ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

オスグッドで悩むサッカー少年を救え!3つの改善法とは?

子供がオスグッドになった時、ストレッチやマッサージで治療すれば良い…などと勘違いしていませんか?

実は、日本人の体の特徴に応じた方法で直さないと根本的な改善にはならないのです。

そこで今回はオスグッドの原因と日本人の身体的な特徴、再発防止や予防のための3つの改善法について解説します。

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目次

1.オスグッドの原因

ここではオスグッドの3つの改善法を考えるにあたり、まず最初にあなたが知っておくべき発症の原因について詳しく解説します。

(1)海外と日本の現状
(2)医学的な原因
(3)日本人の身体的な特徴

(1)海外と日本の現状

私は30年前にブラジルのサンパウロのクラブで、ジュニアとジュニアユースのアシスタントコーチをしていましたが、現地の子供たちはオスグッドとはほぼ無縁でした。

また、海外から遠征に来ていたヨーロッパの子供たちも、そのような症状はほとんど見られません。

ところが日本に帰って来ると、オスグッドに悩むサッカー少年がとても多い状況に驚きました。

日本では「痛みに耐えて頑張る…」のが美徳とされているせいか、症状を悪化させてしまうケースが多いからなのかも知れません。

また、こうした精神論とは別に、これほど多くの子供たちが悩む現状を考えると、日本人特有の何らかの身体的な原因があるのではないでしょうか?

その一方で、私の読者から、これまでオスグッドに関するたくさんのご相談が寄せられました。

その際、ストレッチ以外のいろいろな方法をアドバイスしたところ、多くの方から改善したとの報告を受けています。

そこで、こうした過去の事例を踏まえ、正しい改善法を知るためにも、先ずは痛みの原因と日本人の身体的な特徴や問題点などをきちんと理解しましょう。

そのうえで後述する3つの改善法を参考にしてください。

そうすることが、子供をオスグッドの悩みから解放するための最短最速の近道です。

(2)医学的な原因と治療法

オスグッドの痛みの場所は、膝蓋骨(膝のお皿)の下にある膝蓋腱と脛骨(すねの骨)の付け根あたりです。

この場合、子供の骨は、筋肉や腱よりも先に成長するため、どうしても大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)、膝蓋骨、膝蓋腱が上に引っ張られてしまいます。

そうすると、大腿四頭筋の柔軟性が落ちて、伸び切ったゴムのように硬くなってしまうのです。

そうした状態で、走ったりジャンプしたりという動作を繰り返すと、ヒザの負担が大きくなり膝蓋腱の付け根に痛みが起きるわけですね。

その場合、安静はもちろんですが、大腿四頭筋のストレッチなどの対処療法が必要で、これが現在の主要な治療法とされています(その他にテーピングやサポーター)。

要するに、成長期の子供は大腿四頭筋が硬くなってしまうので、ストレッチをして治しましょう…ということですね。

これに対して、海外では子供の成長期はあくまでも身体的な成長を優先して、練習量を調整するという考え方があるので、オスグッドの子供はかなり少ないです。

ところが日本では、中学生になると練習量が多くなり、また根性論も根強いことから痛みを我慢してしまうため、必然的にオスグッドが起こりやすい状況なのかも知れません。

さらに、日本サッカー協会によれば、JFAアカデミーの入学に際してオスグッドを発症していた場合は安静と治療を勧めるだけで、残念ながら成長期の子供に対して根本的な改善を目指すという発想はないようです。

ちなみに、オスグッドになると病院などに受診し、当分の間はサッカーの練習を休むことになりますが、その際は体育の授業も見学するようにするようにしましょう。

そうしないと、治るのが遅くなるだけです。

またいったん発症して、いつまでも治らない場合はセカンドオピニオンも考えてください。

その場合、病院に診療情報提供書を作成してもらったり、レントゲン写真の貸し出しを受けて他の病院を受診するのも良いでしょう。

ふつう病院を相手にすると、一般の人ではなかなか言い難い事かも知れません。

でも、大切なお子さんのことですし、そもそも医療業界はサービス業です。

あなたも正当な対価を支払って受診しているので、言うべきことはきちんと伝えるようにしましょう。

ところで、これまで解説したオスグッドの発症には、もう一つの大きな原因があることをご存知でしょうか?

実は海外と日本の子供達を比べると、日本人にはオスグッドになりやすいという、いくつかの身体的な特徴があるのです。

そこで、次にこの点について解説します。

(3)日本人の身体的な特徴

日本のサッカー少年には次の4つの身体的な特徴があり、これらはいずれもオスグッドの原因である大腿四頭筋の負担を大きくさせています(使い過ぎて硬くなる)。

① 骨盤の形状
② 胴長短足
③ 腸腰筋が未熟
④ 足首と足指が弱い

そこで次に、この4つの点について日本と海外の選手の違いを明らかにし、どのように改善すれば良いのか?という点を考えてみましょう。

① 骨盤の形状

日本と海外の子供たちの骨盤の形状を比べると、直立か?前傾か?という大きな違いがあります。

A.日本人の骨盤

日本人は骨盤直立のため、ハムストリングス(太ももの後ろ側の筋肉)が緩みやすいことから、あまり発達しません。

そのため、もっぱら大腿四頭筋をよく使うので、太ももの前側の筋肉が異様に太くなります(ムダな筋肉が付いている)。

さらに背骨のS字カーブが未熟なためバネ作用が弱いことから、走る、飛ぶ、跳ねるという身体能力がとても低いです。

こうした骨盤直立は、立ったり歩いたりという日常生活の安定した動作には有効ですが、スポーツのような機敏な動きには適しません。

また、中学生の子供にとっては生後から10年以上もこの状態を続けているため、すでに習慣化してしまっているのです。

つまり、スポーツに適さない骨盤の形状なのに、無理してサッカーを続けているということなのです。

B.海外の人たちの骨盤

海外の子供たちは骨盤前傾のため、ハムストリングが緊張状態になることから自然とこの部位が発達します。

そのため、日本人のように大腿四頭筋に頼らないので、太ももの前の筋肉はあまり太くなりません(ムダな筋肉は付いていない)。

だからオスグッドになり難いのです。

また、背骨のS字カーブが発達しているためバネ作用が強いことから、走る、飛ぶ、跳ねるという身体能力がとても高いです。

c.改善点

日本の子供たちが、大腿四頭筋の負担を軽減するためには、骨盤直立から骨盤前傾に改善すること、ハムストリングスを鍛えて使えるようすることが大切です(具体的な改善法は後述します)。

そうすることが、オスグッドの予防や再発を抑えるための第一歩になるのです。

なお、日本では骨盤直立がスポーツに最適な姿勢…という誤った情報が広まっていますが、これでは大腿四頭筋に頼ってしまうだけで、かえってオスグッドの発症の原因になります。

そうした点はぜひご注意ください。

② 胴長短足

A.日本人の場合

日本人は海外の子供たちと比べて胴長短足です。

特に文部科学省の「学校保健統計調査報告書」によれば、身長は戦後から伸びたものの、座高も同時に伸びています。

その結果、足はあまり伸びず、むしろ身長の伸びに比べると相対的に短くなっているのです。

つまり、日本人の胴長短足の傾向は、今も昔もあまり変わっていないわけですね。

また、日本人は骨盤直立で大腿四頭筋が発達しやすいので、幼少期から下半身(特に大腿四頭筋)を使って体を動かすことに慣れてしまっています。

そのため、サッカーをする場合も足だけを使ってプレーすることが多いことから、大腿四頭筋の負担が大きくなるわけですね。

この場合、ヒトの上半身と下半身の体重比は、6対4で上半身の方が重たいです。

そうすると、重たい上半身を下半身で一生懸命支えることになるため、どうしても足の骨や筋肉が自然と太くなる結果、大腿四頭筋の負担が大きくなるのです。

B.海外の人たち

海外の子供たちは、足の長さに比べて胴体が短いので、下半身の負担が少ないです。

また骨盤前傾で背骨のS字カーブが発達しているため、自然と体幹(上半身のインナーマッスル)も使いこなしていることから、そのパワーをサッカーのプレーに活かしています。

つまり、海外の子供たちのプレーは、足の力だけに頼らず上半身も使いこなしているわけですね(つまり全身運動をしている)

C.改善点

日本の子供たちは、下半身だけに頼ったプレーを改善して、上半身を使えるようにすれば大腿四頭筋の負担が軽減されます(具体的な改善法は後述します)。

この点は、先ほどの骨盤直立⇒骨盤前傾の改善と並んで、とても重要な点だと思います。

③ 腸腰筋が未熟

A.腸腰筋とは?

腸腰筋は、小腰筋、大腰筋、腸骨筋の総称で、3つの筋肉が1つにまとまり、みぞおち辺りから股関節まで繋がった体幹の筋肉です。

また、腸腰筋が発達すると、股関節から下にある大腿四頭筋と連動するため、股下が70㎝の人に10㎝の腸腰筋を足したのと同じで、足が長くなったような使い方が出来ます。

B.改善点

日本人は骨盤直立で背骨のS字カーブが未熟なこと、胴長短足で足だけを使ってプレーすることから、体幹(腸腰筋)があまり発達しません。

そうすると腸腰筋が未熟なままなので、大腿四頭筋に頼りがちになってその負担が大きくなるのです。

これに対して海外の子供たちは上半身も使ってサッカーをするため、腸腰筋も自然と発達することから、容易に大腿四頭筋と連動することが出来ます。

そうすると、日本人のように大腿四頭筋に頼ったプレーをする必要がないわけですね。

したがって、日本の子供たちは腸腰筋を鍛えて大腿四頭筋と連動出来る程度に強化すれば、大腿四頭筋の負担が改善されるのです。

④ 足首と足指が弱い

A.日本と海外の違い

足首と足指の強さは、足のアーチ(土踏まず)の発達と関係します。

特に日本の子供たちは偏平足が多いため足首と足指が弱く、ブラジルの子供と比べると、その違いがハッキリします。

B.大腿四頭筋への負担と改善点

ヒトの体は特定の部位が弱かったりケガをしていると、それをかばおうとして他の部位に負担がかかります。

例えば、ヒザの痛みをかばって腰に負担が掛かったり、右足をかばって左足に負担がかかるなどのことです。

そうすると足首と足指の弱さは、足の他の筋肉にしわ寄せが行きます。

その際、大腿四頭筋は体の中でもっとも強くて大きいことや使い慣れていることから、どうしてもこの筋肉を使ってかばおうとするわけですね(つまり負担になる)。

したがって、足首と足指を鍛えて足のアーチ(土踏まず)を発達させて改善する必要があるのです。

以上の4つの点が日本人の身体的な特徴です。

(4)オスグッドの原因のまとめ

今回の記事はやや専門的なので、ここでいったんまとめておきます。

① オスグッドの原因は大腿四頭筋が硬くなり、膝蓋腱を引っ張ってしまうため。

② 現在の主要な治療法は、安静、大腿四頭筋のストレッチ、テーピングやサポーターである。

③ 海外と日本の子供達を比べると、日本人には大腿四頭筋の負担を大きくする(硬くなってしまう)4つの身体的特徴がある。

A.骨盤の形状
B.胴長短足
C.腸腰筋が未熟
D.足首と足指が弱い

そこで次に、私がブログの読者にアドバイスして実際に効果を上げた改善法について詳しく解説します。

2.オスグッドの3つの改善法(予防法)

ここでは、オスグッドの改善法について、次の3つを解説します。

(1)ストレッチ
(2)大腿四頭筋の負担を減らす
(3)身体操作の改善

特にオスグッドを再発する場合の多くは、「(1)ストレッチ(マッサージも含む)」だけで治療を終えてしまうからです。

これに対して、「(2)大腿四頭筋の負担を減らす」のを覚えることで、海外の子供たちと同じような体の動きが身に付くので、再発のリスクも少なくなり、小学生年代にとっては予防の効果もあります。

さらに、「(3)身体操作の改善」を身に付けることで、将来的には海外の選手たちと同様な身体能力の高い選手へ成長するわけですね。

そうした意味でも、オスグッドで悩むのではなく、これをきっかけとして優秀な選手になる良い機会であるとポジティブに考えましょう。

(1)ストレッチ

① オスグッドを発症した時

この場合、ふつうは大腿四頭筋のストレッチだけを考えがちですが、マッサージと併用することで早い回復が見込めます。

そこで、ストレッチとマッサージのやり方について解説します。

A. ストレッチ

オスグッドを発症した時は緊急性が高いので、次の動画を参考に先ずは大腿四頭筋と腸腰筋をしっかりストレッチしましょう(病院や接骨院等でアドバイスされているのであれば、そちらを優先してください)。

特に、この二つの筋肉は連動性が高く体を動かすうえで密接な関係があります。

ところが、日本人はふだん腸腰筋を使っていないため、硬くなりやすいことから、特に注意してください。

ストレッチの際は、入浴後の筋肉が暖かい状態の時が効果的です。

また、痛くない方の足は、痛い方の足をかばうため、筋肉が硬くなっている(無意識に力が入って緊張している)はずなので、必ず左右両方の足をやりましょう。

ただし、両足ともオスグッドを発症している場合は、先ずは安静と後述のマッサージをして痛みを取ることから始めてください。

B.マッサージ

マッサージは、患部の血行を良くしたり、筋肉の緊張をほぐすという効果があります。

また痛みの早期改善も含めて、次の動画を参考にぜひお父さんやお母さんがやってあげてください。

もちろんストレッチとの併用が効果的です。

② 筋肉の伸張反射に活かす

ここでのストレッチは、オスグッドが治った後の再発防止や予防という目的がありますが、それ以外にも筋肉の伸張反射やバネ作用を促すという意味もあります。

特にサッカーのプレーでは、体の前後の筋肉を使った伸張反射(詳細は後述します)が効果的なので、この部分を集中的に伸ばすようにしてください。

また、次のストレッチは必要最低限のメニューなので毎日やるようにしましょう。

A.体の前側の筋肉

腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋、大胸筋、腸腰筋、大腿四頭筋、前脛骨筋

B.体の後ろ側の筋肉

背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎ

(2)大腿四頭筋の負担を減らす

これまでオスグッドの原因の一つして大腿四頭筋が硬くなってしまうこと、また日本人の身体的な特徴からもその部位の負担が大きいことを解説しました。

そこで、大腿四頭筋の負担を減らすために、ハムストリング、体幹、足首と足指、腸腰筋などを鍛え、サッカーのプレーで効果的に使えるようにすることが大切です。

そこで、次の5つの練習メニューを実践しましょう。

① 骨盤前傾トレーニング
② ハムストリング強化トレーニング
③ ちょんちょんリフティング
④ 足首と足指の強化
⑤ 腸腰筋トレーニング

① 骨盤前傾トレーニング

A.目的

日本人は骨盤直立で、ハムストリングス(太ももの後ろ側の筋肉)が発達しないため、どうしても大腿四頭筋に頼りがちです。そこで、海外の子供たちのように骨盤前傾に改善しましょう。

また骨盤前傾になると、背骨のS字カーブが発達するため、バネ作用が発揮出来るようになります。

B.改善法

トレーニングのやり方は、とても簡単です。

・カカトを浮かして、つま先立ちになる。
・背筋を伸ばして胸を張り、お尻を突き出す。
・一日あたり30秒~1分くらい。

動画では玄関を使っていますが、カカトを浮かせるのであれば、どこでも良いですし、その場でつま先立ちをしても良いと思います。

特に重要な点は、背筋を伸ばして胸を張り、お尻を突き出す姿勢を取ることです。

これによって骨盤が前傾することで、ハムストリングスが緊張状態になるため、少し時間はかかりますが自然に発達します(間接的なハムストリングスの強化法と考えてください)。

ただし、子供がすでに骨盤前傾の場合は、背骨の発達に支障をきたすので、このトレーニングはやらないでください。

※骨盤前傾トレーニングを詳しくお知りになりたい方は次の記事をお読みください。
骨盤前傾トレーニングで身体能力アップ!一流アスリートの特徴とは?

② ハムストリング強化トレーニング

A.目的

このトレーニングは、先ほどの骨盤前傾トレーニングとは違い、ハムストリングスを直接強化するものです。

B.改善法

サッカーのドリブルの時や歩いたり走ったりする時に、次の姿勢を保つように意識してください。

・軽くヒザを曲げて腰を落とす。
・足の指でグリップする(カカトは上げない)。
・背骨、背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎの部位を意識する。

この場合、2016年に発表されたデンマーク国立労働環境研究センターとオールボー大学などの研究チームの「プログレッシブレジスタンストレーニング中の意識と筋肉のつながりの重要性」という研究結果によれば、筋トレの際に筋肉の部位を意識すると高い効果が得られたそうです。

また2018年に発表されたアメリカ・ノースウェスタン大学とアリゾナ州立大学などの研究チームの「長期レジスタンストレーニング中の意識集中による異なる効果」という研究結果によっても、同じような効果が得られています。

これは現在の筋トレの理論で一般化した、いわゆるマインドマッスルコネクション(MMC)と同じ意味にもなります。

そこで、この姿勢を取る時は、背骨、背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎの各部位を必ず意識してください。

また、このトレーニングは姿勢の悪い子に「背筋を伸ばしなさい!」と注意するのと同じで、自然な緊張状態を作り出して筋トレと同じ効果を得るのが狙いです。

つまり、この姿勢を習慣化するだけで、いつの間にかハムストリングスが強化されて大腿四頭筋に頼らなくなるというわけですね。

もしも小学校低学年の場合は、子供が忘れないように、お父さんやお母さんが「ハムストリングスを意識して!」などと声掛けをすると良いでしょう。

ちなみに、なぜハムストリングス以外の背骨、背筋、お尻、ふくらはぎなども意識するのか?というと、これらの部位がハムストリングスと連動するからです。

つまり、ハムストリングスを強化するためにはその部分だけで良い…というのではなく、周辺の筋肉も鍛えることで効果が高くなるのです。その点は特に注意してください。

③ ちょんちょんリフティング

このトレーニングは、次の動画のように、もともとは体幹と軸足を鍛えるために行うものです。

ところが、このリフティングをする時も、先ほどのハムストリング強化トレーニングと同様に、背骨、背筋、お尻、ハムストリングス、ふくらはぎの部位を意識することで同じ効果が得られます。

そこで、このリフティングをする時は、これらの部位を必ず意識してください。

このリフティングをやってみて、ハムストリング、背筋、お尻、ふくらはぎに筋肉痛が出て来るようになれば、その部分の筋肉が使えるようになった…と考えてください。

その反対に、もしも大腿四頭筋、内転筋(太ももの内側)、鼠蹊部(足の付け根あたり)が筋肉痛になるとしたら、オスグッドになりやすいタイプです。

その理由は簡単で、体の前側の筋肉(特に大腿四頭筋)に頼って体を動かしているからです。

そうした意味では、むしろ危険信号なのでぜひ改善しましょう。

※ちょんちょんリフティングと体幹・軸足の強化の関係を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
ちょんちょんリフティングがサッカーに役立つ驚きの効果
キックは軸足を鍛えれば上手くなる!トレーニング法も解説

④ 足首と足指の強化法

A.目的

足首と足指の強化は土踏まずのアーチ構造を強靭にすることを意味し、それによって大腿四頭筋が足首と足指の弱さをかばうのを防ぐ目的があります。

またこの部分が発達してアーチが高くなると、強度が増して板バネの機能も高くなります。

そうすると、自分の体重をムリなく支え、姿勢を維持し、飛び跳ねた後の衝撃を吸収するというスプリングの作用が身に付くのです。

B.改善法

次の動画のように、足指グーパーと足指スリスリで鍛えましょう。

また、指と一緒にリスフラン関節(足の甲の辺りの関節)など足全体を動かすことで、スネ、ふくらはぎ、指のグリップ、土踏まずなどを広範囲に強化出来ます。

先ほどの「②ハムストリング強化トレーニング」でも解説しましたが、特定の部位だけではなく周囲の部分も一緒に鍛えることで強化法の効果が高くなるという考え方は忘れないでください。

※足首と足指の強化法を詳しくお知りになりたい方は次の記事をお読みください。
キックで足首を固定するのは間違い?意外と知らない大切なこと
土踏まずのアーチを作る方法!【痛みの原因は偏平足】

⑤ 腸腰筋トレーニング

A.目的

腸腰筋トレーニングは、海外の子供たちのように大腿四頭筋と腸腰筋を連動させるようにするのが目的です。

これによって、下半身だけでなく上半身も使ってプレー出来るようになるため、全身のスピードとパワーを発揮出来るようになります(もちろん大腿四頭筋の負担も軽減できます)。

B.改善法

トレーニングの方法は、次の動画のとおり3種類です。

・前方ジャンプ
・片足ジャンプ
・立ち腹筋

このメニューは体への負荷が大きいので、一日あたり5~6回から始めることとし、対象年齢は10歳以上か小学校3年生になってからにしてください。

小学校低学年(小学二年生以下)は、次の動画のような動的ストレッチをすると良いでしょう。

もしも低学年の子供が、いきなり腸腰筋トレーニングをすると、肉離れなどを起こす可能性があるので注意してください。

※腸腰筋トレーニングを詳しくお知りになりたい方は次の記事をお読みください。
腸腰筋トレーニングでサッカーがレベルアップ!基本メニュー3選

さて次は、(3)身体操作の改善について解説します。

日本ではあまり知られていない改善法もあるので、ぜひお読みください。

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(3)身体操作の改善

これまで解説した「(2)大腿四頭筋の負担を減らす」は、あくまでも負担軽減が目的なのでやや消極的な改善法です。

そこで、この機会に積極的な改善法として、海外の子供たちと同じような全身(上半身+下半身)を使ったプレーを覚えましょう。

そうすることで、自分の潜在的なパワーとスピードを最大限に発揮できるようになります。

そのための改善法は次の3つです。

① 筋肉の伸張反射と体のバネ作用
② 重心移動
③ 膝抜き

① 筋肉の伸張反射と体のバネ作用

筋肉の伸張反射と体のバネ作用は、生まれ付き全てのヒトが持っている身体能力なので、練習によって誰でも使いこなせるようになります。

また、この2つの作用は本来異なるものですが、サッカーのプレーにおいては一緒に行うことが多いので、ここでは合わせて解説します。

A.筋肉の伸張反射とは?

筋肉の伸張反射とは、筋肉をゴムのように伸び縮みさせる反射運動のことです。

この作用は熱いものを触った時にすぐに手を離す…という反射神経と同じで、無意識のうちにとても速く体を動かせるようになります。

そこで、これまで解説したオスグッドの原因の一つである大腿四頭筋とハムストリングの関係について、走る動作を例に筋肉の伸張反射を利用した正しい体の使い方を考えてみましょう。

次の画像は私の息子「とも」の走る時の連続写真ですが、①では左足の大腿四頭筋と腸腰筋が急激に伸びていますよね。

その後の反射作用として②、③、④にかけて筋肉が急激に縮みますが、この動きを使って足を前に出すわけです。

その時にもう一つ大切な点があります。

それは、①の後で、②~③にかけてハムストリングス、お尻、背中、ふくらはぎの筋肉にほんのわずかな力を入れて素早くヒザを曲げていることです。

その理由は、②、③、④にかけて足を大きく前に出すためです。

つまり、①~④にかけての左足の動きは、「①大腿四頭筋と腸腰筋の伸張反射」+「②~④ハムストリングス、お尻、背中、ふくらはぎ」を使って、足を前に出しているのです。

また④の時は、新たに右足の大腿四頭筋と腸腰筋が急激に伸びていますが、これは①の動作を繰り返しているわけですね。

さらに膝抜き(詳細は後述します)も使っているのですが、要するに大腿四頭筋を使って地面を蹴るような動作がないのです。

これに対して、日本のほとんどの子供は大腿四頭筋を使って地面を蹴って走るわけですが、胴長短足の日本人にとっては、重たい上半身を短い足で一生懸命運ぶようなものですね。

この他にも、サッカーではいろいろなプレーに応用出来ます。

例えばキックでは、体の前の筋肉(胸、腹筋、腸腰筋、大腿四頭筋、すねの筋肉)を伸ばし、その反射作用としての縮む動きを利用して蹴ります(伸縮の巻き戻し)。

これは上半身+下半身の筋肉を無駄なく使う全身運動なので、日本人にありがちな足だけでボールを蹴るようなキックとは、全く次元の異なるパワーとスピードが得られるわけですね。

その際に大切なのは、バックスイングで体の前の筋肉を急激に伸ばすために、体の後ろの筋肉(ハムストリングス、お尻、背中、ふくらはぎなど)に力を入れて素早く縮めていることです。

つまり、筋肉の伸張反射を利用する場合は、力をいれるべき筋肉の部位がこれまでの常識とは全く違うわけですね

これに対して、日本人によくありがちなのが、走る時と同じように大腿四頭筋を使ってしまう(力を入れる)ことですが、これでは足の力だけに頼っているので当然パワー不足になりますよね。

そうするとヒザの振りを速くしようとして、一生懸命ヒザを振って蹴っていると、かえって膝のじん帯を損傷してしまうわけです。

こうした過ちは、日本の子供たちにとっての悲劇なのかも知れません。

いずれにしても、筋肉の伸張反射を使うことによって、大腿四頭筋の負担を軽減するだけではなく、全身のパワーを発揮することが重要なのです。

B.体のバネ作用とは?

体のバネ作用とは、サッカーのキックを例にすると、背骨のS字カーブを板バネのように伸び縮みさせる作用(バネの変形と復元)です。

この作用は、先ほどの筋肉の伸張反射と同様に、次の画像のように素早い動きをするものです。

この場合、海外の子供たちは背骨のS字カーブが発達しているので、このようなバネ作用が使えるわけですね。

これに対して、日本子供たちはS字カーブが未発達なので、ひたすら足の力に頼る結果、先ほどの筋肉の伸張反射で解説したような悲劇が起こるのです。

C.筋肉の伸張反射と体のバネ作用の関係

筋肉の伸張反射と体のバネ作用とても密接な関係があります。

例えばキックでは、バックスイングの時に、

(1)筋肉の伸張反射としては、体の前側の筋肉が急激に伸ばされます。

(2)体のバネ作用としては、背骨のS字カーブが急激に伸ばされます。

(3)インパクト~フォロースルーにかけては、伸ばした筋肉と背骨のS字カーブが合わせて縮もうとします。

つまり、両方の伸び縮みの作用が同時に働いて、強力なスイングスピードを発揮するのです。

② 重心移動

重心移動とは、例えばヒトが立っている状態から走り出す場合、重心(おへその下あたり)を支持基底面(足と地面が設置している面)の外に出す動きのことです。

こうした重心移動は誰でも出来ることです。

試しに、足を揃えて立ってみてください。次に体を前に傾けて倒れそうになったら、片方の足を一歩踏み出してください。

その時、後ろ足で地面を蹴っているでしょうか?違いますよね。また意外と楽に踏み出せませんか?

実は日本人によくありがちなのが、走り出す時に後ろ足(特に大腿四頭筋)で地面を蹴ってしまうことです。

これは体重移動と言って、重たい上半身を下半身の力で運ぶようなものです。

これに対して、重心移動は支持基底面から重心を動かす…という動作を繰り返すことで、筋肉の力に頼らずに走れるわけですね。

しかも、体重移動(重たい上半身を下半身の力で運ぶ)よりも速く走れます。

また、止まる時も重心移動を使えばスムーズになります。

この場合は、動き出すのと反対に、支持基底面の後ろ側に重心を移動させればスムーズに止まれるのです。

これに対してふつうの日本人は、膝と足首で踏ん張って止まろうとするので故障の原因になります。

また、ジャンプする場合は、いったん重心を下げてから上げるという重力落下と地面反力を利用すると、足の力に頼らなくてもクリスチアーノ・ロナウドのような高い打点のヘディングシュートも出来るようになります。

このように、重心移動はサッカーのほとんどのプレーに応用出来るので、ぜひ覚えましょう。

※重心移動を身に付ける方法を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
重心移動でサッカーが100倍上手くなる!【中学生でもよく分かる】

③ 膝抜き

膝抜きは、例えば走る場合、「重力落下」「重心移動」「膝と股関節の力を抜く」という3つの動作を組み合わせることで、素早く動けます。

また膝抜きを使うと、筋力とはほぼ関係なく、自分自身の潜在的なスピードとパワーを発揮出来るので、非力な子供でもスピーディーに動けるのです。

その他にも、スムーズに止まったり、急激に方向転換する時など、サッカーのいろいろなプレーに応用できる古武術由来のとても大切なテクニックです。

これに対して膝抜きが使えないと、先ほどの重心移動と同じように、足で地面を蹴るという体重移動になるので動きが遅くなるだけです。もちろん大腿四頭筋の負担も大きくなりますよね。

特にサッカーの上手い選手は、必ずと言って良いほど身に付けているテクニックですし、先ほどの重心移動とも密接に関係するスキルなので、ぜひ覚えてください。

※膝抜きを身に付ける方法を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
膝抜きでサッカーのプレーが劇的に改善!【練習法も解説】

3.まとめ

これまで、オスグッドの原因、再発防止や予防のための3つの改善法を解説しました。

特に、日本のサッカー少年には次の4つの身体的な特徴があり、これらはいずれもオスグッドの原因である大腿四頭筋の負担を大きくしているという現実を理解してください。

(1)骨盤の形状
(2)胴長短足
(3)腸腰筋が未熟
(4)足首と足指が弱い

これに対する3つの改善法も、ぜひ参考にしてください。

(1)ストレッチ(マッサージを含む)
(2)大腿四頭筋の負担を減らす
(3)身体操作の改善

この場合、オスグッドを発症すると、安静はもちろんですが、ストレッチやマッサージだけで治療を終えてしまうのは大きな間違いです。

なぜなら、これまでの体の動きを改めない限り、再発を繰り返す危険性が高いからです。

むしろこの機会に、海外の子供たちと同じような全身(上半身+下半身)を使ったプレーを覚えて、自分の潜在的なパワーとスピードを最大限に発揮できるように進化しましょう。

その一方で、小学生のうちから3つの改善法を実践すれば、オスグッドにならずに順調に成長できます。

ぜひ、日本サッカー協会をはじめとした多くの指導者が、この点をきちんと学んで現在の指導方法を見直し、これ以上オスグッドで悩む子供を増やさないようにすることを願っています。

【画像引用:Youtube.com