ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

オスグッドで悩むサッカー少年を救え!3つの改善法とは?

子供がオスグッドになった時、ストレッチやマッサージで治療すれば良い…などと勘違いしていませんか?

実は、日本人の体の特徴に応じた方法で直さないと根本的な改善にはならないのです。

そこで今回はオスグッドの原因と日本人の身体的な特徴、再発防止や予防のための3つの改善法について解説します。

※この記事は5つのページに分かれているので、順番に読んでも良いですし、直接それぞれのページを読んでいただいても結構です。

1ページ目(このページに書いてあります)
【オスグッドの原因】
(1)海外と日本の現状
(2)医学的な原因と治療法
(3)日本人の身体的な特徴
①骨盤の形状

2ページ目(←クリック!)
②胴長短足
③腸腰筋が未熟
④足首と足指が弱い
(4)オスグッドの原因のまとめ

3ページ目(←クリック!)
【オスグッドの3つの改善法(予防法)】
(1)ストレッチ

4ページ目(←クリック!)
(2)大腿四頭筋の負担を減らす

5ページ目(←クリック!)
(3)身体操作の改善
【まとめ】

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【オスグッドの原因】

ここではオスグッドの3つの改善法を考えるにあたり、まず最初にあなたが知っておくべき発症の原因について詳しく解説します。

(1)海外と日本の現状
(2)医学的な原因
(3)日本人の身体的な特徴

(1)海外と日本の現状

私は30年前にブラジルのサンパウロのクラブで、ジュニアとジュニアユースのアシスタントコーチをしていましたが、現地の子供たちはオスグッドとはほぼ無縁でした。

また、海外から遠征に来ていたヨーロッパの子供たちも、そのような症状はほとんど見られません。

ところが日本に帰って来ると、オスグッドに悩むサッカー少年がとても多い状況に驚きました。

日本では「痛みに耐えて頑張る…」のが美徳とされているせいか、症状を悪化させてしまうケースが多いからなのかも知れません。

また、こうした精神論とは別に、これほど多くの子供たちが悩む現状を考えると、日本人特有の何らかの身体的な原因があるのではないでしょうか?

その一方で、私の読者から、これまでオスグッドに関するたくさんのご相談が寄せられました。

その際、ストレッチ以外のいろいろな方法をアドバイスしたところ、多くの方から改善したとの報告を受けています。

そこで、こうした過去の事例を踏まえ、正しい改善法を知るためにも、先ずは痛みの原因と日本人の身体的な特徴や問題点などをきちんと理解しましょう。

そのうえで後述する3つの改善法を参考にしてください。

そうすることが、子供をオスグッドの悩みから解放するための最短最速の近道です。

(2)医学的な原因と治療法

オスグッドの痛みの場所は、膝蓋骨(膝のお皿)の下にある膝蓋腱と脛骨(すねの骨)の付け根あたりです。

この場合、子供の骨は、筋肉や腱よりも先に成長するため、どうしても大腿四頭筋(太ももの前の筋肉)、膝蓋骨、膝蓋腱が上に引っ張られてしまいます。

そうすると、大腿四頭筋の柔軟性が落ちて、伸び切ったゴムのように硬くなってしまうのです。

そうした状態で、走ったりジャンプしたりという動作を繰り返すと、ヒザの負担が大きくなり膝蓋腱の付け根に痛みが起きるわけですね。

その場合、安静はもちろんですが、大腿四頭筋のストレッチなどの対処療法が必要で、これが現在の主要な治療法とされています(その他にテーピングやサポーター)。

要するに、成長期の子供は大腿四頭筋が硬くなってしまうので、ストレッチをして治しましょう…ということですね。

これに対して、海外では子供の成長期はあくまでも身体的な成長を優先して、練習量を調整するという考え方があるので、オスグッドの子供はかなり少ないです。

ところが日本では、中学生になると練習量が多くなり、また根性論も根強いことから痛みを我慢してしまうため、必然的にオスグッドが起こりやすい状況なのかも知れません。

さらに、日本サッカー協会によれば、JFAアカデミーの入学に際してオスグッドを発症していた場合は安静と治療を勧めるだけで、残念ながら成長期の子供に対して根本的な改善を目指すという発想はないようです。

ちなみに、オスグッドになると病院などに受診し、当分の間はサッカーの練習を休むことになりますが、その際は体育の授業も見学するようにするようにしましょう。

そうしないと、治るのが遅くなるだけです。

またいったん発症して、いつまでも治らない場合はセカンドオピニオンも考えてください。

その場合、病院に診療情報提供書を作成してもらったり、レントゲン写真の貸し出しを受けて他の病院を受診するのも良いでしょう。

ふつう病院を相手にすると、一般の人ではなかなか言い難い事かも知れません。

でも、大切なお子さんのことですし、そもそも医療業界はサービス業です。

あなたも正当な対価を支払って受診しているので、言うべきことはきちんと伝えるようにしましょう。

ところで、これまで解説したオスグッドの発症には、もう一つの大きな原因があることをご存知でしょうか?

実は海外と日本の子供達を比べると、日本人にはオスグッドになりやすいという、いくつかの身体的な特徴があるのです。

そこで、次にこの点について解説します。

(3)日本人の身体的な特徴

日本のサッカー少年には次の4つの身体的な特徴があり、これらはいずれもオスグッドの原因である大腿四頭筋の負担を大きくさせています(使い過ぎて硬くなる)。

① 骨盤の形状
② 胴長短足
③ 腸腰筋が未熟
④ 足首と足指が弱い

そこで次に、この4つの点について日本と海外の選手の違いを明らかにし、どのように改善すれば良いのか?という点を考えてみましょう。

①骨盤の形状

日本と海外の子供たちの骨盤の形状を比べると、直立か?前傾か?という大きな違いがあります。

日本人の骨盤

日本人は骨盤直立が多いためハムストリングス(太ももの後ろ側の筋肉)が緩みやすいことから、この部位があまり発達しません。

そのためもっぱら大腿四頭筋をよく使うので、太ももの前側の筋肉が異様に太くなります(ムダな筋肉が付いている)。

さらに背骨のS字カーブが未熟なためバネ作用が弱いことから、走る、飛ぶ、跳ねるという身体能力がとても低いです。

こうした骨盤直立は、立ったり歩いたりという日常生活の安定した動作には有効ですが、スポーツのような機敏な動きには適しません。

また、中学生の子供にとっては生後から10年以上もこの状態を続けているため、すでに習慣化してしまっているのです。

つまり、スポーツに適さない骨盤の形状なのに、無理してサッカーを続けているということなのです。

海外の人たちの骨盤

海外の子供たちは骨盤前傾が多いため、ハムストリングが緊張状態になることから自然とこの部位が発達します。

そのため、日本人のように大腿四頭筋に頼らないので、太ももの前の筋肉はあまり太くなりません(ムダな筋肉は付いていない)。

だからオスグッドになり難いのです。

また、背骨のS字カーブが発達しているためバネ作用が強いことから、走る、飛ぶ、跳ねるという身体能力がとても高いです。

改善点

日本の子供たちが、大腿四頭筋の負担を軽減するためには、骨盤直立から骨盤前傾に改善すること、ハムストリングスを鍛えて使えるようすることが大切です(具体的な改善法は後述します)。

そうすることが、オスグッドの予防や再発を抑えるための第一歩になるのです。

なお、日本では骨盤直立がスポーツに最適な姿勢…という誤った情報が広まっていますが、これでは大腿四頭筋に頼ってしまうだけで、かえってオスグッドの発症の原因になります。

そうした点はぜひご注意ください。

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さて次は「②胴長短足」「③腸腰筋が未熟」「④足首と足指が弱い」について解説します。

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