわけですね。

その一方で、ヒトには日常生活で立ったり歩いたりという日常生活の姿勢を維持するために「抗重力筋」が備わっています。

その際、体が開いた選手は抗重力筋に依存したプレー、つまり日常生活で利用する筋肉を使おうとするのです。

特に、太ももの前側にある大腿四頭筋がよく使われます。

そうすると、体が開いている選手は、太ももの前側が太くなっているのが特徴です。

その反対に体の後ろ側の筋肉(ハムストリングス)や、中心軸(体幹の筋肉)は、日常生活ではほとんど使われません。

だから、体を前に早く動かしたり、体を安定させたりするのが苦手なので、当然のようにプレーのパフォーマンスが低くなるわけですね。

要するに、体が開いた状態では、軸足と中心軸が弱くて使いこなせないですし、その他にも日常生活の用途に限定された「抗重力筋」を使おうとするわけで、良い事などは何一つないのです。

③上半身が使えない

先ほども解説したとおり、体が開いている選手は、日常生活でよく使われる抗重力筋に依存したプレーが多くなります。

その場合、最も多く使うのは大腿四頭筋などの下半身の筋肉です。

そうすると、二つの大きな問題が起こります。

上半身のバネ作用が使えない

体が開いた選手は、下半身の筋肉に依存してプレーするため、ヒトに本来備わっている上半身のバネ作用(背骨や体幹)が使えません。

つまり、下半身のバネだけを使うので、上半身のバネが使えない分だけプレーのパフォーマンスが低くなります。

ちなみに、こちらの動画では、FCバルセロナのメッシが上半身と下半身のバネを効果的に使っている様子を解説しているので参考にしてください。

ほとんどの人が知らないメッシの本当の凄さが分かると思います。

なお、体が開いていない選手であっても、上半身のバネを使えていない場合もあるので、この点はご注意ください。

上半身が重りのようになる

体が開いている選手は、下半身の筋肉や足腰のバネだけに依存してプレーするので、上半身はほとんど使いません。

そうすると重たい上半身を下半身の力だけで、「よいしょ!」と運んでいるようなものです。

また上半身と下半身の体重比は6対4で上半身の方が重たいことから、素早い動作は出来ません。

見た目としては、小学校低学年までの子供に多いドタバタした動きになります。

いずれにしても体が開くと上半身が使えないので、サッカーにおいてもパフォーマンスが落ちるだけなのです。

こうした体の開きは、サッカー以外のスポーツでも同じ考え方があります。

そこで次に、他のスポーツに見られる体の開きについて詳しく解説します。

スポンサーリンク

この続きは下の四角のボタン「3」を押してください。