ブラジルでのコーチの経験を活かして、 サッカー未経験の方にも分かりやすく科学的で正しい理論をご紹介します

フィジカルコンタクトはサッカーの武器!中田英寿の秘密とは?

フィジカルコンタクトは、サッカーでは絶対に身に付けなくてはならないスキルの一つです。
なぜならサッカーはボールを奪い合うスポーツなので、相手との接触プレーが必要不可欠だからです。
ところが、日本ではこうしたプレーが未熟なため世界的にも立ち遅れています。

そうした中で、元日本代表の中田英寿は小柄な体格でありながら、世界に通用するフィジカルコンタクトのスキルを持っていました。
実は中田のテクニックは、海外のサッカー選手と比べて体格が劣る日本人でも十分通用する秘密が隠されています。

そこで今回はフィジカルコンタクトの基本、中田英寿のプレーを詳しく分かりやすく解説します。
小学生でも出来る簡単な練習法も紹介するので、ぜひ参考にしてください。

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1.フィジカルコンタクトとは

ここではフィジカルコンタクトの基本、日本サッカーの現状と問題点、中田英寿の例と日本人の可能性について解説します。
そのうえで今回の記事の後半では、中田英寿のフィジカルコンタクトの仕組みについて詳しく解説します。

あなたが、もしもフィジカルコンタクトは危険だ!などと考えているとしたら、それは大きな間違いです。
今後の日本サッカーの発展には欠かせない大切なことなので、ぜひ最後までお読みください。

(1)フィジカルコンタクトの基本

日本は海外のサッカー選手と比べて体格が劣るため、接触プレーが苦手です。
そうした中でフィジカルコンタクトの重要性は、たった2つのことに集約されます。

それは、ボールを取られない!奪う!ということです。

これをスキルの面で言えば、攻撃と守備で分けることが出来ます。
・攻撃側は自分とボールの間に相手を入れさせない。
・守備側は相手とボールの間に割り込んで奪う。

ボールを奪い合う2人の小学生

この考え方は浮き球であっても、グラウンダーであっても全く同じです。
例えばヘディングの場合は「相手よりも先に触れ!」とよく言われますが、これは相手の前にいても後ろにいても、相手とボールの間に割り込んでボールに触ることを意味するのです。

つまりフィジカルコンタクトの基本は、
・攻撃側はボールを取られない。
・守備側はボールを奪う。
こうしたシンプルな考えを理解したうえで、具体的なスキルを覚えることが大切です。

一見して当たり前のようですが、日本人の多くは頭では分かっていても実際の試合では上手く出来ません。
だから、いつまで経っても世界レベルにはならないのです。

そうした理由は、これまでの日本サッカー界の歴史的な背景にあります。

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(2)日本サッカーの現状

日本サッカーのフィジカルコンタクトを一言で表すと、現実を避け続けた歴史です。
これには、二つの問題点が隠されています。

①フィジカルコンタクトを避けた歴史

日本サッカー界の歴史を紐解くと、日本人は海外のサッカー選手と比べて体格が劣るためフィジカルコンタクトを避け、テクニックとアジリティ―で世界に挑もうとしています。
こうした考えは、今も昔も変わりません。
そのため最初はブラジルサッカーのスキルを模範にし、その後ヨーロッパ型の組織戦術を取り入れながら徐々に進歩して来ました。

その後、日本人と似た体格ということでスペインやメキシコのサッカーを取り入れようともしました。

たしかにスペインは、チキタカというスタイルのため接触プレーは少ないですが、そもそもスペイン人のテクニックは日本人とは比べ物になりません。
また、メキシコの戦術は前からの速い守備とカウンターが武器なので、基本的には激しい接触プレーが多く「自分たちのサッカー」などと夢見る、日本代表の選手たちには受け入れ難いようです。

そうすると日本サッカーの進むべき道がハッキリしないまま、中途半端な状態で時間を費やしただけになっています。

そうした中でハリルホジッチが代表監督になった時、しきりに選手たちへ「デュエル(決闘)」を求めました。
いわゆる球際の強さですね。

ハリルホジッチ

私としてはやっと変化の兆しが訪れ、育成年代にもこうしたプレーが浸透するかも知れない…と期待しました。
ところが解任されて、元の「自分たちのサッカー」というパスに依存した、フィジカルコンタクトの少ないプレースタイルに戻ってしまったようです。

要するに日本のサッカーの歴史は、フィジカルコンタクトを避けた歴史なのです。
つまり、四半世紀前のレベルから全く進歩していない…ということですね。
こうなると、進歩の余地はありません。

こうしたフィジカルコンタクトを避けた歴史は、育成年代のサッカーにも影響が出ています。

②育成年代のフィジカルコンタクト

(ア)育成年代の指導もフィジカルコンタクトを避けている

日本の育成指導では、小学生はドリブル、中学生以降ではパスが主体になります。
こうした指導はどこの国でも同じですが、日本が海外と大きく違うのはフィジカルコンタクトの考えが欠けていることです。

一般的にドリブルで相手を抜く場合は、大きく分けて2つのパターンがあります。
A.相手と向き合った時に、足技で抜く。
B.相手が横か後ろから追いかけて来た時に、腕や背中を使ってボ―ルを守る。

このうちAは相手の動きがよく分かるので簡単に抜くことが出来ますし、フィジカルコンタクトをほとんど必要としません。
一方、Bは相手が必死に迫って来るので、フィジカルコンタクトが不可欠です。

小学生のフィジカルコンタクト

日本の育成現場の指導では一対一の練習もよくやりますが、実際の試合ではフィジカルコンタクトがほとんど必要ないAの方をトレーニングします。

なぜなら勝利至上主義のため安全なパスを優先し、ドリブルの激しい接触プレーを少なくするからです。
そうすると、当然フィジカルコンタクトの機会は減るのでスキルは上達しません。
例えば、狭いところでボールを持ち過ぎると「早くパスしろ!」と言われませんか?

でも、狭いところの裏には広いスペースがあるのです。
ここで勘違いしていただきたくないのですが、パスが悪いというわけではありません。
狭い場所ではボールが取られるリスクもありますが、成功すれば大きなリターンが待っているということなのです。

「早くパスしろ!」と言う指導者は、安全なことしか考えていない証拠です。
日本人は、ギャンブルなどのリスクを嫌う民族性があります。
でもサッカーにはギャンブルは付き物ですし、それにチャレンジしないと大きなリターンは来ないのです。

またギャンブルをしないサッカーは、カーナビと同じです。
セオリーどおりの安全なルートしか判断しません。
そうすると日本のサッカーは、セオリー通りのプレーが多くなります。
だから日本代表がブラジルなどの強豪国と試合すると、簡単に次のプレーを見抜かれてボールを取られてしまうのです。

ここで私が何を言いたいのかというと、日本のサッカーがフィジカルコンタクトを避けているという大人の考えが、育成年代の子供たちに浸透してしまったということです。

やはり育成年代の指導を見直すことで、子供たちにもフィジカルコンタクトの大切さを身に付けさせるべきではないでしょうか?

(イ)フェアプレーとフィジカルコンタクト

日本サッカー協会は、フェアプレーを推奨しています。
たしかに育成年代の子供たちにとっては、ケガの防止やルールを守るという点では良い事だと思います。
ところがフェアプレーの推奨は、まるでサッカーを教育の一環と考えているように思います。
また、こうした考えは日本独特なものです。

フェアプレーで試合をする小学生

そのため少年サッカーの試合では、審判がフィジカルコンタクトとラフプレーを混同するケースがよく見られます。
例えばショルダータックルで相手が倒れるとすぐにファールを取ったり、わずかに手を使っただけでも笛を吹くことがよくあります。
やはりこれも教育的な配慮があるためでしょう。
こうした現状では、フィジカルコンタクトのスキルは身に付きません。

さらに、こうしたジャッジはJリーグでも同じです。
特にJリーグでプレーする外国人は口を揃えたように、「審判はすぐに笛を吹く…」と言います。
外国人から見た場合、フィジカルコンタクトに過敏なジャッジはかなり疑問に感じているのでしょう。

これに対して、海外では少年サッカーでさえも当たりが激しく、手を使うのは当たり前です。
またルールすれすれのプレーは当然ですし、審判が見ていなければ…というプレーも多いです。
なぜなら、子供たちにはボールを取られない!奪う!という意識が根強いからです。
だからこそ、フィジカルコンタクトは当たり前!と考えているのです。
つまりサッカーに対しては死に物狂いであって、日本とは本気度が全く違うのです。

さらに海外では教育とサッカーは別物であって、教育は学校で…、サッカーはクラブで…という位置付けがあります。
そうすると子供たちにはフェアプレーという考え方ではなく、プロ選手たちの接触プレーが正しいと理解するのです。

いずれにしても、日本の育成年代のフェアプレーの推奨は行き過ぎています。
少なくともフィジカルコンタクトとラフプレーの区別くらいは、きちんとするべきでしょう。

そうしたうえで子供たちに正しいスキルを身に付けさせるべきです。

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(3)中田英寿の例と日本人の可能性

元日本代表の中田英寿は身長175㎝で体重72㎏という体格でありながら、抜群のフィジカルコンタクトによってイタリアのセリエAで活躍しました。
サンドニの悲劇と言われた2000年3月の日本代表とフランス代表との試合では、大雨でグラウンドコンディションが悪いのにも関わらず、中田だけは屈強な相手とのフィジカルコンタクトで競り負けることはありませんでした。

2000年3月の日本代表

たぶん多くの方は、中田英寿が特別な選手だったから活躍出来たのだと思うでしょう。
でも、そうした考えは違います。

私が思うに中田が活躍したという事実は、日本人でも幼少期から正しいフィジカルコンタクトを教えれば、海外でも十分に通用する可能性があると解釈するべきです。
たしかに、日本人は海外のサッカー選手と比べて体格が劣ると言われています。
でも、単なる思い込みではないでしょうか?

そうした中で彼はイタリアのペルージャに移籍した際、チーム練習の前後にフィジカルトレーニングを続けたそうです。
いわゆる肉体改造ですね。
つまりトレーニングのやり方しだいでは、世界に通用する選手に成長出来るのです。

その際に特に重視したのは、バランス能力と下半身の筋力です。
そうすることで試合中は倒れにくく、ケガや故障が少ないというバランスの良い筋力を身に付けたのです。

ちなみに中田は、中学3年生の時にU-15日本代表に選抜されています。
中学校のサッカー部の監督が協会に選考理由を聞いたところ、「テクニックはやや見劣りするがフィジカルの強さは世界でも通用する」と評価されたそうです。

こうした逸話は中田だけが特別な選手と見なしてしまうのではなく、むしろ日本にもフィジカル的に強い選手はたくさん育っているのではないか?と考えた方が良いと思います。
つまり潜在的な可能性のある子供たちを発掘することで、海外でも通用する選手を育成できるわけです。

サッカーは、フィジカルコンタクトを避けて通ることが出来ません。
現実に目を向けることで、初めて日本のサッカーが進歩するのです。

さて次からは、いよいよ中田英寿のフィジカルコンタクトのスキルについて詳しく解説します。
大切な内容なので、ぜひお読みください!

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