ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

オスグッドに悩むサッカー少年を救え!3つの改善法とは?

(3)身体操作の改善

これまで解説した「(2)大腿四頭筋の負担を減らす」は、あくまでも負担軽減が目的なのでやや消極的な改善法です。

そこで、この機会に積極的な改善法として、海外の子供たちと同じような全身(上半身+下半身)を使ったプレーを覚えましょう。

そうすることで、自分の潜在的なパワーとスピードを最大限に発揮できるようになります。

そのための改善法は次の3つです。

① 筋肉の伸張反射と体のバネ作用
② 重心移動
③ 膝抜き

① 筋肉の伸張反射と体のバネ作用

筋肉の伸張反射と体のバネ作用は、生まれ付き全てのヒトが持っている身体能力なので、練習によって誰でも使いこなせるようになります。

また、この2つの作用は本来異なるものですが、サッカーのプレーにおいては一緒に行うことが多いので、ここでは合わせて解説します。

A.筋肉の伸張反射とは?

筋肉の伸張反射とは、筋肉をゴムのように伸び縮みさせる反射運動のことです。

この作用は熱いものを触った時にすぐに手を離す…という反射神経と同じで、無意識のうちにとても速く体を動かせるようになります。

そこで、これまで解説したオスグッドの原因の一つである大腿四頭筋とハムストリングの関係について、走る動作を例に筋肉の伸張反射を利用した正しい体の使い方を考えてみましょう。

次の画像は私の息子「とも」の走る時の連続写真ですが、①では左足の大腿四頭筋と腸腰筋が急激に伸びていますよね。

その後の反射作用として②、③、④にかけて筋肉が急激に縮みますが、この動きを使って足を前に出すわけです。

その時にもう一つ大切な点があります。

それは、①の後で、②~③にかけてハムストリングス、お尻、背中、ふくらはぎの筋肉にほんのわずかな力を入れて素早くヒザを曲げていることです。

その理由は、②、③、④にかけて足を大きく前に出すためです。

つまり、①~④にかけての左足の動きは、「①大腿四頭筋と腸腰筋の伸張反射」+「②~④ハムストリングス、お尻、背中、ふくらはぎ」を使って、足を前に出しているのです。

また④の時は、新たに右足の大腿四頭筋と腸腰筋が急激に伸びていますが、これは①の動作を繰り返しているわけですね。

さらに膝抜き(詳細は後述します)も使っているのですが、要するに大腿四頭筋を使って地面を蹴るような動作がないのです。

これに対して、日本のほとんどの子供は大腿四頭筋を使って地面を蹴って走るわけですが、胴長短足の日本人にとっては、重たい上半身を短い足で一生懸命運ぶようなものですね。

この他にも、サッカーではいろいろなプレーに応用出来ます。

例えばキックでは、体の前の筋肉(胸、腹筋、腸腰筋、大腿四頭筋、すねの筋肉)を伸ばし、その反射作用としての縮む動きを利用して蹴ります(伸縮の巻き戻し)。

これは上半身+下半身の筋肉を無駄なく使う全身運動なので、日本人にありがちな足だけでボールを蹴るようなキックとは、全く次元の異なるパワーとスピードが得られるわけですね。

その際に大切なのは、バックスイングで体の前の筋肉を急激に伸ばすために、体の後ろの筋肉(ハムストリングス、お尻、背中、ふくらはぎなど)に力を入れて素早く縮めていることです。

つまり、筋肉の伸張反射を利用する場合は、力をいれるべき筋肉の部位がこれまでの常識とは全く違うわけですね

これに対して、日本人によくありがちなのが、走る時と同じように大腿四頭筋を使ってしまう(力を入れる)ことですが、これでは足の力だけに頼っているので当然パワー不足になりますよね。

そうするとヒザの振りを速くしようとして、一生懸命ヒザを振って蹴っていると、かえって膝のじん帯を損傷してしまうわけです。

こうした過ちは、日本の子供たちにとっての悲劇なのかも知れません。

いずれにしても、筋肉の伸張反射を使うことによって、大腿四頭筋の負担を軽減するだけではなく、全身のパワーを発揮することが重要なのです。

B.体のバネ作用とは?

体のバネ作用とは、サッカーのキックを例にすると、背骨のS字カーブを板バネのように伸び縮みさせる作用(バネの変形と復元)です。

この作用は、先ほどの筋肉の伸張反射と同様に、次の画像のように素早い動きをするものです。


この場合、海外の子供たちは背骨のS字カーブが発達しているので、このようなバネ作用が使えるわけですね。

これに対して、日本子供たちはS字カーブが未発達なので、ひたすら足の力に頼る結果、先ほどの筋肉の伸張反射で解説したような悲劇が起こるのです。

C.筋肉の伸張反射と体のバネ作用の関係

筋肉の伸張反射と体のバネ作用とても密接な関係があります。

例えばキックでは、バックスイングの時に、

(1)筋肉の伸張反射としては、体の前側の筋肉が急激に伸ばされます。

(2)体のバネ作用としては、背骨のS字カーブが急激に伸ばされます。

(3)インパクト~フォロースルーにかけては、伸ばした筋肉と背骨のS字カーブが合わせて縮もうとします。

つまり、両方の伸び縮みの作用が同時に働いて、強力なスイングスピードを発揮するのです。

※筋肉の伸張反射と体のバネ作用を身に付ける方法を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
伸張反射はサッカーのプレーを劇的に改善!最新理論で解明
体のバネ作用でサッカーがレベルアップ!【最新理論で解明】

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② 重心移動

重心移動とは、例えばヒトが立っている状態から走り出す場合、重心(おへその下あたり)を支持基底面(足と地面が設置している面)の外に出す動きのことです。

こうした重心移動は誰でも出来ることです。

試しに、足を揃えて立ってみてください。次に体を前に傾けて倒れそうになったら、片方の足を一歩踏み出してください。

その時、後ろ足で地面を蹴っているでしょうか?違いますよね。また意外と楽に踏み出せませんか?

実は日本人によくありがちなのが、走り出す時に後ろ足(特に大腿四頭筋)で地面を蹴ってしまうことです。

これは体重移動と言って、重たい上半身を下半身の力で運ぶようなものです。

これに対して、重心移動は支持基底面から重心を動かす…という動作を繰り返すことで、筋肉の力に頼らずに走れるわけですね。

しかも、体重移動(重たい上半身を下半身の力で運ぶ)よりも速く走れます。

また、止まる時も重心移動を使えばスムーズになります。

この場合は、動き出すのと反対に、支持基底面の後ろ側に重心を移動させればスムーズに止まれるのです。

これに対してふつうの日本人は、膝と足首で踏ん張って止まろうとするので故障の原因になります。

また、ジャンプする場合は、いったん重心を下げてから上げるという重力落下と地面反力を利用すると、足の力に頼らなくてもクリスチアーノ・ロナウドのような高い打点のヘディングシュートも出来るようになります。

このように、重心移動はサッカーのほとんどのプレーに応用出来るので、ぜひ覚えましょう。

※重心移動を身に付ける方法を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
重心移動でサッカーが100倍上手くなる!【中学生でもよく分かる】

③ 膝抜き

膝抜きは、例えば走る場合、「重力落下」「重心移動」「膝と股関節の力を抜く」という3つの動作を組み合わせることで、素早く動けます。

また膝抜きを使うと、筋力とはほぼ関係なく、自分自身の潜在的なスピードとパワーを発揮出来るので、非力な子供でもスピーディーに動けるのです。

その他にも、スムーズに止まったり、急激に方向転換する時など、サッカーのいろいろなプレーに応用できる古武術由来のとても大切なテクニックです。

これに対して膝抜きが使えないと、先ほどの重心移動と同じように、足で地面を蹴るという体重移動になるので動きが遅くなるだけです。もちろん大腿四頭筋の負担も大きくなりますよね。

特にサッカーの上手い選手は、必ずと言って良いほど身に付けているテクニックですし、先ほどの重心移動とも密接に関係するスキルなので、ぜひ覚えてください。

※膝抜きを身に付ける方法を詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
膝抜きでサッカーのプレーが劇的に改善!【練習法も解説】

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3.まとめ

これまで、オスグッドの原因、再発防止や予防のための3つの改善法を解説しました。

特に、日本のサッカー少年には次の4つの身体的な特徴があり、これらはいずれもオスグッドの原因である大腿四頭筋の負担を大きくしているという現実を理解してください。

(1)骨盤の形状
(2)胴長短足
(3)腸腰筋が未熟
(4)足首と足指が弱い

これに対する3つの改善法も、ぜひ参考にしてください。

(1)ストレッチ(マッサージを含む)
(2)大腿四頭筋の負担を減らす
(3)身体操作の改善

この場合、オスグッドを発症すると、安静はもちろんですが、ストレッチやマッサージだけで治療を終えてしまうのは大きな間違いです。

なぜなら、これまでの体の動きを改めない限り、再発を繰り返す危険性が高いからです。

むしろこの機会に、海外の子供たちと同じような全身(上半身+下半身)を使ったプレーを覚えて、自分の潜在的なパワーとスピードを最大限に発揮できるように進化しましょう。

その一方で、小学生のうちから3つの改善法を実践することで、オスグッドにならずに順調に成長できます。

ぜひ、日本サッカー協会をはじめとした多くの指導者が、この点をきちんと学んで現在の指導方法を見直し、これ以上オスグッドで悩む子供を増やさないようにすることを願っています。

【画像引用:Youtube.com