ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

股抜きのタイミングは2つだけ!必ず効果が出る練習法とは?

股抜きが成功するコツは、2つのタイミングを覚えることです。
そのためには、ボールの通り道をイメージしてシンプルなテクニックを使いましょう。

フリースタイルやフットサルの愛好家などがYOUTUBEで見せる股抜きは、実際の試合では使えません。
そうした意味では、バロンドールを何度も受賞した世界的な名選手である、メッシの股抜きをお手本にするべきです。

一方、股抜きは少年団やクラブではあまり教えないので、子供たちにとっては具体的な練習方法が分からないでしょう。
そうした場合、タイミングを掴むことだけに絞った練習をすれば、必ず試合で使えるようになります。

この練習法はとてもユニークなので、小学校低学年でも飽きずに夢中になると思います。

そこで今回はメッシの股抜きを参考にして、タイミングの取り方と面白い練習法を解説します。

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1.股抜きの2つのタイミング

股抜きのタイミングは2つしかありません。
・相手が股を開いている時
・相手が足を出した時

股抜きは相手との一対一の流れの中で、タイミングよく仕掛けることが大切です。
そのためには、出来るだけシンプルでオーソドックスなテクニックを身に付けた方が良いのです。

シンプルな股抜きをするメッシ

そうした点では、やはりメッシのシンプルな技術が最も参考になります。
ぜひ、メッシの股抜きを学んでいただきたいですね。

そこでメッシのプレーを参考にして、次に股抜きの2つのタイミングを順に解説します。

(1)相手が股を開いている時のタイミング

相手の股が開いている時の自分との位置関係は、「真っ直ぐ」「右半身(はんみ)」「左半身」という違いがあるものの、次の図のように必ず「T」字型になります。

「T」字型の説明画像

この状態になるとボールの通り道が出来るので、後はインサイド、アウトサイド、つま先などで「ちょん…」と股を通すだけです。
だから、それほど難しいテクニックではありません。

最も大切なことは、相手と自分の位置関係がT字型になるのはどのタイミグか?という予測です。

ちなみに、日本の選手たちは幼少期から両足練習をしているので、股の間にボールを置くことが多いです。
そのためディフェンスをする時も、股を大きく開く癖があります。

これは、日本代表でもJリーガーでも変わりません。
だから日本代表のサイドハーフやサイドバックは、意外と股抜きされることが多いです。
テレビなどで見ると一瞬のことなので分かり難いですが、それはあなたが見過ごしているだけです。

このように相手が股を開いている時の状況は、さらに2つのパターンに分けられます。
①相手が向かって来る時。
②止まっている時。

そこで、次にこの2つを詳しく考えてみましょう。

①相手が向かって来る時

ほとんどの方は「どうしてメッシは、向かって来る相手に対してこんな簡単に股抜きするのだろうか?」という疑問があるはずです。

でも、ヒトの動作特性を考えれば簡単なことです。
その理由は、相手が向かって来る時の自分と相手との位置関係は、必ず「T」字型になるからです。
後は自分の間合いに引き込んで、股を抜くだけなのです。

メッシは、こうしたヒトの動作特性に基づくタイミングをきちんと理解しているのでしょう。
だから、こんなに簡単に成功させるのです。

自分と相手の「T」字型の位置関係の説明画像

そもそも向かって来る相手の股は、どうしても開きやすくなります。
そこで、次にこうした点を詳しく考えて見ましょう。

a.ヒトは股を開きやすい

ヒトは走ったり歩いたりする時、靴1~2足分だけ股を開きます。
そうしないと、左右の足の内側(ヒザやくるぶし)がぶつかってしまうからです。
そうした意味では、ヒトはいつでも股が開きやすい特性があるのです。

靴1~2足分だけ股を開いて歩く人

走ったり歩いたりする時も、同じように股は開きます。
この反対に股を閉じる時は、いったん止まらなくてはいけません。
つまり、走ったり歩いたりしている途中で、いきなり股を閉じることは出来ないのです。

サッカーの試合でディフェンスが向かって来る時も、走ったり歩いたりしています。
そうすると、先ほども解説したとおりいつでも股を開いているのです。
さらに、スポーツの場合は俊敏な動作が必要なので、日常生活よりも大股で走ります。
そうするといくら警戒していても、いったん止まらない限り急に股を閉じることは出来ないのです。

また、その時の相手と自分との位置関係は、必ずT字型になっています。

だから、後は自分の間合いに引き込んで股を抜くだけなのです。

b.自分の間合いに引き込む

相手が向かって来る時は、意外とすぐに間合いが詰まってしまいます。
そうすると股を抜く前に相手にボールが奪われる…というケースも多いでしょう。

そうした場合は、2人1組で何度も繰り返してタイミングを掴む練習も必要です(後述の股抜きゲームを参考)。
こうした練習によって股抜きに慣れて来ると、自分の間合いに引き込めるようになります。

そうした意味では、相手を自在に操るようになれるわけです。

こうしたヒトの動作特性や自分の間合いに引き込むタイミングを掴めるようになると、後ろから向かって来る相手に対しても股抜きが出来るようになります。

そこで、次にこの点を考えてみましょう。

c.後ろから向って来る相手

次の動画では、メッシが後ろから来る相手に対して股抜きをしています。

このプレーは一見して難しそうに思えますが、やはり基本の原理はこれまでと同じです。
なぜなら相手と自分との位置関係がTの字型になっていますし、後はボールの通り道をイメージして股を抜けば良いだけだからです。

このシーンで後ろから向かって来る相手は、メッシにコンタクトする直前に両足を開いて止まろうとしています。
そうしないと急に止まることが出来ませんし、最悪の場合はメッシを突き飛ばしてファールになってしまいます。
そうすると結果的には股が開いてしまう…というわけなのです。

後ろから向かって来る相手を抜く時のタッチは、メッシのようにいったん振り返ってインサイドでも良いですし、後ろ向きのままなら足裏やカカトを使っても良いでしょう。
ただし、後ろ向きのままで股を抜くと、直ぐにはマイボールに出来ないので、ヒールキックか足裏を使った股抜きで味方にパスすることも考えましょう。

後ろ向きの股抜きの連続写真

その理由は、股抜き直後に相手の後ろにボールが来るということは、いったんルーズボールになって相手と競争しなくてはならないからです。
しかも股を抜かれた相手の方がボールに近いので、結果的にはボールを取られやすくなります。
そうすると、味方へのパスの方が安全なのです。
こうした点には注意しましょう。

さて、次は実際に股抜きをする時のボールタッチについて説明しておきます。

d.股抜きのタッチ

股抜きの代表的なタッチは、インサイド、アウトサイド、つま先という3通りの方法があります。
足裏やカカトを使えば、5通り以上にもなるでしょう。

でも、これは出来るだけシンプルに考えましょう。
それは、股抜きの後で自分が行きたい方向に応じてタッチを変えることです。
メッシも、このようなシンプルな考え方をしています。

・軸足側ならインサイド。

軸足側にインサイドで抜く連続写真

・利き足側ならアウトサイド。

利き足側にアウトサイドで抜く連続写真

・つま先の場合は、軸足側にも利き足側にも行ける。

つま先で抜く時は軸足側にも利き足側にも行ける意味の説明写真

・後ろ向きの場合は足裏やカカト。または先ほどのメッシのように、いったん振り返ってインかアウトでも良いです。

後ろ向きに抜く画像

以上が、相手が向かって来る時のパターンの解説でした。

次に、相手が止まっている時のパターンを考えてみましょう。

②相手が止まっている時

この場合の股抜きのタイミングは、結局は相手が向かって来るのか?止まっているのか?ということで、動いているのかどうかだけの違いです。

そうすると先ほども解説したように、
・相手と自分との位置関係がT字型のボールの通り道をイメージする。
・自分の間合いに入ったら抜く。
これだけを考えれば良いのです。

ただし、相手が止まっている時は、簡単に股を閉じてしまうことがあります。
そのためにも、いつもよりも間合いを詰める(相手に出来るだけ接近する)ようにしましょう。

相手が止まっている時に抜く画像

そもそも相手が止まっている時というのは、自分から相手に向かうということです。

こうした状況は相手に対して、フェイントで抜くのと同じです。
そうした場合に最も大切なのが、自分の間合いに入ったら直ぐに抜く!ことです。

ここでは絶対に躊躇してはいけません。
フェイントをする場合でも、躊躇していたら失敗します。
つまり相手が止まっている時の股抜きは、フェイントを仕掛けるタイミングと全く同じなのです。

そうすると股抜きをするのか?フェイントで抜くのか?を選べるので、相手に対する主導権を握っているとも言えるでしょう。

以上のように、相手が股を開いている時のタイミングとして、相手が向かって来る時と止まっている時の2つのパターンに分けて解説しました。

こうした状況とは別に、相手が足を出した時の股抜きも大切です。

そこで、次に相手が足を出した時の股抜きのタイミングを解説します。

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(2)相手が足を出した時のタイミング

この場合のタイミングの掴み方は、先ほどの(1)相手が股を開いている時とほぼ同じです。

この時の状況は、①相手が止まっている時、②相手が動いている時の2つに分けられます。

①相手が止まっている時

相手が止まっている時に足を出して来るというのは、先ほどの動画の0:10からのシーンのように青4番の選手が右足を出したところを股抜きすることです。

ここでは青4番の選手が左足→右足という順に足を出して来ましたが、この状況は先ほど解説した(1)相手が股を開いている時の②相手が止まっている時とあまり変わりません。
なぜなら、いずれも相手がほぼ止まっているわけですし、股を開いて立っているのか?足を出すか?だけの違いなのです。
また、いずれの場合もTの字型のボールの通り道はありますし、自分の間合いに入ったので股抜きをすれば良いと言うことだけです。
だから、難しいことは全くありません。

②相手が動いている時

この場合は、主に相手が並走して追いかけて来る時です。
先ほどの動画の0:30からのシーンでは、メッシが併走して追いかけてくる黄色の選手を股抜きをしています。
少し難しそうなテクニックですが、意外とそうでもありません。

ここで重要なことは、相手の左右のどちらの足が次に出るのか?ということをいち早く予測することです。
このシーン(シーン2)では、右足の次は左足が出るとメッシが予測しただけです。

なぜ予測できるのか?と言うと人間は2足歩行の動物だからです。
右→左→右→左というように交互に足を動かすので、右足が動いたら次は必ず左足が動きます。
こうした動作特性を理解すれば、次にどちらの足が出るのか?という予測はそれほど難しくありません。

相手が足を出すかどうかは、どこに注意すれば予測が可能なのか?という点は特に重要です。

それは相手のヒザを見て判断します!

なぜなら、ヒトが足を動かす時は、必ずヒザが最初に動くからです。

相手のヒザの動きを見て抜く時の連続写真

つまり、左右のどちらかのヒザが、ほんのわずかでも動いたらチャンスなのです。
そうした時は、必ずボールの通り道が「T」の字になっています。

ちなみに、アウトやインで相手を抜く時も、相手のヒザの動きさえ見ていれば簡単に抜くことが出来るので、結局は同じ原理なのです。

さてこれまで(1)相手が股を開いている時(2)相手が足を出した時の股抜きを解説しました。

次は、これまでの解説の補足的な内容として、股抜きが上手い選手と下手な選手の特徴を説明します。

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(3)股抜きの上手・下手

①利き足でボールを持つ

股抜きは、利き足でしっかりボールを持っている人ほど上手いです。
なぜなら、利き足でボールを持っている人は体が開いてないからです。

そうすると、ボールの通り道である「T」字型が作りやすくなります。

ボールの通り道である「T」字型の説明画像

ところが、両足でボールをこねくり回すような人は身体が開きやすいです。
そうすると「T」字型は作れません。
だから、股抜きが下手なのです。

②日本の子供たちは股抜きが下手

先ほど、日本の子供たちは幼少期から両足練習をしているので股の間にボールを置くことが多い…、だからディフェンスの時も股を開きやすい…と解説しました。
実は、この状態は大人になっても変わりません。
要するに「三つ子の魂百まで」ということですね。
そうなると、利き足できちんとボールを持たない限り、股抜きはマスター出来ないでしょう。

Jリーガーや日本代表の選手で股抜きをたくさん決める選手は、どのくらいだと思いますか?
私が知っている限り、まともな選手は久保建英くんぐらいです。

次の動画の0:10秒のシーンをご覧ください。

久保くんは、きちんと利き足の左でボールを持っています。
また相手は股を開いていますし、ボールの通り道も「T」字になっています。
たぶん、彼は日本人の体が開くクセを見抜いてるのでしょう。

久保くんは、状況判断のレベルが高いとかいろいろ評価されますが、本当はきちんと利き足でボールを持つところを評価するべきだと思います。
いずれにしても、股抜きが上手いか下手かの分かれ目は、利き足でボールを持つこと、体の開きを抑える…ということですね。

※体の開きを詳しくお知りになりたい方は、次の記事をお読みください。
体が開くとは?サッカー指導者が気付かない両足練習の弊害

③タイミングが悪いと失敗する

久保君は股抜きが上手いですが、失敗するケースもあります。
それはタイミングの問題です。

先ほど股抜きは大きく分けて二つのタイミングがある…と解説しました。
(1)相手が股を開いている時
(2)相手が足を出した時

そのためには相手のヒザの動きを見ながら、股を開いたり足を出すタイミングを予測することが大切です。

そうした場合、久保君が失敗した最大の理由はタイミングが遅れたということです。

先ほどご覧になった、また抜きの動画でも、久保君が相手と正対する直前に相手の右ひざをきちんと見てさえいれば、(1)相手が股を開いた時(相手の足が揃った時)…という絶好のタイミングを逃さなかったと思います。

相手の右膝が動いた瞬間のチャンスの画像

ところが、ここでは正対した後に動きが止まってしまいました。
要するにチャンスを逃してしまったのです。

そうすると、相手は警戒して股を閉じることが出来ます。
先ほども解説しましたが、ヒトは歩いたり走ったりする時は急に股を閉じることは出来ません。
でも、いったん止まると簡単に股を閉じることが出来ます。

だから、いったん動きの止まった相手に対しては、股抜きをあきらめて別の方法で抜かない限り相手を抜くのは難しくなるのです。

あれだけ股抜きが上手な久保君でさえも、タイミングを間違えることがあります。
「人の振り見て我が振り直せ」とも言います。
こうした点は、ぜひ注意したいですね。

さて次は、股抜きの練習法を解説します。
2種類の練習メニューがありますが、小学校低学年でも出来るユニークな方法です。

大切な内容なので、ぜひお読みください!

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